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第2章
65話 1つで2度美味しい
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……そう言えば。
「カレン。取り敢えず、君の話は分かったよ。この世界が君の世界では物語の中の世界だったとして。それが少女向けの夢物語だとして……じゃあカイトは?」
彼は少女ではなく、男だが?
首を傾げて問う僕に、カイトはげんなりとした顔を見せ。
カレンはシレッと答えた。
「あぁ、あのゲーム……話、ちょっと変わってて。主人公を選べるのよ。女か男か。」
「少女向けの話なのに?」
「うん。女主人公を選択すると乙女ゲームに。男主人公を選択するとBLゲームに。1つで2度美味しいの。」
「??」
何を言っているんだ、この女は?
そろそろ僕の理解も限界を超えているんだが。
怪訝な顔をする僕に、カレンはどうして分かんないの?とでも言いたげな顔で言い放った。
「だからぁー!女の子を主人公に選んで読み進めたら、それぞれ対象のイケメンが出て来るから、自分の好みの男子を選んで読み進めれば良いの。」
「それはまぁ、分かった。」
変わった話の展開だが、要は、好みは人それぞれだから、好きな相手を選んで、その者との恋話を読み進めるって事だろう?
「んで、男の子を主人公に選べば、またそれぞれ対象のイケメンがいるから、自分の好みの子との男同士の恋愛話を楽しめるのよぉ~!」
ムフフ。と不気味な笑みを浮かべるカレンに、カイトは自身の顔を手で覆った。
「……そんなの何が楽しいんだ?」
言っている意味が本当によく分からないんだが。
後ろのテオも怪訝な顔をしている。
でも、カレンは理解出来ない僕らの事が理解出来ない様で。
「えー、楽しいわよぉー!一大ジャンルよぉー!そっちからしたら、まぁ分かんないカモだけど~。けどさ~、男だって百合とかレズとか好きな癖に~。」
ぷぅと頬を膨らませて不満げにカレンは言うが。
「百合?レズ?何だそれは。」
「話の流れで察して…。男同士の反対なら、女同士って事。」
専門用語に疑問を感じていると、カイトがこそっと耳打ちする様に小声で注釈してくれた。
な、なるほど?
混乱する頭で何とか理解しようとしている僕に、カイトはガックリと項垂れた。
「はぁー。シリルには穢れて欲しくないのに。」
余計な知識を植え付けないで……。と、カイトは残念そうにぼやいていた。
カイトは僕にどんな理想を抱いているのか知らないが、僕はそんなに潔癖じゃないぞ。
というか、そういう事なら充分……うん、やめておこう。
僕は思い出しそうになるのを止める為に、軽く頭を振った。
その僕の様子にカレンは首を傾げたが、顔を上げたカイトと目が合って、気が付いた。
「……あ!だからカイト、お前……ユリウス殿下の事、あんなに警戒していたのか。」
王太子が、攻略対象の一人だったんだな?
だから、その王太子から妙にアプローチされるのが、女好きのカイトには恐ろしかったのか。
「そうだよ!俺はBL展開なんて望んでないのに、王太子ってばやたら絡んで来たんだもん!ちょっとでも気を抜いたらそっちの方向に持っていかれそうで怖かったんだよ~!!」
「……僕は大丈夫だったのか?」
「うん。シリルは元々あんな態度だったし、悪役令息…ええと、恋敵役ね。だから、そもそもシリルと恋仲になる事はシナリオ的にない筈だと思ってたから。」
能天気に笑うカイトに、僕は若干イラっとした。
「カレン。取り敢えず、君の話は分かったよ。この世界が君の世界では物語の中の世界だったとして。それが少女向けの夢物語だとして……じゃあカイトは?」
彼は少女ではなく、男だが?
首を傾げて問う僕に、カイトはげんなりとした顔を見せ。
カレンはシレッと答えた。
「あぁ、あのゲーム……話、ちょっと変わってて。主人公を選べるのよ。女か男か。」
「少女向けの話なのに?」
「うん。女主人公を選択すると乙女ゲームに。男主人公を選択するとBLゲームに。1つで2度美味しいの。」
「??」
何を言っているんだ、この女は?
そろそろ僕の理解も限界を超えているんだが。
怪訝な顔をする僕に、カレンはどうして分かんないの?とでも言いたげな顔で言い放った。
「だからぁー!女の子を主人公に選んで読み進めたら、それぞれ対象のイケメンが出て来るから、自分の好みの男子を選んで読み進めれば良いの。」
「それはまぁ、分かった。」
変わった話の展開だが、要は、好みは人それぞれだから、好きな相手を選んで、その者との恋話を読み進めるって事だろう?
「んで、男の子を主人公に選べば、またそれぞれ対象のイケメンがいるから、自分の好みの子との男同士の恋愛話を楽しめるのよぉ~!」
ムフフ。と不気味な笑みを浮かべるカレンに、カイトは自身の顔を手で覆った。
「……そんなの何が楽しいんだ?」
言っている意味が本当によく分からないんだが。
後ろのテオも怪訝な顔をしている。
でも、カレンは理解出来ない僕らの事が理解出来ない様で。
「えー、楽しいわよぉー!一大ジャンルよぉー!そっちからしたら、まぁ分かんないカモだけど~。けどさ~、男だって百合とかレズとか好きな癖に~。」
ぷぅと頬を膨らませて不満げにカレンは言うが。
「百合?レズ?何だそれは。」
「話の流れで察して…。男同士の反対なら、女同士って事。」
専門用語に疑問を感じていると、カイトがこそっと耳打ちする様に小声で注釈してくれた。
な、なるほど?
混乱する頭で何とか理解しようとしている僕に、カイトはガックリと項垂れた。
「はぁー。シリルには穢れて欲しくないのに。」
余計な知識を植え付けないで……。と、カイトは残念そうにぼやいていた。
カイトは僕にどんな理想を抱いているのか知らないが、僕はそんなに潔癖じゃないぞ。
というか、そういう事なら充分……うん、やめておこう。
僕は思い出しそうになるのを止める為に、軽く頭を振った。
その僕の様子にカレンは首を傾げたが、顔を上げたカイトと目が合って、気が付いた。
「……あ!だからカイト、お前……ユリウス殿下の事、あんなに警戒していたのか。」
王太子が、攻略対象の一人だったんだな?
だから、その王太子から妙にアプローチされるのが、女好きのカイトには恐ろしかったのか。
「そうだよ!俺はBL展開なんて望んでないのに、王太子ってばやたら絡んで来たんだもん!ちょっとでも気を抜いたらそっちの方向に持っていかれそうで怖かったんだよ~!!」
「……僕は大丈夫だったのか?」
「うん。シリルは元々あんな態度だったし、悪役令息…ええと、恋敵役ね。だから、そもそもシリルと恋仲になる事はシナリオ的にない筈だと思ってたから。」
能天気に笑うカイトに、僕は若干イラっとした。
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