全てを諦めた公爵令息の開き直り

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第2章

62話 ゲーム

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「…でもね。やっぱり私達、協力するなら側に居た方が良いと思うの。」

このクレイン公爵邸で二人の巫子を受け入れる事が決まり、頭を抱えていた僕に、カレンは遠慮がちに口を開いた。

振り返ると、ソファーに腰を下ろしたまま、机に向かっている僕の方を見つめてくる。
僕は席を立つと、カレンが座るソファーの方に腰を下ろした。

「どうした?」
「……シリルは正直に話してくれたでしょう?死に戻りの事。だから、私も話そうと思って。救世の巫女の事。」

真面目な顔をして言うカレンに、側に居たカイトも横に居住まいを正した。
テオも僕のすぐ後ろに控える。

「私達が異世界人だっていうのは、知っているわよね?」

彼女にそう問われて、僕はコクリと頷く。

それは、カレンだけでなくカイトの時も、自身の口から以前に直接聞いた事があるからだ。
でも、それだけじゃないの……。と、カレンは口にする。

「私達、この世界を“知っている”の。だから、すぐにここが異世界だって分かった。」
「…?どういう事だ。」

カレンの言葉に、僕は首を傾げ、後ろのテオと顔を見合わせる。
すると、カレンは少し逡巡したが、横のカイトが強く頷くと、意を決して話し出した。

「私達からすると、この世界は……ゲームの中の世界なの。救世の巫女は、そのゲームの主人公で、ゲームのストーリーを順に攻略していって、エンディングを迎えて、クリア出来るのよ。」
「そのゲームはカレンがよくやってて、僕はCMで見るくらいしか知らなかったから、カレンの方が詳しいんだけど……この世界は、そのゲームの世界によく似てるんだ。」

“双生の巫女と巫子 ~あなたが紡ぐその世界~”
そのゲームの世界に私達は主人公として迷い込んで来たのよ。と、カレンは言う。
そして、カイトもコマーシャルで見たから、その存在は知っていた。と言うのだが。

「ゲームって、どういう事だ?……チェスとか、カードゲームとかじゃなくて?そんなものに主人公も何もないだろう?ギャンブルなら、胴元のディーラーとプレイヤーがいるが……」
「……えっとぉ…」

全然話が噛み合っていないのは、分かる。
頭にハテナを浮かべる僕とテオを見て、カイトは困った顔をしていた。
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