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第2章
59話 今度は一緒に
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「そ、そう言えば、二人はなんでウチの門番と揉めてたんだ?」
僕の顔を見たいと言っていたのはわかったが。
王太子に頼めば、門番と直談判なんかしなくても。
そう思って僕が尋ねると。
「今度は夏恋と二人でこの世界へ戻って来ててさ。それで真っ先にここへ連れて来たんだ、俺が。前回あんな形でシリルの最期を目にして、どうしても会いたかったから。……シリルは無事かなって。」
あんな別れ方になってしまったけれど、あの時は助けられなかったけれど、また会えて本当に良かった。
そう、カイトは涙ぐんだ。
僕も、同じく涙ぐむ。
あぁ、王太子め。
もし助かっても、カイトは絶対にあの場に連れて来るなって言ったのに。
連れて来てしまったんだな。
この優しい友人の心に、いらぬショックを与えてしまった。
もう、戻りたくはないと願ったけれど。
でも、今ではこうして再会出来て良かったと、素直に思える。
「ねぇ、シリル。今度こそは死なせない。絶対に生き残らせてみせるよ。だから、一緒に乗り越えよう?」
優しく、でも力強く。
カイトは僕にそう言うと、スッと手を伸ばした。
僕は、おずおずとその手を掴み、彼と固い握手を交わした。
その上にカレンも手を乗せる。
「私も。今度は一緒に頑張ろうよ。絶対シリルは幸せにならなきゃ!」
「微力ながら……俺も、協力させて下さい。」
テオも手を重ねてくれた。
その上に、更にカイトが手を重ね。
「よーし!今度こそハッピーエンドにしてみせるぞ!皆でがんばろうー!」
「おー!」
カイトの意気込みに、カレンも同調する。
本当に、よく似た双子だ。
僕はテオと顔を合わせ、笑みを浮かべた。
やってみよう、今度こそ。
今迄散々色んな目に遭ったんだ。
諦める事を諦めよう。
こうなったらとことん開き直ってやる!
……そう、心に誓った。
「だから、これからよろしく!シリル。」
「よろしくお願いしまぁす!」
「うん。……うん?」
ニコニコと笑う巫子達に、僕は頷きながらも首を傾げる。
「これから、ご厄介になります!」
僕の顔を見たいと言っていたのはわかったが。
王太子に頼めば、門番と直談判なんかしなくても。
そう思って僕が尋ねると。
「今度は夏恋と二人でこの世界へ戻って来ててさ。それで真っ先にここへ連れて来たんだ、俺が。前回あんな形でシリルの最期を目にして、どうしても会いたかったから。……シリルは無事かなって。」
あんな別れ方になってしまったけれど、あの時は助けられなかったけれど、また会えて本当に良かった。
そう、カイトは涙ぐんだ。
僕も、同じく涙ぐむ。
あぁ、王太子め。
もし助かっても、カイトは絶対にあの場に連れて来るなって言ったのに。
連れて来てしまったんだな。
この優しい友人の心に、いらぬショックを与えてしまった。
もう、戻りたくはないと願ったけれど。
でも、今ではこうして再会出来て良かったと、素直に思える。
「ねぇ、シリル。今度こそは死なせない。絶対に生き残らせてみせるよ。だから、一緒に乗り越えよう?」
優しく、でも力強く。
カイトは僕にそう言うと、スッと手を伸ばした。
僕は、おずおずとその手を掴み、彼と固い握手を交わした。
その上にカレンも手を乗せる。
「私も。今度は一緒に頑張ろうよ。絶対シリルは幸せにならなきゃ!」
「微力ながら……俺も、協力させて下さい。」
テオも手を重ねてくれた。
その上に、更にカイトが手を重ね。
「よーし!今度こそハッピーエンドにしてみせるぞ!皆でがんばろうー!」
「おー!」
カイトの意気込みに、カレンも同調する。
本当に、よく似た双子だ。
僕はテオと顔を合わせ、笑みを浮かべた。
やってみよう、今度こそ。
今迄散々色んな目に遭ったんだ。
諦める事を諦めよう。
こうなったらとことん開き直ってやる!
……そう、心に誓った。
「だから、これからよろしく!シリル。」
「よろしくお願いしまぁす!」
「うん。……うん?」
ニコニコと笑う巫子達に、僕は頷きながらも首を傾げる。
「これから、ご厄介になります!」
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