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第1章
43話 快感 ※
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「サフィル…と、呼んでください。シリル様。」
その微笑みは、本当に端正で。
こんな状況なのにも関わらず、思わず格好いいと思ってしまって。
僕は自分の置かれている状況も忘れて、つい、ぽぅ~と見惚れてしまう。
が、次の瞬間。
「ひゃっ?!んあぁっ!!」
ニッと笑った卿は、あろう事か、今度は僕のあらわになった胸の突起にむしゃぶりついたのだ。
右胸はその手の爪先でカリカリと引っ掻かれ、左胸の方はその赤い舌で転がされる。
何だこれ、何だこれ?!
ゾクゾクする。
女性でもないのに、胸を弄ばれて……快感を…感じるなんて。
信じられない。
絶え間なく襲って来る快感と、それを感じてしまう戸惑いが、嵐の様に押し寄せて来る。
こんな事で気持ち良くなるなんて。
この恐ろしい快感から逃れたいのに、腕は拘束されているし、体は覆い被されて、身動きが取れない。
恐ろしいのに、気持ちがいい。
その快感が、その弄られている胸だけでなく、腰の方に重く溜まっていく。
こんな感覚は初めてで。
「や、やだっ…!もうやめっ」
懇願しようにも止めてくれない。
当たり前だ。
さっき、自分からさっさとする様に促したばかりなのに。
けれど。
まさか、こんな目に遭うなんて、思ってもいなかったんだ。
どうせ向こうだけが勝手に気持ち良くなって、それなりに満足すれば終わらせられるのだと思っていた。
……とんでもなかった。
彼に、優しく抱きしめられて囁かれた時に、気付くべきだったのだ。
心を堕とせないのなら、体から堕としに来る事くらい。
気持ちイイのが怖い。
こんな感覚は初めてで。
僕はどうすればいいのか分からず、視線を彷徨わせていると。
覆い被さっているアルベリーニ卿の背後から、刺す様な視線を強く感じた。
ロレンツォ殿下だ。
一瞬、彼にすら縋りつきたくなった。
僕を翻弄してやまない卿を止められるのは、彼だけだから。
けれど。
やはりというか、その考えは愚かだと直ぐに悟らされる。
彼は本当に愉快そうに、僕らのこの行為を鑑賞している。
何時彼が割り入って来ても、おかしくないくらいの勢いで。
心底ゾッとした。
病んだような暗い目で喰いつく様に見て来る、ロレンツォ殿下と。
熱に浮かされたような瞳で、ひたすら僕に愛撫し続けるアルベリーニ卿と。
この異様な状況をどうすればいい。
どうすれば終えられる?
「ひっ…んんっ」
啄む様に全身にキスの雨を降らしてくるアルベリーニ卿に、僕は上げたままの腕に顔を隠して、ひたすら喘ぐ事しか出来ない。
受け止めきれない快感を逃したいが、身を捩ろうにも、動けない。
ただ、この恐ろしく甘美な仕打ちが、一刻も早く終わる事を願う事だけしか出来ない。
こんな、淫猥な事をしているのに。
僕に触れて来るアルベリーニ卿が、何故か格好良く見えてしまって仕方が無い。
まるで、何も知らない無垢な子供の様な僕に対し、彼は酸いも甘いも知り尽くした悪い大人のそれだ。
一から快感を教え込む様に、まるで愛していると伝える様に、容赦なく翻弄して来る。
その微笑みは、本当に端正で。
こんな状況なのにも関わらず、思わず格好いいと思ってしまって。
僕は自分の置かれている状況も忘れて、つい、ぽぅ~と見惚れてしまう。
が、次の瞬間。
「ひゃっ?!んあぁっ!!」
ニッと笑った卿は、あろう事か、今度は僕のあらわになった胸の突起にむしゃぶりついたのだ。
右胸はその手の爪先でカリカリと引っ掻かれ、左胸の方はその赤い舌で転がされる。
何だこれ、何だこれ?!
ゾクゾクする。
女性でもないのに、胸を弄ばれて……快感を…感じるなんて。
信じられない。
絶え間なく襲って来る快感と、それを感じてしまう戸惑いが、嵐の様に押し寄せて来る。
こんな事で気持ち良くなるなんて。
この恐ろしい快感から逃れたいのに、腕は拘束されているし、体は覆い被されて、身動きが取れない。
恐ろしいのに、気持ちがいい。
その快感が、その弄られている胸だけでなく、腰の方に重く溜まっていく。
こんな感覚は初めてで。
「や、やだっ…!もうやめっ」
懇願しようにも止めてくれない。
当たり前だ。
さっき、自分からさっさとする様に促したばかりなのに。
けれど。
まさか、こんな目に遭うなんて、思ってもいなかったんだ。
どうせ向こうだけが勝手に気持ち良くなって、それなりに満足すれば終わらせられるのだと思っていた。
……とんでもなかった。
彼に、優しく抱きしめられて囁かれた時に、気付くべきだったのだ。
心を堕とせないのなら、体から堕としに来る事くらい。
気持ちイイのが怖い。
こんな感覚は初めてで。
僕はどうすればいいのか分からず、視線を彷徨わせていると。
覆い被さっているアルベリーニ卿の背後から、刺す様な視線を強く感じた。
ロレンツォ殿下だ。
一瞬、彼にすら縋りつきたくなった。
僕を翻弄してやまない卿を止められるのは、彼だけだから。
けれど。
やはりというか、その考えは愚かだと直ぐに悟らされる。
彼は本当に愉快そうに、僕らのこの行為を鑑賞している。
何時彼が割り入って来ても、おかしくないくらいの勢いで。
心底ゾッとした。
病んだような暗い目で喰いつく様に見て来る、ロレンツォ殿下と。
熱に浮かされたような瞳で、ひたすら僕に愛撫し続けるアルベリーニ卿と。
この異様な状況をどうすればいい。
どうすれば終えられる?
「ひっ…んんっ」
啄む様に全身にキスの雨を降らしてくるアルベリーニ卿に、僕は上げたままの腕に顔を隠して、ひたすら喘ぐ事しか出来ない。
受け止めきれない快感を逃したいが、身を捩ろうにも、動けない。
ただ、この恐ろしく甘美な仕打ちが、一刻も早く終わる事を願う事だけしか出来ない。
こんな、淫猥な事をしているのに。
僕に触れて来るアルベリーニ卿が、何故か格好良く見えてしまって仕方が無い。
まるで、何も知らない無垢な子供の様な僕に対し、彼は酸いも甘いも知り尽くした悪い大人のそれだ。
一から快感を教え込む様に、まるで愛していると伝える様に、容赦なく翻弄して来る。
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