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第1章
42話 翻弄 ※
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ぺろっ、と。
僕の涙をその赤い舌で舐めとられた。
てっきりまた痛みが来るのではないかと怯えていた僕は、優しくもいやらしい、彼の行為に翻弄されるしか無くて。
「えっ……?……って、うぁっ!」
僕の瞼から離れていったその舌は、今度はさっき噛まれた所を舐めていた。
ぴちゃぴちゃと音をたてて、傷を舐め上げられていく。
ジンジンと痛い筈だったその場所は、執拗に舐めとられて、痛いだけではなくなってきて。
「ふ……んぁっ」
堪らず顔を背ける僕は、自分の口から今まで聞いたことも無い、鼻にかかった甲高い声を出し。
その事に衝撃を受けていた。
(えっ……ちょっ…何?!)
どうしてしまったんだ、僕は。
こんな声、聞いたことも無い。
女だった時だって、こんな声、出た事なんてなかったぞ。
それに、彼に舐められている部分がぞわぞわする。
くすぐったいだけでない、変な感覚が。
訳が分からず。
ただただ恥ずかしくて、頭が沸騰しそう。
真っ赤に染まった僕の顔を見て、アルベリーニ卿はニッと笑みを零した。
その彼を見て、僕はまた顔から湯気が出そうになるほど熱くなる。
……マズい。
これ以上は非常にマズい!
漠然とした危機感が、僕を無性に急き立てる。
これ以上舐め回されたら、とんでもない事になってしまいそうな気がする!
ドクンドクンと嫌にうるさい心臓の音が、明確に僕に警鐘を鳴らしている。
今更ながらに感じる焦燥に、僕は思わず音を上げそうになる。
「あ、アルベリーニ卿っ!も、それ以上はっ」
また泣きそうになる僕の顔を見たアルベリーニ卿は、整った綺麗な顔でニッコリと微笑んだ。
僕の涙をその赤い舌で舐めとられた。
てっきりまた痛みが来るのではないかと怯えていた僕は、優しくもいやらしい、彼の行為に翻弄されるしか無くて。
「えっ……?……って、うぁっ!」
僕の瞼から離れていったその舌は、今度はさっき噛まれた所を舐めていた。
ぴちゃぴちゃと音をたてて、傷を舐め上げられていく。
ジンジンと痛い筈だったその場所は、執拗に舐めとられて、痛いだけではなくなってきて。
「ふ……んぁっ」
堪らず顔を背ける僕は、自分の口から今まで聞いたことも無い、鼻にかかった甲高い声を出し。
その事に衝撃を受けていた。
(えっ……ちょっ…何?!)
どうしてしまったんだ、僕は。
こんな声、聞いたことも無い。
女だった時だって、こんな声、出た事なんてなかったぞ。
それに、彼に舐められている部分がぞわぞわする。
くすぐったいだけでない、変な感覚が。
訳が分からず。
ただただ恥ずかしくて、頭が沸騰しそう。
真っ赤に染まった僕の顔を見て、アルベリーニ卿はニッと笑みを零した。
その彼を見て、僕はまた顔から湯気が出そうになるほど熱くなる。
……マズい。
これ以上は非常にマズい!
漠然とした危機感が、僕を無性に急き立てる。
これ以上舐め回されたら、とんでもない事になってしまいそうな気がする!
ドクンドクンと嫌にうるさい心臓の音が、明確に僕に警鐘を鳴らしている。
今更ながらに感じる焦燥に、僕は思わず音を上げそうになる。
「あ、アルベリーニ卿っ!も、それ以上はっ」
また泣きそうになる僕の顔を見たアルベリーニ卿は、整った綺麗な顔でニッコリと微笑んだ。
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