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第1章
26話 もう寝たいんだが
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「どうでもいいだろうそんな事。それより…どうしたんだ、こんな夜分に。」
「いや、せっかくのお泊りなんだし、遊びに来た。」
「いや、寝ろよもう。」
「えー!勿体ないじゃん。パジャマパーティーしようぜ。ボードゲームとか無いの?」
カイトはキョロキョロと僕の部屋を見回す。
が、特に遊べそうな物は見つけられず、ちぇっ、と口を尖らせる。
そして、部屋の主の僕の許可も無く、勝手にベッドに飛び込んだ。
「おい、乗るな!」
「えーいいじゃんー!広いんだしー。もっと喋ろうよー、学院じゃゆっくり話せないんだし。」
いやいや、昼間充分話しただろう。
僕はもう寝たいんだが。
嫌がる僕の腕をカイトは強引に引っ張る。
「ぶっ」
やっぱりコイツは力が強い。
本当に加減を知らないな。
無理矢理ベッドに引っ張り込まれた僕は、ギロリとカイトを睨んでやったが。
当の本人はどこ吹く風だ。
それどころが嬉しそうにニコニコしている。
「今日は本当にありがと。久々に羽を伸ばせたよ。」
「……そうか。」
「フフッ……そうやって面倒くさがりながらも、優しいよねシリルは。僕が救世の巫子って事を置いといても、さ。」
「……」
そんな事は無い。お前が救世の巫子でなければ、こんな我儘赦しはしないが?
言ってやろうか迷っている僕に、カイトは続けた。
「他の皆ももちろん優しいんだけどね。シリルが一番話しやすいからさ。」
「何で?」
僕はお前には極力冷たくあしらっている自覚があるのだが。
ま、そんな態度でも大丈夫そうだと踏んで、僕もそうしているのだが。
「他の皆はどうしても…救世の巫子の救いを求めているでしょう?だから、どうしても恩人に対する親切って感じで……。本当の意味での友人関係になるのは難しいからね。でも、シリルはそんな事無いからさ。対等に話せるって言うか。」
あ、でも、俺の力が必要なら遠慮なく言ってよ?とカイトは付け加える。
「皆が巫子様巫子様って言って来る中、シリルは知らん顔してるもんなぁ。」
(それは、お前と関わり合いたく無かったからな…)
言えば落胆されそうで、僕は口には出さずにいたが。
「それに、シリルは似てるんだ。俺の元の世界の友人に。」
もちろん見た目は全然違うけれど、人付き合いが苦手な所とか雰囲気が似ているんだ、俺の友人に。
だから、放っておけなかった。
本当は嫌なんだろうって事は、分かってたんだけど。
でも、シリルと話せて楽しいんだよ。
この世界でもやっていけそうだって、思えたんだ。
そう、カイトは照れくさそうに言った。
お前の世界にも、僕の様に人付き合いの悪い奴がいるのか。
コイツがいつも明るくニコニコしてるから、何か想像がつかなかった。
「だから、シリルには感謝してるんだよ。いつもありがと。」
「そうか…。」
いつも明るいから。
楽しそうに笑ってるから。
カイトが本当は不安で心細い思いをしていた事を彼と関わるまで知らなかった。
だから、前に我慢の限界で、僕をあの空き教室に引っ張り込んだりしたのだろう。
そうして二人で喋っていると、部屋の外が俄かに騒がしくなっていた。
「どうなされたのか心配なんだ。」
「大丈夫ですよ、ただシリル様にお喋りに出向かれただけでいらっしゃいますから。」
「じゃあじゃあ、ロティーもお喋りするぅー!」
扉の向こうにシャーロット達がいる?
「いや、せっかくのお泊りなんだし、遊びに来た。」
「いや、寝ろよもう。」
「えー!勿体ないじゃん。パジャマパーティーしようぜ。ボードゲームとか無いの?」
カイトはキョロキョロと僕の部屋を見回す。
が、特に遊べそうな物は見つけられず、ちぇっ、と口を尖らせる。
そして、部屋の主の僕の許可も無く、勝手にベッドに飛び込んだ。
「おい、乗るな!」
「えーいいじゃんー!広いんだしー。もっと喋ろうよー、学院じゃゆっくり話せないんだし。」
いやいや、昼間充分話しただろう。
僕はもう寝たいんだが。
嫌がる僕の腕をカイトは強引に引っ張る。
「ぶっ」
やっぱりコイツは力が強い。
本当に加減を知らないな。
無理矢理ベッドに引っ張り込まれた僕は、ギロリとカイトを睨んでやったが。
当の本人はどこ吹く風だ。
それどころが嬉しそうにニコニコしている。
「今日は本当にありがと。久々に羽を伸ばせたよ。」
「……そうか。」
「フフッ……そうやって面倒くさがりながらも、優しいよねシリルは。僕が救世の巫子って事を置いといても、さ。」
「……」
そんな事は無い。お前が救世の巫子でなければ、こんな我儘赦しはしないが?
言ってやろうか迷っている僕に、カイトは続けた。
「他の皆ももちろん優しいんだけどね。シリルが一番話しやすいからさ。」
「何で?」
僕はお前には極力冷たくあしらっている自覚があるのだが。
ま、そんな態度でも大丈夫そうだと踏んで、僕もそうしているのだが。
「他の皆はどうしても…救世の巫子の救いを求めているでしょう?だから、どうしても恩人に対する親切って感じで……。本当の意味での友人関係になるのは難しいからね。でも、シリルはそんな事無いからさ。対等に話せるって言うか。」
あ、でも、俺の力が必要なら遠慮なく言ってよ?とカイトは付け加える。
「皆が巫子様巫子様って言って来る中、シリルは知らん顔してるもんなぁ。」
(それは、お前と関わり合いたく無かったからな…)
言えば落胆されそうで、僕は口には出さずにいたが。
「それに、シリルは似てるんだ。俺の元の世界の友人に。」
もちろん見た目は全然違うけれど、人付き合いが苦手な所とか雰囲気が似ているんだ、俺の友人に。
だから、放っておけなかった。
本当は嫌なんだろうって事は、分かってたんだけど。
でも、シリルと話せて楽しいんだよ。
この世界でもやっていけそうだって、思えたんだ。
そう、カイトは照れくさそうに言った。
お前の世界にも、僕の様に人付き合いの悪い奴がいるのか。
コイツがいつも明るくニコニコしてるから、何か想像がつかなかった。
「だから、シリルには感謝してるんだよ。いつもありがと。」
「そうか…。」
いつも明るいから。
楽しそうに笑ってるから。
カイトが本当は不安で心細い思いをしていた事を彼と関わるまで知らなかった。
だから、前に我慢の限界で、僕をあの空き教室に引っ張り込んだりしたのだろう。
そうして二人で喋っていると、部屋の外が俄かに騒がしくなっていた。
「どうなされたのか心配なんだ。」
「大丈夫ですよ、ただシリル様にお喋りに出向かれただけでいらっしゃいますから。」
「じゃあじゃあ、ロティーもお喋りするぅー!」
扉の向こうにシャーロット達がいる?
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