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第1章

15話 安易な約束

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「好きも何も…。そりゃあ、王太子として何でも完璧にこなされているし、いつも誰にでも優しい人格者だし。これ以上ない素晴らしい人物だろう。一人の国民として尊敬申し上げている。だからって、お前の言う様な好きという感情は無い……かな。それに、多分僕は…警戒されてる。」
「へ?は?何で??」

意味が分からなーい!と声を上げるカイトに呆れながら、僕は答えた。

「さっき廊下でお前と一緒に居た際にお会いした時だけど、去り際に僕にフッと冷ややかな視線を送られた。殿下からすれば、お前を好きかどうかはともかく、好意を持ち掛けているだろうに、そのお前の隣で僕が一緒に戯れていたんだ。殿下からすれば面白くないんだろう。」
「えぇ……えぇ……」

僕の返答に、カイトはただただ戸惑っていた。
その戸惑い方、カレンとそっくりだな。
そんな事を僕が思っていると。

「だ、大丈夫!シリルの事は俺が守るから!」
「どうやって?」
「う、う~ん?殿下に事情を話して?とか?」

自信なく言うカイトに、僕は何度目かになる溜息をついた。

「あのなぁ…。それじゃあ逆効果だぞ。僕が殿下の立場だったら、相手の事が好きで自分から守ろうとしている様にしか見えない。そうしたら尚更、その相手の事が憎らしくなる筈だ。」

僕がそうであった様に……ね。

「だから、人目がある所では極力会わない様にしよう。会うとしても二人きりにならない状況でだ。どうしても相談したくなったらメモでも回してくれたら、此処で聞いてやるから。」

……それもバレたらとんでもない事になりそうだけどな…。
そうなった時は……そうなった時かな。

あまり考えたくなかった僕は、未来の問題は未来の僕に丸投げする事にした。

大きく溜息をつく僕の横で、カイトは声を抑えつつも不満をぶちまける様に叫んでいる。

「ホントもー、勘弁してくれ!俺にそのケは無いからな!!」

わかったかー!と。
……”そのケ”って何だ?
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