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第1章
14話 女の子が好きなんだって
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「だから、クリスちゃんを悲しませる様な事したくないんだ、俺!もし、どうしても殿下の事が好きになってしまった…とかなら、もしかしたら……争わざるを得ないかもしれないけれど……。でも俺は殿下の事、そういう意味で好きな訳じゃないし。」
カイトはそう言ったが、彼の事だ。
もし本当に王太子の事を好きになったとしても、クリスティーナ嬢を泣かす様な事はしない様な気がする。
それに。
「それに、俺は女の子が好きだ。むしろ恋仲になるならクリスちゃんがよかったぁ~~~~!!修羅場なんてヤダぁー!浮気するような殿下なんかほっといて、俺にしようよクリスちゃん~~~~!!」
おいおいと泣き喚くカイトに、やっぱりな。と僕はほとほと呆れ果てた。
なんて事だ。
こんな馬鹿馬鹿しい三角関係、付き合いたくはないぞ。
聞きたくはなかった。
まぁ、女好きのカイトにとって、顔がかなり整っていて人当たりも良く、何でも出来る完璧な王太子殿下は、同じ男として絶対に敵いそうにない相手だ。
その相手に好かれるとか、どんな悲喜劇だろうか。
「能力的にはどう足掻いても無理だから、救世の巫子の立場を使って手に入れるしかないな。」
僕が冷たく突き放す様にそう告げると、カイトは絶望を隠さなかった。
「そんなの本当の恋愛じゃないじゃん!ただの悪徳領主とかが貧しいけど可愛い女の子を権力使って手籠めにする様なモンじゃん!」
「あー確かに。」
「それじゃ意味ないんだよぉ~~~~!!」
「それが分かっているだけお前はまともで良かった。」
「何だよ、それどぉいう意味ぃ~?」
怒ったカイトにじろりと睨みつけられるが、子犬みたいにしょげたお前の睨みなぞ、なんの脅しにもならないぞ。
僕は可笑しくなって、思わず吹いてしまった。
「ぷっ…アハハ!褒めてるんだよ。救世の巫子のその立場を使えば、下手をすれば殿下も、国王陛下ですら手駒に使えるかもしれないのに、そんな事はしないお前の事を。」
「俺別に、世界征服とか酒池肉林とかしたい訳じゃないし。」
「じゃあ、何がしたいんだ?」
「だから~、俺は出来るだけ皆に笑って欲しい。全員を幸せになんて出来ないけど、俺の力で皆が笑顔になってくれるなら、俺がここに来た意味があるから。でも、皆幸せになって、俺の力が必要なくなったら……元の世界に帰りたい。」
気になる漫画やアニメの撮り貯めがさぁ~。と、僕にはよく分からない事をカイトは言っていた。
ただ、カイトは帰りたいんだな……元居た自分の所に。
僕は……どうだろうか。
シルヴィアに戻ったとしたら、やり直せたとしたら、どうするだろうか。
未来を変える?
王太子を奪い返す?
……いや、どちらもしないだろう。
卒業パーティーでの大勢の前での断罪と婚約破棄は、願わくばお断りしたいところだが。
するにしても、個室に呼び出すなり、もう少し配慮が欲しい。
そのくらいはしてもらえる存在でありたい。
そう、願うくらいだろう。
僕が思考の海に沈んでいると、隣でパッと顔を上げたカイトが尋ねてきた。
「そう言えばさ、シリルはどうなの?ユリウス殿下の事。」
「……え?」
急に訊かれて完全に意識の外にいた僕は、目を丸めてカイトに訊き返した。
「だからぁ~殿下の事だよ?どう思ってる?実は好きだったりとか…するの?」
おい、その困った様な瞳で見上げて来るな。
お前、今さっき、王太子の事は恋愛的な意味で好きではないって言ったじゃないか。
それに……。
カイトはそう言ったが、彼の事だ。
もし本当に王太子の事を好きになったとしても、クリスティーナ嬢を泣かす様な事はしない様な気がする。
それに。
「それに、俺は女の子が好きだ。むしろ恋仲になるならクリスちゃんがよかったぁ~~~~!!修羅場なんてヤダぁー!浮気するような殿下なんかほっといて、俺にしようよクリスちゃん~~~~!!」
おいおいと泣き喚くカイトに、やっぱりな。と僕はほとほと呆れ果てた。
なんて事だ。
こんな馬鹿馬鹿しい三角関係、付き合いたくはないぞ。
聞きたくはなかった。
まぁ、女好きのカイトにとって、顔がかなり整っていて人当たりも良く、何でも出来る完璧な王太子殿下は、同じ男として絶対に敵いそうにない相手だ。
その相手に好かれるとか、どんな悲喜劇だろうか。
「能力的にはどう足掻いても無理だから、救世の巫子の立場を使って手に入れるしかないな。」
僕が冷たく突き放す様にそう告げると、カイトは絶望を隠さなかった。
「そんなの本当の恋愛じゃないじゃん!ただの悪徳領主とかが貧しいけど可愛い女の子を権力使って手籠めにする様なモンじゃん!」
「あー確かに。」
「それじゃ意味ないんだよぉ~~~~!!」
「それが分かっているだけお前はまともで良かった。」
「何だよ、それどぉいう意味ぃ~?」
怒ったカイトにじろりと睨みつけられるが、子犬みたいにしょげたお前の睨みなぞ、なんの脅しにもならないぞ。
僕は可笑しくなって、思わず吹いてしまった。
「ぷっ…アハハ!褒めてるんだよ。救世の巫子のその立場を使えば、下手をすれば殿下も、国王陛下ですら手駒に使えるかもしれないのに、そんな事はしないお前の事を。」
「俺別に、世界征服とか酒池肉林とかしたい訳じゃないし。」
「じゃあ、何がしたいんだ?」
「だから~、俺は出来るだけ皆に笑って欲しい。全員を幸せになんて出来ないけど、俺の力で皆が笑顔になってくれるなら、俺がここに来た意味があるから。でも、皆幸せになって、俺の力が必要なくなったら……元の世界に帰りたい。」
気になる漫画やアニメの撮り貯めがさぁ~。と、僕にはよく分からない事をカイトは言っていた。
ただ、カイトは帰りたいんだな……元居た自分の所に。
僕は……どうだろうか。
シルヴィアに戻ったとしたら、やり直せたとしたら、どうするだろうか。
未来を変える?
王太子を奪い返す?
……いや、どちらもしないだろう。
卒業パーティーでの大勢の前での断罪と婚約破棄は、願わくばお断りしたいところだが。
するにしても、個室に呼び出すなり、もう少し配慮が欲しい。
そのくらいはしてもらえる存在でありたい。
そう、願うくらいだろう。
僕が思考の海に沈んでいると、隣でパッと顔を上げたカイトが尋ねてきた。
「そう言えばさ、シリルはどうなの?ユリウス殿下の事。」
「……え?」
急に訊かれて完全に意識の外にいた僕は、目を丸めてカイトに訊き返した。
「だからぁ~殿下の事だよ?どう思ってる?実は好きだったりとか…するの?」
おい、その困った様な瞳で見上げて来るな。
お前、今さっき、王太子の事は恋愛的な意味で好きではないって言ったじゃないか。
それに……。
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