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第1章
13話 内緒の相談
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「し、シリルから見て、ユリウス殿下の事、どう見える?!」
そう問われて、僕はつい先程のカイトと王太子の話していた態度を思い出した。
「ん…?どうって……あー…好きなんじゃないか?お前の事。」
「うぇぇ……マジかぁ…」
僕の嘘偽りない正直な感想に、カイトは絶望した様に頭を抱えた。
「そう言えば、前にも言っていたな?殿下がお前を好きかもしれないって…」
「うん……。いや、あの王子様さ、誰にでも物腰柔らかで優しいし…」
(…前世では衆人環視の中で婚約破棄してきたけどな。)
「俺が救世の巫子ってのもあって、尚更気ぃ遣ってくれてんだろうな……とは思うんだけど。」
(まぁ、それは大いにあるな。)
「でも、俺……殿下の事、嫌いじゃねぇけど、好きにはなれねぇよ…恋愛的な意味で。」
「ふーん?」
涼しい顔で返事をする僕に、カイトは縋りつく様な目で見て来る。
「そんなつれない言い方しないで?!」
「じゃあ僕にどうしろと?」
「うぅ……。取り敢えず相談乗ってくれ。」
「役に立てるかはわからんが、話は聞いてやる。」
何故かふんぞり返った態度で言い返してやると、それでもカイトは嬉しそうに顔を上げた。
「あ、ありがとー!……もー俺どうしたらいいか、さ。」
「なんだ。殿下に告白でもされたのか?」
「いや、そんなんはないよ。ただこう、雰囲気が妙にあま~くなる時があるっていうか。そんなオーラを感じんだよぉ。」
「なんだそれは。」
意味が分からん。
「雰囲気だけなら、ただの勘違いもありえるんじゃないか?」
「そうだと思って放置してたんだけど、最近やたらスキンシップが激しい気がするんだよ……」
力なく項垂れるカイトに、今の自分の顔を見られなくて良かった。
僕はこの瞬間、心底そう思った。
だって、シルヴィアの時には、手を繋ぐくらいしかしなかった。
あっても手の甲にキスを贈られるくらい。
それだけで感激して舞い上がってしまっていたのに。
きっとカイトはそれ以上の接触を受けているんだろう。
シルヴィアは公爵令嬢だ。
婚姻前の令嬢にむやみやたらに気安く触るなど、その方が令嬢に、婚約者に対して大事にしていない事になってしまう。
だから、最低限の接触しかしてこなかった。
でもきっとカイトには……。
もしかしたら、カレンにも……そうだったのかな?
そう考えると、腹が立って仕方なかった。
シルヴィアの惨めさを怒りに変えて、僕は吐き捨てる様に口にした。
「……婚約者がいる癖に。」
恐らく、憎しみすら篭ってしまった声をしていたのだろう。
カイトは顔を上げて驚いていたが、やがて僕に同意とばかりに頷いた。
「……うん、うん、そう!そうなんだよっ!殿下にはクリスちゃんがいる筈だろ?!」
…お前、またその言い方…と思ったが、面倒なのでスルーしてやった。
「そりゃあさ!子供の頃に親に勝手に将来の相手を決められて、自由に恋愛出来ないのは…正直気の毒だと思うぜ?」
カイトらしいその言葉に。
全く悪意が無いのは充分に分かっているのだが。
僕は、心臓がチクリと痛んだ。
「でも、それはクリスちゃんも同じじゃん!小さい時から王妃教育を頑張って、辛くて辛くて何度もやめたくなったけど、殿下と一緒にこの国を支えていきたいから、彼の為だと思えば頑張れたって……クリスちゃん、言ってたもん。」
“きっと、シルヴィアちゃんだって……。”と、そう呟いたカイトの声は、その時の僕には聞き取れなかったが。
そう問われて、僕はつい先程のカイトと王太子の話していた態度を思い出した。
「ん…?どうって……あー…好きなんじゃないか?お前の事。」
「うぇぇ……マジかぁ…」
僕の嘘偽りない正直な感想に、カイトは絶望した様に頭を抱えた。
「そう言えば、前にも言っていたな?殿下がお前を好きかもしれないって…」
「うん……。いや、あの王子様さ、誰にでも物腰柔らかで優しいし…」
(…前世では衆人環視の中で婚約破棄してきたけどな。)
「俺が救世の巫子ってのもあって、尚更気ぃ遣ってくれてんだろうな……とは思うんだけど。」
(まぁ、それは大いにあるな。)
「でも、俺……殿下の事、嫌いじゃねぇけど、好きにはなれねぇよ…恋愛的な意味で。」
「ふーん?」
涼しい顔で返事をする僕に、カイトは縋りつく様な目で見て来る。
「そんなつれない言い方しないで?!」
「じゃあ僕にどうしろと?」
「うぅ……。取り敢えず相談乗ってくれ。」
「役に立てるかはわからんが、話は聞いてやる。」
何故かふんぞり返った態度で言い返してやると、それでもカイトは嬉しそうに顔を上げた。
「あ、ありがとー!……もー俺どうしたらいいか、さ。」
「なんだ。殿下に告白でもされたのか?」
「いや、そんなんはないよ。ただこう、雰囲気が妙にあま~くなる時があるっていうか。そんなオーラを感じんだよぉ。」
「なんだそれは。」
意味が分からん。
「雰囲気だけなら、ただの勘違いもありえるんじゃないか?」
「そうだと思って放置してたんだけど、最近やたらスキンシップが激しい気がするんだよ……」
力なく項垂れるカイトに、今の自分の顔を見られなくて良かった。
僕はこの瞬間、心底そう思った。
だって、シルヴィアの時には、手を繋ぐくらいしかしなかった。
あっても手の甲にキスを贈られるくらい。
それだけで感激して舞い上がってしまっていたのに。
きっとカイトはそれ以上の接触を受けているんだろう。
シルヴィアは公爵令嬢だ。
婚姻前の令嬢にむやみやたらに気安く触るなど、その方が令嬢に、婚約者に対して大事にしていない事になってしまう。
だから、最低限の接触しかしてこなかった。
でもきっとカイトには……。
もしかしたら、カレンにも……そうだったのかな?
そう考えると、腹が立って仕方なかった。
シルヴィアの惨めさを怒りに変えて、僕は吐き捨てる様に口にした。
「……婚約者がいる癖に。」
恐らく、憎しみすら篭ってしまった声をしていたのだろう。
カイトは顔を上げて驚いていたが、やがて僕に同意とばかりに頷いた。
「……うん、うん、そう!そうなんだよっ!殿下にはクリスちゃんがいる筈だろ?!」
…お前、またその言い方…と思ったが、面倒なのでスルーしてやった。
「そりゃあさ!子供の頃に親に勝手に将来の相手を決められて、自由に恋愛出来ないのは…正直気の毒だと思うぜ?」
カイトらしいその言葉に。
全く悪意が無いのは充分に分かっているのだが。
僕は、心臓がチクリと痛んだ。
「でも、それはクリスちゃんも同じじゃん!小さい時から王妃教育を頑張って、辛くて辛くて何度もやめたくなったけど、殿下と一緒にこの国を支えていきたいから、彼の為だと思えば頑張れたって……クリスちゃん、言ってたもん。」
“きっと、シルヴィアちゃんだって……。”と、そう呟いたカイトの声は、その時の僕には聞き取れなかったが。
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