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第1章
2話 学院
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エウリルス王立学院。
14~16歳迄の有力貴族やかなり富裕層の子女が通う学院だ。
この国の貴族令息令嬢としての教養・歴史・礼儀作法等を養う為だ。
それ以外にももちろん、文学や算学等の学術も修得する。
それが普通科で、そこを経て成人となるのだ。
特に後継ぎとなる男子が多く在籍していた。
女子も若干名いるが、教育に熱心な家以外は、女子は通わせない家も未だに少なくない。
それより花嫁修業も兼ねて、王宮等に侍女見習いとして働かせる場合も多い様だ。
ともあれ、この学院は社交界で一人前の大人になる為の学びの場でもある。
卒業パーティーのしばらく後、女性はデビュタントが行われる。
此処で多くが卒業し、特に後継ぎの男子は領地へ帰り、各地の地元に合った領地経営等を学んでいく者がほとんどだが。
16歳迄の普通科から高等専門学科(専学科)へ進学する者も若干名いる。
より専門研究に特化した内容を学ぶ為で、18歳で卒業となる。
因みに王太子は専学科に在籍しており、彼の方もまた、今年目出度くご卒業となられるのだ。
因みに。
昔は魔術を使える者がそれなりにいた為、王立魔術学院と称されていたが、その使える力も徐々に弱まり、今ではポッと火を灯せたり、水滴を生み出せる程度の者しか出て来なくなった。
その為、今ではただの学問を究める学校でしかなくなってしまったのだ。
それでも、昔の名残で未だに魔術研究をする者や、魔術同好会を開いて少ない魔術をその魔力や知識で残していこうとする物好きも少数ながらいる。
かく言う僕もその一人だ。
人付き合いは最悪クラスに悪いが、魔術関連の本を読み漁ったり、魔術同好会にはたまに顔を出している。
……成果はまぁ、言わずもがな、だが。
「はぁ、くだらない。」
「何がです?」
学院へ向かう馬車の中で思わず呟いた僕は、向かいに座る従者に首を傾げられた。
「いや。こうして毎日真面目に通って、本も読み漁ったりしたのに、相変わらず魔術の才能はからっきしだな……と思って。」
その昔、学院がその名を冠していた肝心の、魔術がほぼ使えない。
自身の才能の無さに呆れるしかない。
「えー、シリル様は綺麗な氷結を出せるじゃないですかぁ。それだけでも充分に凄い事です。それで言ったら俺の方こそふわっとしたそよ風くらいしか出せないですし。」
「テオドール、君は例え魔術が無くとも剣術があるだろう?」
「そのお陰で貴方の従者になれたんですしね。」
「まぁ、それは僕が大人になるまでの箔付けって事で、適当にやってくれればいいさ。」
そう言ってフッと自嘲気味に嗤う僕に対し、テオは不満げな顔を隠さない。
「だから、貴方が卒業したら本格的に従者として就くんですから!そんな突き放す様な言い方しないで下さいよって、いつも…っ」
「あぁ、着いたぞ。それではまた帰りにな。」
「え、あ、ちょっとシリル様っ!」
まだ何か言いたそうにしているテオに、話はこれまでだ。とばかりに切って馬車を降り、僕はいつもの校舎へと歩いて行く。
「本当に無事卒業出来たら…いいんだけどな。」
14~16歳迄の有力貴族やかなり富裕層の子女が通う学院だ。
この国の貴族令息令嬢としての教養・歴史・礼儀作法等を養う為だ。
それ以外にももちろん、文学や算学等の学術も修得する。
それが普通科で、そこを経て成人となるのだ。
特に後継ぎとなる男子が多く在籍していた。
女子も若干名いるが、教育に熱心な家以外は、女子は通わせない家も未だに少なくない。
それより花嫁修業も兼ねて、王宮等に侍女見習いとして働かせる場合も多い様だ。
ともあれ、この学院は社交界で一人前の大人になる為の学びの場でもある。
卒業パーティーのしばらく後、女性はデビュタントが行われる。
此処で多くが卒業し、特に後継ぎの男子は領地へ帰り、各地の地元に合った領地経営等を学んでいく者がほとんどだが。
16歳迄の普通科から高等専門学科(専学科)へ進学する者も若干名いる。
より専門研究に特化した内容を学ぶ為で、18歳で卒業となる。
因みに王太子は専学科に在籍しており、彼の方もまた、今年目出度くご卒業となられるのだ。
因みに。
昔は魔術を使える者がそれなりにいた為、王立魔術学院と称されていたが、その使える力も徐々に弱まり、今ではポッと火を灯せたり、水滴を生み出せる程度の者しか出て来なくなった。
その為、今ではただの学問を究める学校でしかなくなってしまったのだ。
それでも、昔の名残で未だに魔術研究をする者や、魔術同好会を開いて少ない魔術をその魔力や知識で残していこうとする物好きも少数ながらいる。
かく言う僕もその一人だ。
人付き合いは最悪クラスに悪いが、魔術関連の本を読み漁ったり、魔術同好会にはたまに顔を出している。
……成果はまぁ、言わずもがな、だが。
「はぁ、くだらない。」
「何がです?」
学院へ向かう馬車の中で思わず呟いた僕は、向かいに座る従者に首を傾げられた。
「いや。こうして毎日真面目に通って、本も読み漁ったりしたのに、相変わらず魔術の才能はからっきしだな……と思って。」
その昔、学院がその名を冠していた肝心の、魔術がほぼ使えない。
自身の才能の無さに呆れるしかない。
「えー、シリル様は綺麗な氷結を出せるじゃないですかぁ。それだけでも充分に凄い事です。それで言ったら俺の方こそふわっとしたそよ風くらいしか出せないですし。」
「テオドール、君は例え魔術が無くとも剣術があるだろう?」
「そのお陰で貴方の従者になれたんですしね。」
「まぁ、それは僕が大人になるまでの箔付けって事で、適当にやってくれればいいさ。」
そう言ってフッと自嘲気味に嗤う僕に対し、テオは不満げな顔を隠さない。
「だから、貴方が卒業したら本格的に従者として就くんですから!そんな突き放す様な言い方しないで下さいよって、いつも…っ」
「あぁ、着いたぞ。それではまた帰りにな。」
「え、あ、ちょっとシリル様っ!」
まだ何か言いたそうにしているテオに、話はこれまでだ。とばかりに切って馬車を降り、僕はいつもの校舎へと歩いて行く。
「本当に無事卒業出来たら…いいんだけどな。」
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