転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球

文字の大きさ
65 / 85
【第六章】ヒロイン、覚醒。そして暴走

65 “ヒロイン”、覚醒。そして暴走――その先へ

しおりを挟む
こうして、リリィとの戦いに決着をつけた私は、アレクシスとの婚約を強化しながら学園生活を続けている。見渡すと、周囲には穏やかな笑顔が増え、かつてのような陰険な視線は感じられない。
ただ、手紙の一件や派閥の動きなど、まだ“闇”が完全に晴れたわけではない。王都ではリリィへの処分が進行しており、彼女が禁術に手を染めた理由を追及されているが、真相すべてを説明できるのは私だけかもしれない。しかし、それを表に出せば私も“転生者”として疑われかねない。

(いつか、アレクシスには真実を打ち明ける時が来るだろう。でも、それは今じゃない。私は彼との時間を育てながら、自分をもっと強くしていきたいの)

悪役令嬢から、王子の婚約者へ。何も知らずに過ごしていた前世の私なら想像もできない道だが、ここまで進んできたのだから、もっと遠くへ行けるはず――そう信じる。
リリィという絶対的な“ヒロイン”がいなくなった今、私も、アレクシスも、そして学園も、新しい未来へ向けて大きく動き始めている。

ひょっとしたら、リリィの内面には、まだ未知の“暴走”に繋がる鍵が残っているかもしれない。あるいは、王宮の闇が再び私たちに牙を剥くこともあるかもしれない。
それでも、私はこの世界で生きる覚悟を決めた。クールに無関心だった自分はもういない。転生して得た第二の人生は、たとえ“悪役”と言われようが、私が自分で選んで歩むのだから。

(リリィ、あなたがいなくても、私は自分のシナリオを壊すわけにはいかない。これからも私はアレクシスと一緒に道を切り開く。それがあなたを超えて、自分を確立する道……)

そんな決意を胸に、私は放課後の学園を歩く。ノエルが少し後ろをついてきて、「セレナ様、今日は殿下はご一緒ですか?」と尋ねてくる。
「ううん、王都の公務で忙しいみたい。私は私で、自分の勉強を続けるわ。……まだまだ、ここで学ぶことがたくさんあるの」

意外かもしれないが、私は結構“勉強家”なのだ。転生前も真面目に学業をこなしていたし、この世界でも貴族の必須科目や魔法理論などに興味を持っている。いつかアレクシスの手助けをするためにも、知識を蓄えておきたい。
ノエルが「そうですね。ご無理のない範囲で」と微笑んでいる横を、私は意気揚々と図書館へ向かう。

悪役令嬢であろうと何であろうと、学びは自由だ。私が自分で選んだ道を進むため、まだやることは山ほどある。
――そして、この“第六章”が指し示すように、リリィがいなくなった今こそが本当の意味での“転”の始まり。ゲームのシナリオが崩れた世界で、私たちがどう立ち回り、何を築いていくのかは、まだ誰にも分からない。

王都の陰謀や、転生という謎が絡み合う中、私はヒロインだったリリィの“覚醒と暴走”を乗り越え、新しい物語を紡いでいく。
――悪役令嬢としてではなく、“公爵令嬢セレナ”として、そして“第一王子アレクシス”の最愛の婚約者として、世界を変えてみせるのだ。

(もし“修正力”があるなら、かかってきなさい。私はもう、二度と敗れない――)

軽く息を吐き、私は図書館の扉を開ける。そこには本の匂いと静寂が広がり、前世の私が好きだった“知識の宝庫”が今世でも変わらず待っていてくれる。
ここから、私の真の“物語”が始まるのだろう。リリィという“偽物の聖女”を超えた先で、私が手に入れるのは“偽物ではない”本当の未来。
第六章は、静かな幕引きとともに次章へ続いていく。リリィが去り、転生者がもう一人いるのかもしれない謎、そして私が王子との絆をどこまで深められるのか――物語は加速度的に動き出す。
だがもう迷わない。私は自分の道を自分で選んだからこそ、この世界で幸せを掴んでみせるのだ。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。 他小説サイトにも投稿しています。

悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?

いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。 「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」 「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」 冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。 あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。 ショックで熱をだし寝込むこと1週間。 目覚めると夫がなぜか豹変していて…!? 「君から話し掛けてくれないのか?」 「もう君が隣にいないのは考えられない」 無口不器用夫×優しい鈍感妻 すれ違いから始まる両片思いストーリー

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

牢で死ぬはずだった公爵令嬢

鈴元 香奈
恋愛
婚約していた王子に裏切られ無実の罪で牢に入れられてしまった公爵令嬢リーゼは、牢番に助け出されて見知らぬ男に託された。 表紙女性イラストはしろ様(SKIMA)、背景はくらうど職人様(イラストAC)、馬上の人物はシルエットACさんよりお借りしています。 小説家になろうさんにも投稿しています。

10回目の婚約破棄。もう飽きたので、今回は断罪される前に自分で自分を追放します。二度と探さないでください(フリではありません)

放浪人
恋愛
「もう、疲れました。貴方の顔も見たくありません」 公爵令嬢リーゼロッテは、婚約者である王太子アレクセイに処刑される人生を9回繰り返してきた。 迎えた10回目の人生。もう努力も愛想笑いも無駄だと悟った彼女は、断罪イベントの一ヶ月前に自ら姿を消すことを決意する。 王城の宝物庫から慰謝料(国宝)を頂き、書き置きを残して国外逃亡! 目指せ、安眠と自由のスローライフ! ――のはずだったのだが。 「『顔も見たくない』だと? つまり、直視できないほど私が好きだという照れ隠しか!」 「『探さないで』? 地の果てまで追いかけて抱きしめてほしいというフリだな!」 実は1周目からリーゼロッテを溺愛していた(が、コミュ障すぎて伝わっていなかった)アレクセイ王子は、彼女の拒絶を「愛の試練(かくれんぼ)」と超ポジティブに誤解! 国家権力と軍隊、そしてS級ダンジョンすら踏破するチート能力を総動員して、全力で追いかけてきた!? 物理で逃げる最強令嬢VS愛が重すぎる勘違い王子。 聖女もドラゴンも帝国も巻き込んだ、史上最大規模の「国境なき痴話喧嘩」が今、始まる! ※表紙はNano Bananaで作成しています

転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【だって、私はただのモブですから】 10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした―― ※他サイトでも投稿中

処理中です...