クロヴァンの探偵日記

高松 津狼

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第二章 東の市場編

第22話 再会

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依頼主さんがそう言うと、その前にはヤシューマさんがいた。
ヤシューマさんはすぐにこちらに気づくと、金具屋さんの階段から降りてきて私に話しかけた。

メラ「あら。スマウちゃんじゃない。心配してたのよ?。」
私「あ。すいません勝手に出ていちゃって...」

私は少し申し訳無さそうにしていると依頼主さんがヤシューマさんに話した。

依頼主さん「それにしても驚きました。メラ・ヤシューマさんとクロヴァンちゃんがタッグを組んでいるなんて...バイトンさん以来のペアですか?」
メラ「そうね。久しぶり...というより2回目?私がペアを組むのは珍しいからね。」

依頼主さんも知り合いだったのか。もしかしてメラ・ヤシューマさんは有名な人なのか?
それにしてもかなり軽い会話だったな...ただの知り合いではなさそうだけど...

依頼主さん「それでは私は、プノムクロムに戻ります。お元気でヤシューマさん。」
メラ「そっちも頑張るのよ~!」

ヤシューマさんがそう元気に返事をすると依頼主さんがその場を去った。
私は一息しようと少し地面に目線をやっていると、ヤシューマさんが屈んで突然私の顔を見つめてきた。

メラ「あなた相当疲れてるわね。目の下にクマができてるわよ。」
私「え!?うそっ!」

私は少し驚いたが、もう気力が飛んでおり空元気で反応したかのような変に抜けた声でそう返していた。
まだ昼前だというのに、相当疲れているのか...私は。
というかお腹も空いた...というか眠くもなってきた。どこか体調も優れない気がしてきた。

メラ「病気...?じゃないとは思うけど少し休んだらどうかしら。」

私はヤシューマさんに届けなければならないモノがあった。これを届けたらどこかで休まないと...

私「あの...ヤシューマさん。これお母さんがメラさんに向けて書いた手紙なんですけど。」
メラ「ん?あら。いつのかしら。」

そう言うと私が渡した手紙をその場で読み始めた。

メラ「え~と...なになに...うんうん。なるほどね。」

凄い...難しい単語がいっぱいあったのにすらすら読めている。物知りなのだろうかヤシューマさんは。

メラ「そうね。それでユーえ...えっと、黒い物体ってなかったかしら。それは私の持ってる特殊な装置に使えるものなの。」
私「これですか?」

私はポケットから黒い物体をヤシューマさんに手渡した。

メラ「ありがとう。そこの角にあるの私の家だから入っていいわよ。他の人がいるかもしれないけど、それは許してね。」
私「持ち家多くないですか!?す...凄い。」



なんか口が軽くなった気がする。おかしいなぁ~...自分の思ってることをすぐに口に出すような人じゃなかったはずなのに私。
私は恥ずかしくなって思わず自分の口を手で塞いだ...

メラ「っふふ。凄いでしょ~。」

よかった。結構失礼なこと言ったと思うのに、ヤシューマさんは受け流してくれた。

メラ「とりあえず、私はまだもう一仕事あるからまたあとでね。私の家にしばらくは泊まっていきなさい。」
メラ「衣食住は私が保証するから安心して。」
私「ぐぅ...(お腹の音)」

うっ...絶妙なタイミングでお腹の音がなってしまった。本当に申し訳ない...

メラ「そんな申し訳無さそうな顔しなくてもいいのよ。家に入ってリビングの方にテーブルがあるからそこにミートパイがあるからそれを食べてね。それじゃ」
私「あ、あの!」

私がお礼を言おうとするとヤシューマさんは、なにかを急いでいるように猛ダッシュで消えていった。

相変わらず、消える時は突然な人だ。
でもこんなに良くしてもらえるなんて..なんて素敵なんだ。いつかお礼しなきゃな...
さてと、これで一段落...かな。次はお母さんが言ってた黒い星についてだけど...どこにあるんだろう。これはミートパイを食べながらでもいいかな...

気づけば体はボロボロになっていた。3日連続で体力を削ったのもあるだろうが、もう歩く気力はなくなっていた。まだお昼ではあるがもう眠くて仕方がない。

私は角にある家の玄関を開けると、玄関で意識が朦朧としはじめた。なんとか足を運び寝室がありそうな奥の部屋まで行ってドアを開けると、私はその場に倒れ込んでしまった。
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