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第二章 東の市場編
第16話 宿の殺害事件 I
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仕方ない、ここは私の得意な状況整理を以て解決してみよう...
私はそう決意を固めて、304号室へ近づいた。
周囲の人は最初に発見した女性のことを疑っており、部屋の中にある死体についての情報を女性から聞いていた。
受付の人・女性A「私は、それでこのアップルパイを届けようと...」
男性B「そのアップルパイに毒とか入ってるんじゃないのか?」
男性A「さっきだって、受付するときに過剰なまだに人に話しかけていたじゃないか!」
私は話を遮るように304号室の前にいる女性A(受付の人)に話を聞いた。
私「すみません。詳しいお話を聞かせてもらえますか?」
女性A「え...あ。はい。」
女性A「私はこの宿の料理を運ぶ仕事もやっているのです。なのでこのアップルパイを届けようとこの部屋の前まで来て、いつもどおりお客様にドアをノックして呼びかけを行ったのですが...」
女性A「返事がなかったので、部屋に入ってアップルパイをお届けしようとしたところ死体があったのでそれ悲鳴を...」
男性A「そもそも普通部屋に入ってまで届けないだろ!」
男性B「そうだそうだ。普通はドア前横に置いておくだろう!」
そう野次が飛ぶと、女性Aはさらに萎縮した。
私「なるほど、状況は理解しました。これから部屋の中を見るのでそれであなたがやったかどうかはすぐに分かると思います。」
と私は返事をした。すると男性Bは
男性B「なるほど...?ということはすぐに分かる判断材料があるということですね?」
私は軽くうなずくと
男性たちは女性Aを咎めるのはやめた。
私はその人たちに念の為ドアは開けておくように指示した。
私は部屋の中に入る前にハンカチで口を覆い、念の為目の周りも覆うことが出来るメガネをポケットから出して装着した。
部屋の中に入ると布団の近くに転げ落ちた死体があった。
状況からして明らかになにかがあったのだけは分かる。
まずは死体の状況を調べてみよう。
まず一番に目が行ったのは口からキノコのように吹き出したアワである。
ここから激しい咳をして死んだ様子が分かる。つまるところ陸上で溺死したような感覚で窒息死したということだ。
目立った外傷はない...ということは殴打による殺害の路線はない...かな?
ただし、この状況で考えられるのは事件の路線。すなわち他人が意図的に殺した可能性があるということ。事故である可能性は低いだろう。
ポケットからは宿の鍵やなにかの名刺、お金が見えている。普段からいろいろなものをポケットにいれているんだな...
となるとさっき食べた食べ物が怪しい...?でもだとしたらなぜ私やその他の人たちが死んでないんだろうか?
と、なると毒物が使用された路線が一番有り得そうだ。
今はこの路線で考えることにしよう。
では、仮に使われた毒があるのだとしたら一体なんだろうか。もし気体であるならば、私がこの部屋に居続ければ曝露して死んでしまう可能性がある。
私はその危険性に気づいたが、状況を判断するのにはまだ情報が少ない。短い間に集められる情報を集めておこう。
私はこの部屋になにか原因があるのか調べてみた。
部屋の中には食べかけの食べ物がテーブルの上にある。内容は私が食べたものと同じものであるが...ここに毒が含まれているとするならば、恐らくは毒を盛った人物がいることになる。
が、推理小説であるまいし、こんなわかりやすい手法で殺すだろうか。
ヒ素が使われているのであれば、水銀を用いれば呈色反応が出るはず。ヒ素の路線であるならば、ヒ素の入手方法を知ってそうな人物は限られてくるので犯人の特定は容易になる。あとは犯人の動機を裏付けて片付けるだけだが・・・
もう一つの可能性を考えておこう。気体の毒が使われた可能性だ。
気体の毒であれば、この密閉された空間である場合、気体が充満してさえいれば確実に殺害が出来る。この路線の場合、水溶液や活性炭を用いなければならないためこの部屋のどこかに明確な証拠があるはずである。それに臭いも明確になるはず...しかし、木の匂いがするという点以外では変わった匂いは感じられない。この建物は木製なので木の匂いがすること自体はそれほど不思議じゃない。
が、これは検証が難しいが...あお剤という路線はアリ得るだろうか?希薄なあお剤であるならば、木材の匂いと似ていることから気づかれにくい。製法は極めて難しいものであると思われるが...
もし仮にそうであるならば犯人は相当に頭が賢いことになるが...ということはいわゆる『能力者』に該当するのでは...?であるならば、ヒョウタン人によってすでに殺されていそうなものなんだが...なにか特殊な条件があるならば、その路線も出来なくは...ないのかな?
他の可能性も考えてみよう。他人を殺害するのであれば、洗剤とクエン酸を混ぜた溶液を容器に入れるという手もありだろう。放っておけば塩素が充満するからだ。それに時間がある程度たったころに窓を外部から開ければバレない上、そっちのほうが容易に殺害が出来るからだ。それにある程度頭が悪くてもこれは誰でも出来るものであるから犯人を絞りにくい。が、犯人はそこまでしてこの人を殺害する理由があったのか...?
私は毒の情報について考えていたが、憶測の域を過ぎない。というより証拠が少なすぎて確定できなかった。そもそももっと情報が必要であると考えた私はふと目線を右にずらした。
するとそこには蓋のついた花瓶が見えた。
私の部屋には奥の細長いテーブルに花瓶が2つ置かれていたが、どうやらここには私の部屋より少し広いのか部屋の奥にあるキャビネットの横にある小さな物置の上に、花瓶が置かれていた。
私は花瓶が気になり、花瓶の中をみるとそこには...
蓋があった。
私は蓋を開けて花瓶の中身を確認すると、そこには水がなく真っ黒な物体が底の方にあった。
なるほど。これは活性炭だろう。
もしこれが使われたのであれば、塩素系の毒素を用いたことを示している。
つまり、犯人はいわゆる『能力者』である可能性が高いことになるが...
仮にそうなら犯人は絞れるはず。あとは動機の裏付けさえ取れれば特定は容易だ。
毒は塩素系の毒素ということであるならば、考えられるのは塩素ガス か あお剤だろう。
あお剤であるならば、トリホスゲンの入った容器に活性炭を入れれば容易に生成が可能である。恐らくこの路線で犯人を殺したのだろう。
ということは花瓶もこのホテルのものではない可能性が高い...のか?
いやこれに関しては判断が時期尚早かもしれない。もう少し聞き込み調査をしてみよう。そもそもこれは私の憶測をただ並べまくってるだけにすぎない。そもそも死んだ理由や犯人の動機がわからない以上、これ以上、殺害方法の詮索は無意味か...
これ以上、この場所にいると自分もガスもしくは毒に曝露してしまう可能性があるので、私は部屋を出ることにした。
にしても色々とおかしい...鍵は本人が持っているのにどうして殺害が可能だった?そもそもドアは最初から空いていたのだろうか?それだけではない...犯人の動機はなんなんだろうか。
でも、こんなことが簡単に出来るのはきっとこの宿のことをある程度よく知ってる人であることは確か。
それにガスで殺害していた場合、ある程度科学的な知識を持ち合わせていることになる。そんな犯人が尻尾を巻くことを考えていないわけがない。詮索の仕方を間違えれば...おそらく逃げられる。
「ところで誰が犯人なんですか!」
と、入り口前で考え込んでいた男性Bは私にそう聞いた。
私は状況的に女性Aが犯行を起こして殺害した可能性だけは低いと考えた。もちろん確定ではないが...
私「少なくともその女性が犯行を起こすには時間が足りない可能性がある。」
と私は伝えた。
男性B「なるほど。ってことは犯人は彼女以外ってことは確定したんですね?」
そう食い気味に聞いてきた。
私は
私「わかりません。可能性が低くなったとだけとしか言いようがないです。」
と言った。
すると男性Bは私に急に怒鳴りつけ、私を罵倒しはじめた。
--続く...-- 近いうちにリリースします
私はそう決意を固めて、304号室へ近づいた。
周囲の人は最初に発見した女性のことを疑っており、部屋の中にある死体についての情報を女性から聞いていた。
受付の人・女性A「私は、それでこのアップルパイを届けようと...」
男性B「そのアップルパイに毒とか入ってるんじゃないのか?」
男性A「さっきだって、受付するときに過剰なまだに人に話しかけていたじゃないか!」
私は話を遮るように304号室の前にいる女性A(受付の人)に話を聞いた。
私「すみません。詳しいお話を聞かせてもらえますか?」
女性A「え...あ。はい。」
女性A「私はこの宿の料理を運ぶ仕事もやっているのです。なのでこのアップルパイを届けようとこの部屋の前まで来て、いつもどおりお客様にドアをノックして呼びかけを行ったのですが...」
女性A「返事がなかったので、部屋に入ってアップルパイをお届けしようとしたところ死体があったのでそれ悲鳴を...」
男性A「そもそも普通部屋に入ってまで届けないだろ!」
男性B「そうだそうだ。普通はドア前横に置いておくだろう!」
そう野次が飛ぶと、女性Aはさらに萎縮した。
私「なるほど、状況は理解しました。これから部屋の中を見るのでそれであなたがやったかどうかはすぐに分かると思います。」
と私は返事をした。すると男性Bは
男性B「なるほど...?ということはすぐに分かる判断材料があるということですね?」
私は軽くうなずくと
男性たちは女性Aを咎めるのはやめた。
私はその人たちに念の為ドアは開けておくように指示した。
私は部屋の中に入る前にハンカチで口を覆い、念の為目の周りも覆うことが出来るメガネをポケットから出して装着した。
部屋の中に入ると布団の近くに転げ落ちた死体があった。
状況からして明らかになにかがあったのだけは分かる。
まずは死体の状況を調べてみよう。
まず一番に目が行ったのは口からキノコのように吹き出したアワである。
ここから激しい咳をして死んだ様子が分かる。つまるところ陸上で溺死したような感覚で窒息死したということだ。
目立った外傷はない...ということは殴打による殺害の路線はない...かな?
ただし、この状況で考えられるのは事件の路線。すなわち他人が意図的に殺した可能性があるということ。事故である可能性は低いだろう。
ポケットからは宿の鍵やなにかの名刺、お金が見えている。普段からいろいろなものをポケットにいれているんだな...
となるとさっき食べた食べ物が怪しい...?でもだとしたらなぜ私やその他の人たちが死んでないんだろうか?
と、なると毒物が使用された路線が一番有り得そうだ。
今はこの路線で考えることにしよう。
では、仮に使われた毒があるのだとしたら一体なんだろうか。もし気体であるならば、私がこの部屋に居続ければ曝露して死んでしまう可能性がある。
私はその危険性に気づいたが、状況を判断するのにはまだ情報が少ない。短い間に集められる情報を集めておこう。
私はこの部屋になにか原因があるのか調べてみた。
部屋の中には食べかけの食べ物がテーブルの上にある。内容は私が食べたものと同じものであるが...ここに毒が含まれているとするならば、恐らくは毒を盛った人物がいることになる。
が、推理小説であるまいし、こんなわかりやすい手法で殺すだろうか。
ヒ素が使われているのであれば、水銀を用いれば呈色反応が出るはず。ヒ素の路線であるならば、ヒ素の入手方法を知ってそうな人物は限られてくるので犯人の特定は容易になる。あとは犯人の動機を裏付けて片付けるだけだが・・・
もう一つの可能性を考えておこう。気体の毒が使われた可能性だ。
気体の毒であれば、この密閉された空間である場合、気体が充満してさえいれば確実に殺害が出来る。この路線の場合、水溶液や活性炭を用いなければならないためこの部屋のどこかに明確な証拠があるはずである。それに臭いも明確になるはず...しかし、木の匂いがするという点以外では変わった匂いは感じられない。この建物は木製なので木の匂いがすること自体はそれほど不思議じゃない。
が、これは検証が難しいが...あお剤という路線はアリ得るだろうか?希薄なあお剤であるならば、木材の匂いと似ていることから気づかれにくい。製法は極めて難しいものであると思われるが...
もし仮にそうであるならば犯人は相当に頭が賢いことになるが...ということはいわゆる『能力者』に該当するのでは...?であるならば、ヒョウタン人によってすでに殺されていそうなものなんだが...なにか特殊な条件があるならば、その路線も出来なくは...ないのかな?
他の可能性も考えてみよう。他人を殺害するのであれば、洗剤とクエン酸を混ぜた溶液を容器に入れるという手もありだろう。放っておけば塩素が充満するからだ。それに時間がある程度たったころに窓を外部から開ければバレない上、そっちのほうが容易に殺害が出来るからだ。それにある程度頭が悪くてもこれは誰でも出来るものであるから犯人を絞りにくい。が、犯人はそこまでしてこの人を殺害する理由があったのか...?
私は毒の情報について考えていたが、憶測の域を過ぎない。というより証拠が少なすぎて確定できなかった。そもそももっと情報が必要であると考えた私はふと目線を右にずらした。
するとそこには蓋のついた花瓶が見えた。
私の部屋には奥の細長いテーブルに花瓶が2つ置かれていたが、どうやらここには私の部屋より少し広いのか部屋の奥にあるキャビネットの横にある小さな物置の上に、花瓶が置かれていた。
私は花瓶が気になり、花瓶の中をみるとそこには...
蓋があった。
私は蓋を開けて花瓶の中身を確認すると、そこには水がなく真っ黒な物体が底の方にあった。
なるほど。これは活性炭だろう。
もしこれが使われたのであれば、塩素系の毒素を用いたことを示している。
つまり、犯人はいわゆる『能力者』である可能性が高いことになるが...
仮にそうなら犯人は絞れるはず。あとは動機の裏付けさえ取れれば特定は容易だ。
毒は塩素系の毒素ということであるならば、考えられるのは塩素ガス か あお剤だろう。
あお剤であるならば、トリホスゲンの入った容器に活性炭を入れれば容易に生成が可能である。恐らくこの路線で犯人を殺したのだろう。
ということは花瓶もこのホテルのものではない可能性が高い...のか?
いやこれに関しては判断が時期尚早かもしれない。もう少し聞き込み調査をしてみよう。そもそもこれは私の憶測をただ並べまくってるだけにすぎない。そもそも死んだ理由や犯人の動機がわからない以上、これ以上、殺害方法の詮索は無意味か...
これ以上、この場所にいると自分もガスもしくは毒に曝露してしまう可能性があるので、私は部屋を出ることにした。
にしても色々とおかしい...鍵は本人が持っているのにどうして殺害が可能だった?そもそもドアは最初から空いていたのだろうか?それだけではない...犯人の動機はなんなんだろうか。
でも、こんなことが簡単に出来るのはきっとこの宿のことをある程度よく知ってる人であることは確か。
それにガスで殺害していた場合、ある程度科学的な知識を持ち合わせていることになる。そんな犯人が尻尾を巻くことを考えていないわけがない。詮索の仕方を間違えれば...おそらく逃げられる。
「ところで誰が犯人なんですか!」
と、入り口前で考え込んでいた男性Bは私にそう聞いた。
私は状況的に女性Aが犯行を起こして殺害した可能性だけは低いと考えた。もちろん確定ではないが...
私「少なくともその女性が犯行を起こすには時間が足りない可能性がある。」
と私は伝えた。
男性B「なるほど。ってことは犯人は彼女以外ってことは確定したんですね?」
そう食い気味に聞いてきた。
私は
私「わかりません。可能性が低くなったとだけとしか言いようがないです。」
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