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第二章 東の市場編
第12話 商人の部屋
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私は感謝を伝えて、店を去ろうとすると商人Bが突然焦りはじめ私を引き留めた。
商人B「あぁ。それとお嬢ちゃん。既にヒョウタン帝国の巡回兵が外に出回ってるよ。しばらくは家の中にいなさい。」
商人B「この建物の2階の突き当りに、本棚の部屋がある。そこの本を読んであと3時間くらい潰してくれると助かるよ。」
私は少し都合のいいような気がするこの状況に違和感を抱きながらも、商人のおじさんにお礼を言うと、店の中の支払い所に入り、階段をかけて2階へ上がった。
2階へ上がるといくつか部屋があって、どれも余り使われていない様子だった。
本棚がある部屋を開けると、恐らく長い間誰も触れていなかったであろう本棚がたくさん並んでいた。
ホコリを被っていて、動く度にホコリを吸ってしまい咳き込んでしまった。
「ゲホッゲホッ...」
私は咳き込みながらも本棚にある本を探していると、ヒョウタン帝国研究会の本や青髪青年伝説の本などの本がたくさんならんでいた。どうやらあの人も個人的に情報を仕入れていたようだ。
ヒョウタン帝国研究会 膨樹自治区編
ヒョウタン帝国研究会 北緑樹動乱解説編
青髪青年伝説 第18章 失われた弐番弟子
青髪青年伝説 第21章 ダークマターとの対決
青髪青年伝説 第32章 深緑の疾駆
青髪青年伝説 第33章 深紅の支配者
まずは、ヒョウタン帝国の軍人が書いた資料であるヒョウタン帝国研究会の本を読むことにした。
いつも通り量は多いので、関係ありそうな目次や興味のある目次から情報を読み始めた。
2時間くらいかけて、くまなく情報を探したが帝国研究会の資料からは余り新しい情報は得られなかった。
膨樹自治区編の方では、特に目新しい情報はなかったが、唯一詳細が分かったことはメジュルヴァール(膨樹)では、メイサーク・アルテミスという人物が主導で銀河レベルの反乱を起こしたことが資料からはわかった。だからと言って今までの知識を深めるような内容ではなかったので、少しがっかりした。前に調べた情報から特に更新はなかったようだった。
一方で隣の世界の北緑樹に関しては本当に面白い記述を見つけた。
北緑樹では、我々の支配体制が揺るいでおり、緑樹人らが我々の巡回兵の言い分を聞かなかったり、巡回兵を組織的に殺したりなど、治安が異常に悪化している。これは膨樹自治区動乱前に非常に似ており、我々は近いうちになんらかの手立てを打たない限り、いずれは我々の支配体制下から脱却を図ると思われる。
と記述されていた。なにを理由に北緑樹に住まう人達が巡回兵を組織的に殺しているかはこの記述からはわからなかったものの、治安が以前に比べて異常に悪化しており、それはヒョウタン人が想定しているよりもずっと早く進んでいるようだ。もしかすると北緑樹に住まう人達は何らかの真実を知っている可能性があるかもしれない。
今回は帝国研究会の資料から得られる情報は非常に少なかったが、北緑樹に関する情報を知れたのはなんだかとても嬉しかった。
次に、私は私が子供の頃に読んだ絵本「青髪青年伝説」の物語版を読むことにした。
青髪青年伝説 第21章はもう既に読んだことがあるからわかるが、青髪青年伝説の中でも飛びぬけて面白い話だった。青髪青年伝説が、未知の生物・ダークマター族と対峙して、人々からその脅威を遠ざけるために戦うヒーローものの物語だ。
しかし第18章や第32章・第33章は初めてこの手で見ることになる。
まずは、第18章から読むことにした。失われた弐番弟子は、発行された数がとても少ないらしく巷では見られた人は幸運の持ち主だとか、人生の勝ち組だとか言われているらしい。
私はそんな本が目の前にあるものだからとても興奮して息遣いを荒くしながら本を読み入り、1時間くらいで読み上げてしまった。私は今すぐにでも日記を取り出して内容を出来るだけ書き留めたいところだったが、恐らくもうすぐで秘密の回廊を渡らなければいけなくなる、内容については忘れないうちにまたどこかで書き留めておくことにしよう。
因みに、失われた弐番弟子の話は要約するとこうだった。
『主人公の山羊 光には、10人の弟子がいたがそのうちの一人の名無しの人物が、「自分の故郷を守る」と言って山羊 光の下を去って、自分の故郷に蔓延はびこっている別の民族からの支配体制を転覆した』
という話だった。
その名無しの人物は、山羊 光の弟子の中では最も強いらしく、山羊 光の後継者になる予定だったとも書いてあった。見た目は白髪らしい。前髪は目が少し隠れる程度で、顔は好青年という感じらしい。そして、青磁色の剣を服の下に隠しており、いざとなった時はそれを抜き、戦闘を行う。
この本の記述から察するにかなり技量があった人物だったようだ。恐らくこの青髪青年伝説に続編があるのであれば、この名無しの人物についての物語が描かれるのだろう。そう思うとワクワクしてきた。
コンコン。
ドアのノックの音がした。
商人B「お嬢ちゃん。そろそろ時間だよ。」
私はドアを開けておじさんにお礼の言葉を言った。
私「短い間でしたが、お世話になりました。」
商人B「こちらこそ、わざわざ待ってくれてありがとう。秘密の回廊は地下2階にあるから、そこで秘密の石畳ひみつのいしだたみを踏んで欲しい。壁が急に開く仕組みになっているからその通路を歩き続ければいずれ、たどり着くはずだよ。」
私「教えて頂きありがとうございます。」
商人B「行ってらっしゃい。探偵さん。」
私「はい。行ってきます。」
私はそう返事を返して、階段を降りて午後5時前にその"秘密の回廊"を経由することにした。
商人B「あぁ。それとお嬢ちゃん。既にヒョウタン帝国の巡回兵が外に出回ってるよ。しばらくは家の中にいなさい。」
商人B「この建物の2階の突き当りに、本棚の部屋がある。そこの本を読んであと3時間くらい潰してくれると助かるよ。」
私は少し都合のいいような気がするこの状況に違和感を抱きながらも、商人のおじさんにお礼を言うと、店の中の支払い所に入り、階段をかけて2階へ上がった。
2階へ上がるといくつか部屋があって、どれも余り使われていない様子だった。
本棚がある部屋を開けると、恐らく長い間誰も触れていなかったであろう本棚がたくさん並んでいた。
ホコリを被っていて、動く度にホコリを吸ってしまい咳き込んでしまった。
「ゲホッゲホッ...」
私は咳き込みながらも本棚にある本を探していると、ヒョウタン帝国研究会の本や青髪青年伝説の本などの本がたくさんならんでいた。どうやらあの人も個人的に情報を仕入れていたようだ。
ヒョウタン帝国研究会 膨樹自治区編
ヒョウタン帝国研究会 北緑樹動乱解説編
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青髪青年伝説 第33章 深紅の支配者
まずは、ヒョウタン帝国の軍人が書いた資料であるヒョウタン帝国研究会の本を読むことにした。
いつも通り量は多いので、関係ありそうな目次や興味のある目次から情報を読み始めた。
2時間くらいかけて、くまなく情報を探したが帝国研究会の資料からは余り新しい情報は得られなかった。
膨樹自治区編の方では、特に目新しい情報はなかったが、唯一詳細が分かったことはメジュルヴァール(膨樹)では、メイサーク・アルテミスという人物が主導で銀河レベルの反乱を起こしたことが資料からはわかった。だからと言って今までの知識を深めるような内容ではなかったので、少しがっかりした。前に調べた情報から特に更新はなかったようだった。
一方で隣の世界の北緑樹に関しては本当に面白い記述を見つけた。
北緑樹では、我々の支配体制が揺るいでおり、緑樹人らが我々の巡回兵の言い分を聞かなかったり、巡回兵を組織的に殺したりなど、治安が異常に悪化している。これは膨樹自治区動乱前に非常に似ており、我々は近いうちになんらかの手立てを打たない限り、いずれは我々の支配体制下から脱却を図ると思われる。
と記述されていた。なにを理由に北緑樹に住まう人達が巡回兵を組織的に殺しているかはこの記述からはわからなかったものの、治安が以前に比べて異常に悪化しており、それはヒョウタン人が想定しているよりもずっと早く進んでいるようだ。もしかすると北緑樹に住まう人達は何らかの真実を知っている可能性があるかもしれない。
今回は帝国研究会の資料から得られる情報は非常に少なかったが、北緑樹に関する情報を知れたのはなんだかとても嬉しかった。
次に、私は私が子供の頃に読んだ絵本「青髪青年伝説」の物語版を読むことにした。
青髪青年伝説 第21章はもう既に読んだことがあるからわかるが、青髪青年伝説の中でも飛びぬけて面白い話だった。青髪青年伝説が、未知の生物・ダークマター族と対峙して、人々からその脅威を遠ざけるために戦うヒーローものの物語だ。
しかし第18章や第32章・第33章は初めてこの手で見ることになる。
まずは、第18章から読むことにした。失われた弐番弟子は、発行された数がとても少ないらしく巷では見られた人は幸運の持ち主だとか、人生の勝ち組だとか言われているらしい。
私はそんな本が目の前にあるものだからとても興奮して息遣いを荒くしながら本を読み入り、1時間くらいで読み上げてしまった。私は今すぐにでも日記を取り出して内容を出来るだけ書き留めたいところだったが、恐らくもうすぐで秘密の回廊を渡らなければいけなくなる、内容については忘れないうちにまたどこかで書き留めておくことにしよう。
因みに、失われた弐番弟子の話は要約するとこうだった。
『主人公の山羊 光には、10人の弟子がいたがそのうちの一人の名無しの人物が、「自分の故郷を守る」と言って山羊 光の下を去って、自分の故郷に蔓延はびこっている別の民族からの支配体制を転覆した』
という話だった。
その名無しの人物は、山羊 光の弟子の中では最も強いらしく、山羊 光の後継者になる予定だったとも書いてあった。見た目は白髪らしい。前髪は目が少し隠れる程度で、顔は好青年という感じらしい。そして、青磁色の剣を服の下に隠しており、いざとなった時はそれを抜き、戦闘を行う。
この本の記述から察するにかなり技量があった人物だったようだ。恐らくこの青髪青年伝説に続編があるのであれば、この名無しの人物についての物語が描かれるのだろう。そう思うとワクワクしてきた。
コンコン。
ドアのノックの音がした。
商人B「お嬢ちゃん。そろそろ時間だよ。」
私はドアを開けておじさんにお礼の言葉を言った。
私「短い間でしたが、お世話になりました。」
商人B「こちらこそ、わざわざ待ってくれてありがとう。秘密の回廊は地下2階にあるから、そこで秘密の石畳ひみつのいしだたみを踏んで欲しい。壁が急に開く仕組みになっているからその通路を歩き続ければいずれ、たどり着くはずだよ。」
私「教えて頂きありがとうございます。」
商人B「行ってらっしゃい。探偵さん。」
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