クロヴァンの探偵日記

第二章 東の市場編

第11話 東の市場へ行くための足掛かり

私は深呼吸をして再び体を上げて、建物合間の小道を出てるとすぐ右側には大きなゲートがあった。

『ようこそ。プノムバイトンへ。』

とゲートには書いてあった。
そして少し目線を横にずらすと大きな建物と街並みが見えた。

｢わぁー...!なんて凄い街並みなんだ。｣

あれがプノムバイトンの街の中心だ。
大きな建物とその周辺の街並みは、暖かな人の気配と賑やかな雰囲気が離れていても伝わってくる。さっきの郊外に続く道を歩いていた景色とは全く様相が異なり、その街並みは華やかだった。本当にただただ美しい街並みが広がっていた。

「なんて美しいんだろう...」

私は少しの間、その美しい街並みに感銘を受けて、立ち止まっていた。

「あ...調査しないと...。」

見惚れている暇はない。私の母が残してくれたなにかを探るためには、早くヘンデンバイトンの東の市場へ渡らなければいけない。私は心に覚悟を決め、『ようこそ。プノムバイトンへ』と書いてあるゲートの内側に足を踏み入れた。


---プノムバイトンの街の中心---


ゲートを少し進むと、建物高さが高い商店が、立ち並んでいた。道は常に人で溢れていて、時々人が詰まっているような感じにすらなっていた。
そんな混んでいる道を進んで行くと、T字路に着いた。右側に曲がるか、左側に曲がるか迷ったが、まずはあの大きな建物がある右側の通路へ行くことにした。
右側の通路を少し行くと、少し大きめの広間へ出た。真ん中には噴水があり、その周りにはその噴水から出ている水で遊んでいる子供たちが一杯居た。
噴水の右側には、八百屋さんや本屋さんなどのお店がたくさん並んでいた。
私は興味があった本屋さんを眺めていると、八百屋さんの方からなにやら声がした。

商人A「さぁ、そこの道を歩いている人達に朗報！。今日はみんな大好き、プレイバイトンの東の市場の新鮮なリンゴを仕入れたよ～。さぁ皆買った買った！」
住民E「まぁなんて最高な日なの！」
住民の子供A「ヘンデンバイトンのリンゴは最高！」
住民の子供B「東の市場のリンゴだぁ！！」
住民F「今日は付いてるな、メリー」
住民の子供C「お父さん。リンゴ買おう？」

商人の下に一斉に人が群がり、バケットの中に入っているリンゴをどんどん取って行っては、店の中の支払い所に並びはじめた。
どうやらこの街ではヘンデンバイトンの東の市場から仕入れた「リンゴ」が人気らしい。
というより、ヘンデンバイトンの東の市場からどうやって輸入しているんだ?輸入というから、普通は正当な普段を踏んでいると思うけれど。

商人A「やぁやぁ！そこの君！今日はヘンデンバイトンの東の市場から仕入れたリンゴだよ。お値段なんと40パル！」
私｢40パル！？｣

40パル...!? どうしてそんなに安く出来るんだ？
というか店は潰れないのだろうか。

今はそんなことを気にしている場合じゃない。いち早くプレイコーサンへ渡る方法を考えなければ。
いや、よくよく考えるとこの質問を利用して、どうやって潜入するか間接的にヒントを得られるかもしれない...


私「あの少し質問なんですけど..いいですか?」
商人A「お！なんだいお嬢ちゃん。」
私「どうしたら、40パルという値段でリンゴを売ることが出来るんですか？」
商人A「っふふ～ん。お嬢ちゃん、いいところを質問するね。」
商人A「このお店は、通常とは違う方法で大量に仕入れる方法があるんだよ。だから他のお店よりもずっと安くリンゴを提供出来るのさ。」
私「通常とは違う方法？」
商人A「ああ。通常とは違う方法だよ。教えることは出来ないけどね。」

私「ヘンデンバイトンの東の市場から仕入れるって言ってましたけど、あれだけの量をどうやって仕入れてるんですか？」
商人A｢輸入する方法ついて知りたいのかな？...まぁでも知りたいって言われてもなぁ...｣
私「ヘンデンバイトンのこと良く知らないんです...」
商人A「あぁ仕入れのことを聞きたいんじゃなくて、ヘンデンバイトンのことを知りたかったのね！だったら最初からそういえば良かったのに。」
商人A｢あぁでも、ヘンデンバイトンに関してはそこのおじさんがよく知っているから聞いてみるといいよ。｣

視線を右に向けると、少し年老いたいい感じのおじさんが立っていた。

商人B｢よぉ。お嬢ちゃん。ヘンデンバイトンについて知りたいのかい？歴史、商売、文化、あぁと...それからそれから仕入れる方法、なんでも聞いてくれ。｣
私「あの...ヘンデンバイトンってどんな場所なんですか？」
商人B「ヘンデンバイトン...かぁ。ヘンデンバイトンと一括りに言ってもかなり大きな地域だからなぁ...なんとも言えないんだが、少なくともうちの店ではヘンデンバイトンの東の市場からはリンゴを、ワットチャンにあるヘンデンバイトンの北東の市場からは、目新しいなにかを輸入してたりするよ。レアものが多いイメージがある。」
私「そ...そうですか。」

私は期待していた情報を聞き出せなくて少し浮かない顔をしていると、商人のおじさんは、全てを理解したかのような不可思議な笑みを顔を浮かべた。

商人B｢お嬢ちゃん、本当は、ヘンデンバイトンの東の市場ヘ秘密裏に渡りたいんだろう？それならいいルートがある。｣
商人B｢実はな、ここの品がこんなに安いのはヘンデンバイトンに繋がる秘密のルートを経由して輸入しているからなんだよ...わざわざ検問を通らなくて済むから手数料がかなり減るんだよ。｣
商人B｢このルートを通れば入ることは出来る。もちろんバレれば命の保証はないし、帰ることなんて出来やしないけどな。｣　
商人B「このヘンデンバイトンの東の市場に繋がる秘密の回廊は、プレイウドンの森の繋がる。この森から太陽が沈む方向とは反対側に進み続けると、荒れた道が現れる。そこから建物裏を経由して大通りに出ればきっとバレることはない。」
スマウメック「ありがとうございます！」

私は感謝を伝えて、店を去ろうとすると商人Bが突然焦りはじめ私を引き留めた。