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第一章 はじまりの時
第7話 懐かしい気配 と 出会い
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なぜだろうか。
段々心が落ち着いてきたと同時に熱い涙が目から溢れ出て止まらなくなった。
この温かい手のぬくもり、そして優しい声はどこか母に似たなにかを感じるのである。
メラと名乗った女性は私の心の傷を取り除くように背中を撫で、私にこう語りかけた。
「もう大丈夫よ。一人じゃないから。」
私はその言葉を聞くと、少し安心した。なぜかは分からない。
でも、今はこの人に付いていくべきだと思った。
「とりあえずここは危ないから、早くここから出ましょ。安全な場所を用意してあるから一度そこに来てもらえるかしら?」
このなんでもやってくれる感じや先回りしてくれる感じ、そして相手のことを常に考えてくれている感じ。
母に似ている。なぜか体がぽかぽかする。一体なぜだろう。
とりあえず今はその麻のフードの被った女の人の後を言われた通りに付いていくことにした。
麻のフードの女の人は、一度後ろを向いて私の顔を確認すると、ニコッと笑って再び前を向き、歩き始めた。
メラ「私の名前はヤシューマ・メラって言うの。人は私のことを深紅の守り人とも呼ぶわ。」
私「私の名前は、スマウメックって言います!よろしくおねがいします。」
私「あ、あの!なぜ私のことを助けてくれたんですか?」
メラ「そうだな~。色々理由はあるのだけれど...」
私は少し間を感じた。
メラさんをよく見ると地面を向きながらなにかをボソボソッと呟いていた。その後すぐに立ち止まって上を向いて深呼吸した。
メラ「一番の理由は君のお母さんとの”約束”かな。」
ー お母さんとの”約束” ー
やっぱりこの人から母を感じるのは関係があったからなのか。
でもどこか、寂しそうな顔をしている。一体なにがあったんだろ。
メラ「君のお母さんとはその昔仲良くってね。昔はこの星で一緒に遊んだこともあるんだよね。」
メラ「お母さんは昔”プノムクロム”にあるとある居酒屋の前の通りで遊ぶのが好きだったんだよね。」
プノムクロム 私の故郷だ。小さな街ではあるが、地域の人たちはとても優しい人ばかりでヒョウタン人に管理されているという点を除けばとても過ごしやすかった。私が今日のはじめに行った居酒屋の前の通りは良く子供たちが集まって遊んでいることが多かった。とはいえ、居酒屋の周辺というか敷地内まで行くと監視カメラに引っかかるので、遊んでいるうちに近づくとヒョウタン人の兵士に怒られることも結構あった。
メラさんのは発言から察するに、私も母も昔は同じ子供だったんだな。
メラさんと母はどういう関係だったんだろうか、もっと知りたい。
私は続けてこう話した。
私「メラさんはなぜ母と知り合ったのですか?」
メラ「そうだな~。偶然...? なのかな。わかんないや。産まれた場所は物凄く離れてるんだけどね。なんか知らないうちに知り合えちゃった。」
ん?生まれた場所は遠く離れている?なんで知り合えるんだろ。本来は外部の地域の人との接触は緑樹人には禁止されているはずなのに、メラさんはバレずに母親と知り合えるのか...? というよりなんで知り合えるんだ?
私は考えた。
色々な理由が頭に思いついたがどれもなんらかの形で矛盾してしまうことばかりだった。
私にはなぜ母とメラさんが会えたかはわからなかった。
メラ「ほら。着いたわよ。この大きな階段を上って行きましょう。」
気づいたら物凄い時間が経っていたようだ、私は当たりを見渡して一瞬混乱したがすぐに言われた通りに階段を上ったが、視線を逸らすと階段のすぐそばにあった看板にプノンバイトンと書いてあった。
ということはここは隣の行政地区。私は頭の中に先ほどの襲われたときの恐怖感を思い出し、反射的に顔を少し強張らせた。というのもこの緑樹自治区では”緑樹人”と一度呼ばれた人達は、徹底的に管理されており、ヒョウタン帝国軍人の許可なしに、特定の地区を越境すると即射殺されることになっている。このまま外に出れば、射殺されるかもしれない。
その危険性を考えると、なるべく自分が元居た場所からは離れたくはないのだ。
メラ「大丈夫よ。心配しないで。バレないから。」
メラ「考えごとは後にしましょ?さっ、地上へ上がりましょう。」
私はそうメラさんに言われると、理由を考えるのをやめてその大きな階段を上がりきり、地上へ出た。
地上へ出ると右手には目の前には大きな街が、左手には木々が鬱蒼と生い茂った山があった。
メラさんは左に曲がり山の中に入った。私はそれに付いていった。少しすると、切り立った斜面に一つの小さな家が見えた。
その小さな家は、コテージのような、木製で出来た家だったが、とても丈夫そうな見た目をしていた。
「あれが、私の家。今度から自由に入っていいからね。」
そうメラさんが言うと、メラさんは自分の家へ向かった。
私はメラさんに付いていき、そして家の目の前まで来た。
メラ「さ。上がってどうぞ。」
本当に良いのだろうか。
とはいえ、今の私に行く当てなどないから別に泊まらせてくれるのはかなりありがたいのだが。
私は家に上がるとなぜか体が急にドシっと重くなった。
視界もかなり揺らいで...
メラ「大丈夫?クロヴァンちゃん。目がトロンとしてるわよ?」
私「だ、大丈夫です。なんとかしますから...」
私は目を擦ってなんとか目を開けようとしたがその瞬間に倒れてしまった。
ドタン!
メラ「大丈夫!?」
私「痛た... 」
メラ「ベッドまで運ぼうか?」
私「大丈夫です。自分で部屋まで行きますから。」
いつも心臓に悪い環境で資料探しをしている私だが、流石に今日の一連の出来事は流石に体に堪えたらしい。
唐突な眠気に襲われた私は、既に目を開けるのが精いっぱいなくらいだった。
メラ「今日は無理しないでゆっくり休みなさい。この家の2階の右側に寝室があるから、今日からその部屋を使っていいわよ。」
私はなんとか立って覚束ない足で歩きながらなんとか2階の部屋までたどり着き、寝室を開けてすぐにベットに入って横になると眠ってしまった。
段々心が落ち着いてきたと同時に熱い涙が目から溢れ出て止まらなくなった。
この温かい手のぬくもり、そして優しい声はどこか母に似たなにかを感じるのである。
メラと名乗った女性は私の心の傷を取り除くように背中を撫で、私にこう語りかけた。
「もう大丈夫よ。一人じゃないから。」
私はその言葉を聞くと、少し安心した。なぜかは分からない。
でも、今はこの人に付いていくべきだと思った。
「とりあえずここは危ないから、早くここから出ましょ。安全な場所を用意してあるから一度そこに来てもらえるかしら?」
このなんでもやってくれる感じや先回りしてくれる感じ、そして相手のことを常に考えてくれている感じ。
母に似ている。なぜか体がぽかぽかする。一体なぜだろう。
とりあえず今はその麻のフードの被った女の人の後を言われた通りに付いていくことにした。
麻のフードの女の人は、一度後ろを向いて私の顔を確認すると、ニコッと笑って再び前を向き、歩き始めた。
メラ「私の名前はヤシューマ・メラって言うの。人は私のことを深紅の守り人とも呼ぶわ。」
私「私の名前は、スマウメックって言います!よろしくおねがいします。」
私「あ、あの!なぜ私のことを助けてくれたんですか?」
メラ「そうだな~。色々理由はあるのだけれど...」
私は少し間を感じた。
メラさんをよく見ると地面を向きながらなにかをボソボソッと呟いていた。その後すぐに立ち止まって上を向いて深呼吸した。
メラ「一番の理由は君のお母さんとの”約束”かな。」
ー お母さんとの”約束” ー
やっぱりこの人から母を感じるのは関係があったからなのか。
でもどこか、寂しそうな顔をしている。一体なにがあったんだろ。
メラ「君のお母さんとはその昔仲良くってね。昔はこの星で一緒に遊んだこともあるんだよね。」
メラ「お母さんは昔”プノムクロム”にあるとある居酒屋の前の通りで遊ぶのが好きだったんだよね。」
プノムクロム 私の故郷だ。小さな街ではあるが、地域の人たちはとても優しい人ばかりでヒョウタン人に管理されているという点を除けばとても過ごしやすかった。私が今日のはじめに行った居酒屋の前の通りは良く子供たちが集まって遊んでいることが多かった。とはいえ、居酒屋の周辺というか敷地内まで行くと監視カメラに引っかかるので、遊んでいるうちに近づくとヒョウタン人の兵士に怒られることも結構あった。
メラさんのは発言から察するに、私も母も昔は同じ子供だったんだな。
メラさんと母はどういう関係だったんだろうか、もっと知りたい。
私は続けてこう話した。
私「メラさんはなぜ母と知り合ったのですか?」
メラ「そうだな~。偶然...? なのかな。わかんないや。産まれた場所は物凄く離れてるんだけどね。なんか知らないうちに知り合えちゃった。」
ん?生まれた場所は遠く離れている?なんで知り合えるんだろ。本来は外部の地域の人との接触は緑樹人には禁止されているはずなのに、メラさんはバレずに母親と知り合えるのか...? というよりなんで知り合えるんだ?
私は考えた。
色々な理由が頭に思いついたがどれもなんらかの形で矛盾してしまうことばかりだった。
私にはなぜ母とメラさんが会えたかはわからなかった。
メラ「ほら。着いたわよ。この大きな階段を上って行きましょう。」
気づいたら物凄い時間が経っていたようだ、私は当たりを見渡して一瞬混乱したがすぐに言われた通りに階段を上ったが、視線を逸らすと階段のすぐそばにあった看板にプノンバイトンと書いてあった。
ということはここは隣の行政地区。私は頭の中に先ほどの襲われたときの恐怖感を思い出し、反射的に顔を少し強張らせた。というのもこの緑樹自治区では”緑樹人”と一度呼ばれた人達は、徹底的に管理されており、ヒョウタン帝国軍人の許可なしに、特定の地区を越境すると即射殺されることになっている。このまま外に出れば、射殺されるかもしれない。
その危険性を考えると、なるべく自分が元居た場所からは離れたくはないのだ。
メラ「大丈夫よ。心配しないで。バレないから。」
メラ「考えごとは後にしましょ?さっ、地上へ上がりましょう。」
私はそうメラさんに言われると、理由を考えるのをやめてその大きな階段を上がりきり、地上へ出た。
地上へ出ると右手には目の前には大きな街が、左手には木々が鬱蒼と生い茂った山があった。
メラさんは左に曲がり山の中に入った。私はそれに付いていった。少しすると、切り立った斜面に一つの小さな家が見えた。
その小さな家は、コテージのような、木製で出来た家だったが、とても丈夫そうな見た目をしていた。
「あれが、私の家。今度から自由に入っていいからね。」
そうメラさんが言うと、メラさんは自分の家へ向かった。
私はメラさんに付いていき、そして家の目の前まで来た。
メラ「さ。上がってどうぞ。」
本当に良いのだろうか。
とはいえ、今の私に行く当てなどないから別に泊まらせてくれるのはかなりありがたいのだが。
私は家に上がるとなぜか体が急にドシっと重くなった。
視界もかなり揺らいで...
メラ「大丈夫?クロヴァンちゃん。目がトロンとしてるわよ?」
私「だ、大丈夫です。なんとかしますから...」
私は目を擦ってなんとか目を開けようとしたがその瞬間に倒れてしまった。
ドタン!
メラ「大丈夫!?」
私「痛た... 」
メラ「ベッドまで運ぼうか?」
私「大丈夫です。自分で部屋まで行きますから。」
いつも心臓に悪い環境で資料探しをしている私だが、流石に今日の一連の出来事は流石に体に堪えたらしい。
唐突な眠気に襲われた私は、既に目を開けるのが精いっぱいなくらいだった。
メラ「今日は無理しないでゆっくり休みなさい。この家の2階の右側に寝室があるから、今日からその部屋を使っていいわよ。」
私はなんとか立って覚束ない足で歩きながらなんとか2階の部屋までたどり着き、寝室を開けてすぐにベットに入って横になると眠ってしまった。
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