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第一章 はじまりの時
第6話 残酷な真実
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緑樹人2「アァ!?兵隊長が来た!もう終わりだァ!」
しまった!ついうっかり考えすぎてしまった。
いや違う!今の私は正気ではない。多分目の前で起きてることが怖くて自分の思考に閉じこもっていたかっただけなのかもしれない。
とにかく、巡回兵が回ってきたようだ。
しかも兵隊長らしい、これは確実にマズイ...
巡回兵隊長「おい。そこの娘。なにをやっている。緑樹人が立ち入って良い場所ではないぞ。」
私は兵隊長の鋭い眼差しが余りに怖く、背筋は凍り、目は信じられないくらい開いた。
巡回兵隊長「残念だが、この場所をみた緑樹人は一人もこの場所から出ることは出来ない。例えか弱い娘だったとしてもだ。」
ー 私は殺される ー
そのフレーズが私の頭を覆い尽くすと、頭が真っ白になり大きく開いた目からは恐怖に耐えきれなくなり涙がにじみ始めていた。
そうだ。さっきからなにかがおかしかった、死体を見過ぎていつか自分もこうなるのかと想像してしまい、何度か絶望感を抱いていたのだ。
普通ならさっきの男性の人も助けようとしていたはずなのに、私は一人で考え込んでいた。
ダメだ。私の理性が崩壊しかけている。
母 ≪スマウ。もし襲われたら全力で走るのよ。≫
母の言葉を突然思い出し、間もなく無意識のうちに全力で走り出した。
そうだ私は生き残りたいんだ。
巡回兵隊長「待て!、逃がさんぞ!!!」
私は必死に走り続けた。複雑に絡み合っている通路と角を巧に利用し、段々と距離を離していった。
巡回兵隊長「待て~!」
巡回兵隊長の恐ろしい声が私の耳を貫いた。
しかし私は後ろを見向きもせず、体力が続く限り出来るだけ遠いところに逃げた。
私の息があがるころ、とうとう巡回兵隊長の声が聞こえなくなった。
「はぁ...はぁ...」
数分くらい走っていると流石に巡回兵隊長とはいえ、重装であるためか軽装である私には次第に追いつけなくなり、なんとか撒くことが出来た。
私ははぁはぁと息を切らしながら、少し視線を左にずらした。
「水道...?」
すると左の出口には地下水道があった。空気が冷たく、流れている水はどうやら下水でも処理水でもない。これは湧き水だ。
休憩するには絶好の場所だ。
「なんて運がいいんだ。」
私は冷たくて心地が良い空気の地下水道を少し歩き、万が一のことがあっても大丈夫なように少し影っていて片側に壁がある場所に腰を下ろした。
さっきまでいた環境が余りにも極限状態だったのだろうか。さっきまで起きたことは頭がまだ少しパニックになっているせいか、すぐには思い出せなかった。まだ背中が恐怖でこわばっている...
取り敢えず、なぜ能力者が殺されているのかを考え...
いや。
まずはさっき起きたことを思い出しながら落ち着いて日記を書き留めよう。
そうすれば、もう一度冷静になれるかもしれない。
--1月5日(火)--
さっきの帝国研究会の勢いだけで、林の中のボロ小屋にあった小道へ入ってしまった。
そこを下るとなにやら水の音がしたので、水道整備局かなにかかと思った。
しかし、出口に降りたとたん、血の匂いがした。
どうやら現在進行形で使われている牢獄のようだ。
しかもこの牢獄の調査を進めていると、死体が大量に転がっており、死体はいずれも確認できる限り緑樹人であった。
もうちょっと操作を進めると、女性の声が聞こえてきて
「どうして、私が殺されなきゃいけないの。私はこのヒョウタン帝国の奴隷としての意味を果たすために、ずっと尽くしてきた。規律だって違反してない、ただ生まれつき、数学が周りより出来るだけだ。」と述べていた。
その後更に進むとまだ生きている男性がいて、彼曰く「能力者は殺される」とのことだった。
どうもここは緑樹人るしゅじんの能力者を殺処分する死刑執行所のような場所らしい。
ただヒョウタン帝国側は私たちに能力者を産んではならないという規律は設けていない。
つまりこれは一般の緑樹人るしゅじんには知られてないと思われる。
もしかするとこれは発見かもしれない。他のなにと因果関係があるかは不明だが、少なくともこの緑樹自治区の闇の一部であることには間違えがな...
--日記 終わり---
日記を書いていると、なにやら後ろから人の気配がする。後ろは明らかに壁なのだが・・・
???「おい。」
私は背筋が凍った。なぜか壁があるはずの後ろから、声がするのだ。
私は目をギョッと開けて、後ろをおそるおそる見た。
???「久しぶりだなぁ。スマウメック。」
なぜ私の名前を知っているのだろうか。ヒョウタン帝国軍人に今まで名前を知られたことはなかったはずなのに。
私は更に怖くなり、その場でなにも喋らずに固まってしまった。
気づけば、地下水道の新鮮な空気は吸うのも苦しいくらいの重苦しい空気に変わっていた。
沈黙を切り裂くように私の背後に現れた男は口を開ける。
???「お前のお母さんの居場所を知りたいか?」
私は動揺した。なぜ母が当局に連れ去られたことをしっているのだろうか。
私は更に恐怖を抱き、沈黙を続けた。
男は少し笑いつつ、私を見下すような目をして見つめた。
???「俺の名前は芦田 真。バイトンメックという女を管理していた緑樹小地区管理人だ。」
バイトンメック。間違えなく私の母の名前だ。
この男の言っていることが本当であるならば、私の母を管理していたということになる。
一体なにを知っている...というのだ。
そもそもいきなり私の後ろへ現れてなにをしようとした。
ものすごく怖い。これはまるでストーカーに襲われた気分だ...
芦田と名乗る男が私を蔑むかのような目で睨みつけると、少し口角をあげて話をはじめた。
「お前のお母さんが今どこにいるか。知りたいんだろ?」
同じ質問を短時間に3回した。一体なにが目的だ。
声を保存する機械でもあるのか?おそらくこれは喋るとあとで大変なことになる。
一体なにを企んでいる。なぜ私を追っているんだ?
なにをされるかわからない恐怖が重苦しい地下水道の空気と共に私を更に追い詰めていく。
芦田と名乗る男は、私が怯えている様子を察したのか、口角を上げて満足そうに笑ってこう続けた。
「一緒についてきたら、教えてやるよ。」
私は提案された。これは質問ではない。
そう。これは私に対する提案だ。
つまり、ついてきたら教えるということ?
ああダメだ。冷静な判断が出来なくなっている。
きっと殺されるそう思うと、体を覆う恐怖が勝りさっきまでなにを考えていたかすらも思い出せない。
私はなんとか冷静になろうと、目を大きく開けて、”芦田”と名乗る男の顔を見続けたが、恐怖でその提案に対する答えを述べることが出来なかった。
私は彼の蔑むような鋭い目線があまりに恐ろしくて、口が開けられずに固まっていた。
彼はなにも喋らない私を見て、不満に思ったのか顔が一気に曇り次のこう吐き捨てた。
「そうかそうか。そのまま黙ってるんだな!だったら大人しく殺されるんだなぁ!」
大きな剣を降ろされた。まずい。
逃げようと思ったが、パニックになっていて体がうまくうごかない。
どうしよう。
誰かに助けを求めることも出来ない。
今度こそ死ぬ。
ああ、短い人生だった。
--- 地下水道 ---
スパーン!
パリィの音が不気味な地下水道に快く鳴り響いた。(パリィとは、剣を剣で受け流して攻撃をかわす動作のこと。)
???「これ以上、無駄に行動しない方がいいわよ。」
芦田 真「なにッ...メラ。お前...なんでここに。」
???「無能な癖に、私の名前は知ってるのね。」
芦田 真「っち。お前さえいなければ、俺は今頃”瓢将十六傑”に入れたんだ!お前がこの俺様の計画の邪魔さえしなければぁ!」
メラ「あなた程度の人間が入れたところで、すぐ野垂れ死ぬことが運命でしょ。お馬鹿さん。」
私の目の前に突然、茶色の麻のフードを被った女性が現れた。
というより、一体なにが起きている。
短時間に聞いたことがない言葉が並んだ上、なにやら私には理解出来ない高度な会話をしている。一体なんの話だろうか。
そして私を助けたのは誰だろうか。ヒョウタン人でもここら辺の緑樹人ではない。
白髪に赤い横の垂れ髪... 恐らく南の島の緑樹人だろうか。
芦田 真「その女を渡せ。メラ。そうしたらお前のことはもう狙わない。」
メラ「そんなことする訳ないでしょう。さっさと私の前から消えなさい、それとも次は死にたいのかしら?別に私はあなたのこといつでも殺せるからいいのよ?」
芦田と名乗る男は、メラと名乗る女性を見て怯えて後ろによろめいた。
その後女性を睨みつけたが、女性が満面の笑みでそれに応えると男は後ろにあとずさりして体を震わせていた。
そして...
芦田 真「う。うわぁあああ!!!クソ野郎!!覚えておけ! 次来るときはちゃんとした装備で来てやる!」
”芦田”と名乗る男はそう叫んで発狂したあと、後ろを向いて走って消えた。
この麻のフードの服装をした女性は、一体誰なのだろうか。なぜ私を助けたのだろうか。
私の背中はまだ凍りついているかのようにこわばっていたが、顔からは熱い涙が溢れていた。
メラ「落ち着いて、探偵さんらしくないわよ。」
頭が真っ白になっている私に優しい声で話かけてきた質素な服装をした女性は、そう言った後、私の頭を優しくゆっくりと撫でた。
なぜだろうか。段々心が落ち着いてきたと同時に涙が目から溢れ出て止まらなくなっていた。
しまった!ついうっかり考えすぎてしまった。
いや違う!今の私は正気ではない。多分目の前で起きてることが怖くて自分の思考に閉じこもっていたかっただけなのかもしれない。
とにかく、巡回兵が回ってきたようだ。
しかも兵隊長らしい、これは確実にマズイ...
巡回兵隊長「おい。そこの娘。なにをやっている。緑樹人が立ち入って良い場所ではないぞ。」
私は兵隊長の鋭い眼差しが余りに怖く、背筋は凍り、目は信じられないくらい開いた。
巡回兵隊長「残念だが、この場所をみた緑樹人は一人もこの場所から出ることは出来ない。例えか弱い娘だったとしてもだ。」
ー 私は殺される ー
そのフレーズが私の頭を覆い尽くすと、頭が真っ白になり大きく開いた目からは恐怖に耐えきれなくなり涙がにじみ始めていた。
そうだ。さっきからなにかがおかしかった、死体を見過ぎていつか自分もこうなるのかと想像してしまい、何度か絶望感を抱いていたのだ。
普通ならさっきの男性の人も助けようとしていたはずなのに、私は一人で考え込んでいた。
ダメだ。私の理性が崩壊しかけている。
母 ≪スマウ。もし襲われたら全力で走るのよ。≫
母の言葉を突然思い出し、間もなく無意識のうちに全力で走り出した。
そうだ私は生き残りたいんだ。
巡回兵隊長「待て!、逃がさんぞ!!!」
私は必死に走り続けた。複雑に絡み合っている通路と角を巧に利用し、段々と距離を離していった。
巡回兵隊長「待て~!」
巡回兵隊長の恐ろしい声が私の耳を貫いた。
しかし私は後ろを見向きもせず、体力が続く限り出来るだけ遠いところに逃げた。
私の息があがるころ、とうとう巡回兵隊長の声が聞こえなくなった。
「はぁ...はぁ...」
数分くらい走っていると流石に巡回兵隊長とはいえ、重装であるためか軽装である私には次第に追いつけなくなり、なんとか撒くことが出来た。
私ははぁはぁと息を切らしながら、少し視線を左にずらした。
「水道...?」
すると左の出口には地下水道があった。空気が冷たく、流れている水はどうやら下水でも処理水でもない。これは湧き水だ。
休憩するには絶好の場所だ。
「なんて運がいいんだ。」
私は冷たくて心地が良い空気の地下水道を少し歩き、万が一のことがあっても大丈夫なように少し影っていて片側に壁がある場所に腰を下ろした。
さっきまでいた環境が余りにも極限状態だったのだろうか。さっきまで起きたことは頭がまだ少しパニックになっているせいか、すぐには思い出せなかった。まだ背中が恐怖でこわばっている...
取り敢えず、なぜ能力者が殺されているのかを考え...
いや。
まずはさっき起きたことを思い出しながら落ち着いて日記を書き留めよう。
そうすれば、もう一度冷静になれるかもしれない。
--1月5日(火)--
さっきの帝国研究会の勢いだけで、林の中のボロ小屋にあった小道へ入ってしまった。
そこを下るとなにやら水の音がしたので、水道整備局かなにかかと思った。
しかし、出口に降りたとたん、血の匂いがした。
どうやら現在進行形で使われている牢獄のようだ。
しかもこの牢獄の調査を進めていると、死体が大量に転がっており、死体はいずれも確認できる限り緑樹人であった。
もうちょっと操作を進めると、女性の声が聞こえてきて
「どうして、私が殺されなきゃいけないの。私はこのヒョウタン帝国の奴隷としての意味を果たすために、ずっと尽くしてきた。規律だって違反してない、ただ生まれつき、数学が周りより出来るだけだ。」と述べていた。
その後更に進むとまだ生きている男性がいて、彼曰く「能力者は殺される」とのことだった。
どうもここは緑樹人るしゅじんの能力者を殺処分する死刑執行所のような場所らしい。
ただヒョウタン帝国側は私たちに能力者を産んではならないという規律は設けていない。
つまりこれは一般の緑樹人るしゅじんには知られてないと思われる。
もしかするとこれは発見かもしれない。他のなにと因果関係があるかは不明だが、少なくともこの緑樹自治区の闇の一部であることには間違えがな...
--日記 終わり---
日記を書いていると、なにやら後ろから人の気配がする。後ろは明らかに壁なのだが・・・
???「おい。」
私は背筋が凍った。なぜか壁があるはずの後ろから、声がするのだ。
私は目をギョッと開けて、後ろをおそるおそる見た。
???「久しぶりだなぁ。スマウメック。」
なぜ私の名前を知っているのだろうか。ヒョウタン帝国軍人に今まで名前を知られたことはなかったはずなのに。
私は更に怖くなり、その場でなにも喋らずに固まってしまった。
気づけば、地下水道の新鮮な空気は吸うのも苦しいくらいの重苦しい空気に変わっていた。
沈黙を切り裂くように私の背後に現れた男は口を開ける。
???「お前のお母さんの居場所を知りたいか?」
私は動揺した。なぜ母が当局に連れ去られたことをしっているのだろうか。
私は更に恐怖を抱き、沈黙を続けた。
男は少し笑いつつ、私を見下すような目をして見つめた。
???「俺の名前は芦田 真。バイトンメックという女を管理していた緑樹小地区管理人だ。」
バイトンメック。間違えなく私の母の名前だ。
この男の言っていることが本当であるならば、私の母を管理していたということになる。
一体なにを知っている...というのだ。
そもそもいきなり私の後ろへ現れてなにをしようとした。
ものすごく怖い。これはまるでストーカーに襲われた気分だ...
芦田と名乗る男が私を蔑むかのような目で睨みつけると、少し口角をあげて話をはじめた。
「お前のお母さんが今どこにいるか。知りたいんだろ?」
同じ質問を短時間に3回した。一体なにが目的だ。
声を保存する機械でもあるのか?おそらくこれは喋るとあとで大変なことになる。
一体なにを企んでいる。なぜ私を追っているんだ?
なにをされるかわからない恐怖が重苦しい地下水道の空気と共に私を更に追い詰めていく。
芦田と名乗る男は、私が怯えている様子を察したのか、口角を上げて満足そうに笑ってこう続けた。
「一緒についてきたら、教えてやるよ。」
私は提案された。これは質問ではない。
そう。これは私に対する提案だ。
つまり、ついてきたら教えるということ?
ああダメだ。冷静な判断が出来なくなっている。
きっと殺されるそう思うと、体を覆う恐怖が勝りさっきまでなにを考えていたかすらも思い出せない。
私はなんとか冷静になろうと、目を大きく開けて、”芦田”と名乗る男の顔を見続けたが、恐怖でその提案に対する答えを述べることが出来なかった。
私は彼の蔑むような鋭い目線があまりに恐ろしくて、口が開けられずに固まっていた。
彼はなにも喋らない私を見て、不満に思ったのか顔が一気に曇り次のこう吐き捨てた。
「そうかそうか。そのまま黙ってるんだな!だったら大人しく殺されるんだなぁ!」
大きな剣を降ろされた。まずい。
逃げようと思ったが、パニックになっていて体がうまくうごかない。
どうしよう。
誰かに助けを求めることも出来ない。
今度こそ死ぬ。
ああ、短い人生だった。
--- 地下水道 ---
スパーン!
パリィの音が不気味な地下水道に快く鳴り響いた。(パリィとは、剣を剣で受け流して攻撃をかわす動作のこと。)
???「これ以上、無駄に行動しない方がいいわよ。」
芦田 真「なにッ...メラ。お前...なんでここに。」
???「無能な癖に、私の名前は知ってるのね。」
芦田 真「っち。お前さえいなければ、俺は今頃”瓢将十六傑”に入れたんだ!お前がこの俺様の計画の邪魔さえしなければぁ!」
メラ「あなた程度の人間が入れたところで、すぐ野垂れ死ぬことが運命でしょ。お馬鹿さん。」
私の目の前に突然、茶色の麻のフードを被った女性が現れた。
というより、一体なにが起きている。
短時間に聞いたことがない言葉が並んだ上、なにやら私には理解出来ない高度な会話をしている。一体なんの話だろうか。
そして私を助けたのは誰だろうか。ヒョウタン人でもここら辺の緑樹人ではない。
白髪に赤い横の垂れ髪... 恐らく南の島の緑樹人だろうか。
芦田 真「その女を渡せ。メラ。そうしたらお前のことはもう狙わない。」
メラ「そんなことする訳ないでしょう。さっさと私の前から消えなさい、それとも次は死にたいのかしら?別に私はあなたのこといつでも殺せるからいいのよ?」
芦田と名乗る男は、メラと名乗る女性を見て怯えて後ろによろめいた。
その後女性を睨みつけたが、女性が満面の笑みでそれに応えると男は後ろにあとずさりして体を震わせていた。
そして...
芦田 真「う。うわぁあああ!!!クソ野郎!!覚えておけ! 次来るときはちゃんとした装備で来てやる!」
”芦田”と名乗る男はそう叫んで発狂したあと、後ろを向いて走って消えた。
この麻のフードの服装をした女性は、一体誰なのだろうか。なぜ私を助けたのだろうか。
私の背中はまだ凍りついているかのようにこわばっていたが、顔からは熱い涙が溢れていた。
メラ「落ち着いて、探偵さんらしくないわよ。」
頭が真っ白になっている私に優しい声で話かけてきた質素な服装をした女性は、そう言った後、私の頭を優しくゆっくりと撫でた。
なぜだろうか。段々心が落ち着いてきたと同時に涙が目から溢れ出て止まらなくなっていた。
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