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第一章
夢幻のマカロン
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お土産を手にし、おとぎ話のお城のようなお屋敷に帰った。
ここが我が家なんてまだ信じられない。
ばあやが淹れてくれた珈琲は、砂糖を足していないのに不思議と最初から甘いような、芳醇な良い匂いがする。
ああ、家に帰ってきたな、と何故かほっとして肩の力が抜けた。
コロンとして鮮やかな色のマカロン、艶々したフルーツタルト、白い雪みたいなケーキが、小さな大理石のコーヒーテーブルに所狭しと並んでいる。
まずはケーキを一口いただいたところで思わず、ばあやと目と目を合わせた。
美味しい…!柔らかなクリームと、甘酸っぱい木苺のソースをまとったスポンジが、しゅわしゅわふんわりと口の中で溶けていった。
珈琲との相性も言わずもがな抜群である。
次にフルーツタルト。
タルト生地にフォークをいれると、サクッと良い音をたてた。
上にのるフルーツのメインは桃のコンポート。とろっとして、洋酒の大人っぽい香りが甘さを引き締めている。
そこにチェリーの赤が散りばめられ、まるで紅白の花々のようで見た目も鮮やかである。
こちらも初夏の太陽とビタミンをたっぷりあびて心が花開くような、活力が湧く美味しさだった。
「ねぇばあや、このフルーツタルトには紅茶があいそうね!」
そう語りかけると、ばあやはキョトンとした顔をした。
どうやらこの世界のこの地域では紅茶はまだ流通していないようだ。
確か中世ヨーロッパでは紅茶より珈琲が主流だったと、世界史の授業できいた覚えがある。
その辺りは前世の世界とリンクしているなと思った。
ここまでスイーツの技術が高い点においては、前世の世界と違っているけれど!
確かマカロンがこんなにカラフルになったのは、前世の世界ならば近年になってからのはず。
美しい建造物やドレスに、最新のスイーツが存在するなんて夢か幻みたいな世界だ。
嬉しいような、こわいような、そんな気持ちをかき消すためにマカロンに手を伸ばす。
桜色に染まったマカロンをほんの少しかじってみる。すぅっとキレの良い、上品な甘さだ。
続けて深煎りのほろ苦い珈琲をいただいて、口の中でひとときの幸せな夢をみた。
ここが我が家なんてまだ信じられない。
ばあやが淹れてくれた珈琲は、砂糖を足していないのに不思議と最初から甘いような、芳醇な良い匂いがする。
ああ、家に帰ってきたな、と何故かほっとして肩の力が抜けた。
コロンとして鮮やかな色のマカロン、艶々したフルーツタルト、白い雪みたいなケーキが、小さな大理石のコーヒーテーブルに所狭しと並んでいる。
まずはケーキを一口いただいたところで思わず、ばあやと目と目を合わせた。
美味しい…!柔らかなクリームと、甘酸っぱい木苺のソースをまとったスポンジが、しゅわしゅわふんわりと口の中で溶けていった。
珈琲との相性も言わずもがな抜群である。
次にフルーツタルト。
タルト生地にフォークをいれると、サクッと良い音をたてた。
上にのるフルーツのメインは桃のコンポート。とろっとして、洋酒の大人っぽい香りが甘さを引き締めている。
そこにチェリーの赤が散りばめられ、まるで紅白の花々のようで見た目も鮮やかである。
こちらも初夏の太陽とビタミンをたっぷりあびて心が花開くような、活力が湧く美味しさだった。
「ねぇばあや、このフルーツタルトには紅茶があいそうね!」
そう語りかけると、ばあやはキョトンとした顔をした。
どうやらこの世界のこの地域では紅茶はまだ流通していないようだ。
確か中世ヨーロッパでは紅茶より珈琲が主流だったと、世界史の授業できいた覚えがある。
その辺りは前世の世界とリンクしているなと思った。
ここまでスイーツの技術が高い点においては、前世の世界と違っているけれど!
確かマカロンがこんなにカラフルになったのは、前世の世界ならば近年になってからのはず。
美しい建造物やドレスに、最新のスイーツが存在するなんて夢か幻みたいな世界だ。
嬉しいような、こわいような、そんな気持ちをかき消すためにマカロンに手を伸ばす。
桜色に染まったマカロンをほんの少しかじってみる。すぅっとキレの良い、上品な甘さだ。
続けて深煎りのほろ苦い珈琲をいただいて、口の中でひとときの幸せな夢をみた。
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