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序章
しおりを挟む恋とは、命を燃やす熱情であるーー。
偶然読んだ恋愛小説でその一文を読んだ時、満ち足りていたと思っていた日常に違和感を覚えてしまった。
伯爵令嬢としての恵まれた環境や教育、愛しい家族に完璧な優しい婚約者。主従を超えて愛してくれる侍女までいる幸せな人生なのに、リリアはたった一文に強烈に惹き込まれた。
視界が鮮やかに開くような、甘い感覚が全身を撫で、穏やかだった心臓が急くような音を立て始めたのだ。
瞬間、初めてあの方を目にしたときのような感動のような熱い衝動が湧き立ち、何度も脳裏に浮かんだ姿が頭を埋め尽くした。常ならばささくれのように僅かな刺激を与えながらもまだ平常でいられたのに、その瞬間から激しく心を揺らされたのだ。
ぶわあっと、全身を焼き尽くすような激しい温度に暫し呆然とリリアは立ち尽くした。
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