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第2話 騎士・契約
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アリシアは言った。
「私と契約してこの国の王になって下さい!」
タカヤは困惑した。出会ったばかりの少女に突然王になって欲しいと言われたのだ。困惑しないほうがおかしい。
「い、いやちょっと待って。王って何? どう言う事?」
タカヤの疑問も当然である。
「この国は隣国によって侵略の危機にあります。ですが度重なる戦により王は崩御され騎士団はちりじりに。私達騎士は王がいなければ力を発揮できないのです。ゆえに契約する王がいなければ戦わずして隣国に支配されてしまいます。ですからタカヤ様、どうか私と契約してこの国の王になって欲しいのです」
まさかの事態だった。確かに異世界といえば魔王や帝国によって侵略の危機にあるというのはお約束の設定だった。正直期待していなかった訳ではない。
だがリアルで侵略者と戦う為に王になって欲しいと言われるのは初めての経験だったのだ。
「いやいやいや、俺戦えないから。剣も魔法も格闘技も使えないし内政無双とかも無理だから。ゲームくらいしか取り柄無いから」
タカヤの年頃の男子なら一度位は異世界に召喚されて勇者として戦うといった、ゲームや漫画のシチュエーションが現実に起きたら良いなという妄想をした事はあるだろう。だが実際にそれを言われるとさすがに引いてしまう。
伝説の聖剣が超人的な肉体を与えてくれたり、秘法の力で賢者の知識をインストールしたりといった特典でもあれば話は別だが。
ふとそこに考えが至ったタカヤは一縷の希望を抱いてアリシアに質問をする。
「もしかして、勇者が使う伝説の聖剣とか賢者の残した秘法とかがあったりする?」
しかしその希望はあっさりと砕かれる。
「いいえ、御伽噺ではないのですからそのような都合の良い物はございません」
バッサリだった。
「ですが、タカヤ様が王に相応しい証拠ならございます」
「証拠?」
アリシアはタカヤの手を掴んでいた手を離し魔導機の元に歩み寄る。
「この魔導機はわが国に代々伝わる古代の遺産。最も王に相応しい存在を見つけ出し、この世界にお連れする事の出来る秘宝、名を救世の導き手と呼ばれております。つまりこの魔導機によって導かれたタカヤ様こそがも最も王に相応しい存在なのです!!」
興奮気味に声をあげるアリシア。
だがソレとは対照的に冷めていくタカヤ。
「い、いやソレって本当に大丈夫なのか? なんか焦げ臭いし」
何処までも自分に自信の無いタカヤはアリシアに否定の声を上げる。
「そんな事はありません。見てください魔導機の放つ神秘的な輝きを! この神々しい光こそ、タカヤ様を召喚した魔導機の姿なのです。」
「……いや、全然光ってないけど、っていうか煙出てる」
「え?」
タカヤの指摘を受けて魔導機に視線を向けるアリシア。
確かにタカヤの言う通り、魔導機は欠片も輝きを放ってはいなかった。それどころか部品の各所から煙が吹き出している。
その姿を見たタカヤは昔のアニメに出てくるマッドサイエンティストが作る必ず爆発する失敗作を思い出していた。
「タカヤ様を召喚する前は、確かに光っていたんです……」
「はぁ」
「この魔導機によって召喚されたタカヤ様なら必ずや我が国を救って下さると思ったんです」
泣きそうな顔でタカヤを見るアリシア。
「いや、でも、俺は普通の学生で……」
「お願いですタカヤ様。タカヤ様の為なら、私何でもしますから!!」
「……!! な、何でもっ!?」
「は、はひっ!?」
これまで消極的だったタカヤが、突然食いついてきた事に驚くアリシア。
「何でもって、何でも?」
タカヤの視線はアリシアの顔から始まって唇、首筋、胸、股間、そして足首まで行った後、再び胸に戻った。スケベ心である。
「騎、騎士は王に仕える者です。ですからタカヤ様が王になって下されば私はどんな命令にも従います」
「なる! なります!」
即断だった。タカヤはアリシアの胸を凝視しながら王になる事を快諾する。スケベ心が故に。
「本当ですか!?」
「ああ、男に二言は無いぜ!」
タカヤの突然の心変わりに驚きつつもアリシアは感動のあまり薄く涙を漏らす。
「あ、ありがとうございますタカヤ様!」
喜びの涙に濡れるアリシアだったが、その純心とは裏腹にタカヤの内心はスケベ心に溢れていた。
(うっひょー、こんな可愛い子が何でも言う事を聞いてくれる! これだよこれ!! これこそファンタジー物の主人公の役得じゃないですか! それにアリシアがそうなら、今後俺の騎士になってくれる女の子も俺の言う事を何でも聞いてくれるって事だよね。つまりハーレムだよね!! 胸、いや夢が膨らんでキター!!!)
「それでは早速契約をしましょうタカヤ様!」
「……あ、ああ! すぐしよう今しよう!」
タカヤは内心のハーレム願望を知られぬ様に取り繕いながらアリシアの言葉にうなずく。
「それではタカヤ様、手を出して下さい」
「こう?」
アリシアに促されるままに手を差し出すタカヤ。
「失礼します」
そう謝罪するとアリシアはナイフを取り出しタカヤの指にナイフを当てる。
「何を? ……痛っ」
指先に痛みが生まれそこから赤い液体が流れ出す。
そしてアリシアはタカヤの指に顔を近づけ、躊躇う事無く指を咥えた。
「ええ!?」
タカヤの指がアリシアの熱い口内に包み込まれる。
ナイフで傷付けられた指先に舌が触れる。
「ん、んむ……」
アリシアは夢中でタカヤの指を舐め回す。
「ほぁぁぁぁぁ」
メカクレ少女の指チュパ。
突然の展開にタカヤはパンク寸前だ。
だがそこで再び聞き覚えのある声が聞えた。
『ユーザー登録を完了しました。アリシア=ディクスシスはタカヤ=スメラギの騎士になりました』
「え?」
タカヤは思いだした、この無機質な声を聞いた時の事を。それは自分の前に魔法陣が現れ魔法陣から発する光につつまれた時に聞いたあの声だった。
「この声、一体誰なんだ!?」
「タカヤ様」
アリシアの声にタカヤは我に返る。
「契約は完了致しました。これより私は貴方の為に全てを捧げます」
「そ、そうなのか? ところでアリシア、さっきの声って……」
そう言ってアリシアはタカヤの手を取った。アリシアの言葉にタカヤは胸が高鳴らせつつも先程の声について聞こうとしたのだが……
「それでは早速戦争を始めましょう!!」
「へ?」
「私と契約してこの国の王になって下さい!」
タカヤは困惑した。出会ったばかりの少女に突然王になって欲しいと言われたのだ。困惑しないほうがおかしい。
「い、いやちょっと待って。王って何? どう言う事?」
タカヤの疑問も当然である。
「この国は隣国によって侵略の危機にあります。ですが度重なる戦により王は崩御され騎士団はちりじりに。私達騎士は王がいなければ力を発揮できないのです。ゆえに契約する王がいなければ戦わずして隣国に支配されてしまいます。ですからタカヤ様、どうか私と契約してこの国の王になって欲しいのです」
まさかの事態だった。確かに異世界といえば魔王や帝国によって侵略の危機にあるというのはお約束の設定だった。正直期待していなかった訳ではない。
だがリアルで侵略者と戦う為に王になって欲しいと言われるのは初めての経験だったのだ。
「いやいやいや、俺戦えないから。剣も魔法も格闘技も使えないし内政無双とかも無理だから。ゲームくらいしか取り柄無いから」
タカヤの年頃の男子なら一度位は異世界に召喚されて勇者として戦うといった、ゲームや漫画のシチュエーションが現実に起きたら良いなという妄想をした事はあるだろう。だが実際にそれを言われるとさすがに引いてしまう。
伝説の聖剣が超人的な肉体を与えてくれたり、秘法の力で賢者の知識をインストールしたりといった特典でもあれば話は別だが。
ふとそこに考えが至ったタカヤは一縷の希望を抱いてアリシアに質問をする。
「もしかして、勇者が使う伝説の聖剣とか賢者の残した秘法とかがあったりする?」
しかしその希望はあっさりと砕かれる。
「いいえ、御伽噺ではないのですからそのような都合の良い物はございません」
バッサリだった。
「ですが、タカヤ様が王に相応しい証拠ならございます」
「証拠?」
アリシアはタカヤの手を掴んでいた手を離し魔導機の元に歩み寄る。
「この魔導機はわが国に代々伝わる古代の遺産。最も王に相応しい存在を見つけ出し、この世界にお連れする事の出来る秘宝、名を救世の導き手と呼ばれております。つまりこの魔導機によって導かれたタカヤ様こそがも最も王に相応しい存在なのです!!」
興奮気味に声をあげるアリシア。
だがソレとは対照的に冷めていくタカヤ。
「い、いやソレって本当に大丈夫なのか? なんか焦げ臭いし」
何処までも自分に自信の無いタカヤはアリシアに否定の声を上げる。
「そんな事はありません。見てください魔導機の放つ神秘的な輝きを! この神々しい光こそ、タカヤ様を召喚した魔導機の姿なのです。」
「……いや、全然光ってないけど、っていうか煙出てる」
「え?」
タカヤの指摘を受けて魔導機に視線を向けるアリシア。
確かにタカヤの言う通り、魔導機は欠片も輝きを放ってはいなかった。それどころか部品の各所から煙が吹き出している。
その姿を見たタカヤは昔のアニメに出てくるマッドサイエンティストが作る必ず爆発する失敗作を思い出していた。
「タカヤ様を召喚する前は、確かに光っていたんです……」
「はぁ」
「この魔導機によって召喚されたタカヤ様なら必ずや我が国を救って下さると思ったんです」
泣きそうな顔でタカヤを見るアリシア。
「いや、でも、俺は普通の学生で……」
「お願いですタカヤ様。タカヤ様の為なら、私何でもしますから!!」
「……!! な、何でもっ!?」
「は、はひっ!?」
これまで消極的だったタカヤが、突然食いついてきた事に驚くアリシア。
「何でもって、何でも?」
タカヤの視線はアリシアの顔から始まって唇、首筋、胸、股間、そして足首まで行った後、再び胸に戻った。スケベ心である。
「騎、騎士は王に仕える者です。ですからタカヤ様が王になって下されば私はどんな命令にも従います」
「なる! なります!」
即断だった。タカヤはアリシアの胸を凝視しながら王になる事を快諾する。スケベ心が故に。
「本当ですか!?」
「ああ、男に二言は無いぜ!」
タカヤの突然の心変わりに驚きつつもアリシアは感動のあまり薄く涙を漏らす。
「あ、ありがとうございますタカヤ様!」
喜びの涙に濡れるアリシアだったが、その純心とは裏腹にタカヤの内心はスケベ心に溢れていた。
(うっひょー、こんな可愛い子が何でも言う事を聞いてくれる! これだよこれ!! これこそファンタジー物の主人公の役得じゃないですか! それにアリシアがそうなら、今後俺の騎士になってくれる女の子も俺の言う事を何でも聞いてくれるって事だよね。つまりハーレムだよね!! 胸、いや夢が膨らんでキター!!!)
「それでは早速契約をしましょうタカヤ様!」
「……あ、ああ! すぐしよう今しよう!」
タカヤは内心のハーレム願望を知られぬ様に取り繕いながらアリシアの言葉にうなずく。
「それではタカヤ様、手を出して下さい」
「こう?」
アリシアに促されるままに手を差し出すタカヤ。
「失礼します」
そう謝罪するとアリシアはナイフを取り出しタカヤの指にナイフを当てる。
「何を? ……痛っ」
指先に痛みが生まれそこから赤い液体が流れ出す。
そしてアリシアはタカヤの指に顔を近づけ、躊躇う事無く指を咥えた。
「ええ!?」
タカヤの指がアリシアの熱い口内に包み込まれる。
ナイフで傷付けられた指先に舌が触れる。
「ん、んむ……」
アリシアは夢中でタカヤの指を舐め回す。
「ほぁぁぁぁぁ」
メカクレ少女の指チュパ。
突然の展開にタカヤはパンク寸前だ。
だがそこで再び聞き覚えのある声が聞えた。
『ユーザー登録を完了しました。アリシア=ディクスシスはタカヤ=スメラギの騎士になりました』
「え?」
タカヤは思いだした、この無機質な声を聞いた時の事を。それは自分の前に魔法陣が現れ魔法陣から発する光につつまれた時に聞いたあの声だった。
「この声、一体誰なんだ!?」
「タカヤ様」
アリシアの声にタカヤは我に返る。
「契約は完了致しました。これより私は貴方の為に全てを捧げます」
「そ、そうなのか? ところでアリシア、さっきの声って……」
そう言ってアリシアはタカヤの手を取った。アリシアの言葉にタカヤは胸が高鳴らせつつも先程の声について聞こうとしたのだが……
「それでは早速戦争を始めましょう!!」
「へ?」
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