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かぐや姫大地に立つ

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 むかーしむかし、月の民がかぐや姫というデタラメに可愛いんだけどデタラメにワガママな女の子に御仕置きをする為に、赤ん坊まで年齢を退行させてかつ文明レベルが著しく低い隣の星に追放しようとしました。

 「無慈悲な追放はんたーい!」

 「はんたーい!」

  ですがその判決を知った一部人権団体があまりにも酷すぎるとクレームを言ってきて事態は一転しました。
  正直月の民はマジで姫には痛い目を見させないといけないと思っていたのですが、人権団体はそうやって騒げば金になるのでどんなロクデナシでも無条件にかばいます。
  みんな、ならお前の身内やお前自身が被害者になれよと割りと思っていました。

  とはいえ、一部市民を敵に回すとあることないこと言ったり、選挙の際に大変なので、姫の追放の際には安全な竹型保護装置に入れて送り出すことにしました。
  この時点で市民の血税が無駄に使われた事は言うまでもありません。

  ◆

 とある辺境の寒村に暮らしていたうだつの上がらないお爺さんは、碌に働かないお婆さんに追い出される様に働きに出ました。
  正直この年で朝から働くのはキツいですが、ババアが怖いので働きます。
  するとお爺さんは見覚えのない竹やぶに出くわしました。

 「おかしい、こんな奇妙な木は見たことが無いぞ!?」

  しかもそのうちの一本が光っています。
  あからさまに怪しいとお爺さんは警戒しました。

  そうです、この竹こそかぐや姫を追放する為に使われた竹型保護装置です。
  ですが本来この地にはこの装置と同じ形状の竹やぶが無かったので、月の民が急遽人口竹の林を作り出したのです。
  自然環境を保護する為にこの人口竹は一週間で枯れ果てます。とてもエコロジー。

  ですが文明レベルの低い人間とは迷信を信じて怯えるもの。
  当然お爺さんはこの竹はヤベェと思い逃げ出そうとしました。
  怒り狂うババァも怖いが光る竹はもっと怖ぇ。

  その瞬間でした、逃げ出そうとしたお爺さんを逃すまいと、謎の光が竹から発せられました。

 「プギョル!?」

  変な悲鳴を上げたお爺さんが悶絶します。
  実はコレ、お爺さんの記憶をスキャンしてかぐや姫を託すにふさわしいかを調べていたのです。
  ちなみにこの記憶スキャンは本来犯罪者の犯行を証明する為の技術だったのですが、脛に傷を持つ自称人権派から著しい人権侵害だと猛反発を受けて使用を禁止された装置でした。
  なお、隣の惑星の住民は十分な知性を持たない導くべき劣った人種だという事で、使用を反対されませんでした。誰が反対しなかったのかは言うまでもありません。

  そしてお爺さんのスキャンが完了すると、光る竹が割れて中から無駄に可愛く保護欲を恐ろしくそそらせる赤ん坊が現れました。
  もちろんかぐや姫です。

 「うっはぁぁぁぁ! なんちゅう可愛い赤ん坊じゃあ! ババァとの間に生まれた息子達とは比べ物にならんわい!」

  お爺さんは田舎の見合い結婚だったので、仕方なくお婆さんと結婚した事を割と不満に思っていました。
  ですがいろいろなしがらみで逆らえなかったのでやむなく従いました。

 「よっし、この可愛い赤ん坊を儂の孫として……いややめよう」

  赤ん坊を連れ帰ろうと思ったお爺さんでしたが、現実的に考えてこの年で赤ん坊を育てるのは無理だと諦めました。
  あとつれて帰ったらババアに殺されると思ったのでやはり辞めました。

 「金も無いからのう、この子を育てるのは儂には無理じゃ」

  お爺さんは諦めて帰ろうとします。
  ですがそこで突然ジャラジャラと金属音がしたではないですか。
  お爺さんが何事かと驚いて後ろを振り向くと、なんとかぐや姫の下段の竹の筒から大量の永禄通宝が出てきたではないですか。
  ええ、例の人権団体が騒いだのでやむなくかぐや姫の養育費が用意されました。
  勿論コレも税金から出ています。
  小判じゃないのと言われそうですが、小判は金なので重いし出所を疑われる為に永楽通宝が採用されました。ちなみに月の技術で作られた精密な偽造貨幣です。
  偽造ですが本物よりもキレイなので文明レベルの低いこの星の住人にはバレないと判断されたのは言うまでもありません。

  お爺さんは大量の永楽通宝に狂喜しました。
  そんでとても老人とは思えない様子で全ての永楽通宝とかぐや姫を担いで家へと帰ってゆきました。総重量ざっと700kgでした。
  そして愛人との隠し子と勘違いしたお婆さんに正拳、肘撃ち、裏拳、回し蹴り、とび蹴り、みぞおち、水月への連打を食らってお爺さんは生死の境をさまよいました。

  ◆

 翌日、誤解を解いたお爺さんは近くの家からベビーシッターを雇ってかぐや姫を育てる事にしました。
  マジレスすると老夫婦に赤ん坊を育てるとかムリゲーですので。

  そして老夫婦は籠を呼んで温泉旅行に出かけました。
  なんでこんな人間をスキャン装置はかぐや姫を預けるのにふさわしいと思ったのか謎です。
  まぁ危険な犯罪者でなければ問題ないと判断されたのでしょう。

  こうしてかぐや姫はお爺さん達とは関係なく育てられる事になりました。
  ベビーシッターは娘を流行り病で亡くした女性だったので、とても愛情深く育てて貰いました。
  運が良かったといえるでしょう。不幸中の幸いとも言います。

  そして成長するに従い、かぐや姫のデタラメな可愛さにメロメロになった村の住人達に甘やかされて、彼女はやっぱりワガママに育ちました。
  でも純朴な田舎モノはワガママでも超絶可愛いかぐや姫をたいそう可愛がりました。
  お爺さん達は可愛がるけど教育にはノータッチです。
  かぐや姫はあっという間に村の男達の姫となりました。いうなればムラサーの姫です。

 「みんなー! 大好きよー!」

 「「「「「うぉぉぉぉぉぉ! かっぐやちゃぁぁぁん!!!」」」」」

  そしてそんなかぐや姫のうわさを聞きつけたロリコン達があちこちからやってきました。
  彼等はかぐや姫の美しさに速攻ノックアウトされ、我先にと彼女を引き取ろうとしました。

 「かぐやたんはぁはぁ」

  正直紫式部が悪いよ。

  ですがかぐや姫も人間、正直キモイので適当に思いついた厨二アイテムをでっちあげて持って来いと言い追い返しました。

 「伝説の桃の木の下で取れる光る黄金の桃を持ってきて頂戴! 18Kの純金製ね!」


  彼等が必死で存在しないアイテムを探すさまをかぐや姫は内心pgrしておりました。

  ですがそんなかぐや姫の前に、なんと都に住まわれる帝からのお声がかかったではありませんか。
  かぐや姫はよっしゃ玉の輿!と喜びましたが、実際にあったら好みじゃなかったのでガッカリしました。

 「珍の寵愛を受けるのじゃ」

  でも権力と金があるので妥協して、替わりに都の良い男をこっそり囲いました。

 「この世のいい男は私のモノよー」

 「「「「かっぐやちゃーん!!」」」」

  ですがその事はすぐに帝の側近の耳に入り、帝にバレる前に男達は処分されました。
  こうして都から良い男は居なくなり、かぐや姫は贅沢くらいしかする事がなくなりました。
  そうした理由もあって、都は重税にあえぐ人達で地獄絵図です。

  そんなある日、暇をもてあましているかぐや姫の下に月から刑期の終了を告げる通信が入りました。

 「お前ホンマ帰ってこいや」

  かぐや姫はよっしゃ退屈な都から出て行けるぜ! と喜びました。

  しかしこの連絡は、あまりにもかぐや姫に反省の色が無い上に、現地住民に迷惑をかけすぎると動物保護団体からのクレームが無視できなくなったのが原因だったのです。
  ルンルンで月に帰るわと言ったかぐや姫に対し、帝は絶対帰さない宣言をし、かぐや姫を監禁して月からの迎えを迎撃する構えを取りました。

  ですが月からの迎えは、監禁されたかぐや姫の救出の為、軍隊を派遣し特殊部隊でかぐや姫を救出後、高々度から制空権を確保して上空から爆撃、都を火の海にしました。

 「ターゲットを確保」

 「了解、これよりオペレーションを最終段階に移行する。即時離脱せよ」

 「了解」

  これが後の大火の怪神です。

  結局月はかぐや姫に反省の色なしと判断し、その美貌を二度と悪用できない様に鉄仮面をかぶせて生活する事を義務付けました。
  そしてその後子供達の間で、鉄仮面テッカメンごっこが流行ったのは言うまでもありません。

 「ふはははは! 美しかろう!」

  ですが仮面を付けられたかぐや姫は怒り狂いました。
  いつか仮面を外し月に復讐する事を決意した彼女は月を逃亡し、人権団体の協力を得て地球に潜伏したのです。
  そして月の技術力を使って彼女はとある暑い土地に仮面の王を頂く文化を築き、いつか子孫達が月を征服する技術力を手に入れるまでコールドスリープに入ったのです。
  その装置こそ、現代ではピラミッドと呼ばれる謎の建築物であり、いつかかぐや姫が復活した時に、人類はその事実を思い知るでしょう。

  新説竹取物語~かぐや姫と色ボケと利権団体~
 ~Fin~
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