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3巻
3-2
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「そうですね、重傷だった方でも明日には動けるようになります」
「たった一晩で!? おお……さすが聖女様の回復魔法は凄まじいですな」
相当深い傷だったのだろう。それが明日には動けるようになると聞いて、ジーサさんが目を丸くする。
そうなんだよな。最近はあまり強敵に出会ってなかったから忘れがちだけど、ミューラの回復魔法に助けられた事は一度や二度ではない。
彼女は教会の秘蔵っ子だけあって、回復魔法の能力が非常に高く、また魔力も普通の神官に比べて多い。
更に言うと、俺達と一緒に魔王討伐の旅をしていたおかげで、どれくらい回復させれば再び戦えるようになるかの見極めも上手くなっていた。
ホント、ミューラが回復役として同行してくれて助かったよ。
たとえ教会に打算があったとしても、彼らが勇者の仲間としてミューラを育ててくれた事には感謝しないといけない。ついでに、ミューラが自分の意志で腐敗した教会から俺の元に来ると決めたくらい、純粋無垢にしてくれた事にも感謝しておこう。
「傷の心配もないみたいですし、俺達は魔物退治に向かいますか」
◇
「前に出すぎるな! 負傷者は後退して傷の手当てを受けろ!」
ジーサさんの案内を受けて町の外に出ると、魔物と戦っている自警団の若者達が叫んでいた。
熊の魔物は大きく、周囲を自警団の団員達に囲まれているというのに、その姿がはっきりと見えるくらいだ。
その光景は二階建ての家が動き回っているかのようで、村人はもちろん冒険者や騎士上がりの自警団員ですら攻めあぐねている状況だった。
「うわっ、デカい癖に動きが速いな。あっ、人が飛んだ」
熊の魔物の攻撃を受けた自警団員が、鎧と盾を破壊されながら宙を舞う。
俺は即座に飛行魔法で団員達を飛び越え、吹き飛ばされた団員を受け止めた。
「う……うう……」
これは酷い。
団員の鎧は、ドワーフ職人達がいい意味で好き勝手に作った高品質な鎧だ。それにもかかわらず、紙くずのようにグチャグチャにひしゃげている。
後方に下がった俺は負傷した彼を地上に降ろすと、魔力強化した肉体の腕力でひしゃげて肉に食い込んだ鎧を引きはがし、回復魔法で血を止める。
「応急処置はした。後は後方のミューラに治療を頼む」
「分かりました!」
他の団員達が負傷した団員を運んで村へと戻っていく。
「後は俺がやる! 皆は下がって傷の治療に専念しろ!」
剣を抜いて前方に向かいながら叫ぶと、俺の命令を聞いた団員達が入れ違いに下がっていった。
巨大な熊の魔物が唸り声をあげる。
俺が出てきた事で警戒しているのだろう。となれば、知能もそれなりに高いのかもしれない。
「ふっ!」
俺は手にした剣を構えて魔物の足元へと飛び込んだ。
魔力で強化した俺の肉体は、一瞬で魔物の懐へと到着する。
熊の魔物が俺の姿を見失って周囲を見回している。どうやら巨体ゆえに、足元への注意がおろそかになっているようだ。
そして動体視力もそこまで良くはないと。
と、ようやく俺の居場所に気付いた熊の魔物が、足元へ目がけて前足で攻撃してくる。
俺はそれを紙一重で避けると、手にした剣を横薙ぎに一閃する。
すると、ボフッといった感触で剣が受け止められてしまった。
「なるほど。これはやりにくい」
熊がまた前足を振り上げてきたので、一旦下がって今度は炎の魔法で攻撃する。
「ファイアアロー! フレイムランス! フレイムピラー!」
威力の段階を踏んで、魔法を発動していく。
何故こんなまどろっこしい戦い方をしているのか。
それは単純な話で、俺がいない時でも魔物を倒せるように、敵の情報を収集する為だ。
俺は勇者として戦ってきた事で、常人をはるかに超える力を持っている。だから俺が本気で戦えば、この熊の魔物程度、指先一つでダウンである。
だが、それではいけない。俺がいない時でも、住人だけで倒せなければ意味がないからだ。
先ほどの剣での攻撃もそうだ。
さっき俺が使ったのは、いつも使っている偉大なる剣帝ではなく、村の自警団に配備されているドワーフ製の普通の剣である。
凄腕職人であるドワーフ達が作ったので、名剣と呼ぶにふさわしい逸品だが、それでも魔剣や聖剣といった代物と比べれば何ランクも落ちるのは否めない。
最後のフレイムピラーを喰らった熊の魔物が、悲鳴をあげる。
先の二つの魔法を喰らった時にはあげなかった悲鳴だ。
「ふむ、上級クラスの攻撃魔法なら通用するみたいだな」
とはいえ、上級クラスの攻撃魔法を使える魔法使いなんて、村にはそうそういない。
あくまでも自警団で倒せる戦い方を構築しないとな。
まぁ、村にいる教授達魔法使い組なら上級クラスの攻撃魔法が使えるが、彼等は自分達の研究が第一だから、研究に夢中になって手伝ってくれないだろうしなぁ。
気を取り直して、作戦を練り直そう。
自警団員の攻撃方法となると、剣や槍での攻撃、もしくは最大でも中級攻撃魔法だ。
さっき足を攻撃してみたものの毛に阻まれて攻撃が届かなかったので、物理攻撃は難しいかもしれない。またジーサさんの話では、魔法攻撃は多少通じたものの、あまり効果はないとの事だった。
動きを止めてから炎系の魔法の波状攻撃で時間をかけて仕留める、と言ったところが理想なんだが……
となると、シンプルな戦術で挑むべきかな。
「アースクラフト!!」
俺は土属性の非攻撃魔法で地面を揺らす。
俺を攻撃する為に向かってきた熊の魔物だったが、突然足元が波打って揺れ出したので、足を踏ん張って体を固定した。
よしよし、第一段階は成功だ。
そして第二段階。
俺の魔法が地面を更に揺らし、その形を変えていく。
地面は、驚く熊の魔物を覆って壁を作る。
いやそうではない。熊の魔物が地面に沈んでいっているのだ。
俺が使ったアースクラフトは、土の形を変える魔法。本来なら整地に使用する生活魔法である。
凹凸の激しい地域や山岳地帯でも簡単に地面をならす事ができるので便利な魔法だったが、長い戦いの歴史の間に失われてしまった遺失魔法でもある。
サリアから教わったこの魔法で、俺は熊の魔物を地面に沈めた訳だ。
そう、即席の落とし穴として。
熊の魔物はみるみる地面深くに沈んでいき、登ろうにも穴が深く狭くて上手く登れないでいた。
「よし。後は攻撃魔法で熊の魔物を攻撃するだけだ!」
魔法を使える自警団員がすぐさまやって来て、一斉に魔法を放っていく。
一発一発は大した威力にならなくても、回避も反撃もできない状況ではどうしようもない。
熊の魔物はしばらくの間、自警団からの魔法攻撃に耐えていたが、遂に力尽きて地の底に倒れ伏した。
「おぉぉぉぉぉぉっ!!」
先ほどまで苦戦をしていた熊の魔物を自分達の力で倒したとあって、団員達の喜びは大きかった。
「何とか倒せましたね」
俺のつぶやきに、ジーサさんがうんうんと頷く。
「これもトウヤさんのおかげですな。我々だけではここまでスムーズに討伐方法を考えつきませんでした」
こんな事も思いつかないなんて異世界人脳筋すぎだろうと思うかもしれないが、人間の固定観念とはそういうものなのだ。今までこうだと教えられていたなら、それが一番良い方法だと、疑いも持たずに信じ続けてしまうのである。
こういう凝り固まった考えが浸透している集団の意識を変える場合、上の人間から変わらないといけない。だからこそ、圧倒的な戦闘力を持つ俺が先頭に立ち、団員達でもこの極寒の地の魔物達と渡り合える戦い方を示したのだ。
「サリアから戦いに使えそうな生活魔法を教えてもらいましょう。戦場を自分達に有利な形に作り変えるこの魔法は、他の魔物との戦いでも使えます」
アースクラフトは、敵の足場を悪くするだけでなく、味方の足場を良くする事にも使える。
例えば、地面を盛り上げて即席の高台を作って、上から一方的に攻撃する事もできるのだ。
生活魔法だから制御は攻撃魔法ほど難しくないし、消費魔力も少なく済む。
団員達の補助戦力としては非常に都合が良かった。
「承知しました、トウヤさん。魔物の素材を回収しましたら、傷の軽い者からサリア様に教えを乞うように伝えます」
ジーサさんとの軽い打ち合わせを終えた俺は、屋敷へと踵を返した。
ちなみに、この熊の魔物の効率的な倒し方が考案され、毛皮や肉といった素材がイナカイマの特産物となるのは、もう少し後の話である。
◇
「あら、お帰りなさい」
屋敷に戻ってくると、リビングに一人残っていたエアリアが椅子に座ったまま出迎えてくれる。
「エアリアだけか?」
「ええ、サリアは生活魔法の講義に、ミューラは各村の住人の心のケアに行ってるわ」
「心のケア?」
なんかあったのか?
「彼等は元々住んでいた土地から引っ越してきたでしょ? そういう人達って、精神的に不安定になりやすいみたいなのよ。この村は他の村に比べてかなり発展してるから生活は楽だけど、それでもストレスは溜まるみたいよ」
はー、なるほどねー。長い事異世界で旅をしてたから、そこら辺の感覚マヒしてるわ。確かに旅行から帰ってきた日の晩って解放された気分になるもんなー。慣れない環境にいるっていうのは、それだけでストレスなんだろう。
「そういう意味でも、ミューラに来てもらったのは正解って訳か」
「そうね」
エアリアが無言で俺にお茶を差し出してくる。
うん、こういうやり取りってなんか熟年夫婦っぽくて良いな。悪くない。
何となくくすぐったい感じだったので、お茶を受け取るついでに礼を言う。
「ありがと」
「どういたしまして」
だが、くすぐったいのはエアリアも同じだったらしく、彼女もまた少し茶化したような口ぶりで返してきた。
「逆召喚魔法については何か分かったか?」
間を持たせる為に、父親の「最近学校はどうだ?」みたいな感じで聞いてしまう。
「あんまり進んでないわね。今はトウヤの世界を探すよりも、繋がった世界と長時間で回廊を繋げる為の研究をしてるわ。せっかくトウヤの世界に繋がっても、すぐに切れたら意味ないもの。そして一度繋がりが切れた世界にもう一度繋ぎなおせる保証もないしね」
なるほど、エアリア達の研究は新しい段階に入っているって訳だ。
「後はどこに繋がるかの詳細が分からないのも問題だわ。安全な世界でも、火山の中や海の中に繋がったら危険だし、どこに繋がるかをこちらの意思で決める事ができると、もっと研究が進むんだけどねぇ」
そう言って、グッタリとテーブルの上に頭を寝かせるエアリア。
どうやらそうとう行き詰まっているみたいだ。
「ちょっと、息抜きしないか?」
「息抜き?」
俺の提案に興味を持ったらしく、エアリアが姿勢を戻す。
「ああ、ミナミッカ群島にでも行って、海水浴とかどうだ? あそこなら国の追手にも見つからないしな」
ついでに避難村の視察もできるし。
「ミナミッカ……」
しかし何故か、エアリアは乗り気でない。
「嫌なのか?」
「……嫌というか……」
なんか煮え切らない感じだ。
「アンタ、あそこの長のサザンカに手を出したでしょう」
いきなりストライクボールを叩き込まれた。
「え、いや、まぁその……」
なんでバレたし?
「やっぱりね」
しまった、カマかけられた。
エアリアが溜め息を吐く。
「その様子だと、村の女の子にも手を出したでしょう。もしかして全員かしら?」
馬鹿な!? 何故そこまで分かる!?
「何故って顔してるわね。分かるに決まってるでしょ。アンタ、あそこの村に行った時、『キツネ耳っ娘キター!!』って叫んだじゃない。なんか獣人の女の子に対して、妙に興奮してたのも覚えてるわよ」
Oh……
「しかも向こうもソレを察したのか……悪い気分じゃないみたいだったしさ」
「ん? 何か言ったか?」
声が小さくて聞こえなかったが、大抵こういうのは嫉妬してる時だよな。俺はそこまで鈍い男じゃねーぜ! 察しは良いんだ!
「べ、別に何でもないわよ」
うむ、やはりこういう反応になるか。
俺は椅子から立ち上がると、エアリアの隣に座って彼女の腰に手を回して抱き寄せる。
「え? な、何?」
「いや、何となくエアリアを抱きしめたくなったのさ……嫌か?」
「……嫌じゃないけど」
エアリアは抱きしめてからのキスを喜ぶところがある。
なので今は、ご機嫌斜めになったエアリアを喜ばせる為に、たっぷり抱きしめてやろう。
優しく抱きしめ、腰に手を回したまま髪を撫でてやる。
「んっ……」
エアリアが猫のようにうっとりと目を細めながら、俺のなすがままに髪を撫でられる。
なんとか機嫌を良くしてくれたみたいだ。
後はこのまましばらく撫でたら、流れでミナミッカ群島へ連れていく事にしよう。
「じー……」
「じー……」
と、その時、窓の外からこちらをじっと見つめるミューラとサリアの姿が目に入った。
……どうやら、後でこの二人も抱きしめないといけないみたいだ。
第二話 勇者、南の島でバカンスする
「よく来たなトウヤ!」
ミナミッカ群島の獣娘達の村にやって来ると、長であるサザンカが出迎えてくれた。
「おお、今日はエアリアにミューラもいるのか! この間会ったのは、確かシルファリアだったな。むっ? 新しいつがいも連れてきたみたいだな!」
マシンガントークなうえに、ストレートな単語で正解するのはやめていただきたい。
「サ、サリアです。よろしくお願いします」
「サザンカだ。トウヤのつがい同士、仲良くしようじゃないか」
「は、はい。よろしくお願いします」
なんだかサリアがサザンカに押されてるな。
こういうグイグイ押してくるタイプは苦手なんだろうか?
「今日は、息抜きに遊びに来たんだ」
「「「「おおーーーーっ!!」」」」
俺の言葉に反応して、そこら中で獣娘達が歓声をあげる。
「じゃー遊びに行こー!」
「一緒に狩りしよー!」
「一緒に寝よー!」
「つがいになろー!」
獣娘達が殺到してくる。
ふふふ、モフモフの娘さん達にモフられるのは最高の気分だぜ。
「……おのれトウヤぁ~!」
なんか殺気を感じると思ったら、見知った顔がこっちを睨んでるじゃないか。
俺を睨んでいたのは、ミナミッカ群島の避難村の開拓に従事していた魔法使い、ジャックだった。
アイツはケモナーだったから、このミナミッカ群島はパラダイスだと言っていた筈なのだが……何故そんな憎々しげな目で俺を見てくるんだ?
「……せっかくの獣人娘パラダイスだったのに! 何故お前ばかりそんなにモテるんだ! どの子もお前のつがいになりたいと言って、俺の事は相手にもしてくれん!!」
知らんがな……と切って捨てようにも、思い当たるところがありすぎるのでそっとしておこう。
間違っても、この島の女の子の大半が俺の女になってる、なんて残酷な真実を伝える訳にはいかない。バレたら間違いなく命を狙われる。
「おお、そういえばジャックはトウヤの知り合いだったな。アイツは困ったらいろいろと手伝ってくれるから便利だぞ。まぁ体が弱いのか、すぐ鼻血を出すからつがいには向かんがな」
むごい。むしろ鼻血が出るのは健康な男の子の証なんだが……人間の生理現象に疎いケモ娘達にとって、ジャックはつがいに向かない男認定されてしまっていた。いと憐れなり。
「しかし良いタイミングで来たな」
と、サザンカが話題を変えてくる。
「何かあったのか?」
俺の問いかけに、サザンカがニヤリと笑みを浮かべる。
「お前、言っていただろう? 帝国の使者を紹介してほしいと」
その話か!
「ってことは、来たのか!」
「ああ。数日前に来た。今は他の島の長達に挨拶をしに行っているところだ。まぁ、連中には無駄足になるだろうがな」
と、サザンカが意味深な事を言う。
挨拶が無駄足になる?
「どういう事だ?」
「何だ、気付かないのか?」
サザンカがニヤニヤと笑っているのはどういう事だろう?
帝国は以前サザンカ達獣娘に攻撃してきた訳だしな、そこら辺の確執が影響するって事だろうか?
「また……」
「またですね」
「ここでもなんですね」
「まぁ予想できた」
なにやらエアリア、ミューラ、サリア、シルファリアには理解できたらしい。
「サザンカ、意地悪しないで教えてくれないか?」
「ふふふ、まぁ良いだろう」
サザンカが機嫌良さそうに俺に近づいてくる。
そして、キスをしてしまいそうなほどまで顔を近づけると、サザンカは俺を情熱的に抱きしめた。
「このミナミッカで権力を持つ者は、全員お前のつがいになっているからな。そしてミナミッカの方針を決める際の最高決定権を持つ俺のつがいにして、この村の主であるお前の許可なく、勝手に帝国と交易を結ぶ者はいないという事だ」
「な、何ぃぃぃぃぃ!?」
俺がサザンカとつがいになっていたと知って、ジャックが半狂乱になって口から泡を飛ばしながら叫んでいる。このまま倒れそうな勢いだ。
「サ、サザンカちゃんがトウヤのモノだ……と……? そ、それに他の長の子達まで……?」
ヤバイヤバイ、顔が真っ赤になってるし。血管が切れて本気で憤死とかしねぇかなアイツ。
っていうか、隠そうと思った事が速攻バレちまったわ。
「だから、帝国の連中がここに戻ってくるまで気楽に待っていると良い。皆、お前と遊ぶ事を心待ちにしていたからな!」
「「「トウヤ遊ぼー!!」」」
再び獣娘達が群がってくる。
まぁ元々そのつもりで来た訳だし、それはそれで構わないか。
「分かった、それじゃあ皆で遊ぼうか!」
「「「おおー!!」」」
「エアリア達も行こう」
「しょうがないわねぇ」
「しょうがないですよねぇ」
「本当にしょうがないです」
「しょうがない奴だ」
溜め息を吐きながら、エアリア達が同意の声をあげる。
っていうか、エアリア達の反応が微妙なんだが。
「良いわよ。ここに行くと聞いた時から、こうなるのは大体分かってたから」
何か先読みされてた。
「ふはは! お前もようやくトウヤのつがいになれたみたいだな! 良かったじゃないか! 正直いつつがいになるのかとハラハラしていたぞ」
「うっさい! 大きなお世話よ!」
エアリアとサザンカが、アニメの猫と鼠のように仲良く喧嘩している。
「さーて、次は誰がトウヤの子を産むかの競争だな!」
「絶対負けないんだから!」
「ははは、いい気迫だ!」
何やら俺を無視して勝負の内容が決まってしまった模様である。
というか、その話題は俺が困る。何というか、うむ……
「たった一晩で!? おお……さすが聖女様の回復魔法は凄まじいですな」
相当深い傷だったのだろう。それが明日には動けるようになると聞いて、ジーサさんが目を丸くする。
そうなんだよな。最近はあまり強敵に出会ってなかったから忘れがちだけど、ミューラの回復魔法に助けられた事は一度や二度ではない。
彼女は教会の秘蔵っ子だけあって、回復魔法の能力が非常に高く、また魔力も普通の神官に比べて多い。
更に言うと、俺達と一緒に魔王討伐の旅をしていたおかげで、どれくらい回復させれば再び戦えるようになるかの見極めも上手くなっていた。
ホント、ミューラが回復役として同行してくれて助かったよ。
たとえ教会に打算があったとしても、彼らが勇者の仲間としてミューラを育ててくれた事には感謝しないといけない。ついでに、ミューラが自分の意志で腐敗した教会から俺の元に来ると決めたくらい、純粋無垢にしてくれた事にも感謝しておこう。
「傷の心配もないみたいですし、俺達は魔物退治に向かいますか」
◇
「前に出すぎるな! 負傷者は後退して傷の手当てを受けろ!」
ジーサさんの案内を受けて町の外に出ると、魔物と戦っている自警団の若者達が叫んでいた。
熊の魔物は大きく、周囲を自警団の団員達に囲まれているというのに、その姿がはっきりと見えるくらいだ。
その光景は二階建ての家が動き回っているかのようで、村人はもちろん冒険者や騎士上がりの自警団員ですら攻めあぐねている状況だった。
「うわっ、デカい癖に動きが速いな。あっ、人が飛んだ」
熊の魔物の攻撃を受けた自警団員が、鎧と盾を破壊されながら宙を舞う。
俺は即座に飛行魔法で団員達を飛び越え、吹き飛ばされた団員を受け止めた。
「う……うう……」
これは酷い。
団員の鎧は、ドワーフ職人達がいい意味で好き勝手に作った高品質な鎧だ。それにもかかわらず、紙くずのようにグチャグチャにひしゃげている。
後方に下がった俺は負傷した彼を地上に降ろすと、魔力強化した肉体の腕力でひしゃげて肉に食い込んだ鎧を引きはがし、回復魔法で血を止める。
「応急処置はした。後は後方のミューラに治療を頼む」
「分かりました!」
他の団員達が負傷した団員を運んで村へと戻っていく。
「後は俺がやる! 皆は下がって傷の治療に専念しろ!」
剣を抜いて前方に向かいながら叫ぶと、俺の命令を聞いた団員達が入れ違いに下がっていった。
巨大な熊の魔物が唸り声をあげる。
俺が出てきた事で警戒しているのだろう。となれば、知能もそれなりに高いのかもしれない。
「ふっ!」
俺は手にした剣を構えて魔物の足元へと飛び込んだ。
魔力で強化した俺の肉体は、一瞬で魔物の懐へと到着する。
熊の魔物が俺の姿を見失って周囲を見回している。どうやら巨体ゆえに、足元への注意がおろそかになっているようだ。
そして動体視力もそこまで良くはないと。
と、ようやく俺の居場所に気付いた熊の魔物が、足元へ目がけて前足で攻撃してくる。
俺はそれを紙一重で避けると、手にした剣を横薙ぎに一閃する。
すると、ボフッといった感触で剣が受け止められてしまった。
「なるほど。これはやりにくい」
熊がまた前足を振り上げてきたので、一旦下がって今度は炎の魔法で攻撃する。
「ファイアアロー! フレイムランス! フレイムピラー!」
威力の段階を踏んで、魔法を発動していく。
何故こんなまどろっこしい戦い方をしているのか。
それは単純な話で、俺がいない時でも魔物を倒せるように、敵の情報を収集する為だ。
俺は勇者として戦ってきた事で、常人をはるかに超える力を持っている。だから俺が本気で戦えば、この熊の魔物程度、指先一つでダウンである。
だが、それではいけない。俺がいない時でも、住人だけで倒せなければ意味がないからだ。
先ほどの剣での攻撃もそうだ。
さっき俺が使ったのは、いつも使っている偉大なる剣帝ではなく、村の自警団に配備されているドワーフ製の普通の剣である。
凄腕職人であるドワーフ達が作ったので、名剣と呼ぶにふさわしい逸品だが、それでも魔剣や聖剣といった代物と比べれば何ランクも落ちるのは否めない。
最後のフレイムピラーを喰らった熊の魔物が、悲鳴をあげる。
先の二つの魔法を喰らった時にはあげなかった悲鳴だ。
「ふむ、上級クラスの攻撃魔法なら通用するみたいだな」
とはいえ、上級クラスの攻撃魔法を使える魔法使いなんて、村にはそうそういない。
あくまでも自警団で倒せる戦い方を構築しないとな。
まぁ、村にいる教授達魔法使い組なら上級クラスの攻撃魔法が使えるが、彼等は自分達の研究が第一だから、研究に夢中になって手伝ってくれないだろうしなぁ。
気を取り直して、作戦を練り直そう。
自警団員の攻撃方法となると、剣や槍での攻撃、もしくは最大でも中級攻撃魔法だ。
さっき足を攻撃してみたものの毛に阻まれて攻撃が届かなかったので、物理攻撃は難しいかもしれない。またジーサさんの話では、魔法攻撃は多少通じたものの、あまり効果はないとの事だった。
動きを止めてから炎系の魔法の波状攻撃で時間をかけて仕留める、と言ったところが理想なんだが……
となると、シンプルな戦術で挑むべきかな。
「アースクラフト!!」
俺は土属性の非攻撃魔法で地面を揺らす。
俺を攻撃する為に向かってきた熊の魔物だったが、突然足元が波打って揺れ出したので、足を踏ん張って体を固定した。
よしよし、第一段階は成功だ。
そして第二段階。
俺の魔法が地面を更に揺らし、その形を変えていく。
地面は、驚く熊の魔物を覆って壁を作る。
いやそうではない。熊の魔物が地面に沈んでいっているのだ。
俺が使ったアースクラフトは、土の形を変える魔法。本来なら整地に使用する生活魔法である。
凹凸の激しい地域や山岳地帯でも簡単に地面をならす事ができるので便利な魔法だったが、長い戦いの歴史の間に失われてしまった遺失魔法でもある。
サリアから教わったこの魔法で、俺は熊の魔物を地面に沈めた訳だ。
そう、即席の落とし穴として。
熊の魔物はみるみる地面深くに沈んでいき、登ろうにも穴が深く狭くて上手く登れないでいた。
「よし。後は攻撃魔法で熊の魔物を攻撃するだけだ!」
魔法を使える自警団員がすぐさまやって来て、一斉に魔法を放っていく。
一発一発は大した威力にならなくても、回避も反撃もできない状況ではどうしようもない。
熊の魔物はしばらくの間、自警団からの魔法攻撃に耐えていたが、遂に力尽きて地の底に倒れ伏した。
「おぉぉぉぉぉぉっ!!」
先ほどまで苦戦をしていた熊の魔物を自分達の力で倒したとあって、団員達の喜びは大きかった。
「何とか倒せましたね」
俺のつぶやきに、ジーサさんがうんうんと頷く。
「これもトウヤさんのおかげですな。我々だけではここまでスムーズに討伐方法を考えつきませんでした」
こんな事も思いつかないなんて異世界人脳筋すぎだろうと思うかもしれないが、人間の固定観念とはそういうものなのだ。今までこうだと教えられていたなら、それが一番良い方法だと、疑いも持たずに信じ続けてしまうのである。
こういう凝り固まった考えが浸透している集団の意識を変える場合、上の人間から変わらないといけない。だからこそ、圧倒的な戦闘力を持つ俺が先頭に立ち、団員達でもこの極寒の地の魔物達と渡り合える戦い方を示したのだ。
「サリアから戦いに使えそうな生活魔法を教えてもらいましょう。戦場を自分達に有利な形に作り変えるこの魔法は、他の魔物との戦いでも使えます」
アースクラフトは、敵の足場を悪くするだけでなく、味方の足場を良くする事にも使える。
例えば、地面を盛り上げて即席の高台を作って、上から一方的に攻撃する事もできるのだ。
生活魔法だから制御は攻撃魔法ほど難しくないし、消費魔力も少なく済む。
団員達の補助戦力としては非常に都合が良かった。
「承知しました、トウヤさん。魔物の素材を回収しましたら、傷の軽い者からサリア様に教えを乞うように伝えます」
ジーサさんとの軽い打ち合わせを終えた俺は、屋敷へと踵を返した。
ちなみに、この熊の魔物の効率的な倒し方が考案され、毛皮や肉といった素材がイナカイマの特産物となるのは、もう少し後の話である。
◇
「あら、お帰りなさい」
屋敷に戻ってくると、リビングに一人残っていたエアリアが椅子に座ったまま出迎えてくれる。
「エアリアだけか?」
「ええ、サリアは生活魔法の講義に、ミューラは各村の住人の心のケアに行ってるわ」
「心のケア?」
なんかあったのか?
「彼等は元々住んでいた土地から引っ越してきたでしょ? そういう人達って、精神的に不安定になりやすいみたいなのよ。この村は他の村に比べてかなり発展してるから生活は楽だけど、それでもストレスは溜まるみたいよ」
はー、なるほどねー。長い事異世界で旅をしてたから、そこら辺の感覚マヒしてるわ。確かに旅行から帰ってきた日の晩って解放された気分になるもんなー。慣れない環境にいるっていうのは、それだけでストレスなんだろう。
「そういう意味でも、ミューラに来てもらったのは正解って訳か」
「そうね」
エアリアが無言で俺にお茶を差し出してくる。
うん、こういうやり取りってなんか熟年夫婦っぽくて良いな。悪くない。
何となくくすぐったい感じだったので、お茶を受け取るついでに礼を言う。
「ありがと」
「どういたしまして」
だが、くすぐったいのはエアリアも同じだったらしく、彼女もまた少し茶化したような口ぶりで返してきた。
「逆召喚魔法については何か分かったか?」
間を持たせる為に、父親の「最近学校はどうだ?」みたいな感じで聞いてしまう。
「あんまり進んでないわね。今はトウヤの世界を探すよりも、繋がった世界と長時間で回廊を繋げる為の研究をしてるわ。せっかくトウヤの世界に繋がっても、すぐに切れたら意味ないもの。そして一度繋がりが切れた世界にもう一度繋ぎなおせる保証もないしね」
なるほど、エアリア達の研究は新しい段階に入っているって訳だ。
「後はどこに繋がるかの詳細が分からないのも問題だわ。安全な世界でも、火山の中や海の中に繋がったら危険だし、どこに繋がるかをこちらの意思で決める事ができると、もっと研究が進むんだけどねぇ」
そう言って、グッタリとテーブルの上に頭を寝かせるエアリア。
どうやらそうとう行き詰まっているみたいだ。
「ちょっと、息抜きしないか?」
「息抜き?」
俺の提案に興味を持ったらしく、エアリアが姿勢を戻す。
「ああ、ミナミッカ群島にでも行って、海水浴とかどうだ? あそこなら国の追手にも見つからないしな」
ついでに避難村の視察もできるし。
「ミナミッカ……」
しかし何故か、エアリアは乗り気でない。
「嫌なのか?」
「……嫌というか……」
なんか煮え切らない感じだ。
「アンタ、あそこの長のサザンカに手を出したでしょう」
いきなりストライクボールを叩き込まれた。
「え、いや、まぁその……」
なんでバレたし?
「やっぱりね」
しまった、カマかけられた。
エアリアが溜め息を吐く。
「その様子だと、村の女の子にも手を出したでしょう。もしかして全員かしら?」
馬鹿な!? 何故そこまで分かる!?
「何故って顔してるわね。分かるに決まってるでしょ。アンタ、あそこの村に行った時、『キツネ耳っ娘キター!!』って叫んだじゃない。なんか獣人の女の子に対して、妙に興奮してたのも覚えてるわよ」
Oh……
「しかも向こうもソレを察したのか……悪い気分じゃないみたいだったしさ」
「ん? 何か言ったか?」
声が小さくて聞こえなかったが、大抵こういうのは嫉妬してる時だよな。俺はそこまで鈍い男じゃねーぜ! 察しは良いんだ!
「べ、別に何でもないわよ」
うむ、やはりこういう反応になるか。
俺は椅子から立ち上がると、エアリアの隣に座って彼女の腰に手を回して抱き寄せる。
「え? な、何?」
「いや、何となくエアリアを抱きしめたくなったのさ……嫌か?」
「……嫌じゃないけど」
エアリアは抱きしめてからのキスを喜ぶところがある。
なので今は、ご機嫌斜めになったエアリアを喜ばせる為に、たっぷり抱きしめてやろう。
優しく抱きしめ、腰に手を回したまま髪を撫でてやる。
「んっ……」
エアリアが猫のようにうっとりと目を細めながら、俺のなすがままに髪を撫でられる。
なんとか機嫌を良くしてくれたみたいだ。
後はこのまましばらく撫でたら、流れでミナミッカ群島へ連れていく事にしよう。
「じー……」
「じー……」
と、その時、窓の外からこちらをじっと見つめるミューラとサリアの姿が目に入った。
……どうやら、後でこの二人も抱きしめないといけないみたいだ。
第二話 勇者、南の島でバカンスする
「よく来たなトウヤ!」
ミナミッカ群島の獣娘達の村にやって来ると、長であるサザンカが出迎えてくれた。
「おお、今日はエアリアにミューラもいるのか! この間会ったのは、確かシルファリアだったな。むっ? 新しいつがいも連れてきたみたいだな!」
マシンガントークなうえに、ストレートな単語で正解するのはやめていただきたい。
「サ、サリアです。よろしくお願いします」
「サザンカだ。トウヤのつがい同士、仲良くしようじゃないか」
「は、はい。よろしくお願いします」
なんだかサリアがサザンカに押されてるな。
こういうグイグイ押してくるタイプは苦手なんだろうか?
「今日は、息抜きに遊びに来たんだ」
「「「「おおーーーーっ!!」」」」
俺の言葉に反応して、そこら中で獣娘達が歓声をあげる。
「じゃー遊びに行こー!」
「一緒に狩りしよー!」
「一緒に寝よー!」
「つがいになろー!」
獣娘達が殺到してくる。
ふふふ、モフモフの娘さん達にモフられるのは最高の気分だぜ。
「……おのれトウヤぁ~!」
なんか殺気を感じると思ったら、見知った顔がこっちを睨んでるじゃないか。
俺を睨んでいたのは、ミナミッカ群島の避難村の開拓に従事していた魔法使い、ジャックだった。
アイツはケモナーだったから、このミナミッカ群島はパラダイスだと言っていた筈なのだが……何故そんな憎々しげな目で俺を見てくるんだ?
「……せっかくの獣人娘パラダイスだったのに! 何故お前ばかりそんなにモテるんだ! どの子もお前のつがいになりたいと言って、俺の事は相手にもしてくれん!!」
知らんがな……と切って捨てようにも、思い当たるところがありすぎるのでそっとしておこう。
間違っても、この島の女の子の大半が俺の女になってる、なんて残酷な真実を伝える訳にはいかない。バレたら間違いなく命を狙われる。
「おお、そういえばジャックはトウヤの知り合いだったな。アイツは困ったらいろいろと手伝ってくれるから便利だぞ。まぁ体が弱いのか、すぐ鼻血を出すからつがいには向かんがな」
むごい。むしろ鼻血が出るのは健康な男の子の証なんだが……人間の生理現象に疎いケモ娘達にとって、ジャックはつがいに向かない男認定されてしまっていた。いと憐れなり。
「しかし良いタイミングで来たな」
と、サザンカが話題を変えてくる。
「何かあったのか?」
俺の問いかけに、サザンカがニヤリと笑みを浮かべる。
「お前、言っていただろう? 帝国の使者を紹介してほしいと」
その話か!
「ってことは、来たのか!」
「ああ。数日前に来た。今は他の島の長達に挨拶をしに行っているところだ。まぁ、連中には無駄足になるだろうがな」
と、サザンカが意味深な事を言う。
挨拶が無駄足になる?
「どういう事だ?」
「何だ、気付かないのか?」
サザンカがニヤニヤと笑っているのはどういう事だろう?
帝国は以前サザンカ達獣娘に攻撃してきた訳だしな、そこら辺の確執が影響するって事だろうか?
「また……」
「またですね」
「ここでもなんですね」
「まぁ予想できた」
なにやらエアリア、ミューラ、サリア、シルファリアには理解できたらしい。
「サザンカ、意地悪しないで教えてくれないか?」
「ふふふ、まぁ良いだろう」
サザンカが機嫌良さそうに俺に近づいてくる。
そして、キスをしてしまいそうなほどまで顔を近づけると、サザンカは俺を情熱的に抱きしめた。
「このミナミッカで権力を持つ者は、全員お前のつがいになっているからな。そしてミナミッカの方針を決める際の最高決定権を持つ俺のつがいにして、この村の主であるお前の許可なく、勝手に帝国と交易を結ぶ者はいないという事だ」
「な、何ぃぃぃぃぃ!?」
俺がサザンカとつがいになっていたと知って、ジャックが半狂乱になって口から泡を飛ばしながら叫んでいる。このまま倒れそうな勢いだ。
「サ、サザンカちゃんがトウヤのモノだ……と……? そ、それに他の長の子達まで……?」
ヤバイヤバイ、顔が真っ赤になってるし。血管が切れて本気で憤死とかしねぇかなアイツ。
っていうか、隠そうと思った事が速攻バレちまったわ。
「だから、帝国の連中がここに戻ってくるまで気楽に待っていると良い。皆、お前と遊ぶ事を心待ちにしていたからな!」
「「「トウヤ遊ぼー!!」」」
再び獣娘達が群がってくる。
まぁ元々そのつもりで来た訳だし、それはそれで構わないか。
「分かった、それじゃあ皆で遊ぼうか!」
「「「おおー!!」」」
「エアリア達も行こう」
「しょうがないわねぇ」
「しょうがないですよねぇ」
「本当にしょうがないです」
「しょうがない奴だ」
溜め息を吐きながら、エアリア達が同意の声をあげる。
っていうか、エアリア達の反応が微妙なんだが。
「良いわよ。ここに行くと聞いた時から、こうなるのは大体分かってたから」
何か先読みされてた。
「ふはは! お前もようやくトウヤのつがいになれたみたいだな! 良かったじゃないか! 正直いつつがいになるのかとハラハラしていたぞ」
「うっさい! 大きなお世話よ!」
エアリアとサザンカが、アニメの猫と鼠のように仲良く喧嘩している。
「さーて、次は誰がトウヤの子を産むかの競争だな!」
「絶対負けないんだから!」
「ははは、いい気迫だ!」
何やら俺を無視して勝負の内容が決まってしまった模様である。
というか、その話題は俺が困る。何というか、うむ……
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