67 / 68
65 再会
しおりを挟む
心配していた追撃もなく、私たちは無事に旧ハイド領の港に帰る事が出来ました。
きっとそれどころではないほどの混乱ぶりなのでしょう。
港には国王陛下の手配で応急医師団が待機しており、エヴァン様はすぐに運ばれていきました。
私たちも二日ほど検査入院をして、それぞれの日常に戻って行く予定です。
エヴァン様の術後経過も思っていたより良好で、ノース国の医師の技術の高さにはイーリス国医師団も驚いているようでした。
ベック副所長や調査員達は、ワンド地質調査研究所に戻って行きました。
ジョアンは副所長に駆け寄って、握手を交わして再会を約束しています。
エヴァン様を乗せた救護馬車に私も同乗して王都へ向かう予定ですが、アランとマリア様のことを放置するわけにもいきません。
ジョアンとエスメラルダはアンナお姉さま達に任せて、私たちは継承問題が落ち着くまでこの地に残ることになりました。
「よく無事で帰って来てくれた。エヴァン卿もローゼリア嬢も」
「叔父様、ご心配をおかけしました。まだまだ時間はかかりそうですが、ノース国との関係もきっと改善すると思います」
私とエヴァン様はハイド家に宿泊することになりましたが、アランとマリア様は港町に宿をとりました。
叔父様が絶対にアラン達を受け入れないと頑なな態度を崩さなかったためです。
気持ちはわかりますし、私に遠慮もしているのでしょうが。
「エヴァン様、どうしましょう」
案内された部屋に落ち付いた私たちは、アラン達の事を話しました。
「まあ、もろ手を挙げて迎えられても思うところはあっただろうけれど、ここまで拒絶するとは予想外だったよ。ハイド伯爵夫妻としては相当な覚悟だったのだろうね」
「そうですね。しかしあそこまでとは思わなかったわ」
平民夫婦としてハイド伯爵夫妻に挨拶したアラン夫婦でしたが、ハイド伯爵夫人はアランの顔を見るなり蹲って泣きはじめ、伯爵は真っ赤な顔でアランの胸倉を掴んだのです。
マリア様が止めに入りましたが、アランがそれを制して成すがままになっていました。
「まずは伯爵の説得からかしら」
「う~ん。すぐには無理だろうね。それよりアランの行動が大切だ。港湾の荷役業務からさせてみようか。その姿を見れば多少は伯爵も考えを改めるかもしれないよ」
「そこから?随分遠回りな気もするけど」
「遠回りに見えるけど、急がば回れって事もあるからね。アランの雇用権は君が持っているんだ。なんせ領主様だし」
「そうなの?そうか…私って領主様なのね?実感が湧かないわ」
「このポテンシャルの高い大領地の領主様、私はそろそろお腹が空いた」
「あらあら、すぐに軽食を準備しますね。夕食もあるから少しだけよ?」
「うん。クラッカーかビスケットで良いよ。ローゼリアと一緒なら何でも御馳走だ」
相変わらずエヴァン様は天然のタラシのようです。
厨房へ行こうとドアを開けたら、ハイド伯爵夫妻が立っていました。
私はすぐに部屋に招き入れて、メイドに軽食と紅茶の準備を頼みました。
「すみません、まだ動けなくて。このまま横になっています」
「もちろんです。せっかくゆっくりされているところを押しかけてしまって申し訳ありません」
ハイド伯爵が頭を下げました。
「どうされましたか?」
エヴァン様が促します。
「アランの事です…」
「私たちの提案はお気に召しませんか?」
「とてもありがたいお話だとは思うのですが、はいそうですかと受け入れるにはあまりも申し訳無くて…でもやはり一人息子でしたから、妻の心労を考えると…迷っています」
「そうですか。奥様のご心痛を考えると確かに大変でしょうね。しかしアランはそこまでの罪を犯したのでしょうか?」
「娘同様のローゼリアを蔑ろにして、私たちを救ってくれた親友ベックの願いを無下にしたことは許せる事ではありません」
エヴァン様が私の顔を見ました。
私は小さく頷いて口を開きます。
「叔父様、私は今とても幸せです。エヴァン様と夫婦になってこの先もずっと一緒に暮らせるのですから。もちろんアランとあのまま結婚していても幸せだったかもしれません。でもどちらの方が私にとってより幸福なのかなんて誰にもわからない事だと思うのです。確かに父と叔父様の約束は反故になりました。でもそれは私やアランが背負う話では無いと思うのです」
「ローゼリア…」
「確かにアランは約束を破りました。でも、そんなたった一度の我儘で人生を棒に振るほどでしょうか?やり直すチャンスは無いのでしょうか?私としては彼の能力をこのまま捨ててしまう方が罪深いと思うのです」
「アランの能力?」
「ええ、客観的に見てもアランという存在はこのハイド港の強みです。原因は何であれ、ワイドル国とのつながりも持っているし、奥様であるマリア様の人脈も見逃せませんよ。ノース国の言語も使えて、この地に詳しい人材となると…他に適任者はいないと思うのです。もしもそれでも決心がつかないとおっしゃるなら、私が領主権限を発動しちゃいますよ?」
「適任者ですか」
「ええ、私はアランと幼馴染ですから肩を持っているのかもしれません。もちろんここの代官としてもっと適任だという人材を叔父様が連れてきてくださったら再考します」
「なるほど…確かに他にはいませんね。しかしローゼリアはそれで良いのかい?」
「ええ、私情を挟んで有能な人材を蔑ろにするほどバカではないですよ?」
「ありがとう。ローゼリア…本当にありがとう」
「叔父様、一つだけ条件をつけさせてください。どうかマリア様を迎え入れてあげてください。彼女も今回のことでとても苦労し、いろいろな経験をされました。ですから偏見を持たずに、一人息子が連れてきた可愛い嫁として接してあげて欲しいのです」
「君は…いや君たちは…本当にそれでよろしいのですか?エヴァン様も?」
「もちろんです」
「ありがとうございます。妻と話し合ってみます」
ハイド伯爵は何度も頭を下げながら部屋を出て行きました。
「親って大変だね」
「ええ本当に」
「でもローゼリアももうすぐ親になるんだよ?」
「え?」
「なんならすぐにでも協力できるけど?」
私はエヴァン様の言いたいことを理解して真っ赤になってしまいました。
次の日にアランとマリア様を呼んで、ハイド伯爵との話を伝えました。
アランは手を握りしめて俯き、マリア様はじっと歯を食いしばっていました。
「ローゼリア、いやワンド伯爵様。僕はもともと文官です。はっきり言って力仕事に自信はありません。でも…いいえ、だからこそ港湾荷役から始めようと思います。一から学んで事務方となった時に、何を優先すべきかを間違えない人間になれるよう努力します。そしてマリアには港で働く人たちの子供を預かる保育仕事をと考えています」
マリア様も続けて口を開きました。
「私は我儘で傲慢な女でした。望むものは何でも手に入るし、手に入らなければ奪えばよいという考え方をしていたのです。それは姉上にも何度も注意されてきたことです。そしてそんな性格を矯正するために、ノース国に向かう前の半年ほど、孤児院で勉強を教えるという奉仕活動に従事させられました。最初はやれと言われたからやっていただけでしたが、子供たちと触れ合ううちに、自分の心が洗われてくるような気持ちに慣れたのです。できれば続けたいと思います」
「そうですか。それはとても良いことですね。私も少し特徴の強い子供たちを相手にする仕事をしていましたが、何より楽しいと思える毎日でした。ですからお気持ちは良く分かります。親たちにとっても子供を安心して預けられる環境があるのはとても良いと思います。そうだ!無料にしましょう。保育というより託児という考えで公営にするのはどうかしら」
「ありがとうございます。それとローゼリア様、私はもう平民ですしあなた様の領民となる身です。どうぞマリアと呼び捨ててくださいませ」
「そっ…それは…」
エヴァン様が私の手を握って言いました。
「そうだね、その方が二人の立場も良くなるよ。領主に敬語で話される平民って…虐められたら大変だ。だからそこは割り切ってあげなさい」
「はい…わかりました。ではアラン、そしてマリア。後はハイド伯爵とよく相談して、ワイド伯爵領の発展のために全力を尽くしてください」
「「心よりお仕えいたします」」
二人は手をつないで退出しました。
学生の頃はマリア殿下の押しに負けたアランの弱さが悲しいと思っていましたが、男と女なんて切っ掛けはそんなものなのかもしれません。
後はどう育んでいくかですよね?
それから数日後にはエヴァン様の抜糸も終えて、王都へ帰ることになりました。
店に戻ったヤマーダさんが送別会をしてくれました。
王都に戻ったらカーティス皇太子一行も到着しているはずですから、とても忙しくなりそうです。
見送ってくれたハイド伯爵夫妻の横で、穏やかに手を振るアラン夫妻。
その後ろで微笑んでくれるタナーカさんとヤマーダさん。
研究所のベック副所長もミンツ研究員と一緒に来てくれました。
間違いなく私の中の一つの時代が終わったのです。
「ローゼリア?大丈夫?」
「はい、エヴァン。帰りましょう」
私たちはエヴァンの状態を見ながら、通常の行程の倍近い日数をかけて、ゆっくりと王都に帰りました。
きっとそれどころではないほどの混乱ぶりなのでしょう。
港には国王陛下の手配で応急医師団が待機しており、エヴァン様はすぐに運ばれていきました。
私たちも二日ほど検査入院をして、それぞれの日常に戻って行く予定です。
エヴァン様の術後経過も思っていたより良好で、ノース国の医師の技術の高さにはイーリス国医師団も驚いているようでした。
ベック副所長や調査員達は、ワンド地質調査研究所に戻って行きました。
ジョアンは副所長に駆け寄って、握手を交わして再会を約束しています。
エヴァン様を乗せた救護馬車に私も同乗して王都へ向かう予定ですが、アランとマリア様のことを放置するわけにもいきません。
ジョアンとエスメラルダはアンナお姉さま達に任せて、私たちは継承問題が落ち着くまでこの地に残ることになりました。
「よく無事で帰って来てくれた。エヴァン卿もローゼリア嬢も」
「叔父様、ご心配をおかけしました。まだまだ時間はかかりそうですが、ノース国との関係もきっと改善すると思います」
私とエヴァン様はハイド家に宿泊することになりましたが、アランとマリア様は港町に宿をとりました。
叔父様が絶対にアラン達を受け入れないと頑なな態度を崩さなかったためです。
気持ちはわかりますし、私に遠慮もしているのでしょうが。
「エヴァン様、どうしましょう」
案内された部屋に落ち付いた私たちは、アラン達の事を話しました。
「まあ、もろ手を挙げて迎えられても思うところはあっただろうけれど、ここまで拒絶するとは予想外だったよ。ハイド伯爵夫妻としては相当な覚悟だったのだろうね」
「そうですね。しかしあそこまでとは思わなかったわ」
平民夫婦としてハイド伯爵夫妻に挨拶したアラン夫婦でしたが、ハイド伯爵夫人はアランの顔を見るなり蹲って泣きはじめ、伯爵は真っ赤な顔でアランの胸倉を掴んだのです。
マリア様が止めに入りましたが、アランがそれを制して成すがままになっていました。
「まずは伯爵の説得からかしら」
「う~ん。すぐには無理だろうね。それよりアランの行動が大切だ。港湾の荷役業務からさせてみようか。その姿を見れば多少は伯爵も考えを改めるかもしれないよ」
「そこから?随分遠回りな気もするけど」
「遠回りに見えるけど、急がば回れって事もあるからね。アランの雇用権は君が持っているんだ。なんせ領主様だし」
「そうなの?そうか…私って領主様なのね?実感が湧かないわ」
「このポテンシャルの高い大領地の領主様、私はそろそろお腹が空いた」
「あらあら、すぐに軽食を準備しますね。夕食もあるから少しだけよ?」
「うん。クラッカーかビスケットで良いよ。ローゼリアと一緒なら何でも御馳走だ」
相変わらずエヴァン様は天然のタラシのようです。
厨房へ行こうとドアを開けたら、ハイド伯爵夫妻が立っていました。
私はすぐに部屋に招き入れて、メイドに軽食と紅茶の準備を頼みました。
「すみません、まだ動けなくて。このまま横になっています」
「もちろんです。せっかくゆっくりされているところを押しかけてしまって申し訳ありません」
ハイド伯爵が頭を下げました。
「どうされましたか?」
エヴァン様が促します。
「アランの事です…」
「私たちの提案はお気に召しませんか?」
「とてもありがたいお話だとは思うのですが、はいそうですかと受け入れるにはあまりも申し訳無くて…でもやはり一人息子でしたから、妻の心労を考えると…迷っています」
「そうですか。奥様のご心痛を考えると確かに大変でしょうね。しかしアランはそこまでの罪を犯したのでしょうか?」
「娘同様のローゼリアを蔑ろにして、私たちを救ってくれた親友ベックの願いを無下にしたことは許せる事ではありません」
エヴァン様が私の顔を見ました。
私は小さく頷いて口を開きます。
「叔父様、私は今とても幸せです。エヴァン様と夫婦になってこの先もずっと一緒に暮らせるのですから。もちろんアランとあのまま結婚していても幸せだったかもしれません。でもどちらの方が私にとってより幸福なのかなんて誰にもわからない事だと思うのです。確かに父と叔父様の約束は反故になりました。でもそれは私やアランが背負う話では無いと思うのです」
「ローゼリア…」
「確かにアランは約束を破りました。でも、そんなたった一度の我儘で人生を棒に振るほどでしょうか?やり直すチャンスは無いのでしょうか?私としては彼の能力をこのまま捨ててしまう方が罪深いと思うのです」
「アランの能力?」
「ええ、客観的に見てもアランという存在はこのハイド港の強みです。原因は何であれ、ワイドル国とのつながりも持っているし、奥様であるマリア様の人脈も見逃せませんよ。ノース国の言語も使えて、この地に詳しい人材となると…他に適任者はいないと思うのです。もしもそれでも決心がつかないとおっしゃるなら、私が領主権限を発動しちゃいますよ?」
「適任者ですか」
「ええ、私はアランと幼馴染ですから肩を持っているのかもしれません。もちろんここの代官としてもっと適任だという人材を叔父様が連れてきてくださったら再考します」
「なるほど…確かに他にはいませんね。しかしローゼリアはそれで良いのかい?」
「ええ、私情を挟んで有能な人材を蔑ろにするほどバカではないですよ?」
「ありがとう。ローゼリア…本当にありがとう」
「叔父様、一つだけ条件をつけさせてください。どうかマリア様を迎え入れてあげてください。彼女も今回のことでとても苦労し、いろいろな経験をされました。ですから偏見を持たずに、一人息子が連れてきた可愛い嫁として接してあげて欲しいのです」
「君は…いや君たちは…本当にそれでよろしいのですか?エヴァン様も?」
「もちろんです」
「ありがとうございます。妻と話し合ってみます」
ハイド伯爵は何度も頭を下げながら部屋を出て行きました。
「親って大変だね」
「ええ本当に」
「でもローゼリアももうすぐ親になるんだよ?」
「え?」
「なんならすぐにでも協力できるけど?」
私はエヴァン様の言いたいことを理解して真っ赤になってしまいました。
次の日にアランとマリア様を呼んで、ハイド伯爵との話を伝えました。
アランは手を握りしめて俯き、マリア様はじっと歯を食いしばっていました。
「ローゼリア、いやワンド伯爵様。僕はもともと文官です。はっきり言って力仕事に自信はありません。でも…いいえ、だからこそ港湾荷役から始めようと思います。一から学んで事務方となった時に、何を優先すべきかを間違えない人間になれるよう努力します。そしてマリアには港で働く人たちの子供を預かる保育仕事をと考えています」
マリア様も続けて口を開きました。
「私は我儘で傲慢な女でした。望むものは何でも手に入るし、手に入らなければ奪えばよいという考え方をしていたのです。それは姉上にも何度も注意されてきたことです。そしてそんな性格を矯正するために、ノース国に向かう前の半年ほど、孤児院で勉強を教えるという奉仕活動に従事させられました。最初はやれと言われたからやっていただけでしたが、子供たちと触れ合ううちに、自分の心が洗われてくるような気持ちに慣れたのです。できれば続けたいと思います」
「そうですか。それはとても良いことですね。私も少し特徴の強い子供たちを相手にする仕事をしていましたが、何より楽しいと思える毎日でした。ですからお気持ちは良く分かります。親たちにとっても子供を安心して預けられる環境があるのはとても良いと思います。そうだ!無料にしましょう。保育というより託児という考えで公営にするのはどうかしら」
「ありがとうございます。それとローゼリア様、私はもう平民ですしあなた様の領民となる身です。どうぞマリアと呼び捨ててくださいませ」
「そっ…それは…」
エヴァン様が私の手を握って言いました。
「そうだね、その方が二人の立場も良くなるよ。領主に敬語で話される平民って…虐められたら大変だ。だからそこは割り切ってあげなさい」
「はい…わかりました。ではアラン、そしてマリア。後はハイド伯爵とよく相談して、ワイド伯爵領の発展のために全力を尽くしてください」
「「心よりお仕えいたします」」
二人は手をつないで退出しました。
学生の頃はマリア殿下の押しに負けたアランの弱さが悲しいと思っていましたが、男と女なんて切っ掛けはそんなものなのかもしれません。
後はどう育んでいくかですよね?
それから数日後にはエヴァン様の抜糸も終えて、王都へ帰ることになりました。
店に戻ったヤマーダさんが送別会をしてくれました。
王都に戻ったらカーティス皇太子一行も到着しているはずですから、とても忙しくなりそうです。
見送ってくれたハイド伯爵夫妻の横で、穏やかに手を振るアラン夫妻。
その後ろで微笑んでくれるタナーカさんとヤマーダさん。
研究所のベック副所長もミンツ研究員と一緒に来てくれました。
間違いなく私の中の一つの時代が終わったのです。
「ローゼリア?大丈夫?」
「はい、エヴァン。帰りましょう」
私たちはエヴァンの状態を見ながら、通常の行程の倍近い日数をかけて、ゆっくりと王都に帰りました。
39
お気に入りに追加
533
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約者に忘れられていた私
稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」
「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」
私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。
エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。
ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。
私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。
あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?
まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?
誰?
あれ?
せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?
もうあなたなんてポイよポイッ。
※ゆる~い設定です。
※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。
※視点が一話一話変わる場面もあります。
【完結】おまえを愛することはない、そう言う夫ですが私もあなたを、全くホントにこれっぽっちも愛せません。
やまぐちこはる
恋愛
エリーシャは夫となったアレンソアにおまえを愛することはないと言われた。
こどもの頃から婚約していたが、嫌いな相手だったのだ。お互いに。
3万文字ほどの作品です。
よろしくお願いします。
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ゼラニウムの花束をあなたに
ごろごろみかん。
恋愛
リリネリア・ブライシフィックは八歳のあの日に死んだ。死んだこととされたのだ。リリネリアであった彼女はあの絶望を忘れはしない。
じわじわと壊れていったリリネリアはある日、自身の元婚約者だった王太子レジナルド・リームヴと再会した。
レジナルドは少し前に隣国の王女を娶ったと聞く。だけどもうリリネリアには何も関係の無い話だ。何もかもがどうでもいい。リリネリアは何も期待していない。誰にも、何にも。
二人は知らない。
国王夫妻と公爵夫妻が、良かれと思ってしたことがリリネリアを追い詰めたことに。レジナルドを絶望させたことを、彼らは知らない。
彼らが偶然再会したのは運命のいたずらなのか、ただ単純に偶然なのか。だけどリリネリアは何一つ望んでいなかったし、レジナルドは何一つ知らなかった。ただそれだけなのである。
※タイトル変更しました
アマレッタの第二の人生
ごろごろみかん。
恋愛
『僕らは、恋をするんだ。お互いに』
彼がそう言ったから。
アマレッタは彼に恋をした。厳しい王太子妃教育にも耐え、誰もが認める妃になろうと励んだ。
だけどある日、婚約者に呼び出されて言われた言葉は、彼女の想像を裏切るものだった。
「きみは第二妃となって、エミリアを支えてやって欲しい」
その瞬間、アマレッタは思い出した。
この世界が、恋愛小説の世界であること。
そこで彼女は、悪役として処刑されてしまうこと──。
アマレッタの恋心を、彼は利用しようと言うのだ。誰からの理解も得られず、深い裏切りを受けた彼女は、国を出ることにした。
悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる
冬野月子
恋愛
「私は確かに19歳で死んだの」
謎の声に導かれ馬車の事故から兄弟を守った10歳のヴェロニカは、その時に負った傷痕を理由に王太子から婚約破棄される。
けれど彼女には嫉妬から破滅し短い生涯を終えた前世の記憶があった。
なぜか死に戻ったヴェロニカは前世での過ちを繰り返さないことを望むが、婚約破棄したはずの王太子が積極的に親しくなろうとしてくる。
そして学校で再会した、馬車の事故で助けた少年は、前世で不幸な死に方をした青年だった。
恋や友情すら知らなかったヴェロニカが、前世では関わることのなかった人々との出会いや関わりの中で新たな道を進んでいく中、前世に嫉妬で殺そうとまでしたアリサが入学してきた。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる