41 / 68
39 愛する人を助けたい
しおりを挟む
エヴァン様の名前を口にした私の横にジョアンがぴったりと身を寄せました。
「エヴァンは奴らの馬車に乗せられて、私たちは後を追った。途中で馬を休ませる度にノースの第二王子のもとに行って抗議し続けた。すると奴がポロっと漏らしたんだ」
「なんと言ったのですか?」
「マリア新皇太子妃に絶対に傷ひとつつけるなと言われているから、そこは安心してほしいと」
「マリア!マリア王女ですか」
「そう、我が国に留学してきて君の婚約者を横取りしたあの女だ。私の双子の弟の義妹だね。今ではイース国の皇太子妃だ」
「なぜ…」
私は呆然としてしまいました。
「私はすぐにワイドル国のルーカスに密書を送った。私たちがイース国の宮殿に到着した翌日にはルーカス本人が来たよ。当然私たちは揃って猛抗議した。イース国の国王は私たちに会おうとはしなかった。出てきたのは皇太子だ。この皇太子というのがなかなかの曲者でね、好戦的なんだ」
サミュエルが私に新しい紅茶を勧めてくれました。
「でもルーカスが気を利かせてワイドル国の軍隊を動かしていた。国境沿いまで進軍させて待機させていたんだ。それを知った皇太子は話し合いに応じたんだが、マリア妃がエヴァンとの不貞を認めたの一点張りでね」
「そんなバカな」
「もちろん誰も信じてはいない。言った本人もね。ノース国の現皇太子は第一王子だけど、地盤は弱いんだ。素行の悪さから廃嫡の噂があり、後釜は第三王子と言われている。とても優秀で穏やかな人格なんだが、母親がワイドル国の侯爵家出身の第二側妃なんだ。その側妃の伝手でマリアは嫁ぐことになったのだけれど、そのマリアがやらかしてくれたら、推薦した側妃とその息子である第三王子のメンツは丸つぶれだろ?マリアは皇太子レースの足の引っ張り合いに利用されただけだ。ただ、マリア本人が認めているというのが腑に落ちない」
「そうですよね。自分も危険なはずです」
「でも余裕の笑みを浮かべていやがった。何か裏取引があるのだろう。そこまでは分かるがなぜエヴァンだったのかが分からない。不貞相手なんてどうとでもなるだろう?」
私は膝の上で拳を握りました。
「しかもあの女の証言が笑えるほど具体的なんだ。留学していた時にエヴァンから誘われて恋仲になった。しかし私の側近であるエヴァンのスキャンダルを恐れた官僚のコモンが、アランという駒を用意して、二人が付き合っているように見せかけて周りの目を逸らし、マリアとエヴァンは秘密裏に恋を育んだのだそうだ。誰が渡したのかは分からないが、エヴァンが学園に頻繫に赴いていた記録もあった。私も確認したが、本物の入館記録の写しだったよ。このコモンという奴は昨年事故で亡くなっている」
亡くなった人の名前を利用したのか、本当に関係していたのかは闇の中です。
まさか私を心配して、エヴァン様が時間を作って学園に来てくれていた時の入館記録が利用されたとは驚きました。
カーティス皇太子はすっかり冷めた紅茶を一口飲んで続けます。
「卒業して帰国するとき、アランを同行したのは隠れ蓑になる報酬だったからだ。親に無理やり結ばされていた婚約者からどうしても逃げたかったという設定だ。ほとぼりが冷めるまでエヴァンはアランの元婚約者と婚約を結ぶ。婚約がダメになった令嬢の弱みにつけ込めるからだとさ。数年結婚を先延ばしにした後、外交官としてエヴァンはワイドル国に入国し、二人はめでたく結婚する約束だったという流れだ。それが急にノース国に嫁ぐことになって、マリアを失ってしまうと焦ったエヴァンは、結婚式に参列する私に随行し、どさくさに紛れてマリアと逃げるという、まあなんともご都合主義で杜撰なストーリーだ」
「なんですか?それ」
「なんだろうね」
私たちは全員で大きな溜息を吐きました。
「そんなバカな話を誰が信じるのですか?」
「誰も信じてなんかいないよ。だからこそ質が悪いんだ。いっそ信じてくれているならいくらでも否定の証拠はだせるし、説得もできる。でも誰も信じていない話はひっくり返しようがない」
「いったい誰が得をするのですか?」
「まずノース国の国王は、とんでもない不良物件である王女を送り込んだという理由で、ワイドル国に宣戦布告する口実が手に入る。といっても国王は生きてはいるが病床に伏しているから実質は現皇太子だな。その皇太子は戦争を起こすことで廃嫡の噂を払拭し、ライバルである第三王子を蹴落とすことができる。第二王子は第一王子の言いなりだ。新皇太子妃のマリアは不貞を理由に離縁され、無事に平民となることを望んでいる。もちろん相当な金を貰ってね。結局のところアランとは切れていないのかもしれないね」
「みなさん自分のことばかりですね。そのことで周りがどれほど迷惑を被るかなど関係ないのかしら」
「そうだね、そこに気が回るようならこんな下らないことしないだろう。しかし、なぜエヴァンなんだ?」
「きっと私のせいです」
「それは?エヴァンから聞いたあの一件のこと?」
「ええ、エヴァン様は私がアランを追い詰めたことを怒っているのでしょう。庇って下さったエヴァン様に恥をかかされたと考えているのではないでしょうか」
「なるほどね。確かにアランを連れて帰ったマリア王女は相当やられたらしいから、その恨みも君たちに向けられたんだろうか」
「君たち?」
「うん、ノース国側は、そんなに思い合っている二人なら娶わせるという温情を示すそうだ。だからエヴァンの婚約を白紙にしろと言ってきたんだよ。そんな茶番でワイドル国に恩を売れると思っているんだろうが、リサーチが足りないよ。ワイドル国の女王は本物の王族だ。何の躊躇いもなくマリアを切り捨てるだろう」
私はひゅっと息を吞みました。
「拒否したら?」
「エヴァンという駒は不要になったと考えるのじゃないかな」
私はまた目の前が暗くなってしまいましたが、ここで倒れるわけにはいきません。
ぐっと唇を嚙みしめると、口の中に鉄の味がしました。
「マリアは恐らくアランと合流した時点で、エヴァンの命を奪うつもりだろう。だが絶対にエヴァンは無事に奪還する。気を確かに持ってくれ、ローゼリア」
私は頷くこともできず、ただ唇を嚙みしめるしかありませんでした。
「ワイドル国と連携を取りながら作戦を立てるが、カギとなるのはアランだと考えている。サミュエルによると、アランは君に詰られた日を境に、マリアに対して消極的な態度をとるようになったらしい。今更自分のやらかしたことに気づいて気持ちが萎えたのかもしれないが、だとしたら本物のヘタレだな。しかもマリアはアランに凄まじいほど執着しているし」
「アランが鍵になる?」
「そうなると思う」
「私にできることはありますか?」
「うん。あるけど言いにくい」
「エヴァン様のためなら何でもやります」
「そう?じゃあ言うけど私を恨んでくれてもいいよ」
そう言うと皇太子殿下は座りなおしてコホンと咳ばらいをしました。
「とりあえずエヴァンとの婚約を白紙にして欲しい。一旦は奴らの策略に乗ったふりをする必要があるんだ。ローゼリアは一年くらい領地に引き籠ってゆっくりしなよ。もしマリアの言うことが本当だったら君が一番辛い思いをすることになる。はっきり言うけど、その可能性は限りなく低いがゼロではない」
私は体の力が抜けてしまい、座っているのも辛いほどでした。
隣でジョアンが小さな体で一生懸命支えようとしてくれます。
〈ローゼリア!しっかりしろ!今すぐに返事をする必要はないんだ。おい!泣くな!〉
頭の中でサミュエル殿下の声が響きます。
私は心も頭もぐちゃぐちゃで、ただ泣くことしかできませんでした。
皇太子の言った婚約白紙の件は、エヴァン様を救うための方便だと分かっているのに、全ては仮説の上で成り立っている話です。
でも私にできることは唯一つなのでしょう。
「わかりました。ドイル伯爵ご夫妻と面会を希望します」
私はまっすぐに皇太子殿下を見つめて言いました。
「エヴァンは奴らの馬車に乗せられて、私たちは後を追った。途中で馬を休ませる度にノースの第二王子のもとに行って抗議し続けた。すると奴がポロっと漏らしたんだ」
「なんと言ったのですか?」
「マリア新皇太子妃に絶対に傷ひとつつけるなと言われているから、そこは安心してほしいと」
「マリア!マリア王女ですか」
「そう、我が国に留学してきて君の婚約者を横取りしたあの女だ。私の双子の弟の義妹だね。今ではイース国の皇太子妃だ」
「なぜ…」
私は呆然としてしまいました。
「私はすぐにワイドル国のルーカスに密書を送った。私たちがイース国の宮殿に到着した翌日にはルーカス本人が来たよ。当然私たちは揃って猛抗議した。イース国の国王は私たちに会おうとはしなかった。出てきたのは皇太子だ。この皇太子というのがなかなかの曲者でね、好戦的なんだ」
サミュエルが私に新しい紅茶を勧めてくれました。
「でもルーカスが気を利かせてワイドル国の軍隊を動かしていた。国境沿いまで進軍させて待機させていたんだ。それを知った皇太子は話し合いに応じたんだが、マリア妃がエヴァンとの不貞を認めたの一点張りでね」
「そんなバカな」
「もちろん誰も信じてはいない。言った本人もね。ノース国の現皇太子は第一王子だけど、地盤は弱いんだ。素行の悪さから廃嫡の噂があり、後釜は第三王子と言われている。とても優秀で穏やかな人格なんだが、母親がワイドル国の侯爵家出身の第二側妃なんだ。その側妃の伝手でマリアは嫁ぐことになったのだけれど、そのマリアがやらかしてくれたら、推薦した側妃とその息子である第三王子のメンツは丸つぶれだろ?マリアは皇太子レースの足の引っ張り合いに利用されただけだ。ただ、マリア本人が認めているというのが腑に落ちない」
「そうですよね。自分も危険なはずです」
「でも余裕の笑みを浮かべていやがった。何か裏取引があるのだろう。そこまでは分かるがなぜエヴァンだったのかが分からない。不貞相手なんてどうとでもなるだろう?」
私は膝の上で拳を握りました。
「しかもあの女の証言が笑えるほど具体的なんだ。留学していた時にエヴァンから誘われて恋仲になった。しかし私の側近であるエヴァンのスキャンダルを恐れた官僚のコモンが、アランという駒を用意して、二人が付き合っているように見せかけて周りの目を逸らし、マリアとエヴァンは秘密裏に恋を育んだのだそうだ。誰が渡したのかは分からないが、エヴァンが学園に頻繫に赴いていた記録もあった。私も確認したが、本物の入館記録の写しだったよ。このコモンという奴は昨年事故で亡くなっている」
亡くなった人の名前を利用したのか、本当に関係していたのかは闇の中です。
まさか私を心配して、エヴァン様が時間を作って学園に来てくれていた時の入館記録が利用されたとは驚きました。
カーティス皇太子はすっかり冷めた紅茶を一口飲んで続けます。
「卒業して帰国するとき、アランを同行したのは隠れ蓑になる報酬だったからだ。親に無理やり結ばされていた婚約者からどうしても逃げたかったという設定だ。ほとぼりが冷めるまでエヴァンはアランの元婚約者と婚約を結ぶ。婚約がダメになった令嬢の弱みにつけ込めるからだとさ。数年結婚を先延ばしにした後、外交官としてエヴァンはワイドル国に入国し、二人はめでたく結婚する約束だったという流れだ。それが急にノース国に嫁ぐことになって、マリアを失ってしまうと焦ったエヴァンは、結婚式に参列する私に随行し、どさくさに紛れてマリアと逃げるという、まあなんともご都合主義で杜撰なストーリーだ」
「なんですか?それ」
「なんだろうね」
私たちは全員で大きな溜息を吐きました。
「そんなバカな話を誰が信じるのですか?」
「誰も信じてなんかいないよ。だからこそ質が悪いんだ。いっそ信じてくれているならいくらでも否定の証拠はだせるし、説得もできる。でも誰も信じていない話はひっくり返しようがない」
「いったい誰が得をするのですか?」
「まずノース国の国王は、とんでもない不良物件である王女を送り込んだという理由で、ワイドル国に宣戦布告する口実が手に入る。といっても国王は生きてはいるが病床に伏しているから実質は現皇太子だな。その皇太子は戦争を起こすことで廃嫡の噂を払拭し、ライバルである第三王子を蹴落とすことができる。第二王子は第一王子の言いなりだ。新皇太子妃のマリアは不貞を理由に離縁され、無事に平民となることを望んでいる。もちろん相当な金を貰ってね。結局のところアランとは切れていないのかもしれないね」
「みなさん自分のことばかりですね。そのことで周りがどれほど迷惑を被るかなど関係ないのかしら」
「そうだね、そこに気が回るようならこんな下らないことしないだろう。しかし、なぜエヴァンなんだ?」
「きっと私のせいです」
「それは?エヴァンから聞いたあの一件のこと?」
「ええ、エヴァン様は私がアランを追い詰めたことを怒っているのでしょう。庇って下さったエヴァン様に恥をかかされたと考えているのではないでしょうか」
「なるほどね。確かにアランを連れて帰ったマリア王女は相当やられたらしいから、その恨みも君たちに向けられたんだろうか」
「君たち?」
「うん、ノース国側は、そんなに思い合っている二人なら娶わせるという温情を示すそうだ。だからエヴァンの婚約を白紙にしろと言ってきたんだよ。そんな茶番でワイドル国に恩を売れると思っているんだろうが、リサーチが足りないよ。ワイドル国の女王は本物の王族だ。何の躊躇いもなくマリアを切り捨てるだろう」
私はひゅっと息を吞みました。
「拒否したら?」
「エヴァンという駒は不要になったと考えるのじゃないかな」
私はまた目の前が暗くなってしまいましたが、ここで倒れるわけにはいきません。
ぐっと唇を嚙みしめると、口の中に鉄の味がしました。
「マリアは恐らくアランと合流した時点で、エヴァンの命を奪うつもりだろう。だが絶対にエヴァンは無事に奪還する。気を確かに持ってくれ、ローゼリア」
私は頷くこともできず、ただ唇を嚙みしめるしかありませんでした。
「ワイドル国と連携を取りながら作戦を立てるが、カギとなるのはアランだと考えている。サミュエルによると、アランは君に詰られた日を境に、マリアに対して消極的な態度をとるようになったらしい。今更自分のやらかしたことに気づいて気持ちが萎えたのかもしれないが、だとしたら本物のヘタレだな。しかもマリアはアランに凄まじいほど執着しているし」
「アランが鍵になる?」
「そうなると思う」
「私にできることはありますか?」
「うん。あるけど言いにくい」
「エヴァン様のためなら何でもやります」
「そう?じゃあ言うけど私を恨んでくれてもいいよ」
そう言うと皇太子殿下は座りなおしてコホンと咳ばらいをしました。
「とりあえずエヴァンとの婚約を白紙にして欲しい。一旦は奴らの策略に乗ったふりをする必要があるんだ。ローゼリアは一年くらい領地に引き籠ってゆっくりしなよ。もしマリアの言うことが本当だったら君が一番辛い思いをすることになる。はっきり言うけど、その可能性は限りなく低いがゼロではない」
私は体の力が抜けてしまい、座っているのも辛いほどでした。
隣でジョアンが小さな体で一生懸命支えようとしてくれます。
〈ローゼリア!しっかりしろ!今すぐに返事をする必要はないんだ。おい!泣くな!〉
頭の中でサミュエル殿下の声が響きます。
私は心も頭もぐちゃぐちゃで、ただ泣くことしかできませんでした。
皇太子の言った婚約白紙の件は、エヴァン様を救うための方便だと分かっているのに、全ては仮説の上で成り立っている話です。
でも私にできることは唯一つなのでしょう。
「わかりました。ドイル伯爵ご夫妻と面会を希望します」
私はまっすぐに皇太子殿下を見つめて言いました。
25
お気に入りに追加
533
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約者に忘れられていた私
稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」
「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」
私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。
エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。
ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。
私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。
あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?
まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?
誰?
あれ?
せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?
もうあなたなんてポイよポイッ。
※ゆる~い設定です。
※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。
※視点が一話一話変わる場面もあります。
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
【完結】おまえを愛することはない、そう言う夫ですが私もあなたを、全くホントにこれっぽっちも愛せません。
やまぐちこはる
恋愛
エリーシャは夫となったアレンソアにおまえを愛することはないと言われた。
こどもの頃から婚約していたが、嫌いな相手だったのだ。お互いに。
3万文字ほどの作品です。
よろしくお願いします。
アマレッタの第二の人生
ごろごろみかん。
恋愛
『僕らは、恋をするんだ。お互いに』
彼がそう言ったから。
アマレッタは彼に恋をした。厳しい王太子妃教育にも耐え、誰もが認める妃になろうと励んだ。
だけどある日、婚約者に呼び出されて言われた言葉は、彼女の想像を裏切るものだった。
「きみは第二妃となって、エミリアを支えてやって欲しい」
その瞬間、アマレッタは思い出した。
この世界が、恋愛小説の世界であること。
そこで彼女は、悪役として処刑されてしまうこと──。
アマレッタの恋心を、彼は利用しようと言うのだ。誰からの理解も得られず、深い裏切りを受けた彼女は、国を出ることにした。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
断罪された公爵令嬢に手を差し伸べたのは、私の婚約者でした
カレイ
恋愛
子爵令嬢に陥れられ第二王子から婚約破棄を告げられたアンジェリカ公爵令嬢。第二王子が断罪しようとするも、証拠を突きつけて見事彼女の冤罪を晴らす男が現れた。男は公爵令嬢に跪き……
「この機会絶対に逃しません。ずっと前から貴方をお慕いしていましたんです。私と婚約して下さい!」
ええっ!あなた私の婚約者ですよね!?
悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる
冬野月子
恋愛
「私は確かに19歳で死んだの」
謎の声に導かれ馬車の事故から兄弟を守った10歳のヴェロニカは、その時に負った傷痕を理由に王太子から婚約破棄される。
けれど彼女には嫉妬から破滅し短い生涯を終えた前世の記憶があった。
なぜか死に戻ったヴェロニカは前世での過ちを繰り返さないことを望むが、婚約破棄したはずの王太子が積極的に親しくなろうとしてくる。
そして学校で再会した、馬車の事故で助けた少年は、前世で不幸な死に方をした青年だった。
恋や友情すら知らなかったヴェロニカが、前世では関わることのなかった人々との出会いや関わりの中で新たな道を進んでいく中、前世に嫉妬で殺そうとまでしたアリサが入学してきた。
【完結】偽物と呼ばれた公爵令嬢は正真正銘の本物でした~私は不要とのことなのでこの国から出ていきます~
Na20
恋愛
私は孤児院からノスタルク公爵家に引き取られ養子となったが家族と認められることはなかった。
婚約者である王太子殿下からも蔑ろにされておりただただ良いように使われるだけの毎日。
そんな日々でも唯一の希望があった。
「必ず迎えに行く!」
大好きだった友達との約束だけが私の心の支えだった。だけどそれも八年も前の約束。
私はこれからも変わらない日々を送っていくのだろうと諦め始めていた。
そんな時にやってきた留学生が大好きだった友達に似ていて…
※設定はゆるいです
※小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる