10 / 38
6月29日土曜日【はるか】
しおりを挟む
正直に言ってくださってありがとうございました。
胸のつかえがとれました。
わたしが命の恩人に向かって「気味悪いストーカー」なんて思うわけ無いでしょ?
実はあなたに会ってからずっと、誰かに見守られているような感じはしていたのです。
わたしもシックスセンスがあったりして(笑)
でもそれがあなただとわかって、ほっとしたというか、とても安心しました。
それにしても、あのホームレスさん、ちょっとかわいそうだったかもですね。
まさかそんなお告げを受けていたなんて!
でもきっと、雨をしのげるようなもっと良い場所を見つけたはずと信じることにします。
予想していなかった事態とはいえ、日記をお渡しできないということが、これほどまでに寂しいとは自分でも驚きました。
毎日会って話をしていた友達と、急に会えなくなる喪失感みたいな感じでしょうか。
わたしの毎日はいたって平凡です。
毎朝バスに乗り、公園を横切って勤務先に向かい、子供たちの元気な声を聞きながら出欠をとり、授業が始まります。
中には問題を起こす子もいるし、おとなし過ぎて心配になる子もいます。
子供というのはとかくすぐに熱を出すので、顔色をチェックするのも大事な仕事です。
子供たちと同じ給食を食べて(実は量も同じなのです)午後の授業を終えると、明日の授業の準備にとりかかります。
成績表作成の頃は残業も多いですが、普段はそれほど遅くはなりません。
毎日ほんの少しだけ変わったことが起こりますが、穏やかな毎日が大半なのです。
その湖面のような日々に、あたなという存在が加わったというか、これはもうわたしにとっては、とんでもない出来事だったのですよ。
もちろん嬉しいハプニングです。
透明な人たちが存在しているということは、知識としては知っていても体感したことは無いというのが、悲しいですが現実です。
それを私は体験できているわけですから、もうワクワクドキドキな毎日なのです。
そういえば、例の法案が可決されたときに、テレビに出ていた「元透明人間」っていう人たちってどういう存在なのですか?
色素が薄いだけという印象で、目鼻立ちは目視できていたような気がするのですが。
何か見えるようにできる薬とか方法があるのでしょうか?
テレビ画面で見た彼らの印象は「洋服のサイズがあってない?」です。
絶対にディスっているわけではないので誤解しないでくださいね。
なんと言うか、肌が白いからかな? 背広が浮いて見えたというか……特に首回り。
そんな印象です。
とても真剣に保護法の認可に動いておられたのでしょうし、それを成し遂げられたことはとても素晴らしいことだと思います。
この感想は、大多数の不透明人間の感想だと思います。
不透明なので、裸でいるわけにはいかないじゃないですか。
逆に透明な方達は洋服を着ると、それだけが浮く感じですよね?
以前言っておられた傘も同じでしょ?
だとしたら、あなたっていつもフルヌードってことですよね?
もしわたしが手を伸ばしてしまうと、素肌に触れるということになっちゃうわけで。
変な方に行きそうなので、話を戻します。
テレビに映っていたあの方たちは、確かに観えていました。
男性か女性かも一目でわかりましたし、みなさん髪が短いのだなぁと思ったので間違いないと思います。
でもわたしたち不透明人間とは、何かが違っていたのです。
もちろんあなたたち透明人間とも違っていました。
でもご自分たちを「元透明人間」だとおっしゃっていたでしょう?
あえて誤解を恐れずに言うと「半透明人間」という感じかなぁ。
あれってどういうカラクリなのかしら。
あっ! もしお気に触るようなことを言っていたらすみません。
それから、胸のつかえが取れた瞬間から、怒涛の質問の嵐……ホントにごめんなさい。
とにかくちゃんと声でお礼が言いたいです。
でも雨が続きそうなので、今は我慢します。
でも梅雨が明けたら絶対にちゃんと直接言わせてくださいね。
返事はしてくれると嬉しいけれど、そこはお任せします。
それと交換日記を止めるつもりは欠片もありません。
ぜひぜひ続けていきましょうね。
最後になりましたが、いつも見守って下さっていたとのこと、本当にありがとう。
お陰さまで今日も元気に生きています。
では、また次回。
胸のつかえがとれました。
わたしが命の恩人に向かって「気味悪いストーカー」なんて思うわけ無いでしょ?
実はあなたに会ってからずっと、誰かに見守られているような感じはしていたのです。
わたしもシックスセンスがあったりして(笑)
でもそれがあなただとわかって、ほっとしたというか、とても安心しました。
それにしても、あのホームレスさん、ちょっとかわいそうだったかもですね。
まさかそんなお告げを受けていたなんて!
でもきっと、雨をしのげるようなもっと良い場所を見つけたはずと信じることにします。
予想していなかった事態とはいえ、日記をお渡しできないということが、これほどまでに寂しいとは自分でも驚きました。
毎日会って話をしていた友達と、急に会えなくなる喪失感みたいな感じでしょうか。
わたしの毎日はいたって平凡です。
毎朝バスに乗り、公園を横切って勤務先に向かい、子供たちの元気な声を聞きながら出欠をとり、授業が始まります。
中には問題を起こす子もいるし、おとなし過ぎて心配になる子もいます。
子供というのはとかくすぐに熱を出すので、顔色をチェックするのも大事な仕事です。
子供たちと同じ給食を食べて(実は量も同じなのです)午後の授業を終えると、明日の授業の準備にとりかかります。
成績表作成の頃は残業も多いですが、普段はそれほど遅くはなりません。
毎日ほんの少しだけ変わったことが起こりますが、穏やかな毎日が大半なのです。
その湖面のような日々に、あたなという存在が加わったというか、これはもうわたしにとっては、とんでもない出来事だったのですよ。
もちろん嬉しいハプニングです。
透明な人たちが存在しているということは、知識としては知っていても体感したことは無いというのが、悲しいですが現実です。
それを私は体験できているわけですから、もうワクワクドキドキな毎日なのです。
そういえば、例の法案が可決されたときに、テレビに出ていた「元透明人間」っていう人たちってどういう存在なのですか?
色素が薄いだけという印象で、目鼻立ちは目視できていたような気がするのですが。
何か見えるようにできる薬とか方法があるのでしょうか?
テレビ画面で見た彼らの印象は「洋服のサイズがあってない?」です。
絶対にディスっているわけではないので誤解しないでくださいね。
なんと言うか、肌が白いからかな? 背広が浮いて見えたというか……特に首回り。
そんな印象です。
とても真剣に保護法の認可に動いておられたのでしょうし、それを成し遂げられたことはとても素晴らしいことだと思います。
この感想は、大多数の不透明人間の感想だと思います。
不透明なので、裸でいるわけにはいかないじゃないですか。
逆に透明な方達は洋服を着ると、それだけが浮く感じですよね?
以前言っておられた傘も同じでしょ?
だとしたら、あなたっていつもフルヌードってことですよね?
もしわたしが手を伸ばしてしまうと、素肌に触れるということになっちゃうわけで。
変な方に行きそうなので、話を戻します。
テレビに映っていたあの方たちは、確かに観えていました。
男性か女性かも一目でわかりましたし、みなさん髪が短いのだなぁと思ったので間違いないと思います。
でもわたしたち不透明人間とは、何かが違っていたのです。
もちろんあなたたち透明人間とも違っていました。
でもご自分たちを「元透明人間」だとおっしゃっていたでしょう?
あえて誤解を恐れずに言うと「半透明人間」という感じかなぁ。
あれってどういうカラクリなのかしら。
あっ! もしお気に触るようなことを言っていたらすみません。
それから、胸のつかえが取れた瞬間から、怒涛の質問の嵐……ホントにごめんなさい。
とにかくちゃんと声でお礼が言いたいです。
でも雨が続きそうなので、今は我慢します。
でも梅雨が明けたら絶対にちゃんと直接言わせてくださいね。
返事はしてくれると嬉しいけれど、そこはお任せします。
それと交換日記を止めるつもりは欠片もありません。
ぜひぜひ続けていきましょうね。
最後になりましたが、いつも見守って下さっていたとのこと、本当にありがとう。
お陰さまで今日も元気に生きています。
では、また次回。
2
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
初愛シュークリーム
吉沢 月見
ライト文芸
WEBデザイナーの利紗子とパティシエールの郁実は女同士で付き合っている。二人は田舎に移住し、郁実はシュークリーム店をオープンさせる。付き合っていることを周囲に話したりはしないが、互いを大事に想っていることには変わりない。同棲を開始し、ますます相手を好きになったり、自分を不甲斐ないと感じたり。それでもお互いが大事な二人の物語。
第6回ライト文芸大賞奨励賞いただきました。ありがとうございます
あめふりバス停の優しい傘
朱宮あめ
青春
雨のバス停。
蛙の鳴き声と、
雨音の中、
私たちは出会った。
――ねぇ、『同盟』組まない?
〝傘〟を持たない私たちは、
いつも〝ずぶ濡れ〟。
私はあなたの〝傘〟になりたい――。
【あらすじ】
自身の生い立ちが原因で周囲と距離を置く高校一年生のしずくは、六月のバス停で同じ制服の女生徒に出会う。
しずくにまったく興味を示さない女生徒は、
いつも空き教室から遠くを眺めている不思議なひと。
彼女は、
『雪女センパイ』と噂される三年生だった。
ひとりぼっち同士のふたりは
『同盟』を組み、
友達でも、家族でも恋人でもない、
奇妙で特別な、
唯一無二の存在となってゆく。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
スパイスカレー洋燈堂 ~裏路地と兎と錆びた階段~
桜あげは
ライト文芸
入社早々に躓く気弱な新入社員の楓は、偶然訪れた店でおいしいカレーに心を奪われる。
彼女のカレー好きに目をつけた店主のお兄さんに「ここで働かない?」と勧誘され、アルバイトとして働き始めることに。
新たな人との出会いや、新たなカレーとの出会い。
一度挫折した楓は再び立ち上がり、様々なことをゆっくり学んでいく。
錆びた階段の先にあるカレー店で、のんびりスパイスライフ。
第3回ライト文芸大賞奨励賞いただきました。ありがとうございます。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる