聡明な彼女と透明なボクの交換日記

 「出会い」というのは偶然なのか、必然なのか。
 そんな哲学的なことはどうでもよくて、でも、「出会い」こそ地球上の人類が繁栄し続けるための唯一のキーワードであることは疑う余地がありません。

 薄曇りの不安定な空模様のある日、何かに引かれるように二人の男女が出会います。
恥ずかしそうに語り掛ける女性。戸惑いながら答える男性。日常のそこかしこで見かける他愛もない光景。ほほえましいひと時です。
 
どこにでもあるそんな出来事ですが、たった一つだけ違うところが有りました。
 そう、男性は「透明人間」だったのです。

 透明人間の「ディアファン」と小学校教師の「はるか」はひょんなことから今時古風な交換日記を始めることになりました。普通の人間と透明人間が交際し始めるのに、何が適切か彼らなりに考えた方法だったのでしょう。

 舞台は現在。透明人間という存在が公になってから約1年。もともと噂程度に「透明人間がいるらしい」という話は昔からありました。そんな半信半疑な中、とある事件がきっかけになって透明人間が明るみにでてしまい、出演したテレビでもトリックでないことが証明されました。
 当時、最低支持率を更新し続けていた首相の人気取り政策で「透明人間保護法」というよくわからない法律が制定され、透明人間に基本的な人権と選挙権が与えられました。
 当の透明人間たちは考え方もばらばらで、この機会にと「マイナンバーカード」を作る者もいれば、今まで通り密かに暮らし続ける者もいて、結局、数十人の登録者が「日本人」と認められました。

 そんな世界の片隅で出会った二人でしたが、はたしてうまくいくのでしょうか。
 まだ今は交際が始まったばかり。今後のことなんて二人は全然考えてなんかいません。

 そんな二人の行く末を、我々は日記を盗み見しながら見守ろうではありませんか。

 他サイトでも掲載しています。
 表紙は写真ACより使用しました。
24h.ポイント 28pt
140
小説 21,668 位 / 192,049件 ライト文芸 214 位 / 7,618件

あなたにおすすめの小説

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

私たちの関係に、名前はまだない。

待鳥園子
ライト文芸
どうしようもない理由で、お見合いで出会った婚約者から婚約解消されてしまった萌音は、晴れているはずなのに、何故か傘を差している高校生の男の子にバス停で会った。 それは、高校生の時に萌音が好きだった七瀬だった。未来の萌音だと気が付かぬままに、優しく慰めてくれる彼。 そして、婚約解消理由がとんでもない嘘だと知り、元婚約者にひどく傷つけられた萌音の前に、高校生の七瀬は再度現れるのだが……。

記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。

ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。 ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。 対面した婚約者は、 「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」 ……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。 「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」 今の私はあなたを愛していません。 気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。 ☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。

タイムカプセル

森羅秋
ライト文芸
今年二十歳になった牧田北斗は、週末にのんびりテレビを見ていたのだが、幼馴染の富士谷凛が持ってきた、昔の自分達が書いたという地図を元にタイムカプセルを探すことになって…? 子供の頃の自分たちの思い出を探す日の話。 完結しました。

私にとっては、それだけで

吉華(きっか)
ライト文芸
 とある伯爵と後妻である商人の娘との間に生まれたシャルロットは、小さい頃から変わらずに前妻である貴族の娘を母に持つ腹違いの姉を姉として慕っている。しかし、姉を姉と慕い仲良くすれば痛めつけられるのは姉の方。それ故に、表立っては姉に辛辣な態度を取っていた。  そんな中、姉の結婚が近づいてくる。しかし、姉の結婚相手は悪い噂しかない放蕩王子。  姉を守りたかった不器用な妹は、自分の方が王子に相応しいから自分の方を嫁がせろと父に願い出た。   *****  これは、大事な人を守りたかった女の子が頑張って頑張って努力して、報われる話。

別れの曲

石田ノドカ
ライト文芸
 主人公・森下陽和は幼少の頃、ピアノを弾くことが好きだった。  しかし、ある日医師から『楽譜“だけ”が読めない学習障害を持っている』と診断されたことをきっかけに、陽和はピアノからは離れてしまう。  月日が経ち、高校一年の冬。  ピアニストである母親が海外出張に行っている間に、陽和は不思議な夢を視る。  そこで語り掛けて来る声に導かれるがまま、読めもしない楽譜に目を通すと、陽和は夢の中だけではピアノが弾けることに気が付く。  夢の中では何でも自由。心持ち次第だと声は言うが、次第に、陽和は現実世界でもピアノが弾けるようになっていく。  時を同じくして、ある日届いた名無しの手紙。  それが思いもよらぬ形で、差出人、そして夢の中で聞こえる声の正体――更には、陽和のよく知る人物が隠していた真実を紐解くカギとなって……  優しくも激しいショパンの旋律に導かれた陽和の、辿り着く答えとは……?

あめふりバス停の優しい傘

朱宮あめ
青春
雨のバス停。 蛙の鳴き声と、 雨音の中、 私たちは出会った。 ――ねぇ、『同盟』組まない? 〝傘〟を持たない私たちは、 いつも〝ずぶ濡れ〟。 私はあなたの〝傘〟になりたい――。 【あらすじ】 自身の生い立ちが原因で周囲と距離を置く高校一年生のしずくは、六月のバス停で同じ制服の女生徒に出会う。 しずくにまったく興味を示さない女生徒は、 いつも空き教室から遠くを眺めている不思議なひと。 彼女は、 『雪女センパイ』と噂される三年生だった。 ひとりぼっち同士のふたりは 『同盟』を組み、 友達でも、家族でも恋人でもない、 奇妙で特別な、 唯一無二の存在となってゆく。