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7 天職よ
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サマンサは部屋着に着替えて寛いでいた。
先ほどまで結いあげられていた美しい金髪が、絹糸のように背中に流れている。
「どうしましたか? お部屋に不都合がありましたか?」
サマンサがソファーを勧めながらティナリアに問いかけた。
「いいえ、とんでもございません。今まで生きてきた中で最高の気分を味わっております」
クスッと笑ったサマンサが、泣いているマリアーナを見て目を丸くした。
「マリアーナ?」
ロレンソがソファーにティナリアを下ろし、慌ててマリアーナに手を差し出す。
「こちらにお座りなさい。何があったのかこの母に教えてくれる?」
マリアーナはしゃくりあげて言葉にならない。
ティナリアが代わりに口を開いた。
「ご相談があって参りました。少々込み入った内容ですので……」
サマンサがメイド達に頷き、部屋に残ったのはサマンサ母娘とティナリアとロレンソの四人だけとなった。
ティナリアが少し背筋を伸ばす。
「サマンサ様、今日初めてお会いしたにもかかわらず、これほどまでに良くしていただき感謝しております。お陰様で先ほどマリアーナ様とは姉妹としてお付き合いをするという約束をしていただきました」
「まあ!それは何よりね。私も嬉しいわ」
「なぜこのようなことになったのかお話ししますね」
ティナリアは食料が底をつき、ここでメイドとして雇ってもらえないかと考えて来たところから順を追って話した。
口を挟まずじっと目を見ながら聞いているサマンサ。
マリアーナはロレンソに背中を擦られてやっと泣き止んでいた。
「ではあなたがマリアーナの代わりに嫁ぐというの? あんな死にかけのジジイの所に?」
サマンサは驚き過ぎて口調が粗雑になっている。
「はい、私もいずれはマリアーナお姉さまと同じ道を進まなくてはなりません。先ほども申しましたが、きっと金持ちの商人の愛人あたりが落ち着きどころでは無いかと思います」
「なるほど……悪いけれど十分にありえる話だと思います」
「何でもお相手はご高齢とか。話し相手くらいなら苦ではありませんし、もしもとんでもない変態ジジイなら返り討ちにすることも私ならできます」
プッとサマンサが吹き出した。
「ごめんなさいね。だってあなたってとっても逞しいことを言うのだもの」
「ええ、私は市井の民よりずっと貧しい王女です。こんなこと何でもありません。しかもお姉さまは……」
そう言ってロレンソの顔を見た。
「ええ、知っています。二人は愛し合っているのよね? だから私は二人に逃げるように言ったのです。後のことは私がなんとでもします」
「そこまでのお覚悟をお持ちなら、この話を進める協力をお願いできませんか?」
サマンサは数秒考えてからティナリアに言った。
「この話は私たちにしか得がないわ。あなたも幸せになる道があるなら協力は惜しみませんよ」
ティナリアは顔の前でブンブン手を振った。
「私も得ですよ? だって死に待ちのジジイですもの。何年か我慢すれば未亡人としていくらかのお金ももらえるでしょうし」
サマンサが厳しい口調で言う。
「甘いわ。未亡人になったら連れ戻されて新しい嫁ぎ先を用意されるだけよ。どんどん条件は悪くなるわ」
四人はじっと考えた。
とはいえ、真剣に考えているのはサマンサとティナリアだけだ。
マリアーナは二人の思考についていけていないし、ロレンソはそもそも口を挟める立場にない。
ふとサマンサが顔を上げる。
「ティナリア、あなたお母様のご実家が残っていると言ったわね」
「はい。市場にある食堂だと聞いています」
「今もあるの?」
「つい先日、洗濯場で聞いた話では、まだあるということでした。ただ誰も住まなくなって数年経っているので相当痛んでいると聞きました」
「なるほど……ねえ、ティナリア。その食堂を復活させる気はある? 開店資金や当面の運転資金などは全て私が準備します。あなたにもし市井で生きる覚悟があるならですが」
「もちろんです。むしろそうしたいです。私は母方の血が濃いのでしょう。お料理は作るのも食べるのも大好きです。自分の作ったものをおいしいって言ってもらえたら最高です」
サマンサの目がきらりと光った。
「天職ね……あなた、食堂をやりなさい。オーナーシェフとしてそのお店を再建するの」
「へ?」
間抜けな返事をするティナリアに、サマンサは続ける。
「一年よ、一年我慢してくれたら、なんとしてでも絶対に助け出してあげる。きっとあなたを取り戻すわ。無事に抜け出せたら名前を変えて食堂をやるのよ。どうかしら」
「一年……」
「ええ、一年。もしかしたらもっと短くできるかもしれない」
「殺したりしませんか?」
「さすがにそこまではしないつもりだけど……ふふふ」
「あっ……できるだけ円満に終わらせたいです。もしかしたら良い人かもですし」
「そうね。では会ってみてから様子を知らせてくれる? うちからメイドをつけましょう。彼女に連絡係をさせればお互いに情報を交換できるもの」
「ありがとうございます。ところで私として死んだマリアーナお姉さまはどのように?」
「ここは側妃が死んでも子供が死んでも、王家は何もしないの。実家が引き取るのよ。あなたの場合は実家が無いから、すぐに食堂だった家を立て直してダミーの祖父母を住まわせましょう。そしてそこに引き取らせるの。管理は杜撰だから心配は無いと思うけれど、念のため通称は変えた方が安全ね。面が割れることは無いから、王宮を出てしまえば問題ないわ」
「ははは……確かに杜撰ですよね。私の母も亡くなった時に文官が来て、死亡を確認しただけでしたから」
「お母様のご遺体は?」
「林に埋葬しました。大きめの石を置いて墓標にしています」
「まあ……それは……よく頑張りましたね」
「ありがとうございます」
サマンサが一口紅茶を口に含んだ。
先ほどまで結いあげられていた美しい金髪が、絹糸のように背中に流れている。
「どうしましたか? お部屋に不都合がありましたか?」
サマンサがソファーを勧めながらティナリアに問いかけた。
「いいえ、とんでもございません。今まで生きてきた中で最高の気分を味わっております」
クスッと笑ったサマンサが、泣いているマリアーナを見て目を丸くした。
「マリアーナ?」
ロレンソがソファーにティナリアを下ろし、慌ててマリアーナに手を差し出す。
「こちらにお座りなさい。何があったのかこの母に教えてくれる?」
マリアーナはしゃくりあげて言葉にならない。
ティナリアが代わりに口を開いた。
「ご相談があって参りました。少々込み入った内容ですので……」
サマンサがメイド達に頷き、部屋に残ったのはサマンサ母娘とティナリアとロレンソの四人だけとなった。
ティナリアが少し背筋を伸ばす。
「サマンサ様、今日初めてお会いしたにもかかわらず、これほどまでに良くしていただき感謝しております。お陰様で先ほどマリアーナ様とは姉妹としてお付き合いをするという約束をしていただきました」
「まあ!それは何よりね。私も嬉しいわ」
「なぜこのようなことになったのかお話ししますね」
ティナリアは食料が底をつき、ここでメイドとして雇ってもらえないかと考えて来たところから順を追って話した。
口を挟まずじっと目を見ながら聞いているサマンサ。
マリアーナはロレンソに背中を擦られてやっと泣き止んでいた。
「ではあなたがマリアーナの代わりに嫁ぐというの? あんな死にかけのジジイの所に?」
サマンサは驚き過ぎて口調が粗雑になっている。
「はい、私もいずれはマリアーナお姉さまと同じ道を進まなくてはなりません。先ほども申しましたが、きっと金持ちの商人の愛人あたりが落ち着きどころでは無いかと思います」
「なるほど……悪いけれど十分にありえる話だと思います」
「何でもお相手はご高齢とか。話し相手くらいなら苦ではありませんし、もしもとんでもない変態ジジイなら返り討ちにすることも私ならできます」
プッとサマンサが吹き出した。
「ごめんなさいね。だってあなたってとっても逞しいことを言うのだもの」
「ええ、私は市井の民よりずっと貧しい王女です。こんなこと何でもありません。しかもお姉さまは……」
そう言ってロレンソの顔を見た。
「ええ、知っています。二人は愛し合っているのよね? だから私は二人に逃げるように言ったのです。後のことは私がなんとでもします」
「そこまでのお覚悟をお持ちなら、この話を進める協力をお願いできませんか?」
サマンサは数秒考えてからティナリアに言った。
「この話は私たちにしか得がないわ。あなたも幸せになる道があるなら協力は惜しみませんよ」
ティナリアは顔の前でブンブン手を振った。
「私も得ですよ? だって死に待ちのジジイですもの。何年か我慢すれば未亡人としていくらかのお金ももらえるでしょうし」
サマンサが厳しい口調で言う。
「甘いわ。未亡人になったら連れ戻されて新しい嫁ぎ先を用意されるだけよ。どんどん条件は悪くなるわ」
四人はじっと考えた。
とはいえ、真剣に考えているのはサマンサとティナリアだけだ。
マリアーナは二人の思考についていけていないし、ロレンソはそもそも口を挟める立場にない。
ふとサマンサが顔を上げる。
「ティナリア、あなたお母様のご実家が残っていると言ったわね」
「はい。市場にある食堂だと聞いています」
「今もあるの?」
「つい先日、洗濯場で聞いた話では、まだあるということでした。ただ誰も住まなくなって数年経っているので相当痛んでいると聞きました」
「なるほど……ねえ、ティナリア。その食堂を復活させる気はある? 開店資金や当面の運転資金などは全て私が準備します。あなたにもし市井で生きる覚悟があるならですが」
「もちろんです。むしろそうしたいです。私は母方の血が濃いのでしょう。お料理は作るのも食べるのも大好きです。自分の作ったものをおいしいって言ってもらえたら最高です」
サマンサの目がきらりと光った。
「天職ね……あなた、食堂をやりなさい。オーナーシェフとしてそのお店を再建するの」
「へ?」
間抜けな返事をするティナリアに、サマンサは続ける。
「一年よ、一年我慢してくれたら、なんとしてでも絶対に助け出してあげる。きっとあなたを取り戻すわ。無事に抜け出せたら名前を変えて食堂をやるのよ。どうかしら」
「一年……」
「ええ、一年。もしかしたらもっと短くできるかもしれない」
「殺したりしませんか?」
「さすがにそこまではしないつもりだけど……ふふふ」
「あっ……できるだけ円満に終わらせたいです。もしかしたら良い人かもですし」
「そうね。では会ってみてから様子を知らせてくれる? うちからメイドをつけましょう。彼女に連絡係をさせればお互いに情報を交換できるもの」
「ありがとうございます。ところで私として死んだマリアーナお姉さまはどのように?」
「ここは側妃が死んでも子供が死んでも、王家は何もしないの。実家が引き取るのよ。あなたの場合は実家が無いから、すぐに食堂だった家を立て直してダミーの祖父母を住まわせましょう。そしてそこに引き取らせるの。管理は杜撰だから心配は無いと思うけれど、念のため通称は変えた方が安全ね。面が割れることは無いから、王宮を出てしまえば問題ないわ」
「ははは……確かに杜撰ですよね。私の母も亡くなった時に文官が来て、死亡を確認しただけでしたから」
「お母様のご遺体は?」
「林に埋葬しました。大きめの石を置いて墓標にしています」
「まあ……それは……よく頑張りましたね」
「ありがとうございます」
サマンサが一口紅茶を口に含んだ。
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