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側近試験は無事に終わり、予定通りカレンがトップ合格した。
2位と3位の2人も異例の補欠合格として、王宮の文官として採用されることになったのは王弟の進言によるものだ。
カレン・ウィンダムが王太子の側近として配属されてくる日、アマデウスとルルーシア、そして三人の側近達が揃って出迎えた。
「採用おめでとう、カレン・ウィンダム伯爵令嬢。今日から頑張ってくれたまえ」
「はい、精一杯つとめさせていただきます」
アマデウスから言葉を賜ったカレン・ウィンダムはオレンジがかった茶色の髪で、顎のラインで切揃えられている。
特徴的な髪色は、父親の祖国であるメレント国ではよく見かける色で、似たような縁色の眼鏡をかけておしゃれ好きな女性にみえた。
「ではカレンはこの机を使ってちょうだい。まずやってほしいのは過去5年分の農作物収穫量の取りまとめよ」
「うん、わかった」
ずっと何も言わなかったルルーシアがカレンに声を掛けた。
「あなたのお部屋は? みんなは官舎よね?」
カレンが思わせぶりにチラッとアマデウスを見てから答える。
「はい、同じ官舎に部屋をいただいております。隣がアリアの部屋ですわ」
「そう。同じ職場で同じ官舎ならみんなずっと一緒なのね」
アリアがルルーシアを見てニコッと笑った。
「出勤も退勤も一緒にする予定です。私たちは3階で、アランとマリオは2階ですわ」
ルルーシアが頷いた。
「では殿下、私も仕事に参ります」
「ああ、今日も頑張ろうね、ルル。休憩はいつものように3時でいいかな?」
「ええ。その頃には届いていると思います。今日も私の執務室でよろしいですか?」
「うん、時間になったら伺うよ」
ルルーシアたちが退出すると、カレンがアリアに聞いた。
「お茶の時間は一緒に過ごすの?」
「そうよ。情報交換もできるし、なによりルルーシア様の差し入れが素晴らしいのよ」
「へぇ……」
特に大きな問題が発生することもなく、王太子夫妻はロマニア国との会談の準備を進めていった。
ちょこちょこと宰相が面倒な会議予定を入れてくるが、カレンはアリアの予想を上回る有能さを見せ、予定通り仕事をこなしている。
過去の議事録を取り纏め終えたカレンが、ふと目を上げてアマデウスに声を掛けた。
「会議後の晩さん会はどのように?」
「晩さん会の担当はルルだよ。進捗はどうなのだろう」
アリアが答える。
「順調だと聞いておりますが、そろそろ詳細を説明するようにあちらの側近に伝えておきましょう。カレン伝言をお願いできる?」
カレンが頷いて部屋を出た。
アマデウスが席を立って窓辺で伸びをする。
「たまには体を動かさないとなんだか重たいような……ん? あれは? ルルかな」
アマデウスがアリアの方を見ないまま言う。
席を立って窓辺に来たアリアが、感情のこもらない声を出した。
「ああ、本当だ。ルルですね」
「一緒にいるのは誰だ?」
「あれは確か、キリウス殿下の宮に滞在されている劇作家でキース・レイダー様とおっしゃる方です」
アマデウスがイラついた声を出す。
「なぜそんな男がルルとふたりでいるんだ。それに距離が近いじゃないか」
2位と3位の2人も異例の補欠合格として、王宮の文官として採用されることになったのは王弟の進言によるものだ。
カレン・ウィンダムが王太子の側近として配属されてくる日、アマデウスとルルーシア、そして三人の側近達が揃って出迎えた。
「採用おめでとう、カレン・ウィンダム伯爵令嬢。今日から頑張ってくれたまえ」
「はい、精一杯つとめさせていただきます」
アマデウスから言葉を賜ったカレン・ウィンダムはオレンジがかった茶色の髪で、顎のラインで切揃えられている。
特徴的な髪色は、父親の祖国であるメレント国ではよく見かける色で、似たような縁色の眼鏡をかけておしゃれ好きな女性にみえた。
「ではカレンはこの机を使ってちょうだい。まずやってほしいのは過去5年分の農作物収穫量の取りまとめよ」
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ずっと何も言わなかったルルーシアがカレンに声を掛けた。
「あなたのお部屋は? みんなは官舎よね?」
カレンが思わせぶりにチラッとアマデウスを見てから答える。
「はい、同じ官舎に部屋をいただいております。隣がアリアの部屋ですわ」
「そう。同じ職場で同じ官舎ならみんなずっと一緒なのね」
アリアがルルーシアを見てニコッと笑った。
「出勤も退勤も一緒にする予定です。私たちは3階で、アランとマリオは2階ですわ」
ルルーシアが頷いた。
「では殿下、私も仕事に参ります」
「ああ、今日も頑張ろうね、ルル。休憩はいつものように3時でいいかな?」
「ええ。その頃には届いていると思います。今日も私の執務室でよろしいですか?」
「うん、時間になったら伺うよ」
ルルーシアたちが退出すると、カレンがアリアに聞いた。
「お茶の時間は一緒に過ごすの?」
「そうよ。情報交換もできるし、なによりルルーシア様の差し入れが素晴らしいのよ」
「へぇ……」
特に大きな問題が発生することもなく、王太子夫妻はロマニア国との会談の準備を進めていった。
ちょこちょこと宰相が面倒な会議予定を入れてくるが、カレンはアリアの予想を上回る有能さを見せ、予定通り仕事をこなしている。
過去の議事録を取り纏め終えたカレンが、ふと目を上げてアマデウスに声を掛けた。
「会議後の晩さん会はどのように?」
「晩さん会の担当はルルだよ。進捗はどうなのだろう」
アリアが答える。
「順調だと聞いておりますが、そろそろ詳細を説明するようにあちらの側近に伝えておきましょう。カレン伝言をお願いできる?」
カレンが頷いて部屋を出た。
アマデウスが席を立って窓辺で伸びをする。
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「ああ、本当だ。ルルですね」
「一緒にいるのは誰だ?」
「あれは確か、キリウス殿下の宮に滞在されている劇作家でキース・レイダー様とおっしゃる方です」
アマデウスがイラついた声を出す。
「なぜそんな男がルルとふたりでいるんだ。それに距離が近いじゃないか」
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