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32 おばあ様の行動
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マーガレットの顔をまっすぐに見たアレンが口を開く。
「わかりました。努力します。でも準備ができるまではこの館に滞在していただけませんか? ご自宅の掃除もしなくてはいけませんし」
「あら、まだ逃げるの? あなたが掃除すれば良いでしょう? でも私も早く帰りたいから……そうね、住めるようになるまではここにいますし、お掃除も一人でやれとは言わないことにしましょうか。だって快適な方が良いものね? あなたには主人が使っていた部屋を貸してあげるわね」
「私が使ってもよろしいのですか?」
「ええ、そこが一番広いから。家具は入れ替えても使ってもどちらでもいいわ。でもマリアの部屋はそのまま残してほしいの」
「勿論です。では早急に手配します」
「ありがとう」
アレンが部屋を出て執事を呼んでいる。
その声を聞きながらマーガレットが窓の外を見た。
「これでよかった? マリア」
マリアが目を丸くした。
アースが笑いをこらえて言う。
『凄いな、流石マリアのおばあ様だね』
『おばあ様はなんであんな無理難題を吹っ掛けたのかしら? 揶揄っているの?』
『いや、違うんじゃないか? きっとアレンが本当に反省していることを見抜いたんだよ。そしてあえて苦労させることで、その罪悪感を拭ってやろうとしているのだろう』
『罪悪感? あの方が私にしたことって結婚式で悪い態度をとったことぐらいでしょ? それにさっきの話なら、そういう態度を取っても無理はないかなって思うのだけれど?』
『そう? だってマリアはあいつがエスコートしなかったから怪我をしたんだよ?』
『あれは私がドジっ子だっただけ。あの時は声が出なかったから仕方がなかったけど、声が出ていれば絶対にすぐお医者様を呼んでくださったと思うわ。あの方なら』
『そうだね。きっと呼んでいただろうね。全部悪い方に転がったねぇ』
『でもそのお陰でアース様にお会いできたのだもの。それにあれほど苦しくて辛くて悲しい毎日だったのに、魂を修復してくださったから全部きれいに忘れちゃってるし』
『そのお陰かぁ……君は本当に良い魂を持っているね。次は神になってもらおうかな』
『神様なんていやですよ? アース様ったら冗談ばっかりなんだもの』
二人は笑いながら空間の世界に戻った。
相変わらずアースはとにかくマリアを可愛がった。
それによりマリアの魂の傷は更に修復され、空間の世界に来た時より遥かに大きな球体になっている。
アースが用意する画面で、アレンの健闘ぶりを見ながらお茶を飲むのが二人の日課だ。
アレンと共にカレントに来た使用人たちも、毎日身を粉にして働いた。
ランドリーメイドのアリサは実家から通い、執事たち使用人は領主館で暮らした。
アレンは毎日マーガレットの家から騎馬で通ってくる。
始めた当初はパンの用意もままならなかったアレンだが、一緒に来た料理人に習い、今では上手に手早くオムレツを焼けるまでになっていた。
それでもマーガレットは紅茶の淹れ方や、デザートの選び方などに口を出し、アレンはマーガレットのシゴキによく耐えた。
そうして3年があっという間に過ぎ、アレンたちの努力でカレント産駒の値が徐々に上がり始めていた。
経費を節減するためにアレンが編み出した『牧草地の共有』が功を奏し、厩舎ごとの利益も右肩上がりだ。
1年間使用した共有牧草地は、次の年から3年間農地として使用する。
1年の間、馬が耕し自然の肥料を撒いてくれた土地は肥沃だ。
肥料いらずで良い作物が育ち、雇用の拡大にも繋がる。
同様の牧草地を5箇所作って、休眠させる1年を挟んでローテーションすれば、安定した牧草と農作物が見込めるという計画だ。
その用地の獲得と管理、そして具体的な人員配置と適正な運営には、それに見合う頭脳と手腕が必要だった。
それを一人で担ったアレン。
それでもアレンは毎日マーガレットのもとに帰るという生活パターンを崩さなかった。
ある日、使用人の1人が執事に言った。
「いい加減に領主様を解放して差し上げられませんかねぇ。あれじゃ大変だ。まるで年寄りを一人で介護する孫みたいじゃありませんか」
そういう使用人の顔を笑いながら見て執事が応えた。
「そうでもないぞ? 領主様の顔を見てみろよ。あれは喜んでやっているさ。少年の頃のように明るい顔に戻られたよ。それにあれほど忙しいんだ。後悔などする暇もないだろう?」
「ああ、なるほど。でも流石に風呂はアリサが行ってるのでしょう?」
「いや? 領主様がお世話してるらしいぞ?」
「マジですか……」
「今日はどんな献立かな。一度でいいから食べてみたいものだ」
二人は笑いあった。
そんな二人を空間の世界から見ているアースとマリア。
アースがいつものようにマリアの髪を撫でながら言った。
「マリアのおばあ様ってさぁ、聖人か何かなのかな?」
「違うと思うけど、アース様にわからないことが私に分かるはず無いでしょう?」
「なんだか少しだけ言葉に棘を感じるが……まあいいか。だって彼女はマリアの死を伴侶の死よりも強く悲しんでいるでしょう? それなのにあいつを助けようとしてる。不思議じゃない?」
「う~ん。私はおばあ様のなさっていることが理解できますが、アース様は違うの?」
「理解はできるし正しいと思うけど、ここまで自分の感情を律することができる人間ってなかなかに珍しいとは思うよ?」
「きっとおばあ様はアレン様のことを救おうとしておられるのだと思います。アレン様は確かに私を無視しておられましたし、結婚式の時も酷い態度でしたが、全部理由があるでしょう?」
「まあね。おばあ様はきっとアレンに贖罪の機会を与えたのだろうね」
「贖罪……」
「そうだよ、贖罪。罪を償う機会を貰えるっていうのはとてもありがたいことだ。具体的に何らかの行動で示せるだろう? アレンにとってはマリアのおばあ様のお世話と領地経営だけど、それを頑張ることで贖罪をしていると自覚できるんだよ」
「ええ、その通りですね」
「だからアレンは頑張れるんだ。それに比べてルーナは辛いと思うよ。具体的な何かを与えられていないから、何をどんなに頑張っていても、それが正解だという気持ちを持てないだろ? でもそれ以外やることがないわけだ。そんな毎日の繰り返しは心が疲弊する。言い換えれば謝る事さえ許されないという罰を受けているわけさ」
「ルーナさん、可哀想ですね」
「そう? 私はそうは思わないけど? 当然の報いって言わない君は賢いね。表面を取り繕っているだけだとは思わないの?」
「賢い? 吞気なおバカの間違いではないですか? あっ! 分かったわ。お人よしって思ってるでしょう」
「いいや、我が愛し子はとても賢いよ。それで? 私のマリアは何を考えているのかな?」
「……アレン様を解放してあげたいなって思っています。もう十分ではないですか?」
「そうか。でもそれを決める事ができるのはおばあ様だけだ。でもね……」
アースはマリアを強く抱きしめた。
「マーガレットの体はもう無理だ」
「えっ!」
抱きしめられたまま顔だけ上に向けたマリアの目が、じっとアースを見詰めた。
「わかりました。努力します。でも準備ができるまではこの館に滞在していただけませんか? ご自宅の掃除もしなくてはいけませんし」
「あら、まだ逃げるの? あなたが掃除すれば良いでしょう? でも私も早く帰りたいから……そうね、住めるようになるまではここにいますし、お掃除も一人でやれとは言わないことにしましょうか。だって快適な方が良いものね? あなたには主人が使っていた部屋を貸してあげるわね」
「私が使ってもよろしいのですか?」
「ええ、そこが一番広いから。家具は入れ替えても使ってもどちらでもいいわ。でもマリアの部屋はそのまま残してほしいの」
「勿論です。では早急に手配します」
「ありがとう」
アレンが部屋を出て執事を呼んでいる。
その声を聞きながらマーガレットが窓の外を見た。
「これでよかった? マリア」
マリアが目を丸くした。
アースが笑いをこらえて言う。
『凄いな、流石マリアのおばあ様だね』
『おばあ様はなんであんな無理難題を吹っ掛けたのかしら? 揶揄っているの?』
『いや、違うんじゃないか? きっとアレンが本当に反省していることを見抜いたんだよ。そしてあえて苦労させることで、その罪悪感を拭ってやろうとしているのだろう』
『罪悪感? あの方が私にしたことって結婚式で悪い態度をとったことぐらいでしょ? それにさっきの話なら、そういう態度を取っても無理はないかなって思うのだけれど?』
『そう? だってマリアはあいつがエスコートしなかったから怪我をしたんだよ?』
『あれは私がドジっ子だっただけ。あの時は声が出なかったから仕方がなかったけど、声が出ていれば絶対にすぐお医者様を呼んでくださったと思うわ。あの方なら』
『そうだね。きっと呼んでいただろうね。全部悪い方に転がったねぇ』
『でもそのお陰でアース様にお会いできたのだもの。それにあれほど苦しくて辛くて悲しい毎日だったのに、魂を修復してくださったから全部きれいに忘れちゃってるし』
『そのお陰かぁ……君は本当に良い魂を持っているね。次は神になってもらおうかな』
『神様なんていやですよ? アース様ったら冗談ばっかりなんだもの』
二人は笑いながら空間の世界に戻った。
相変わらずアースはとにかくマリアを可愛がった。
それによりマリアの魂の傷は更に修復され、空間の世界に来た時より遥かに大きな球体になっている。
アースが用意する画面で、アレンの健闘ぶりを見ながらお茶を飲むのが二人の日課だ。
アレンと共にカレントに来た使用人たちも、毎日身を粉にして働いた。
ランドリーメイドのアリサは実家から通い、執事たち使用人は領主館で暮らした。
アレンは毎日マーガレットの家から騎馬で通ってくる。
始めた当初はパンの用意もままならなかったアレンだが、一緒に来た料理人に習い、今では上手に手早くオムレツを焼けるまでになっていた。
それでもマーガレットは紅茶の淹れ方や、デザートの選び方などに口を出し、アレンはマーガレットのシゴキによく耐えた。
そうして3年があっという間に過ぎ、アレンたちの努力でカレント産駒の値が徐々に上がり始めていた。
経費を節減するためにアレンが編み出した『牧草地の共有』が功を奏し、厩舎ごとの利益も右肩上がりだ。
1年間使用した共有牧草地は、次の年から3年間農地として使用する。
1年の間、馬が耕し自然の肥料を撒いてくれた土地は肥沃だ。
肥料いらずで良い作物が育ち、雇用の拡大にも繋がる。
同様の牧草地を5箇所作って、休眠させる1年を挟んでローテーションすれば、安定した牧草と農作物が見込めるという計画だ。
その用地の獲得と管理、そして具体的な人員配置と適正な運営には、それに見合う頭脳と手腕が必要だった。
それを一人で担ったアレン。
それでもアレンは毎日マーガレットのもとに帰るという生活パターンを崩さなかった。
ある日、使用人の1人が執事に言った。
「いい加減に領主様を解放して差し上げられませんかねぇ。あれじゃ大変だ。まるで年寄りを一人で介護する孫みたいじゃありませんか」
そういう使用人の顔を笑いながら見て執事が応えた。
「そうでもないぞ? 領主様の顔を見てみろよ。あれは喜んでやっているさ。少年の頃のように明るい顔に戻られたよ。それにあれほど忙しいんだ。後悔などする暇もないだろう?」
「ああ、なるほど。でも流石に風呂はアリサが行ってるのでしょう?」
「いや? 領主様がお世話してるらしいぞ?」
「マジですか……」
「今日はどんな献立かな。一度でいいから食べてみたいものだ」
二人は笑いあった。
そんな二人を空間の世界から見ているアースとマリア。
アースがいつものようにマリアの髪を撫でながら言った。
「マリアのおばあ様ってさぁ、聖人か何かなのかな?」
「違うと思うけど、アース様にわからないことが私に分かるはず無いでしょう?」
「なんだか少しだけ言葉に棘を感じるが……まあいいか。だって彼女はマリアの死を伴侶の死よりも強く悲しんでいるでしょう? それなのにあいつを助けようとしてる。不思議じゃない?」
「う~ん。私はおばあ様のなさっていることが理解できますが、アース様は違うの?」
「理解はできるし正しいと思うけど、ここまで自分の感情を律することができる人間ってなかなかに珍しいとは思うよ?」
「きっとおばあ様はアレン様のことを救おうとしておられるのだと思います。アレン様は確かに私を無視しておられましたし、結婚式の時も酷い態度でしたが、全部理由があるでしょう?」
「まあね。おばあ様はきっとアレンに贖罪の機会を与えたのだろうね」
「贖罪……」
「そうだよ、贖罪。罪を償う機会を貰えるっていうのはとてもありがたいことだ。具体的に何らかの行動で示せるだろう? アレンにとってはマリアのおばあ様のお世話と領地経営だけど、それを頑張ることで贖罪をしていると自覚できるんだよ」
「ええ、その通りですね」
「だからアレンは頑張れるんだ。それに比べてルーナは辛いと思うよ。具体的な何かを与えられていないから、何をどんなに頑張っていても、それが正解だという気持ちを持てないだろ? でもそれ以外やることがないわけだ。そんな毎日の繰り返しは心が疲弊する。言い換えれば謝る事さえ許されないという罰を受けているわけさ」
「ルーナさん、可哀想ですね」
「そう? 私はそうは思わないけど? 当然の報いって言わない君は賢いね。表面を取り繕っているだけだとは思わないの?」
「賢い? 吞気なおバカの間違いではないですか? あっ! 分かったわ。お人よしって思ってるでしょう」
「いいや、我が愛し子はとても賢いよ。それで? 私のマリアは何を考えているのかな?」
「……アレン様を解放してあげたいなって思っています。もう十分ではないですか?」
「そうか。でもそれを決める事ができるのはおばあ様だけだ。でもね……」
アースはマリアを強く抱きしめた。
「マーガレットの体はもう無理だ」
「えっ!」
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