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14 脱走
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逃げれば足の腱を切ると脅されたローラは、騎士達の前では大人しくしていた。
悪態もつかず、物も投げなくなったローラの態度に、少しずつ緊張感が薄らぐ。
そんな護衛達の目を盗み、ローラは必死で考え続けた。
ある日、ローラはリリーブランを呼んで欲しいとメイドに頼んだ。
騎士が頷くのを確認したメイドは、リリーブランを呼びに行く。
「どうしたの?」
「ああ、お姉様、悪かったね、呼び出したりして。頼みがあるんだよ」
「何かしら……私にできることは無いと思うのだけれど」
「お父様から聞いたのだけれど、もうすぐあたいの結婚式があるんだろう? こんな形とはいえ一生に一度のことだ。自分でドレスを選びたいんだよ。ねえ、良いだろう?」
「だったら商会を呼ぶわ。それでいいでしょう?」
「良いけど、そんな時間があるのかい? 来週の日曜といえばあと5日だ。何枚か持ってきて、この中から選べっていうのじゃあ悲しいよ。できるだけたくさん見たい」
「わがまま言わないでちょうだい。外に出るのはムリよ。商会を呼ぶわ」
「そうか……あたいみたいな女は自分のウェディングドレスも選べないんだな……ははは」
リリーブランは顔を顰めて騎士を見た。
このところ大人しいローラに安心していた騎士が口を開く。
「もし行かれるのでしたら、我々が完璧な体制を整えますよ」
「父に相談してみます」
リリーブランは部屋を出た。
その夜帰宅したドナルドに話をすると、やはり商会を呼ぶという。
すぐに出入りの店に連絡したが、3日先でないと出張はできないと言われてしまった。
却下すればいいだけだが、3か月後には死ぬ運命の女だ。
最後の望みくらい叶えてやろうと、ドナルドは考えてしまった。
翌日、4人の騎士に囲まれたリリーブランとローラは商会へと向かった。
次々に出されるウェディングドレスに、ローラは少女のような微笑みを浮かべる。
「これとこれとこれ、試着するよ」
「そう、ではここで待っているわ」
自分でさえまだ購入していないウェディングドレスを抱えて微笑むローラに、リリーブランは少しだけ嫉妬した。
なぜこんな目に合わせたこの女に、父親は甘いのだろう……。
そんなことを考えながら男性騎士二人と暫し待っていると、奥で大きな音がした。
騎士たちが駆け出す。
リリーブランは立ち竦んだ。
「どういうことだ!」
騎士の中でも年配の男の声がした。
「ドレスの留め金にレースが引っかかって破れそうだからスタッフを呼べと言われて……」
「それで持ち場を離れたのか! もう一人はどうした!」
「丁度化粧室に……」
「怪我人は? 一人だけか?」
「はい、対応に入ってくれたスタッフだけです」
フィッティングルームから漏れ聞こえる会話に、リリーブランは絶望した。
恐る恐る近寄ると、小さなフィッティングルームのソファーに寝かされ、青い顔のまま頬を濡れたタオルで押さえて眼を瞑っているスタッフの姿が飛び込んだ。
息を吞み、周りを見ると、窓が大きく開いている。
その場に残っている騎士は一人だけだ。
おそらく逃げたローラを追跡しているのだろう。
「どうしましょう……」
「一旦屋敷に戻りましょう。私は公爵に報告に行きます」
「わかりました」
商会の責任者には、後日必ず連絡すると告げ、リリーブランは馬車に乗った。
残っていた騎士は馬で王宮へ走る。
その姿を見送りながら、リリーブランは手を握りしめた。
一人で戻ってきた長女の姿に、使用人たちは最悪の予想をした。
自室に戻っても落ち着けるはずもなく、リリーブランはロビーで父の帰りを待った。
ほどなく駆け込んできた父の後ろには、報告に行った騎士とロナルド公爵の姿があった。
「どういうことだ。説明しなさい」
イライラしながらそう言う父に、返す言葉がない。
代わりに公爵が答えてくれた。
「ドナルド、執務室へ行こう。人払いを頼む」
お茶の用意も断り、四人だけで執務室に向かった。
改めて状況を説明する騎士を、公爵がいきなり殴り飛ばした。
「すぐに追いましたから、もうすぐ捕まえて戻ってくるはずです」
騎士の言葉に一縷の望みを託す3人は、まんじりともせず待った。
しかし、もたらされたのは最悪の報告。
「取り逃がしました」
駆け込んできた女性騎士二人が、土下座をしてそう言った。
公爵は立ち上がり、女性騎士達の肩を次々に蹴りあげた。
もんどりうって倒れる二人を助けるものは誰もいない。
ソファーに座りなおした公爵が口を開く。
「宰相にはまだ報告できない。我が家の騎士を寄こしたことが裏目に出たな。関わっていなければ知らぬ存ぜぬで済ませたものを……」
もう一度3人の騎士を睨みつけ、拳を握る公爵。
騎士達が、床に正座をして甘んじて鉄拳を受ける覚悟を決めたその時、執務室のドアが勢いよく開いた。
「足取りは掴めませんが、娼婦街に逃げ込んだとの情報は掴みました」
娼婦街……。
その言葉に、公爵とドナルドは溜息を吐いた。
おそらく女はもう見つからないだろう。
その女を探す時間が惜しい。
そう決心した公爵は言った。
「このまま進めよう。ドナルド、お前はあの女に似た容姿の者を用意せよ。三か月耐えさせるんだ。それしかない……」
「替え玉ですか……」
二人はリリーブランを見た。
ひいっと後ずさったリリーブランが慌てて声を上げた。
「私は髪色も何も違います。ムリです。あの子は金髪で赤目ですわ。私は金髪といっても茶色に近いですし、目も青です!」
「分かっている。落ち着きなさい。事情を知りすぎているお前には無理だ」
リリーブランはドナルドの声にホッと息を吐いた。
公爵が小さな舌打ちをしてドナルドを見た。
「お前、もう一人娘がいたな。あれはどうだ」
「あの子は……確かにあの女と容姿は似ています。似ていますが今は王都にいません」
「どこだ」
「妻の実家に……カリアナです」
「カリアナか。二日で戻れるな……すぐに行け」
「えっ! あの子を身代わりにすると?」
「それ以外に手があるのか? 家門を存続させるにはそれしかないだろう!」
「宰相に報告して指示を仰げば……」
「バカかお前は。その場で手打ちにされてお家は断絶、一族郎党皆殺しだ」
「皆殺し……」
「わかったら早く行け! お前たちは絶対にこのことを漏らすな。いいか? 絶対にだ。漏らした時はそれこそ私が根絶やしにしてくれる」
「「はっ!」」
4人の騎士はその場で誓いを立てた。
立ち竦むリリーブランに公爵が言う。
「お前もだ。死にたくなかったら口を噤め。そしてさっさと隣国へ行って一生を戻ってくるな」
「は……はい。わかりました」
悪態もつかず、物も投げなくなったローラの態度に、少しずつ緊張感が薄らぐ。
そんな護衛達の目を盗み、ローラは必死で考え続けた。
ある日、ローラはリリーブランを呼んで欲しいとメイドに頼んだ。
騎士が頷くのを確認したメイドは、リリーブランを呼びに行く。
「どうしたの?」
「ああ、お姉様、悪かったね、呼び出したりして。頼みがあるんだよ」
「何かしら……私にできることは無いと思うのだけれど」
「お父様から聞いたのだけれど、もうすぐあたいの結婚式があるんだろう? こんな形とはいえ一生に一度のことだ。自分でドレスを選びたいんだよ。ねえ、良いだろう?」
「だったら商会を呼ぶわ。それでいいでしょう?」
「良いけど、そんな時間があるのかい? 来週の日曜といえばあと5日だ。何枚か持ってきて、この中から選べっていうのじゃあ悲しいよ。できるだけたくさん見たい」
「わがまま言わないでちょうだい。外に出るのはムリよ。商会を呼ぶわ」
「そうか……あたいみたいな女は自分のウェディングドレスも選べないんだな……ははは」
リリーブランは顔を顰めて騎士を見た。
このところ大人しいローラに安心していた騎士が口を開く。
「もし行かれるのでしたら、我々が完璧な体制を整えますよ」
「父に相談してみます」
リリーブランは部屋を出た。
その夜帰宅したドナルドに話をすると、やはり商会を呼ぶという。
すぐに出入りの店に連絡したが、3日先でないと出張はできないと言われてしまった。
却下すればいいだけだが、3か月後には死ぬ運命の女だ。
最後の望みくらい叶えてやろうと、ドナルドは考えてしまった。
翌日、4人の騎士に囲まれたリリーブランとローラは商会へと向かった。
次々に出されるウェディングドレスに、ローラは少女のような微笑みを浮かべる。
「これとこれとこれ、試着するよ」
「そう、ではここで待っているわ」
自分でさえまだ購入していないウェディングドレスを抱えて微笑むローラに、リリーブランは少しだけ嫉妬した。
なぜこんな目に合わせたこの女に、父親は甘いのだろう……。
そんなことを考えながら男性騎士二人と暫し待っていると、奥で大きな音がした。
騎士たちが駆け出す。
リリーブランは立ち竦んだ。
「どういうことだ!」
騎士の中でも年配の男の声がした。
「ドレスの留め金にレースが引っかかって破れそうだからスタッフを呼べと言われて……」
「それで持ち場を離れたのか! もう一人はどうした!」
「丁度化粧室に……」
「怪我人は? 一人だけか?」
「はい、対応に入ってくれたスタッフだけです」
フィッティングルームから漏れ聞こえる会話に、リリーブランは絶望した。
恐る恐る近寄ると、小さなフィッティングルームのソファーに寝かされ、青い顔のまま頬を濡れたタオルで押さえて眼を瞑っているスタッフの姿が飛び込んだ。
息を吞み、周りを見ると、窓が大きく開いている。
その場に残っている騎士は一人だけだ。
おそらく逃げたローラを追跡しているのだろう。
「どうしましょう……」
「一旦屋敷に戻りましょう。私は公爵に報告に行きます」
「わかりました」
商会の責任者には、後日必ず連絡すると告げ、リリーブランは馬車に乗った。
残っていた騎士は馬で王宮へ走る。
その姿を見送りながら、リリーブランは手を握りしめた。
一人で戻ってきた長女の姿に、使用人たちは最悪の予想をした。
自室に戻っても落ち着けるはずもなく、リリーブランはロビーで父の帰りを待った。
ほどなく駆け込んできた父の後ろには、報告に行った騎士とロナルド公爵の姿があった。
「どういうことだ。説明しなさい」
イライラしながらそう言う父に、返す言葉がない。
代わりに公爵が答えてくれた。
「ドナルド、執務室へ行こう。人払いを頼む」
お茶の用意も断り、四人だけで執務室に向かった。
改めて状況を説明する騎士を、公爵がいきなり殴り飛ばした。
「すぐに追いましたから、もうすぐ捕まえて戻ってくるはずです」
騎士の言葉に一縷の望みを託す3人は、まんじりともせず待った。
しかし、もたらされたのは最悪の報告。
「取り逃がしました」
駆け込んできた女性騎士二人が、土下座をしてそう言った。
公爵は立ち上がり、女性騎士達の肩を次々に蹴りあげた。
もんどりうって倒れる二人を助けるものは誰もいない。
ソファーに座りなおした公爵が口を開く。
「宰相にはまだ報告できない。我が家の騎士を寄こしたことが裏目に出たな。関わっていなければ知らぬ存ぜぬで済ませたものを……」
もう一度3人の騎士を睨みつけ、拳を握る公爵。
騎士達が、床に正座をして甘んじて鉄拳を受ける覚悟を決めたその時、執務室のドアが勢いよく開いた。
「足取りは掴めませんが、娼婦街に逃げ込んだとの情報は掴みました」
娼婦街……。
その言葉に、公爵とドナルドは溜息を吐いた。
おそらく女はもう見つからないだろう。
その女を探す時間が惜しい。
そう決心した公爵は言った。
「このまま進めよう。ドナルド、お前はあの女に似た容姿の者を用意せよ。三か月耐えさせるんだ。それしかない……」
「替え玉ですか……」
二人はリリーブランを見た。
ひいっと後ずさったリリーブランが慌てて声を上げた。
「私は髪色も何も違います。ムリです。あの子は金髪で赤目ですわ。私は金髪といっても茶色に近いですし、目も青です!」
「分かっている。落ち着きなさい。事情を知りすぎているお前には無理だ」
リリーブランはドナルドの声にホッと息を吐いた。
公爵が小さな舌打ちをしてドナルドを見た。
「お前、もう一人娘がいたな。あれはどうだ」
「あの子は……確かにあの女と容姿は似ています。似ていますが今は王都にいません」
「どこだ」
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「えっ! あの子を身代わりにすると?」
「それ以外に手があるのか? 家門を存続させるにはそれしかないだろう!」
「宰相に報告して指示を仰げば……」
「バカかお前は。その場で手打ちにされてお家は断絶、一族郎党皆殺しだ」
「皆殺し……」
「わかったら早く行け! お前たちは絶対にこのことを漏らすな。いいか? 絶対にだ。漏らした時はそれこそ私が根絶やしにしてくれる」
「「はっ!」」
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