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すみません。投稿設定ミスをしていました。
差し替えましたのでよろしくお願いします。
ごめんなさい。
「良かった……ロバート! もっと早く走れないのか?」
ウサキチの声がした。
「無茶を言わないでください。王妃殿下の部屋から走ってきたんですから」
「お前は明日から筋トレと走り込みを日課にしろ。それにしてもライラが犯人だったとはな。まったく予想外だった」
シューンを抱いたままサリーがロバートを見る。
「ライラ? 犯人は……ライラだったのですか?」
気づいてなかったことにも驚いたが、それだけシューンの救助を優先したということにして、サリーは何も言わなかった。
「逃げようとしたから亀に変身させたの。戻して確認する?」
「ああ、理由が知りたい。あれほど殿下を大切にしていたライラだ。何か重大な理由があるはずだ」
ロバートは悲痛な顔をしていた。
サリーは一つ頷いて、蓋にしてい桶をどかした。
「元に戻れ~ え~い!」
ポンと白い霞が立ち込めて、素っ裸のライラが蹲った。
サリーとロバートとウサキチは、すっかり忘れていたのだ。
戻った時の状態を……
ロバートは慌てて目を逸らしたが、サリーは冷静に対処した。
「さあ、シューン殿下。ウサキチと一緒にねんねしましょうね?」
「サリーは? サリーも一緒にいて欲しい」
「いますよ? 今夜はずっとここにいますから安心して眠ってください」
「ウサキチは?」
「ウサキチも一緒です。抱っこしますか?」
「うん、ウサキチ……おいで」
シューンが短い手を伸ばしてウサキチを抱きしめた。
「殿下は少しだけ悪い夢を見て苦しくなったのです。もう大丈夫ですからね」
「夢か……苦しかったんだ。ウサキチが池に落ちたときみたいに苦しかった」
サリーは悲痛な表情を浮かべた。
シューンは一度池に落ちた経験があるのだ。
まだその辛さを抱えたままのシューンにこの仕打ちとは……
サリーはライラの背中に怒りの視線を投げた。
「ライラ」
凍るような声に、ライラの背中がぴくっと動いた。
蹲って胸を隠して俯くライラ。
シューンを殺そうとした憎い犯人とは言え、同じ女性としてサリーはライラにバスタオルを掛けてやった。
「ライラ?」
ロバートがライラに声を掛けた。
返事はない。
「ライラ……じゃない。お前は誰だ?」
ロバートの声にサリーとウサキチが反応した。
サリーは立ち上がり、ライラの顎を掴んで上を向かせた。
「暗くてわからないわね」
サリーの声にロバートがサイドテーブルに置かれていたランプを近づけた。
シューンはウサキチが何かしたのだろう。
大人しくすやすやと寝息を立てている。
「ライラじゃない?」
「ああ、顔は確かに同じに見えるけど、背中に傷がない。ライラは左の肩甲骨のところから腰にかけて切りつけられたような傷があるんだ」
「背中の傷? なんであんたが知ってんのよ」
ロバートが片手で口を覆って顔を背けた。
「まさか……いつの間に……」
「そ……それは……いずれ話すから」
「フンッ! 全身を洗ってもらって惚れちゃった?」
「い……今はいいだろう?」
「なんか不愉快だけど、今は置いておきましょう。だとしたらあんたは誰なの?」
ライラもどきは答えない。
サリーは立ち上がってドアの前に脱ぎ捨てられていたメイド服を持ってきた。
「ロバートが目のやり場に困っているから着なさい」
ライラもどきは奪うように服を引き寄せ、抱え込んだ。
さすがにこの公衆の面前で下着をつけるのは戸惑ったのだろう。
チラッとロバートに視線を投げると、慌てて顔を背けてくれた。
「ウサキチ、あんたも向こうを見てなさい」
「私はぬいぐるみだぞ? 今動くとシューンが起きるぞ? それに私は高貴な神の使いだぞ? 若い女の生着替え位で心が動くわけ無いだろう?」
絶対に噓だと思ったサリーは、強制的にウサキチの上にシーツを掛けた。
「こら! サリー! これをどかせ!」
悲しいかなそこはぬいぐるみのウサキチ。
自分ではシーツ一つ動かせないのだった。
その間に手早く服を着たライラは、抵抗もせずその場に正座した。
「ねえ、ロバート。イース殿下を呼んだ方が良くない?」
「そうだな」
そう言うとロバートは廊下に出て、歩いてきた侍従にイース殿下への伝言を頼んだ。
差し替えましたのでよろしくお願いします。
ごめんなさい。
「良かった……ロバート! もっと早く走れないのか?」
ウサキチの声がした。
「無茶を言わないでください。王妃殿下の部屋から走ってきたんですから」
「お前は明日から筋トレと走り込みを日課にしろ。それにしてもライラが犯人だったとはな。まったく予想外だった」
シューンを抱いたままサリーがロバートを見る。
「ライラ? 犯人は……ライラだったのですか?」
気づいてなかったことにも驚いたが、それだけシューンの救助を優先したということにして、サリーは何も言わなかった。
「逃げようとしたから亀に変身させたの。戻して確認する?」
「ああ、理由が知りたい。あれほど殿下を大切にしていたライラだ。何か重大な理由があるはずだ」
ロバートは悲痛な顔をしていた。
サリーは一つ頷いて、蓋にしてい桶をどかした。
「元に戻れ~ え~い!」
ポンと白い霞が立ち込めて、素っ裸のライラが蹲った。
サリーとロバートとウサキチは、すっかり忘れていたのだ。
戻った時の状態を……
ロバートは慌てて目を逸らしたが、サリーは冷静に対処した。
「さあ、シューン殿下。ウサキチと一緒にねんねしましょうね?」
「サリーは? サリーも一緒にいて欲しい」
「いますよ? 今夜はずっとここにいますから安心して眠ってください」
「ウサキチは?」
「ウサキチも一緒です。抱っこしますか?」
「うん、ウサキチ……おいで」
シューンが短い手を伸ばしてウサキチを抱きしめた。
「殿下は少しだけ悪い夢を見て苦しくなったのです。もう大丈夫ですからね」
「夢か……苦しかったんだ。ウサキチが池に落ちたときみたいに苦しかった」
サリーは悲痛な表情を浮かべた。
シューンは一度池に落ちた経験があるのだ。
まだその辛さを抱えたままのシューンにこの仕打ちとは……
サリーはライラの背中に怒りの視線を投げた。
「ライラ」
凍るような声に、ライラの背中がぴくっと動いた。
蹲って胸を隠して俯くライラ。
シューンを殺そうとした憎い犯人とは言え、同じ女性としてサリーはライラにバスタオルを掛けてやった。
「ライラ?」
ロバートがライラに声を掛けた。
返事はない。
「ライラ……じゃない。お前は誰だ?」
ロバートの声にサリーとウサキチが反応した。
サリーは立ち上がり、ライラの顎を掴んで上を向かせた。
「暗くてわからないわね」
サリーの声にロバートがサイドテーブルに置かれていたランプを近づけた。
シューンはウサキチが何かしたのだろう。
大人しくすやすやと寝息を立てている。
「ライラじゃない?」
「ああ、顔は確かに同じに見えるけど、背中に傷がない。ライラは左の肩甲骨のところから腰にかけて切りつけられたような傷があるんだ」
「背中の傷? なんであんたが知ってんのよ」
ロバートが片手で口を覆って顔を背けた。
「まさか……いつの間に……」
「そ……それは……いずれ話すから」
「フンッ! 全身を洗ってもらって惚れちゃった?」
「い……今はいいだろう?」
「なんか不愉快だけど、今は置いておきましょう。だとしたらあんたは誰なの?」
ライラもどきは答えない。
サリーは立ち上がってドアの前に脱ぎ捨てられていたメイド服を持ってきた。
「ロバートが目のやり場に困っているから着なさい」
ライラもどきは奪うように服を引き寄せ、抱え込んだ。
さすがにこの公衆の面前で下着をつけるのは戸惑ったのだろう。
チラッとロバートに視線を投げると、慌てて顔を背けてくれた。
「ウサキチ、あんたも向こうを見てなさい」
「私はぬいぐるみだぞ? 今動くとシューンが起きるぞ? それに私は高貴な神の使いだぞ? 若い女の生着替え位で心が動くわけ無いだろう?」
絶対に噓だと思ったサリーは、強制的にウサキチの上にシーツを掛けた。
「こら! サリー! これをどかせ!」
悲しいかなそこはぬいぐるみのウサキチ。
自分ではシーツ一つ動かせないのだった。
その間に手早く服を着たライラは、抵抗もせずその場に正座した。
「ねえ、ロバート。イース殿下を呼んだ方が良くない?」
「そうだな」
そう言うとロバートは廊下に出て、歩いてきた侍従にイース殿下への伝言を頼んだ。
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