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神の声?
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あの母娘を誑かす役を買って出たのが、自分の作ったフィッシュバーガーが大好きで、一旦帝国に帰った後に引き返してきてジャルジュを切り捨ててくれた人だと知ったティナは、その人に合わせてほしいとキリウスに頼んだ。
キリウスは承知し、すぐに手配してくれた。
「近々会わなくてはいけない案件もあったので好都合ですよ」
そんな会話をして一週間もしないうちにティナはレナード・オルガ伯爵と対面した。
「お久しぶりです、ティナロア嬢。覚えていて下さってとても光栄です」
「こちらこそご無沙汰いたしておりますわ。お元気そうで安堵いたしました。それに私のためにいろいろお骨折りいただいたと伺いました。心より感謝申し上げます」
ティナはカーテシーで感謝を示した。
それはキリウスとレナード、護衛騎士や侍女たちがホッとため息を吐くほど美しかった。
「ハーベストがもうすぐ来ます。それまでは昔話でもいたしましょう」
キリウスがそう言うと三人の前に紅茶が配られた。
アーレントは眠いのか侍女に抱かれて大人しくしている。
「あのお子さんが?」
「ええ。アーレントと申します」
「なんと・・・陛下にそっくりですね。あれほど弟君を手が早いと嘆いておられたが、陛下はその上をいかれましたか」
「ははは・・・見境があるか無いかだけの違いだな」
「ははははは!なるほど」
三人が笑いあっていたら扉があいた。
「聞こえたぞ」
ハーベストが眉間にしわを寄せながら入ってきた。
ソファの後ろで侍女に抱かれていたアーレントがハーベストに手を伸ばす。
途端に相好を崩し父親の顔になった。
ハーベストは侍女からアーレントを抱き取ってティナの横にどかりと座った。
「久しぶりだなレナード。悪女を手玉に取って男ぶりが上がったのではないか?」
「さすがに手は出していませんよ。でも毎日全ての毛穴から精気を吸い取られているような気がします」
「ははは!じゃあ種なしになる前に結婚した方がいいな」
四人は笑いながらお茶を楽しんだ。
キリウスが護衛騎士に目くばせをして人払いをする。
「それで?遂に決行か?」
「ええ、母親の借金は大きな屋敷を買える程度になりましたし、娘の方も買い手の提示した額ぎりぎりまできてますのでね。そろそろ潮時かと」
「買い手は決まって居ると言ったな」
キリウスが引き取る。
「母親の方はかの有名なヌーベル男爵だ。金は即金で払うと言っている。娘の方は夢の館ムーランが買い取る。こちらも即金で払うらしい。世の中には金持ちが結構いるようだ」
「ああ、少々金がだぶついて価値が下がっているからなぁ・・・宰相殿の腕の見せ所だぞ」
「わかっているが・・・」
ティナが何気に口をはさんだ。
「ああデフレ状態ですか・・・緩やかなインフレ状態に転換していく必要がありますね。金融政策も大事ですが、企業に設備投資をさせて・・・ん?なんですか?」
「ティナ?」
「あっ!ごめんなさい!余計な口を・・・」
ティナが慌てて口を押さえて俯いた。
キリウスがティナの側に歩み寄り跪いた。
「なるほど・・・キアヌ殿から聞いてはいましたが、これが神の声ですか」
ハーベストとレナードが同時に言った。
「「神の声?」」
「ええ、ティナロア嬢は神に愛された聖女なのだそうです。今回キアヌ殿が持ち込んだ案件もティナロア嬢が言い出したことだとか。そうですよね?」
ティナが困った顔で小さく頷いた。
「時々・・・本当に時々なのですが、神の声が聞こえる事があって・・・それを皆様にお伝えしているだけで、私自身は何の力もございません・・・」
「ティナ・・・素晴らしいな」
ハーベストの言葉にティナが真っ赤になった。
『ああ、ティナは素晴らしい。この男なかなか見る目があるじゃないか』
「アーレントという天使も産んでくれたし」
『その通りだ!こいつは良い奴かもしれん』
「ゆくゆくは私の正妃となって共に歩んでくれる」
『そこは・・・まあこの世では譲ってやろう』
「私は世界一の幸せ者だな」
『ふんっ!人間界限定でな!』
ハーベストの知らないところで乱入した神の相槌にティナは笑いをこらえた。
キリウスが思い出したように口を開く。
「あまり時間が無いから本題に入ろう。ティナ嬢、先ほどの件は別途ご指導いただけませんか?」
「宰相様にお教えできるかどうか・・・もちろん神の声は全てお伝えいたしますわ」
「感謝します」
キリウスはティナの手をとってその甲に口づけを落とした。
すかさずハーベストがキリウスの手をはたき落そうとするが、キリウスは余裕で避ける。
そこからはレナードが現状の説明と計画を話した。
「なるほど・・・ではべルーシュは男娼のレックスが付き添って行くのだな?」
「ええ、怪しまれて逃げられると厄介ですからね。そこは上手くやってくれますよ」
「レックスという男は信用できるのか?かなり金に執着しているようだが」
「ええ、金には執着していますね。でも彼は孤児院をいくつも運営しているのです。その経費を稼いでいるのだとか。でも十分稼げたので男娼からは足を洗うと言ってました」
「そうか・・・褒めていいのやらどうやら・・・それで?ベラはどうするのだ?」
レックスがクスっと笑いながら言った。
「カジノでの負けを清算させるだけですよ。あの何の根拠もない自信とプライドをへし折ってやりたいので、その場で手痛く振ってやる予定です」
「見たいな・・・ティナも見たいだろう?」
「う~ん・・・ちょっと見たいような気もするけど・・・私よりお母様の方が見たいかもしれませんね・・・ベニスは?妹はどうされるのですか?」
「彼女もカジノに連れて行こうとしたのですが、あの容姿でしょう?人前に出たがらなくて。なので姉に唆させてちょっとした先物取引に引き込みました。母親と姉の断罪が完了したら屋敷に乗り込んで返済請求です。もちろん返せないので治山工事現場おくりですね」
「完璧ですわ」
ティナは心の中でティナロアお嬢様に問いかけた。
(このくらいで許してやりませんか?お嬢様)
窓を開けていないのにカーテンがふわっと揺れた。
(良かったです。見届けたら神の御許に行ってくださいね)
ティナは優しいほほえみを浮かべた。
キリウスは承知し、すぐに手配してくれた。
「近々会わなくてはいけない案件もあったので好都合ですよ」
そんな会話をして一週間もしないうちにティナはレナード・オルガ伯爵と対面した。
「お久しぶりです、ティナロア嬢。覚えていて下さってとても光栄です」
「こちらこそご無沙汰いたしておりますわ。お元気そうで安堵いたしました。それに私のためにいろいろお骨折りいただいたと伺いました。心より感謝申し上げます」
ティナはカーテシーで感謝を示した。
それはキリウスとレナード、護衛騎士や侍女たちがホッとため息を吐くほど美しかった。
「ハーベストがもうすぐ来ます。それまでは昔話でもいたしましょう」
キリウスがそう言うと三人の前に紅茶が配られた。
アーレントは眠いのか侍女に抱かれて大人しくしている。
「あのお子さんが?」
「ええ。アーレントと申します」
「なんと・・・陛下にそっくりですね。あれほど弟君を手が早いと嘆いておられたが、陛下はその上をいかれましたか」
「ははは・・・見境があるか無いかだけの違いだな」
「ははははは!なるほど」
三人が笑いあっていたら扉があいた。
「聞こえたぞ」
ハーベストが眉間にしわを寄せながら入ってきた。
ソファの後ろで侍女に抱かれていたアーレントがハーベストに手を伸ばす。
途端に相好を崩し父親の顔になった。
ハーベストは侍女からアーレントを抱き取ってティナの横にどかりと座った。
「久しぶりだなレナード。悪女を手玉に取って男ぶりが上がったのではないか?」
「さすがに手は出していませんよ。でも毎日全ての毛穴から精気を吸い取られているような気がします」
「ははは!じゃあ種なしになる前に結婚した方がいいな」
四人は笑いながらお茶を楽しんだ。
キリウスが護衛騎士に目くばせをして人払いをする。
「それで?遂に決行か?」
「ええ、母親の借金は大きな屋敷を買える程度になりましたし、娘の方も買い手の提示した額ぎりぎりまできてますのでね。そろそろ潮時かと」
「買い手は決まって居ると言ったな」
キリウスが引き取る。
「母親の方はかの有名なヌーベル男爵だ。金は即金で払うと言っている。娘の方は夢の館ムーランが買い取る。こちらも即金で払うらしい。世の中には金持ちが結構いるようだ」
「ああ、少々金がだぶついて価値が下がっているからなぁ・・・宰相殿の腕の見せ所だぞ」
「わかっているが・・・」
ティナが何気に口をはさんだ。
「ああデフレ状態ですか・・・緩やかなインフレ状態に転換していく必要がありますね。金融政策も大事ですが、企業に設備投資をさせて・・・ん?なんですか?」
「ティナ?」
「あっ!ごめんなさい!余計な口を・・・」
ティナが慌てて口を押さえて俯いた。
キリウスがティナの側に歩み寄り跪いた。
「なるほど・・・キアヌ殿から聞いてはいましたが、これが神の声ですか」
ハーベストとレナードが同時に言った。
「「神の声?」」
「ええ、ティナロア嬢は神に愛された聖女なのだそうです。今回キアヌ殿が持ち込んだ案件もティナロア嬢が言い出したことだとか。そうですよね?」
ティナが困った顔で小さく頷いた。
「時々・・・本当に時々なのですが、神の声が聞こえる事があって・・・それを皆様にお伝えしているだけで、私自身は何の力もございません・・・」
「ティナ・・・素晴らしいな」
ハーベストの言葉にティナが真っ赤になった。
『ああ、ティナは素晴らしい。この男なかなか見る目があるじゃないか』
「アーレントという天使も産んでくれたし」
『その通りだ!こいつは良い奴かもしれん』
「ゆくゆくは私の正妃となって共に歩んでくれる」
『そこは・・・まあこの世では譲ってやろう』
「私は世界一の幸せ者だな」
『ふんっ!人間界限定でな!』
ハーベストの知らないところで乱入した神の相槌にティナは笑いをこらえた。
キリウスが思い出したように口を開く。
「あまり時間が無いから本題に入ろう。ティナ嬢、先ほどの件は別途ご指導いただけませんか?」
「宰相様にお教えできるかどうか・・・もちろん神の声は全てお伝えいたしますわ」
「感謝します」
キリウスはティナの手をとってその甲に口づけを落とした。
すかさずハーベストがキリウスの手をはたき落そうとするが、キリウスは余裕で避ける。
そこからはレナードが現状の説明と計画を話した。
「なるほど・・・ではべルーシュは男娼のレックスが付き添って行くのだな?」
「ええ、怪しまれて逃げられると厄介ですからね。そこは上手くやってくれますよ」
「レックスという男は信用できるのか?かなり金に執着しているようだが」
「ええ、金には執着していますね。でも彼は孤児院をいくつも運営しているのです。その経費を稼いでいるのだとか。でも十分稼げたので男娼からは足を洗うと言ってました」
「そうか・・・褒めていいのやらどうやら・・・それで?ベラはどうするのだ?」
レックスがクスっと笑いながら言った。
「カジノでの負けを清算させるだけですよ。あの何の根拠もない自信とプライドをへし折ってやりたいので、その場で手痛く振ってやる予定です」
「見たいな・・・ティナも見たいだろう?」
「う~ん・・・ちょっと見たいような気もするけど・・・私よりお母様の方が見たいかもしれませんね・・・ベニスは?妹はどうされるのですか?」
「彼女もカジノに連れて行こうとしたのですが、あの容姿でしょう?人前に出たがらなくて。なので姉に唆させてちょっとした先物取引に引き込みました。母親と姉の断罪が完了したら屋敷に乗り込んで返済請求です。もちろん返せないので治山工事現場おくりですね」
「完璧ですわ」
ティナは心の中でティナロアお嬢様に問いかけた。
(このくらいで許してやりませんか?お嬢様)
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