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それからの会議はティナの独壇場だった。
土木技師が深夜にもかかわらず呼び出され、ティナの描く絵によって内容を把握していく。
王子たちはティナを囲むようにして話に聞き入っていた。
土木技師の責任者が掌で顎を撫でながら言う。
「なるほど・・・これは画期的な案ですな。周りの地形も利用できますし・・・後は崖の壁面と人口工作物のジョイント部分をどうするかですね」
キアヌが口をはさむ。
「そうか、この案は実現できそうなのだな?というか専門家から見ても効果が見込めると言うことだな?」
「はい。これは凄いプランだと思います。まさか聖女様がこれほどの方だとは・・・」
ティナが恥ずかしそうにそっと俯いた。
ユリア殿下がそんなティナを微笑ましく見詰めた。
「ご苦労だった。深夜にも関わらず呼び出しに応じでくれたこと、感謝する。もう帰って休んでくれ。ああ、なるべく早く・・・そうだなひと月以内には建設プランを出してほしい」
「畏まりました。全力を尽くします」
技師たちが出て会議室に静寂が訪れた。
ユリア殿下が着席を進め、侍従に夜食を運ばせるよう指示を出す。
「遅くまで申し訳ないが、それほどひっ迫していると思ってほしい。さて、最後の議題だが・・・ナサーリアは眠ったままかい?」
ハロッズ侯爵が立ち上がってソファーで眠るナサーリアを覗き込んだ。
「お父様?」
「ああサーリ、起きたかい?今からお前にも関係する話が始まるのだが大丈夫かな?」
「はい、もちろんです」
ナサーリアがゆるゆると起き上がりティナの横の席に向かった。
「大丈夫ですか?サーリ様」
「はい、ティナ様。私いつの間に眠ったのでしょう。お恥ずかしいですわ」
「ははは!大丈夫ですよ?サーリ様が眠っておられる間は退屈な堅苦しいお話でしたから。ね?殿下」
ユリア殿下が苦笑しながら言う。
「あんな壮大なプランをいとも簡単に出した聖女の口から出た言葉とも思えないが?まあ確かにナサーリアには退屈な話だったかもしれない」
夜食が運ばれ暫しの歓談の後、会議が再開された。
ユリア殿下がくちびを切る。
「今日最後の議題だ。今回の事件のことも踏まえて考えていこう。二人の聖女を国としてどう守るか。そしてどのような役割を担ってもらうのか」
ティナが慌てて立ち上がる。
「少しお待ちください!ナサーリア様は間違いなく神に選ばれし聖女様です。でも私は違うのです!聖女ではありません。神の声を聞くことができるだけなんです!」
キアヌが不思議そうな顔で言った。
「神の声が聞けるのが聖女じゃないの?」
ティナがひとつ息を吐いてから口を開いた。
「違いますよ?殿下。それだとオルフェウス大神官様もフェルナンド神官様も聖女になってしまいます。ああ、女性ではないから聖女とは言わないか・・・へへへ」
「じゃあ聖女の定義ってなんだろうか?」
「それは神の力を分け与えられ、行使することができる人のことです。ナサーリア様は癒し力と守護の力を神から授かっておられます」
「癒しの力と守護の力?」
神の声が頭の中に響いた。
『実際に見せた方が早かろう』
神の声が聞こえる四人が一斉に立ち上がった。
オルフェウス大神官が代表して説明する。
「たった今、神より声が届きました。聖女ナサーリア様、できますか?」
「はい。私にも神の声が届きましたもの。ただ私はまだ完全に扱えているわけではないので・・・」
オルフェウス大神官がナサーリアの手を取って微笑んだ。
「ユリア殿下のおみ足に翳してみましょうか」
「はい・・・殿下よろしいですか?」
「あっ・・・ああ、えっと?私はどうすればいいのかな?」
いきなり指名されたユリア殿下は戸惑った。
「そのままで大丈夫です。今は痛みはありますか?」
「痛みは常にあるよ?痺れにもの似た感覚だが」
「どこですか?」
「膝だな」
小さく頷くとナサーリアはユリア殿下の膝に掌を向ける。
ぽわっとした金色の光がユリア殿下の膝を包み込んだ。
土木技師が深夜にもかかわらず呼び出され、ティナの描く絵によって内容を把握していく。
王子たちはティナを囲むようにして話に聞き入っていた。
土木技師の責任者が掌で顎を撫でながら言う。
「なるほど・・・これは画期的な案ですな。周りの地形も利用できますし・・・後は崖の壁面と人口工作物のジョイント部分をどうするかですね」
キアヌが口をはさむ。
「そうか、この案は実現できそうなのだな?というか専門家から見ても効果が見込めると言うことだな?」
「はい。これは凄いプランだと思います。まさか聖女様がこれほどの方だとは・・・」
ティナが恥ずかしそうにそっと俯いた。
ユリア殿下がそんなティナを微笑ましく見詰めた。
「ご苦労だった。深夜にも関わらず呼び出しに応じでくれたこと、感謝する。もう帰って休んでくれ。ああ、なるべく早く・・・そうだなひと月以内には建設プランを出してほしい」
「畏まりました。全力を尽くします」
技師たちが出て会議室に静寂が訪れた。
ユリア殿下が着席を進め、侍従に夜食を運ばせるよう指示を出す。
「遅くまで申し訳ないが、それほどひっ迫していると思ってほしい。さて、最後の議題だが・・・ナサーリアは眠ったままかい?」
ハロッズ侯爵が立ち上がってソファーで眠るナサーリアを覗き込んだ。
「お父様?」
「ああサーリ、起きたかい?今からお前にも関係する話が始まるのだが大丈夫かな?」
「はい、もちろんです」
ナサーリアがゆるゆると起き上がりティナの横の席に向かった。
「大丈夫ですか?サーリ様」
「はい、ティナ様。私いつの間に眠ったのでしょう。お恥ずかしいですわ」
「ははは!大丈夫ですよ?サーリ様が眠っておられる間は退屈な堅苦しいお話でしたから。ね?殿下」
ユリア殿下が苦笑しながら言う。
「あんな壮大なプランをいとも簡単に出した聖女の口から出た言葉とも思えないが?まあ確かにナサーリアには退屈な話だったかもしれない」
夜食が運ばれ暫しの歓談の後、会議が再開された。
ユリア殿下がくちびを切る。
「今日最後の議題だ。今回の事件のことも踏まえて考えていこう。二人の聖女を国としてどう守るか。そしてどのような役割を担ってもらうのか」
ティナが慌てて立ち上がる。
「少しお待ちください!ナサーリア様は間違いなく神に選ばれし聖女様です。でも私は違うのです!聖女ではありません。神の声を聞くことができるだけなんです!」
キアヌが不思議そうな顔で言った。
「神の声が聞けるのが聖女じゃないの?」
ティナがひとつ息を吐いてから口を開いた。
「違いますよ?殿下。それだとオルフェウス大神官様もフェルナンド神官様も聖女になってしまいます。ああ、女性ではないから聖女とは言わないか・・・へへへ」
「じゃあ聖女の定義ってなんだろうか?」
「それは神の力を分け与えられ、行使することができる人のことです。ナサーリア様は癒し力と守護の力を神から授かっておられます」
「癒しの力と守護の力?」
神の声が頭の中に響いた。
『実際に見せた方が早かろう』
神の声が聞こえる四人が一斉に立ち上がった。
オルフェウス大神官が代表して説明する。
「たった今、神より声が届きました。聖女ナサーリア様、できますか?」
「はい。私にも神の声が届きましたもの。ただ私はまだ完全に扱えているわけではないので・・・」
オルフェウス大神官がナサーリアの手を取って微笑んだ。
「ユリア殿下のおみ足に翳してみましょうか」
「はい・・・殿下よろしいですか?」
「あっ・・・ああ、えっと?私はどうすればいいのかな?」
いきなり指名されたユリア殿下は戸惑った。
「そのままで大丈夫です。今は痛みはありますか?」
「痛みは常にあるよ?痺れにもの似た感覚だが」
「どこですか?」
「膝だな」
小さく頷くとナサーリアはユリア殿下の膝に掌を向ける。
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