2 / 16
もののけとの出会い
2
しおりを挟む
「えぐぅぅっ、えぐっ。怖かったのじゃ。もの凄く怖かったのじゃ。……。なんなのじゃ! なんなのじゃ! 妾がなにをしたっていうのじゃ!」
涙目の幼女が袖で涙を拭っていた。普段なら愛らしいと言われている瞳孔は怯えて開き、涙で目は潤んでいた。そして頭の上にある耳はふるふると震えてヘタリと伏せられ、着物から飛び出している尻尾は毛羽立っていた。
「ちょっと強い力を感じたから興味本位で見に行っただけじゃろうが! ちょっとだけ感じたから興味がわいて、覗き込んだだけじゃろうが! なんであのような退魔の力を受けねばならんのじゃ!」
一通り叫んで落ち着いたのか、恐怖に引きつった顔ではなく、真っ赤な顔で、へばりついていた耳をピンと立て幼女が怒っていた。
「許さん! 伏見稲荷大社の末席に名を連ねる妾をビビらせた報いをあやつに与えねばならん! ……。じゃが、さっきみたいに強烈な退魔の力が全て妾に向かってきたら――ええい! なにをビビっておる! 妖狐になって100年! 妾は由緒正しき物の怪であるぞ!」
ピョンピョンと飛びながら怒りを露わに着物姿で飛び上がっている様子は、七五三でハシャいでいる子供のようで微笑ましかった。
当の本人は真剣だったが。
「よし。まずはバレんように、あやつを調べねばならん。ふむ、これを使おうかの。うむうむ。このような時のお小遣いなのじゃ!」
妖狐の幼女は懐からがま口財布を取り出し、中から5円玉を見付けて握りしめた。そして頭の上に乗せて何かを呟く。
「ダギニ・バザラ・ダトバン・ダキニ・アビラ・ウンケン・オン・キリカク・ソワカ!」
幼女だった姿がさらに小さくなり、30センチメートルほどの可愛らしい座敷わらしみたいな人形となった。
「うむ。これなら完璧じゃ! ふっふっふ。あやつに目に物見せてくれるわ」
術が上手く発動してご機嫌な人形となった幼女な妖孤は、先ほど追い払われたドミトリーに戻っていった。
涙目の幼女が袖で涙を拭っていた。普段なら愛らしいと言われている瞳孔は怯えて開き、涙で目は潤んでいた。そして頭の上にある耳はふるふると震えてヘタリと伏せられ、着物から飛び出している尻尾は毛羽立っていた。
「ちょっと強い力を感じたから興味本位で見に行っただけじゃろうが! ちょっとだけ感じたから興味がわいて、覗き込んだだけじゃろうが! なんであのような退魔の力を受けねばならんのじゃ!」
一通り叫んで落ち着いたのか、恐怖に引きつった顔ではなく、真っ赤な顔で、へばりついていた耳をピンと立て幼女が怒っていた。
「許さん! 伏見稲荷大社の末席に名を連ねる妾をビビらせた報いをあやつに与えねばならん! ……。じゃが、さっきみたいに強烈な退魔の力が全て妾に向かってきたら――ええい! なにをビビっておる! 妖狐になって100年! 妾は由緒正しき物の怪であるぞ!」
ピョンピョンと飛びながら怒りを露わに着物姿で飛び上がっている様子は、七五三でハシャいでいる子供のようで微笑ましかった。
当の本人は真剣だったが。
「よし。まずはバレんように、あやつを調べねばならん。ふむ、これを使おうかの。うむうむ。このような時のお小遣いなのじゃ!」
妖狐の幼女は懐からがま口財布を取り出し、中から5円玉を見付けて握りしめた。そして頭の上に乗せて何かを呟く。
「ダギニ・バザラ・ダトバン・ダキニ・アビラ・ウンケン・オン・キリカク・ソワカ!」
幼女だった姿がさらに小さくなり、30センチメートルほどの可愛らしい座敷わらしみたいな人形となった。
「うむ。これなら完璧じゃ! ふっふっふ。あやつに目に物見せてくれるわ」
術が上手く発動してご機嫌な人形となった幼女な妖孤は、先ほど追い払われたドミトリーに戻っていった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
狐小路食堂 ~狐耳少女の千年レシピ~
無才乙三
キャラ文芸
繁華街から外れた暗い暗い路地の奥にその店はある。
店の名は『狐小路食堂』
狐耳の少女が店主をしているその飲食店には
毎夜毎晩、動物やあやかし達が訪れ……?
作者:無才乙三(@otozoumusai)表紙イラスト:白まめけい(@siromamekei)
※カクヨムにて2017年1月から3月まで連載していたグルメ小説のリメイク版です。
(主人公を男性から少女へと変更)
つくもむすめは公務員-法律違反は見逃して♡-
halsan
キャラ文芸
超限界集落の村役場に一人務める木野虚(キノコ)玄墨(ゲンボク)は、ある夏の日に、宇宙から飛来した地球外生命体を股間に受けてしまった。
その結果、彼は地球外生命体が惑星を支配するための「胞子力エネルギー」を三つ目の「きんたま」として宿してしまう。
その能力は「無から有」
最初に現れたのは、ゲンボク愛用のお人形さんから生まれた「アリス」
さあ限界集落から発信だ!
群青の空
ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ
キャラ文芸
十年前――
東京から引っ越し、友達も彼女もなく。退屈な日々を送り、隣の家から聴こえてくるピアノの音は、綺麗で穏やかな感じをさせるが、どこか腑に落ちないところがあった。そんな高校生・拓海がその土地で不思議な高校生美少女・空と出会う。
そんな彼女のと出会い、俺の一年は自分の人生の中で、何よりも大切なものになった。
ただ、俺は彼女に……。
これは十年前のたった一年の青春物語――
『遺産相続人』〜『猫たちの時間』7〜
segakiyui
キャラ文芸
俺は滝志郎。人に言わせれば『厄介事吸引器』。たまたま助けた爺さんは大富豪、遺産相続人として滝を指名する。出かけた滝を待っていたのは幽霊、音量、魑魅魍魎。舞うのは命、散るのはくれない、引き裂かれて行く人の絆。ったく人間てのは化け物よりタチが悪い。愛が絡めばなおのこと。おい、周一郎、早いとこ逃げ出そうぜ! 山村を舞台に展開する『猫たちの時間』シリーズ7。
冷蔵庫の印南さん
奈古七映
キャラ文芸
地元の電気屋さんが発明した新型冷蔵庫にはAIが搭載されていて、カスタマイズ機能がすごい。母が面白がって「印南さん」と命名したせいで……しゃべる冷蔵庫と田舎育ちヒロインのハートフルでちょっぴり泣けるコメディ短編。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる