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スキルの活用に気付く
第21話 スキルの活用に気付く
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「ちょっと分からないですね……」
「ああ、そうじゃな。じゃが、これからの事を考えると色々と考えておいた方がいいじゃろう。その前に武器防具は揃えた方が良いじゃろうな」
「確かにそうですね。戦っている最中に装備が出来ない状態なら困りますから」
その後、様々な検証をしていた2人だが、分かった事は拡張収縮魔法のスキルを使うと10分は装備が可能で、その後はクールタイムが必要との事であった。
10分であれば武器も防具も装備が出来るのはいいのだが、ステータス画面で装備が外れた状態で戦おうとしても細身の剣は単なる鉄の棒になり、軽鎧については今着ている服と変わらない防御力しかなかった。
「よし、ユーフェよ。お前さんが持っている素材を確認しよう。それで儂がレベルに見合った武器防具を作ってやる。もちろん金は取るが、素材を提供してくれるなら調整費用はタダにしてやろう」
「え? 本当ですか? それなら助かります」
ドワイトの言葉にユーフェは嬉しそうにしながらアイテムボックスに収納されている素材を1種類ずつ取り出し並べていく。
マグナアルカナで報酬として入手した素材を並べていくのは、ゲーム時代を思い出して楽しかったのだが、ドワイトの表情を見ると、またしてもやらかしているようであった。
「えっと……。これくらいにしておきますね」
「おい。これはミスリル? こっちはオリハルコンじゃないか。それに、この魔石はなんのモンスターじゃ? 見たこともないわい。……。は? アイスドラゴンの魔石じゃと? それと……『これくらいにしておきます』と言っておったが、まだまだ持っておるな?」
目の前に並んでいる素材を手に取りながらドワイトは胡乱な目をユーフェに向ける。その視線を受けたユーフェは吹きも出来ない口笛をしながらそっぽを向いた。
「ひゅーひゅー。旅立ちの時にアイテムボックスに収納されていたので、どこで入手したか分かりませんー」
「もういいわい。とりあえず、このオリハルコンの素材を分けてくれんか? それで今後、お前さんのレベルが10になるまで欲しい物をつくってやる」
拳サイズのオリハルコンを手に持ちながら嬉しそうにしているドワイトからの提案に、ユーフェは喜んで応える。アイテムボックスには、もっと大きなオリハルコンが収納されており、同じサイズなら500個近くあったからである。
「素材を貯めこんでて大正解だったな。レベルが上がる毎に装備を新調してもらうっと」
実際のところはレベル10まで新調してもお釣りがくるレベルの価値があり大損をしているのだが、手持ちのちょっとした素材でそこまでしてくれるドワイトの提案に嬉しそうにするユーフェだった。
「出来上がりは5日後じゃ。最優先で作ってやるから楽しみにまっておれ。それまでは依頼を受けるんじゃないぞ。いや、街の中なら受けても構わんが外の依頼は禁止じゃ。分かったか?」
「分かりましたよ。街の外には出ないと約束しますよ。じゃあ、私はギルドに行ってきますね。良いのを作ってくださいよ」
「誰に向かって言っておるのじゃ。後は儂に任せておけばええ」
自信ありげに自分の胸を叩きながら答えるドワイトにユーフェは笑いかけると店を出ようとする。
「おい。ちょっと待って。街中での服装は今のままでもいいが、武器くらいは腰に付けておかんか。冒険者として見てもらえんぞ。高レベルの冒険者なら素手でもトラブルに対処できるが、お前さんはレベル1じゃろうが」
「そうだった。とりあえず適当な武器を持っておきますね」
アイテムボックスから小剣を取り出して手に持つ。そんな様子にドワイトはため息を吐きながら、店内に飾ってあった腰ベルトをユーフェに手渡すと使うように伝えた。
「ほりゃ。これを使えばいい。小剣を手に持って移動するつもりか? ……。その剣も逸品じゃが、さっきのお前さんの愛剣よりは目立たんかの」
「ありがとうございます。これももらっていいんですよね?」
「あたりまえじゃ。装備は融通すると言ったたじゃろうが」
ドワイトから腰ベルトの使い方を教えてもらったユーフェは小剣を腰に差すと、今度こそギルドに向かっていくのだった。
「ああ、そうじゃな。じゃが、これからの事を考えると色々と考えておいた方がいいじゃろう。その前に武器防具は揃えた方が良いじゃろうな」
「確かにそうですね。戦っている最中に装備が出来ない状態なら困りますから」
その後、様々な検証をしていた2人だが、分かった事は拡張収縮魔法のスキルを使うと10分は装備が可能で、その後はクールタイムが必要との事であった。
10分であれば武器も防具も装備が出来るのはいいのだが、ステータス画面で装備が外れた状態で戦おうとしても細身の剣は単なる鉄の棒になり、軽鎧については今着ている服と変わらない防御力しかなかった。
「よし、ユーフェよ。お前さんが持っている素材を確認しよう。それで儂がレベルに見合った武器防具を作ってやる。もちろん金は取るが、素材を提供してくれるなら調整費用はタダにしてやろう」
「え? 本当ですか? それなら助かります」
ドワイトの言葉にユーフェは嬉しそうにしながらアイテムボックスに収納されている素材を1種類ずつ取り出し並べていく。
マグナアルカナで報酬として入手した素材を並べていくのは、ゲーム時代を思い出して楽しかったのだが、ドワイトの表情を見ると、またしてもやらかしているようであった。
「えっと……。これくらいにしておきますね」
「おい。これはミスリル? こっちはオリハルコンじゃないか。それに、この魔石はなんのモンスターじゃ? 見たこともないわい。……。は? アイスドラゴンの魔石じゃと? それと……『これくらいにしておきます』と言っておったが、まだまだ持っておるな?」
目の前に並んでいる素材を手に取りながらドワイトは胡乱な目をユーフェに向ける。その視線を受けたユーフェは吹きも出来ない口笛をしながらそっぽを向いた。
「ひゅーひゅー。旅立ちの時にアイテムボックスに収納されていたので、どこで入手したか分かりませんー」
「もういいわい。とりあえず、このオリハルコンの素材を分けてくれんか? それで今後、お前さんのレベルが10になるまで欲しい物をつくってやる」
拳サイズのオリハルコンを手に持ちながら嬉しそうにしているドワイトからの提案に、ユーフェは喜んで応える。アイテムボックスには、もっと大きなオリハルコンが収納されており、同じサイズなら500個近くあったからである。
「素材を貯めこんでて大正解だったな。レベルが上がる毎に装備を新調してもらうっと」
実際のところはレベル10まで新調してもお釣りがくるレベルの価値があり大損をしているのだが、手持ちのちょっとした素材でそこまでしてくれるドワイトの提案に嬉しそうにするユーフェだった。
「出来上がりは5日後じゃ。最優先で作ってやるから楽しみにまっておれ。それまでは依頼を受けるんじゃないぞ。いや、街の中なら受けても構わんが外の依頼は禁止じゃ。分かったか?」
「分かりましたよ。街の外には出ないと約束しますよ。じゃあ、私はギルドに行ってきますね。良いのを作ってくださいよ」
「誰に向かって言っておるのじゃ。後は儂に任せておけばええ」
自信ありげに自分の胸を叩きながら答えるドワイトにユーフェは笑いかけると店を出ようとする。
「おい。ちょっと待って。街中での服装は今のままでもいいが、武器くらいは腰に付けておかんか。冒険者として見てもらえんぞ。高レベルの冒険者なら素手でもトラブルに対処できるが、お前さんはレベル1じゃろうが」
「そうだった。とりあえず適当な武器を持っておきますね」
アイテムボックスから小剣を取り出して手に持つ。そんな様子にドワイトはため息を吐きながら、店内に飾ってあった腰ベルトをユーフェに手渡すと使うように伝えた。
「ほりゃ。これを使えばいい。小剣を手に持って移動するつもりか? ……。その剣も逸品じゃが、さっきのお前さんの愛剣よりは目立たんかの」
「ありがとうございます。これももらっていいんですよね?」
「あたりまえじゃ。装備は融通すると言ったたじゃろうが」
ドワイトから腰ベルトの使い方を教えてもらったユーフェは小剣を腰に差すと、今度こそギルドに向かっていくのだった。
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