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スキルの活用に気付く
第17話 目覚めのひととき
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幸せそうに眠っていたユーフェが窓から差す光を受けてモゾモゾと動きだす。何度か寝返りを打ちながらまどろんでいたが、ゆっくり目を開けるとベッドから降りた。
「ふわぁぁぁ。よく寝た」
大きく伸びをしながらユーフェが窓を開け外の景色を眺めると、すでに人々は活動している時間のようであった。冒険者達も装備に身を包んで出かける者も多く、屋台も熱気に溢れているように見えた。
しばらく景色を眺めていたユーフェだったが、改めて自分が異世界に来たと感じていた。
この世界がマグナアルカナかどうかはまだ確定出来ないが、今まで健亮として暮らしていた日本とは全く違うのだけは分かった。
「どこからどう見てもユーフェの顔なんだよなー。それだけは間違いないと断言できる。何せ俺が徹夜までして作ったキャラだからな。こうやってみると泰子さんが言ってた通り、俺の好みが存分に散りばめられている」
部屋に備え付けられている鏡を見ながらユーフェはクルリと一回転する。ストレートの銀髪が回転に合わせてフワリと浮き上がる。
鏡に映っている少女は恥ずかしそうに軽く頬を染めており、その姿が改めて自分だと理解したユーフェこと健亮はベッドに倒れ込むと悶えるように転がった。
「くはぁぁぁ! 誰だよこれ可愛いじゃないか。そうだよ俺だよ! ちきしょう。めっちゃ可愛いじゃないか」
自分があまりにも可愛いと転げ回っていたユーフェだったが、改めてベッドから軽く頭を上げると鏡に視線を向けた。
「やっぱり可愛いな。だが、服装がダメすぎる……。それに見合った装備がないのもツラいな……」
ユーフェは軽くため息を吐くと、昨日も着ていた服に着替えて宿屋の1階に降りる。
「おはようございます」
「なんだい。今頃起きたのかい? もう、先輩達はギルドに向かったっていうのに」
「ははは。ちょっと寝過ごしちゃいました。朝ご飯をお願いしていいいですか? あ、昨日のジュースもお願いします」
「はいよー」
のんびりとした様子で2階から降りてきたユーフェに、女将が呆れたような口調で挨拶をしてきた。そんな女将が持ってきた朝食はパンとスープであり、食べ始めたユーフェに向かいに腰かけると暇なのか女将が話しかけてきた。
「あんたも冒険者なんだよね? そんな格好で冒険に行くのかい?」
「ここに来る時に持ってた防具や武器が使えなくて……。お金はあるので、ギルドで場所を聞いて鍛冶屋に行ってみようかなって思ってます」
「それだったら私が紹介してやるよ。ギルドで聞いても同じ場所を教えてくれるよ。それに私の紹介だと言った方が親身になってくれるからね」
そう言いながら女将が鍛冶屋の場所を教えてくれた。そしてバスケットを持ってくるとユーフェに手渡す。
「これは?」
「ふふ。鍛冶屋の爺さんに渡しておくれ。ギルドを通してない指名依頼ってところかね
?」
笑いながらバスケットを指差す女将に、最初はキョトンとしていたユーフェだったが、内容を理解すると一緒になって笑いつつバスケットを受け取るとアイテムボックスに収納した。
「驚いた。アイテムボックス持ちなんだね」
「ええ。ちょっとした物なら収納出来るので便利ですよ」
一瞬で消えたバスケットに驚きながら呟いた女将にユーフェが屈託ない笑顔で答える。
アイテムボックスを持っている者は少なく、そんな単純な話ではないのだが、収納量が少ないとの説明を聞いた女将は納得すると、もう一つのバスケットを用意した。
「ほら。こっちはユーフェの分だよ。爺さんと一緒に食べておいで。これも依頼の一環だと思っておくれ」
「ありがとうございます。しっかりと依頼を遂行しますね」
ウインクしながらユーフェの食事だは依頼料だと伝える女将の気遣いに、ユーフェは嬉しそうにしながらバスケットを手に取ると笑顔で答えるのだった。
「ふわぁぁぁ。よく寝た」
大きく伸びをしながらユーフェが窓を開け外の景色を眺めると、すでに人々は活動している時間のようであった。冒険者達も装備に身を包んで出かける者も多く、屋台も熱気に溢れているように見えた。
しばらく景色を眺めていたユーフェだったが、改めて自分が異世界に来たと感じていた。
この世界がマグナアルカナかどうかはまだ確定出来ないが、今まで健亮として暮らしていた日本とは全く違うのだけは分かった。
「どこからどう見てもユーフェの顔なんだよなー。それだけは間違いないと断言できる。何せ俺が徹夜までして作ったキャラだからな。こうやってみると泰子さんが言ってた通り、俺の好みが存分に散りばめられている」
部屋に備え付けられている鏡を見ながらユーフェはクルリと一回転する。ストレートの銀髪が回転に合わせてフワリと浮き上がる。
鏡に映っている少女は恥ずかしそうに軽く頬を染めており、その姿が改めて自分だと理解したユーフェこと健亮はベッドに倒れ込むと悶えるように転がった。
「くはぁぁぁ! 誰だよこれ可愛いじゃないか。そうだよ俺だよ! ちきしょう。めっちゃ可愛いじゃないか」
自分があまりにも可愛いと転げ回っていたユーフェだったが、改めてベッドから軽く頭を上げると鏡に視線を向けた。
「やっぱり可愛いな。だが、服装がダメすぎる……。それに見合った装備がないのもツラいな……」
ユーフェは軽くため息を吐くと、昨日も着ていた服に着替えて宿屋の1階に降りる。
「おはようございます」
「なんだい。今頃起きたのかい? もう、先輩達はギルドに向かったっていうのに」
「ははは。ちょっと寝過ごしちゃいました。朝ご飯をお願いしていいいですか? あ、昨日のジュースもお願いします」
「はいよー」
のんびりとした様子で2階から降りてきたユーフェに、女将が呆れたような口調で挨拶をしてきた。そんな女将が持ってきた朝食はパンとスープであり、食べ始めたユーフェに向かいに腰かけると暇なのか女将が話しかけてきた。
「あんたも冒険者なんだよね? そんな格好で冒険に行くのかい?」
「ここに来る時に持ってた防具や武器が使えなくて……。お金はあるので、ギルドで場所を聞いて鍛冶屋に行ってみようかなって思ってます」
「それだったら私が紹介してやるよ。ギルドで聞いても同じ場所を教えてくれるよ。それに私の紹介だと言った方が親身になってくれるからね」
そう言いながら女将が鍛冶屋の場所を教えてくれた。そしてバスケットを持ってくるとユーフェに手渡す。
「これは?」
「ふふ。鍛冶屋の爺さんに渡しておくれ。ギルドを通してない指名依頼ってところかね
?」
笑いながらバスケットを指差す女将に、最初はキョトンとしていたユーフェだったが、内容を理解すると一緒になって笑いつつバスケットを受け取るとアイテムボックスに収納した。
「驚いた。アイテムボックス持ちなんだね」
「ええ。ちょっとした物なら収納出来るので便利ですよ」
一瞬で消えたバスケットに驚きながら呟いた女将にユーフェが屈託ない笑顔で答える。
アイテムボックスを持っている者は少なく、そんな単純な話ではないのだが、収納量が少ないとの説明を聞いた女将は納得すると、もう一つのバスケットを用意した。
「ほら。こっちはユーフェの分だよ。爺さんと一緒に食べておいで。これも依頼の一環だと思っておくれ」
「ありがとうございます。しっかりと依頼を遂行しますね」
ウインクしながらユーフェの食事だは依頼料だと伝える女将の気遣いに、ユーフェは嬉しそうにしながらバスケットを手に取ると笑顔で答えるのだった。
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