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2 大大大好きな父上と母上

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 俺は両親が並んでいる姿を見るのが大好きなので、なにげに絵本を見るより仲睦まじい父と母を見ている時間のほうが長い。

 特に母の毎朝の日課、父のサラサラの淡い金髪を三つ編みに結く光景を見るのが好きだ。
 母が髪に触れていると普段は鋭い父のアメシスト色の瞳が柔らかくなって、ラブラブだなぁってほっこりした気分になる。ちなみに父はどこから見ても完璧な美貌の持ち主だ。
 ちなみに母は長髪の父とは違い、柔らかそうな銀髪を短くしており、大きなアクアマリン色の猫目が愛らしい人である。
 幼い頃から社交界で美少年として名を馳せていたらしいが、今も若作りで年齢不詳だ。父より年上らしいんだけど十五、六歳と言ってもまかり通ってしまうんじゃないだろうか。中性的な美人というよりは可愛いという言葉が似合う容姿である。

「ジーク、そろそろ休憩にしましょう」
「ああ、そうだな。ありがとうデロメア」

 母の声に父は顔を上げる。お互い見つめ合う姿は微笑ましい。背景に花やキラキラが飛んでいるんじゃないかというくらい、いつもふわふわ甘々の雰囲気で、眼福である。

 しかしこんなにラブラブな両親なのに、子どもはなぜか俺一人しかいない。
 摩訶不思議である。

 だって愛し合ってるラブラブのαアルファΩオメガだよ? 
 オメガバースってことは定期的に発情期があるはずだよな??

 なんで俺、一人っ子なんだろう?
 兄弟が居ないことにすごく違和感がある。

 最近なんてその違和感を考えだすと夜眠れなくなるくらいだ。
 今だって結構眠い。  
 でも両親も見守りたくて、感情がグルグルする。

 ……なので休憩に入った両親に、思い切って聞いてみることにした。

「ちちうえ、ははうえ、なんでおれにはきょうだいがいないのですか?」

 ソファーに座って仲睦まじい両親を見ながら、俺はこてりと首を横にかしげた。

 ちなみに幼い俺がなぜ仕事場に居るかと言えばもっぱら母が俺の面倒を見ているからだ。
 資金が乏しい公爵家には必要最低限の使用人しかいない。本来は公爵夫人が子守りをすることなんてないけど仕方がないのだ。
 なのでせめて俺は邪魔にならないよう良い子で二人のそばに居る。

「ふぁっ!?!」
「……突然どうしたんだ、ミルドリッヒ」

 そんな良い子の俺の質問に、母は大きな目をさらに大きくして驚いた猫のように真っ赤な顔で飛び上がり、逆に父は落ち着いた様子で俺に問いかけた。
 
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