このステータスプレート壊れてないですか?~壊れ数値の万能スキルで自由気ままな異世界生活~

夢幻の翼

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第115話【トラブルの詳細を追求される】

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「トラブル……ですか?」

「ああ、実は昨日カイザックからリボルテへ向かった商隊がちょうど中間地点付近で巨大な倒木の為に馬車が進めず、引き返してきたと言う報告があってね。

 聞けば君達はリボルテから馬車でカイザックへ来たそうじゃないか?途中で倒木は無かったのか?」

「なるほど、その件ですか。てっきり盗賊の……」

 そう言いかけた僕は口を閉じてすぐに言い直した。

「ああ、倒木ですね。
 確かにそれらしき巨木が道の横に倒れてましたね。
 でも、僕達が通った時には馬車が通れるくらいの幅はありましたよ。
 きっと誰かがどかしたんじゃないですか?」

 しかし、バズルがそれを聞き逃すはずも無かった。

「ん?盗賊が出たのか?
 どの辺りで何人出たんだ?
 君達が無事にたどり着いているから数人だったのか?」

 バズルからは次々と質問の矢が飛んでくる。
 正直に言うか嘘で逃げるか判断をしないといけなかった。

「盗賊は全部で7人いましたが、あまり強くなく全員返り討ちにしました」

 嘘をついて討伐隊でも組まれたら後々厄介な事になると判断した僕は仕方なく正直に話す事にした。

「7人をか!?確か君達は護衛をつけて無かったはずだ!それを2人で倒したと言うのか!?」

「はい。先ほども言いましたが幸いにも盗賊達が弱く連携もとらずにバラバラに向かってきたので何とかなりました。
 あ、僕は一応Cランクの冒険者です」

 僕はそう言いながら冒険者カードを提示さした。

「むぅ。Cランクで盗賊7人をか……。
 普通に考えれば不可能だと思うが、君の言う通り相手が弱かっただけなのか?」

 バズルは少し考えていたが、考えても答えは出なかったようで話は倒木の方へ流れた。

「まあ、君が強かったのか盗賊が弱かったのかは分からないが君の運が良かったのは間違いないだろう。
 それよりも、さっきも聞いたが倒木は避けられていて馬車は通れるようになってたんだね?」

「ええ。それは大丈夫だと思います」

「そうか、それは良い情報だ。すぐに門兵へ伝えなければな。
 その倒木のせいでリボルテへ向かう馬車の出発をすべて止めていたんだよ。
 いや、情報提供を感謝する」

 バズルは僕に握手を求めると部下に伝達を任せて僕達を馬車の所まで案内してくれた。

「ふう。一時はどうなるかと思ったよ」

「あの倒木もオルト君が片付けたんだけど、それも言う訳にはいかないでしょうから、ああ言うしか無かったでしょう」

「倒木の確認だけなら門の受付で聞いてくれればこんなに慌てなくてすんだのにな」

「そうですね。でも大事にならなくて良かったです」

 無事にカイザックの街に入った僕達は先ほどの事を話しながら宿に向かった。
 もう少しで宿屋に着くところで見知った顔に呼び止められた。

「おお!オルト君にシミリさんじゃないか。いつ戻ったんだい?」

「ああ、ゴルドさん。お久しぶりです。
 たった今リボルテから帰ってきたところですよ。
 今日は疲れたので宿に泊まって明日にでもギルドに報告しようと思ってたんですけど……そうだ!ゴルドさん。
 ちょっと商談の話があるんですけどお時間はありますか?」

「何?商談だって?」

「ええ。せっかくリボルテに行ったのですから、帰りに向こうの特産品とかを仕入れて来たんです。
 まだ自分の店舗を持たない僕達は誰かに売ってもらうかもしくは買ってもらわないといけないですよね。
 まあ、露店で売るのも考えたのですけど、ゴルドさんに卸せば僕達は儲けは少なくなる反面、手が切れて他の事をする時間がとれるじゃないですか」

「ふむ。君が持ち込む商品でハズレだった事はないから心配ないと思うが、私も商人だからまずは品物を見せて貰わないと即答はできないな」

「ええ。当然の事ですね。
 ちょうど馬車に積んだままですので見てもらえたら助かります」

 僕はそう言うとゴルドを馬車に案内して積み荷の説明を始めた。

「ほう。これはなかなかの品揃えですね。
 やはり鉱山の街、リボルテの名は伊達ではないようですね。
 武器・防具に加えて農具に包丁まで。
 これだけの品物を買いつけるのは大変だったでしょう」

「いえ、向こうで少し鍛冶士の方と縁がありましてその方に融通してもらいました」

 ゴルドは品物を確認すると少し考えてから返事をした。

「わかりました。全てうちの店舗で引き受けましょう。
 とりあえず私の店舗で降ろしてから各店舗に配分しますので持ってきてもらえますかな?」

「ええ。引き受けてもらえるならばそのようにしましょう」

「宿の手配はまだですよね?
 ならば、そのまま私の店舗へ来られて、今日はうちに泊まられたらいいでしょう。
 食事をしながら細かい数字を調整すると良いでしょう」

 ゴルドの提案に僕とシミリが頷くとゴルドは笑顔で僕達を案内してくれた。
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