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第85話【エスカートのバイト先】
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酒豪決闘が終わった後でディールの宿に戻った僕達は早速ディールに事の内容を話し、エスカートを食堂で給仕のバイトをさせてもらうようにお願いした。
ディールは初め驚いたが、オープン当初は人手不足になるからと快く承諾してくれた。
一応、期間は1ヶ月ほどでバイト代は住み込み食事付きで残りを僕への借金返済分とした。
「本当にいいのですか?オルト君が肩代わりした小金貨5枚って到底給仕のバイト1ヶ月では稼げない金額ですよ?」
「確かにそうなんだけど、彼女には他にも僕の実験を手伝って貰おうと思ってるからそれで相殺してあげようかなと思ってるんだ」
「そうですか。
オルト君がそれで良いならば私は言うことはありませんよ。
逆に私どもに利がありすぎて悪いくらいです」
ディールはそう言うと頭を下げた。
「いいえ、僕達も宿に泊めさせて貰っていますからお互い様と言うことでいきましょう」
そんな話をしていると後ろからシミリが疑惑の目を向けて聞いてきた。
「実験?オルト君なんか変な事を考えてないですよね?」
「変な事って?」
「例えば、エッチな事とか、エッチな事とか、エッチな事とか……」
(どれだけ僕はエッチで、どこまで僕は信用ないんだ?)
僕は苦笑いをシミリに返すと「それは絶対に無いから」と頭を撫でて言った。
「それじゃあ明日からお願いします」
僕はそうディールに伝えるとシミリと部屋に戻った。
部屋に入るとシミリが上目つかいでジーっと僕の顔を覗きこんで言った。
「で、結局何を企んでいるのかなぁ?
あんな若い娘こって年上だったけど、あんな可愛い娘こを使う実験ってなんなのかなぁ?」
いつものシミリの追及が始まった。
これをやられると僕は何故か逆らえない気分になる。
「まあ、隠すほどの事ではないしシミリにも話しておいたほうがいいかな。
今回の件でこの街には優秀な治癒士が居ないことが分かったよね。
そこにまだ未熟だけどやる気と才能のある人がいて、そしてその技術を教えられる人がいる。
シミリならばどうする?」
「結構、意地悪な質問ですね。
オルト君の性格を代弁するならば『鍛える』ですよね。
普通ならば自分の利にならない案件は見て見ぬふりが当たり前だと思いますけど……」
「「それじゃあ面白くない!」」
「だよね」
「ですね」
「仕方ありませんね。
今回は私もお手伝いすることにしますね。
と言っても私が治癒魔法を教えられる訳じゃないですけどね」
「正直、助かるよ。
シミリには商人目線での会話術のレクチャーや自分に自信を持ってもらう考え方のレクチャーを頼みたいんだ。
僕はそういった事を教えるのは苦手だからさ」
「わかりました。まかせて頂戴」
「そうだ!シミリにだけは言っておくけど、この期間は僕の職業はこっそり『治癒士』に変更するからね」
「それはいいけど、職種変更とかどうやってるの?」
「他人には見えないだろうけど、ステータスプレートに魔力を流し込んで職業欄に変更したい職業をイメージするだけでいいんだ。簡単だろ?」
「全く理解出来ないですけど、別にいいです。
どうせそれが出来るのはオルト君だけでしょうから」
シミリはあきれ気味に微笑むと明日に備えてベッドに入った。
* * *
ーーー次の日の朝。
鐘がなる前にエスカートがディールの宿屋を訪ねてきた。
「すみません。
オルトさんは居ますか?エスカートが来たとお伝え願えますか?」
僕が姿を見せるとエスカートは深々とお辞儀をして言った。
「オルト様。今回は代金の立て替えをして頂きありがとうございました。
相等の働きが出来るかは分かりませんが、一生懸命に勤めますのでよろしくお願いします」
「うん。こちらこそって、エスカートさん?
何故僕に『様』付けを?年下なんだし『君』か、せめて『さん』くらいにしてくれないかな?」
「いえいえ、オルト様は借金の肩代わりをしてくれた恩人ですので当然の対応かと思いまして……」
「いや、ゴメン。『様』呼びはなんか偉そうだから苦手だな。
やっぱり『さん』にしてくれるかな?これはお願いだけど」
「わかりました。
オルトさんがそう言われるのならばそうさせて頂きます。
ただ、私のこともこれからは『エスカ』と呼んで貰えると嬉しいです。
昔から近しい人からはそう呼ばれていたので……」
「うん、分かったよ。
それじゃあそう呼ばせて貰うよ。
あらためて今日からよろしく、エスカさん」
「はい。よろしくお願いします」
「それじゃあこれからの予定だけど、これから毎日、1ヶ月間ほど朝から夕方までディールさんのお店の手伝いをして貰うからね。
そして仕事が終わって夕食後に僕達からエスカさんにいろんな事を教えます。
仕事の後だからきついかもしれませんがエスカさんのためになる内容を用意しますので、是非頑張ってみてください」
「わっわかりました」
エスカは緊張した面持ちでお辞儀をするとディールにも挨拶をした。
「ディールさん。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく。
まあ、そう緊張しなくてもまずは給仕の仕事から始めていきましょう。
こっちに着替えがありますので娘と一緒にお願いします。
わからない事があったら私か妻に聞いてくださいね」
「はい。よろしくお願いします」
その後、エスカはミスティと一緒に給仕服に着替えて仕事についた。
ディールは初め驚いたが、オープン当初は人手不足になるからと快く承諾してくれた。
一応、期間は1ヶ月ほどでバイト代は住み込み食事付きで残りを僕への借金返済分とした。
「本当にいいのですか?オルト君が肩代わりした小金貨5枚って到底給仕のバイト1ヶ月では稼げない金額ですよ?」
「確かにそうなんだけど、彼女には他にも僕の実験を手伝って貰おうと思ってるからそれで相殺してあげようかなと思ってるんだ」
「そうですか。
オルト君がそれで良いならば私は言うことはありませんよ。
逆に私どもに利がありすぎて悪いくらいです」
ディールはそう言うと頭を下げた。
「いいえ、僕達も宿に泊めさせて貰っていますからお互い様と言うことでいきましょう」
そんな話をしていると後ろからシミリが疑惑の目を向けて聞いてきた。
「実験?オルト君なんか変な事を考えてないですよね?」
「変な事って?」
「例えば、エッチな事とか、エッチな事とか、エッチな事とか……」
(どれだけ僕はエッチで、どこまで僕は信用ないんだ?)
僕は苦笑いをシミリに返すと「それは絶対に無いから」と頭を撫でて言った。
「それじゃあ明日からお願いします」
僕はそうディールに伝えるとシミリと部屋に戻った。
部屋に入るとシミリが上目つかいでジーっと僕の顔を覗きこんで言った。
「で、結局何を企んでいるのかなぁ?
あんな若い娘こって年上だったけど、あんな可愛い娘こを使う実験ってなんなのかなぁ?」
いつものシミリの追及が始まった。
これをやられると僕は何故か逆らえない気分になる。
「まあ、隠すほどの事ではないしシミリにも話しておいたほうがいいかな。
今回の件でこの街には優秀な治癒士が居ないことが分かったよね。
そこにまだ未熟だけどやる気と才能のある人がいて、そしてその技術を教えられる人がいる。
シミリならばどうする?」
「結構、意地悪な質問ですね。
オルト君の性格を代弁するならば『鍛える』ですよね。
普通ならば自分の利にならない案件は見て見ぬふりが当たり前だと思いますけど……」
「「それじゃあ面白くない!」」
「だよね」
「ですね」
「仕方ありませんね。
今回は私もお手伝いすることにしますね。
と言っても私が治癒魔法を教えられる訳じゃないですけどね」
「正直、助かるよ。
シミリには商人目線での会話術のレクチャーや自分に自信を持ってもらう考え方のレクチャーを頼みたいんだ。
僕はそういった事を教えるのは苦手だからさ」
「わかりました。まかせて頂戴」
「そうだ!シミリにだけは言っておくけど、この期間は僕の職業はこっそり『治癒士』に変更するからね」
「それはいいけど、職種変更とかどうやってるの?」
「他人には見えないだろうけど、ステータスプレートに魔力を流し込んで職業欄に変更したい職業をイメージするだけでいいんだ。簡単だろ?」
「全く理解出来ないですけど、別にいいです。
どうせそれが出来るのはオルト君だけでしょうから」
シミリはあきれ気味に微笑むと明日に備えてベッドに入った。
* * *
ーーー次の日の朝。
鐘がなる前にエスカートがディールの宿屋を訪ねてきた。
「すみません。
オルトさんは居ますか?エスカートが来たとお伝え願えますか?」
僕が姿を見せるとエスカートは深々とお辞儀をして言った。
「オルト様。今回は代金の立て替えをして頂きありがとうございました。
相等の働きが出来るかは分かりませんが、一生懸命に勤めますのでよろしくお願いします」
「うん。こちらこそって、エスカートさん?
何故僕に『様』付けを?年下なんだし『君』か、せめて『さん』くらいにしてくれないかな?」
「いえいえ、オルト様は借金の肩代わりをしてくれた恩人ですので当然の対応かと思いまして……」
「いや、ゴメン。『様』呼びはなんか偉そうだから苦手だな。
やっぱり『さん』にしてくれるかな?これはお願いだけど」
「わかりました。
オルトさんがそう言われるのならばそうさせて頂きます。
ただ、私のこともこれからは『エスカ』と呼んで貰えると嬉しいです。
昔から近しい人からはそう呼ばれていたので……」
「うん、分かったよ。
それじゃあそう呼ばせて貰うよ。
あらためて今日からよろしく、エスカさん」
「はい。よろしくお願いします」
「それじゃあこれからの予定だけど、これから毎日、1ヶ月間ほど朝から夕方までディールさんのお店の手伝いをして貰うからね。
そして仕事が終わって夕食後に僕達からエスカさんにいろんな事を教えます。
仕事の後だからきついかもしれませんがエスカさんのためになる内容を用意しますので、是非頑張ってみてください」
「わっわかりました」
エスカは緊張した面持ちでお辞儀をするとディールにも挨拶をした。
「ディールさん。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく。
まあ、そう緊張しなくてもまずは給仕の仕事から始めていきましょう。
こっちに着替えがありますので娘と一緒にお願いします。
わからない事があったら私か妻に聞いてくださいね」
「はい。よろしくお願いします」
その後、エスカはミスティと一緒に給仕服に着替えて仕事についた。
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