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第68話【平穏無事な旅の微笑ましい時間】
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カイザックの街を出発して街道沿いにリボルテに向かって馬車を進める僕達はのんびりしていた。
「何も起きないわねー。
兎一匹さえ出て来ないじゃないの」
シミリが御者台で馬を扱う僕の横で暇そうに呟いた。
「何も起きないのは旅が順調な証拠で大変良い事じゃないのか?」
僕は周辺に探索魔法を張り巡らせながらもシミリの言葉に返した。
「まあ、そうなんだけどね。
そう度々大型の獣や盗賊に遭遇していたら行商なんてやる商人が居なくなってしまうもんね」
街を出発して3日目である、途中食料になる猪を一頭仕留めた以外は静かなものだった。
収納鞄のおかげで野営は馬車の荷物を収納して荷台の中で休む事が出来たので意外と快適だった。
もちろん休んでいる間もオルトが周辺を警戒していたから安全だっただけで普通は寝ずの番が必要だった。
「そう言えばオルト君の夢ってどんなものなの?」
唐突にシミリが僕に話を振ってきた。
「夢……ねぇ。
これといった夢や目標を持たずに生きてきたからなぁ。
強いて言えば好きな事をして自由に生きる事かな。
あとはシミリの夢の手伝いが出来れば今は満足かな」
「そっそうなんだ。
私の夢はね、もちろんお父さんの後を継いでお店を開く事だけど。
今はオルト君とこうやって行商を出来ることが幸せなんだと思ってるの。
だから今回みたいに行商しながら国中の街を巡るのもいいかなとも思ってるわ」
シミリは少し顔を赤く染めながら僕の顔を横から見つめていた。
その視線にくすぐったさを感じながら僕はシミリに微笑み返していた。
「ちょっとこの辺で休憩しようか。
馬達も休ませないと怪我をさせられないからね」
僕の提案にシミリは頷くと馬車を街道沿いの水場に停めて休憩の準備を始めた。
「綺麗な水ですね。
ちょっとだけ水浴びしていってもいいかな?」
シミリが水場の側で屈み込んで水を手浸け、こちらを向いてお願いしてきた。
(周りに人や獣の気配は無いようだし、気温も上がってきて水が気持ちが良いのだろう。
僕が周辺の警戒をしていれば大丈夫だろう)
そう判断した僕はシミリに許可を出した。
「いいよ。
靴を脱いで足を浸けたら気持ちが良いだろうからやってみなよ。
僕は馬達に水をやってからゆっくりするよ」
「はーい」
シミリは靴を脱いで裸足になり川の畔からゆっくりと足を浸けて水の感触を楽しんだ。
「冷たくて気持ちがいい!
あっお魚がいっぱい泳いでるわ。えい!」
シミリは川を泳ぐ魚と戯れるように少し中程まで足を進めた。
それに気がついた僕はシミリに注意した。
「深さはあまり無くても苔こけで滑るかも知れないからあまり向こうまでいかないようーーー」
僕がそれを言い切る前にシミリの悲鳴が上がった。
「きゃあっ!?」
バシャーン!!
「シミリ!?」
魚に気をとられたシミリが足を滑らせて盛大に尻もちをついた。
「シミリ!大丈夫か!?」
慌てて駆け寄る僕に川の中で尻もちをついた状態で胸まで水に浸かってずぶ濡れになったシミリがうらめしそうにこっちを見ていた。
「ーーーずぶ濡れになっちゃったわね。
いくら暑くて天気が良くても着替えないと駄目ね。
オルト君、悪いけど私の着替えを出して貰えるかな?」
びしょ濡れになったシミリは体型のシルエットがハッキリとわかる状態であった為、僕の方がなんだか恥ずかしくなり視線を微妙に外しながらタオルを渡した。
シミリが体を拭いている間に僕は収納鞄からシミリの着替えを取り出しておいた。
「ありがとう。濡れた服は馬車に掛けておいたら乾くよね。
じゃあ馬車の中で着替えてくるわね」
シミリは僕から着替えを受け取ると馬車の幌の中で着替え始めた。
今回の旅は10日あまりと長いので着替えも複数枚準備していたので特に問題は無かった。
「結果的に水浴びしたようなものだったわね。
旅が長くなるとお風呂に入れないからちょうど良かったのかもね」
シミリの前向き発言に僕は微笑みながら出発の準備を始めた。
「何も起きないわねー。
兎一匹さえ出て来ないじゃないの」
シミリが御者台で馬を扱う僕の横で暇そうに呟いた。
「何も起きないのは旅が順調な証拠で大変良い事じゃないのか?」
僕は周辺に探索魔法を張り巡らせながらもシミリの言葉に返した。
「まあ、そうなんだけどね。
そう度々大型の獣や盗賊に遭遇していたら行商なんてやる商人が居なくなってしまうもんね」
街を出発して3日目である、途中食料になる猪を一頭仕留めた以外は静かなものだった。
収納鞄のおかげで野営は馬車の荷物を収納して荷台の中で休む事が出来たので意外と快適だった。
もちろん休んでいる間もオルトが周辺を警戒していたから安全だっただけで普通は寝ずの番が必要だった。
「そう言えばオルト君の夢ってどんなものなの?」
唐突にシミリが僕に話を振ってきた。
「夢……ねぇ。
これといった夢や目標を持たずに生きてきたからなぁ。
強いて言えば好きな事をして自由に生きる事かな。
あとはシミリの夢の手伝いが出来れば今は満足かな」
「そっそうなんだ。
私の夢はね、もちろんお父さんの後を継いでお店を開く事だけど。
今はオルト君とこうやって行商を出来ることが幸せなんだと思ってるの。
だから今回みたいに行商しながら国中の街を巡るのもいいかなとも思ってるわ」
シミリは少し顔を赤く染めながら僕の顔を横から見つめていた。
その視線にくすぐったさを感じながら僕はシミリに微笑み返していた。
「ちょっとこの辺で休憩しようか。
馬達も休ませないと怪我をさせられないからね」
僕の提案にシミリは頷くと馬車を街道沿いの水場に停めて休憩の準備を始めた。
「綺麗な水ですね。
ちょっとだけ水浴びしていってもいいかな?」
シミリが水場の側で屈み込んで水を手浸け、こちらを向いてお願いしてきた。
(周りに人や獣の気配は無いようだし、気温も上がってきて水が気持ちが良いのだろう。
僕が周辺の警戒をしていれば大丈夫だろう)
そう判断した僕はシミリに許可を出した。
「いいよ。
靴を脱いで足を浸けたら気持ちが良いだろうからやってみなよ。
僕は馬達に水をやってからゆっくりするよ」
「はーい」
シミリは靴を脱いで裸足になり川の畔からゆっくりと足を浸けて水の感触を楽しんだ。
「冷たくて気持ちがいい!
あっお魚がいっぱい泳いでるわ。えい!」
シミリは川を泳ぐ魚と戯れるように少し中程まで足を進めた。
それに気がついた僕はシミリに注意した。
「深さはあまり無くても苔こけで滑るかも知れないからあまり向こうまでいかないようーーー」
僕がそれを言い切る前にシミリの悲鳴が上がった。
「きゃあっ!?」
バシャーン!!
「シミリ!?」
魚に気をとられたシミリが足を滑らせて盛大に尻もちをついた。
「シミリ!大丈夫か!?」
慌てて駆け寄る僕に川の中で尻もちをついた状態で胸まで水に浸かってずぶ濡れになったシミリがうらめしそうにこっちを見ていた。
「ーーーずぶ濡れになっちゃったわね。
いくら暑くて天気が良くても着替えないと駄目ね。
オルト君、悪いけど私の着替えを出して貰えるかな?」
びしょ濡れになったシミリは体型のシルエットがハッキリとわかる状態であった為、僕の方がなんだか恥ずかしくなり視線を微妙に外しながらタオルを渡した。
シミリが体を拭いている間に僕は収納鞄からシミリの着替えを取り出しておいた。
「ありがとう。濡れた服は馬車に掛けておいたら乾くよね。
じゃあ馬車の中で着替えてくるわね」
シミリは僕から着替えを受け取ると馬車の幌の中で着替え始めた。
今回の旅は10日あまりと長いので着替えも複数枚準備していたので特に問題は無かった。
「結果的に水浴びしたようなものだったわね。
旅が長くなるとお風呂に入れないからちょうど良かったのかもね」
シミリの前向き発言に僕は微笑みながら出発の準備を始めた。
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