55 / 120
第55話【シミリの勇み足と思わぬ誤算】
しおりを挟む
宿屋に戻ったふたりは今回の事件についてお互いが土下座状態で平謝りを続けていた。
「今回は本当にごめんなさい。
私の迂闊な行動でオルト君に凄く迷惑をかけてしまいました」
「いや、事の発端は僕が調薬を曖昧に造った所にあるんだ。
どう見ても胸が強調される体型になったシミリををひとりで街に行かせた僕の失策だ。
本当に済まない事をしてしまった」
「いいえ。私が軽率だったんです。
オルト君は悪くありません」
「いや。魅力的なシミリをひとりで行かせた僕が迂闊すぎたんだ」
ーーーその後、ふたりの謝り合いは半刻ほど続いたが最後はどちらからともなく笑いだして終了した。
「で、結局どうするんだ?胸?」
「うん。残念だけど胸のせいでトラブルに巻き込まれたし、今まで無かったから思わなかったけど、重たいし、揺れると痛いし、結局、可愛い服も買いに行けなかったし……。
もう、いいかなと思うから止めておきます」
「そうか、良かった。
シミリは今までの方が断然可愛いかったと思うから安心したよ」
僕の言葉にシミリは顔を赤くしながら話をそらした。
「じゃあこのまま一晩たてば元に戻るのよね?
ちょっと惜しかったけどいい経験をさせて貰ったわ。
でも、この薬は一般販売は止めた方がいいわね。
私みたいに犯罪に巻き込まれる娘が増えたら嫌だからね」
「そうだな。
僕も自分の造った薬で犯罪に巻き込まれる娘が増えたら嫌な気持ちになるからシミリの言うとおりにするよ」
お互いの意見に納得した僕達は疲れのせいか直ぐに眠りについた。
ーーー翌朝。シミリは起きて自分の胸がまた小さくなっているのを確認して小さなため息をついた。
(やっぱりちょっと惜しかったかな?)
そう思いながらいつもの胸あてを着けようとして金れ具が留まらないことを不思議に思い、確かめてみると……。
(これ、どうみても前より大きくなってるわよね?反動?それとも……)
シミリは期待半分にとなりのオルトに仕切り越しに聞いてみた。
「オルト君。昨日の薬の効果って一晩寝てもまだ残ってる可能性ってあるのかな?」
「それは無いと思うけど、どうした?何か不都合でもあったか?
まさか!?大きくなった反動で小さい胸が全く無くなってしまったか!?
だとしたら僕の責任だ!すぐに何とかするから待ってくれ」
それを聞いたシミリは思わず仕切りを開けてオルトに叫んでいた。
「だれが無乳ですって!?これを見なさい!しっかり有るでしょう!?」
シミリはカッとなった勢いで上半身に何も着けないままオルトの前で胸を張ってしまった。
「ぶっ!!?」
いきなりの事にオルトは何も反応出来ずに固まってしまい顔を背ける事さえ出来なかった。
「シミリ!分かった!分かったから前を隠してくれ!」
硬直からようやく再起動したオルトは手を前で振ってシミリに合図した。
「えっ!?きゃー!!見ないでー!!オルト君のエッチ!!」
パチーン!
「ーーー自分で見せておきながらこの仕打ち、酷くないか?」
ぶつぶつ言う僕を尻目に赤い手形を僕の左頬にしっかりと刻んだシミリは「ごめんなさい!」と謝りながら仕切りを閉めて服を着直していた。
ーーーその後、ふたりで朝食をとってから僕はシミリと一緒に例の服屋に向かっていた。
どうやら薬の反動が良い方向に向いたらしく、サイズアップしたとの事で服と下着の一式を買う事になったからだ。
「ふふふふふ」
シミリの機嫌は最高に良かった。
確かに昨日の状態ほどではないが、今のシミリの体型からすれば十分なサイズだと言えるものだったからである。
「ふふふふふ」
機嫌の最高なシミリに連れられてミール女性洋服専門店の前に着いた。
さすがに一緒に入るのは躊躇われた僕は向かいの茶屋にて待つ事を伝えてシミリを行かせた。
紅茶を飲みながらシミリの探知は怠らなかったので特に問題はなかった。
「オルト君お待たせ!やっぱり専門店は品揃えが違うわね。
この辺りでは殆んど手に入らない服や下着が沢山あったわ。
それで試着してみて凄く気に入った服があったからそのまま会計して着てきちゃった。
どうかな?」
シミリは新しく買った服が気に入ったらしく僕の前でいろんなポーズをとりながら披露してくれた。
「うん、よく似合ってるよ。
いい服が見つかったみたいで良かったね」
「えへへ。あそこの店長さんセンスが良くていろいろと可愛いコーディネートを教えてくれたの。
でも、あの店長さん変なことも言ってたわね。
なんか『惜しいわね、素材は良いのにサイズが足りないわ』とか。
なんなんだろうね?」
「店長はもちろん女性だよな?
色んな娘達の服を見立てるのが好きなだけじゃないのか?」
僕はシミリの話を深くは考えずに意見を言った。その後、一緒にお茶をしながらこれからの事を話し合った。
「今回は本当にごめんなさい。
私の迂闊な行動でオルト君に凄く迷惑をかけてしまいました」
「いや、事の発端は僕が調薬を曖昧に造った所にあるんだ。
どう見ても胸が強調される体型になったシミリををひとりで街に行かせた僕の失策だ。
本当に済まない事をしてしまった」
「いいえ。私が軽率だったんです。
オルト君は悪くありません」
「いや。魅力的なシミリをひとりで行かせた僕が迂闊すぎたんだ」
ーーーその後、ふたりの謝り合いは半刻ほど続いたが最後はどちらからともなく笑いだして終了した。
「で、結局どうするんだ?胸?」
「うん。残念だけど胸のせいでトラブルに巻き込まれたし、今まで無かったから思わなかったけど、重たいし、揺れると痛いし、結局、可愛い服も買いに行けなかったし……。
もう、いいかなと思うから止めておきます」
「そうか、良かった。
シミリは今までの方が断然可愛いかったと思うから安心したよ」
僕の言葉にシミリは顔を赤くしながら話をそらした。
「じゃあこのまま一晩たてば元に戻るのよね?
ちょっと惜しかったけどいい経験をさせて貰ったわ。
でも、この薬は一般販売は止めた方がいいわね。
私みたいに犯罪に巻き込まれる娘が増えたら嫌だからね」
「そうだな。
僕も自分の造った薬で犯罪に巻き込まれる娘が増えたら嫌な気持ちになるからシミリの言うとおりにするよ」
お互いの意見に納得した僕達は疲れのせいか直ぐに眠りについた。
ーーー翌朝。シミリは起きて自分の胸がまた小さくなっているのを確認して小さなため息をついた。
(やっぱりちょっと惜しかったかな?)
そう思いながらいつもの胸あてを着けようとして金れ具が留まらないことを不思議に思い、確かめてみると……。
(これ、どうみても前より大きくなってるわよね?反動?それとも……)
シミリは期待半分にとなりのオルトに仕切り越しに聞いてみた。
「オルト君。昨日の薬の効果って一晩寝てもまだ残ってる可能性ってあるのかな?」
「それは無いと思うけど、どうした?何か不都合でもあったか?
まさか!?大きくなった反動で小さい胸が全く無くなってしまったか!?
だとしたら僕の責任だ!すぐに何とかするから待ってくれ」
それを聞いたシミリは思わず仕切りを開けてオルトに叫んでいた。
「だれが無乳ですって!?これを見なさい!しっかり有るでしょう!?」
シミリはカッとなった勢いで上半身に何も着けないままオルトの前で胸を張ってしまった。
「ぶっ!!?」
いきなりの事にオルトは何も反応出来ずに固まってしまい顔を背ける事さえ出来なかった。
「シミリ!分かった!分かったから前を隠してくれ!」
硬直からようやく再起動したオルトは手を前で振ってシミリに合図した。
「えっ!?きゃー!!見ないでー!!オルト君のエッチ!!」
パチーン!
「ーーー自分で見せておきながらこの仕打ち、酷くないか?」
ぶつぶつ言う僕を尻目に赤い手形を僕の左頬にしっかりと刻んだシミリは「ごめんなさい!」と謝りながら仕切りを閉めて服を着直していた。
ーーーその後、ふたりで朝食をとってから僕はシミリと一緒に例の服屋に向かっていた。
どうやら薬の反動が良い方向に向いたらしく、サイズアップしたとの事で服と下着の一式を買う事になったからだ。
「ふふふふふ」
シミリの機嫌は最高に良かった。
確かに昨日の状態ほどではないが、今のシミリの体型からすれば十分なサイズだと言えるものだったからである。
「ふふふふふ」
機嫌の最高なシミリに連れられてミール女性洋服専門店の前に着いた。
さすがに一緒に入るのは躊躇われた僕は向かいの茶屋にて待つ事を伝えてシミリを行かせた。
紅茶を飲みながらシミリの探知は怠らなかったので特に問題はなかった。
「オルト君お待たせ!やっぱり専門店は品揃えが違うわね。
この辺りでは殆んど手に入らない服や下着が沢山あったわ。
それで試着してみて凄く気に入った服があったからそのまま会計して着てきちゃった。
どうかな?」
シミリは新しく買った服が気に入ったらしく僕の前でいろんなポーズをとりながら披露してくれた。
「うん、よく似合ってるよ。
いい服が見つかったみたいで良かったね」
「えへへ。あそこの店長さんセンスが良くていろいろと可愛いコーディネートを教えてくれたの。
でも、あの店長さん変なことも言ってたわね。
なんか『惜しいわね、素材は良いのにサイズが足りないわ』とか。
なんなんだろうね?」
「店長はもちろん女性だよな?
色んな娘達の服を見立てるのが好きなだけじゃないのか?」
僕はシミリの話を深くは考えずに意見を言った。その後、一緒にお茶をしながらこれからの事を話し合った。
31
お気に入りに追加
3,232
あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~
名無し
ファンタジー
突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。

固有スキルが【空欄】の不遇ソーサラー、死後に発覚した最強スキル【転生】で生まれ変わった分だけ強くなる
名無し
ファンタジー
相方を補佐するためにソーサラーになったクアゼル。
冒険者なら誰にでも一つだけあるはずの強力な固有スキルが唯一《空欄》の男だった。
味方に裏切られて死ぬも復活し、最強の固有スキル【転生】を持っていたことを知る。
死ぬたびにダンジョンで亡くなった者として転生し、一つしか持てないはずの固有スキルをどんどん追加しながら、ソーサラーのクアゼルは最強になり、自分を裏切った者達に復讐していく。

外れスキル【転送】が最強だった件
名無し
ファンタジー
三十路になってようやくダンジョン入場試験に合格したケイス。
意気揚々と冒険者登録所に向かうが、そこで貰ったのは【転送】という外れスキル。
失意の中で故郷へ帰ろうとしていた彼のもとに、超有名ギルドのマスターが訪れる。
そこからケイスの人生は目覚ましく変わっていくのだった……。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる