54 / 120
第54話【オルトの怒りと悪人の末路】
しおりを挟む
「オルト君!!」
部屋に飛び込んだ僕にシミリの声が聞こえた。
声の先を見るとシミリが後ろ手に縛られて床に半身を起こした状態で倒れていた。
はたかれて倒れた反動で衣服が乱れており、その顔には張り手の跡が赤く腫れていた。
「貴様!シミリに何をした!?」
強烈な殺気を目の前にいる男に向けると束縛の魔法を男にかけてその場に捉えた。
男はオルトの殺気を浴びて泡を吹いて気絶したがオルトはそれを許さなかった。
「強制覚醒!」
男に魔法をかけると同時にオルトはシミリに走り寄り手の束縛をほどいて回復魔法を唱えた。
「エクストラヒール」
暖かい光がシミリを包み込むと赤く腫れた頬も含めての傷を癒していった。
オルトはそれを確認すると気がついた男に向かって叫んだ。
「どうしてシミリを拉致した?
お前の指示か?それとも誰かに命令されていたのか?
お前のバックに誰かがいるのか全て喋ってもらうぞ!」
僕はガクガクと震える男にさらに威圧をかけながら背後関係の有無やシミリを拉致した理由を聞き出した。
「わっ私は悪くない!
あれはその女が無防備な格好でふらふらと街を歩いていたからだ!
あれじゃあ襲ってくれといわんばかりじゃないか!
たとえ私がやらなくても他の誰かがやっていたに決まっている!」
男の勝手な言い分を黙って聞いていた僕は一通りの話を聞き終わると最後に背後関係を確認し、男の独断だと断定すると男に告げた。
「あんたの言い分は全て、あんたの身勝手なものだ。
ここまでやるあんたの事だ、今まで何人も同じ手口で手込めにしてきたんだろう?
この屋敷にそれらの娘達の反応らしきものが数人あるがお前のやり口からすると反抗した者は用済みとして処分したということか?」
オルトの殺気がまた強くなり、慌てた男はオルトに取引を持ちかけてきた。
「まっ待ってくれ!女は返す!金も好きなだけやるから助けてくれ!」
その言葉に僕はシミリを一度見てから男に向き直り宣言した。
「シミリは既に返して貰ったし、お前の汚い金など銅貨一枚欲しくない。
お前は僕の世界で一番大切なパートナーを拉致して傷をつけた。
怪我は治癒魔法で治っても拉致された恐怖はずっと残る。
それを金で許せと言うのか?世界がお前を許したとしても僕がお前を許せない。
だから死んで詫びろ!」
「ひぃっ!?わっ私を誰だと思ってるんだ!
私に手を出すとお前達は裏の世界から狙われ続けるぞ!
いっ今退けば私が口をきいてやる。
おっお前達の為だぞ!」
「言いたい事はそれだけか?
僕はお前が何者かは全く興味は無いんだ。
裏の世界?いいぜ相手になってやろうか?
なんならこっちから出向いて殲滅してやってもいいぜ。
ほら、お前のバックとやらを言ってみな?」
キレてさらに男を煽る僕に横からシミリが鋭い突っ込みを入れてきた。
「オルト君ならば、たとえ相手が領主や王族でも本当にやってしまいそうな感じがするわね。
でも、それだけは止めてね。
裏家業の悪人はいくら潰しても世のためになるから良いのだけどね」
「おっ!いつもの突っ込みが入りだしたな。
よしよし、少しは元気が戻ってきたみたいだな」
それを聞いた僕はニヤリと笑い、震えている男を一瞥してからシミリの肩を抱いて出口に向かいながら言った。
「シミリの目の前であんたをバラバラにしたらシミリの夢見が悪くなるからな。
この場で殺すのは止めにしてやるよ。
だが助かったとは思わない方がいい。
あんたはこれから死んだ方がマシだったと思う体験が待っているからね。
今まで好きにヤってきたツケを払うんだな」
僕はそう言うと男にある魔法をかけてからシミリを連れて屋敷から出て、目立たないように宿屋に向かった。
オルト達が去った後、男は憤慨して生き残った部下を集めてオルトに復讐をするべく大声で召集をかけた……はずだったが呼べど叫べど一向に声が出ない。
口をパクパクするだけで声にならない。
『だっ誰か!誰か居ないか!』
部屋という部屋には部下だった男達の死体が倒れているだけで生存者は居なかった。
それを見て初めて男は世界中で絶対に敵対してはいけない者に喧嘩を売った事に気づいたが既に遅かった。
後日、死体だらけの屋敷に役人が入った所、一番奥の部屋で屋敷の主が死亡していた。
死因は精力枯渇による衰弱死だった。
屋敷からは数人の娘が軟禁状態で発見され保護をされた。
死亡した男の財産は全て没収されその一部は被害を受けた娘達や家族に補償金として配られた。
日中に起きた事件だったにも関わらず、犯人は全く判らずに僅かに生き残った者達も皆口を揃えて分からないと言うばかりだった。
あまりの惨状と人間業ではない現場に役人達も『人ならざる案件』として手出しをしないようにとの命令が出で捜査を打ち切った。
部屋に飛び込んだ僕にシミリの声が聞こえた。
声の先を見るとシミリが後ろ手に縛られて床に半身を起こした状態で倒れていた。
はたかれて倒れた反動で衣服が乱れており、その顔には張り手の跡が赤く腫れていた。
「貴様!シミリに何をした!?」
強烈な殺気を目の前にいる男に向けると束縛の魔法を男にかけてその場に捉えた。
男はオルトの殺気を浴びて泡を吹いて気絶したがオルトはそれを許さなかった。
「強制覚醒!」
男に魔法をかけると同時にオルトはシミリに走り寄り手の束縛をほどいて回復魔法を唱えた。
「エクストラヒール」
暖かい光がシミリを包み込むと赤く腫れた頬も含めての傷を癒していった。
オルトはそれを確認すると気がついた男に向かって叫んだ。
「どうしてシミリを拉致した?
お前の指示か?それとも誰かに命令されていたのか?
お前のバックに誰かがいるのか全て喋ってもらうぞ!」
僕はガクガクと震える男にさらに威圧をかけながら背後関係の有無やシミリを拉致した理由を聞き出した。
「わっ私は悪くない!
あれはその女が無防備な格好でふらふらと街を歩いていたからだ!
あれじゃあ襲ってくれといわんばかりじゃないか!
たとえ私がやらなくても他の誰かがやっていたに決まっている!」
男の勝手な言い分を黙って聞いていた僕は一通りの話を聞き終わると最後に背後関係を確認し、男の独断だと断定すると男に告げた。
「あんたの言い分は全て、あんたの身勝手なものだ。
ここまでやるあんたの事だ、今まで何人も同じ手口で手込めにしてきたんだろう?
この屋敷にそれらの娘達の反応らしきものが数人あるがお前のやり口からすると反抗した者は用済みとして処分したということか?」
オルトの殺気がまた強くなり、慌てた男はオルトに取引を持ちかけてきた。
「まっ待ってくれ!女は返す!金も好きなだけやるから助けてくれ!」
その言葉に僕はシミリを一度見てから男に向き直り宣言した。
「シミリは既に返して貰ったし、お前の汚い金など銅貨一枚欲しくない。
お前は僕の世界で一番大切なパートナーを拉致して傷をつけた。
怪我は治癒魔法で治っても拉致された恐怖はずっと残る。
それを金で許せと言うのか?世界がお前を許したとしても僕がお前を許せない。
だから死んで詫びろ!」
「ひぃっ!?わっ私を誰だと思ってるんだ!
私に手を出すとお前達は裏の世界から狙われ続けるぞ!
いっ今退けば私が口をきいてやる。
おっお前達の為だぞ!」
「言いたい事はそれだけか?
僕はお前が何者かは全く興味は無いんだ。
裏の世界?いいぜ相手になってやろうか?
なんならこっちから出向いて殲滅してやってもいいぜ。
ほら、お前のバックとやらを言ってみな?」
キレてさらに男を煽る僕に横からシミリが鋭い突っ込みを入れてきた。
「オルト君ならば、たとえ相手が領主や王族でも本当にやってしまいそうな感じがするわね。
でも、それだけは止めてね。
裏家業の悪人はいくら潰しても世のためになるから良いのだけどね」
「おっ!いつもの突っ込みが入りだしたな。
よしよし、少しは元気が戻ってきたみたいだな」
それを聞いた僕はニヤリと笑い、震えている男を一瞥してからシミリの肩を抱いて出口に向かいながら言った。
「シミリの目の前であんたをバラバラにしたらシミリの夢見が悪くなるからな。
この場で殺すのは止めにしてやるよ。
だが助かったとは思わない方がいい。
あんたはこれから死んだ方がマシだったと思う体験が待っているからね。
今まで好きにヤってきたツケを払うんだな」
僕はそう言うと男にある魔法をかけてからシミリを連れて屋敷から出て、目立たないように宿屋に向かった。
オルト達が去った後、男は憤慨して生き残った部下を集めてオルトに復讐をするべく大声で召集をかけた……はずだったが呼べど叫べど一向に声が出ない。
口をパクパクするだけで声にならない。
『だっ誰か!誰か居ないか!』
部屋という部屋には部下だった男達の死体が倒れているだけで生存者は居なかった。
それを見て初めて男は世界中で絶対に敵対してはいけない者に喧嘩を売った事に気づいたが既に遅かった。
後日、死体だらけの屋敷に役人が入った所、一番奥の部屋で屋敷の主が死亡していた。
死因は精力枯渇による衰弱死だった。
屋敷からは数人の娘が軟禁状態で発見され保護をされた。
死亡した男の財産は全て没収されその一部は被害を受けた娘達や家族に補償金として配られた。
日中に起きた事件だったにも関わらず、犯人は全く判らずに僅かに生き残った者達も皆口を揃えて分からないと言うばかりだった。
あまりの惨状と人間業ではない現場に役人達も『人ならざる案件』として手出しをしないようにとの命令が出で捜査を打ち切った。
31
お気に入りに追加
3,232
あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~
名無し
ファンタジー
突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。

固有スキルが【空欄】の不遇ソーサラー、死後に発覚した最強スキル【転生】で生まれ変わった分だけ強くなる
名無し
ファンタジー
相方を補佐するためにソーサラーになったクアゼル。
冒険者なら誰にでも一つだけあるはずの強力な固有スキルが唯一《空欄》の男だった。
味方に裏切られて死ぬも復活し、最強の固有スキル【転生】を持っていたことを知る。
死ぬたびにダンジョンで亡くなった者として転生し、一つしか持てないはずの固有スキルをどんどん追加しながら、ソーサラーのクアゼルは最強になり、自分を裏切った者達に復讐していく。

外れスキル【転送】が最強だった件
名無し
ファンタジー
三十路になってようやくダンジョン入場試験に合格したケイス。
意気揚々と冒険者登録所に向かうが、そこで貰ったのは【転送】という外れスキル。
失意の中で故郷へ帰ろうとしていた彼のもとに、超有名ギルドのマスターが訪れる。
そこからケイスの人生は目覚ましく変わっていくのだった……。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる