47 / 120
第47話【輸入品の適正価格】
しおりを挟む
「で、これを私に見せたと言う事は商談の話になるのですよね?
まさか私に食べさせて感想が欲しかっただけとは言わせませんよ」
ゴルドはニッコリと笑うと僕達にぐいぐいと言葉で圧力をかけてきた。
「えーと、実はまだ量産できる形になってないんです。
なにせ今日先程ゴルドさんに逢う前に試作を作ったばかりですから……」
「・・・・・・」
「ほう。それはタイミングが良かったのか悪かったのか分かりませんが、我が商会に卸す意思はあると取っても良いのですよね?」
「まあ、僕達が売り込みに店を回るよりも効率も信用も良いですからね。
とりあえず、この店舗から発信してみますか?
そのくらいならば今ある素材で何とかなると思いますからね」
「それは良いですね。
しかし、モージル焼きに使っても旨いのだけれどそれだと単価が大したことないから儲からないですね。
何か別の料理を考えなくてはいけませんね」
僕はその言葉にお好み焼きのトッピング方式がふっと浮かび提案してみる事にした。
「そうですね。
普通のモージル焼きだけだと屋台で銅貨一枚程度で買えますけど、あれは小麦粉にキャルベとモアのバラ肉を加えて焼いただけの料理なので原価もかなり安いですよね?
だからそれらに付加価値を着けてワンランク上のグレートモージル焼き……って名前は後から考えるとして、とにかく屋台ではなくこういった食事処で提供するような素材を使ってみてはどうですか?」
「ふむ。まあ、小麦粉とキャルベは必須として肉のランクを上げるのと他に卵を入れるとか麺を一緒に焼くとかですかな?」
「そうそう。そんな感じで色々試作してみると良いかもしれ……って麺があるんだ?
僕は今まで見たことなかったけど……」
「おや、麺をご存知でしたか。
情報が早いですね。
実は最近の事だが料理錬金をしているグループが持ち込んできたんですよ。
ベースは小麦粉らしいんだが、食ってみたら意外と旨かったから定期的に仕入れているんだ」
(うどんみたいなものなのか?ちょっと興味があるな)
「それって此処で食べられますか?ちょっと興味があって食べてみたいんですが……」
「いいですよ。すぐに準備させましょう。
おーい、ちょっと来てくれ」
「はい。旦那様お呼びでしょうか?」
「ああ、厨房に麺ラー焼きを注文してきてくれ。今回は普通に作って良いからな」
「分かりました。直ぐに伝えておきます」
待つこと数分……。そこには明らかに前世で見たことのある食べ物が目の前にあった。
(これ、どうみても“焼きうどん”だよな。
“焼きそば”ではないところが惜しいところだな。
しかも名前からすると“焼きラーメン”だし(笑))
「どうかされましたか?」
「いえ、ちょっと想像していた物と違っていたので驚いただけです。
これ、味見しても大丈夫ですか?」
「ええ、その為に注文したのですから是非試してみてください。
味付けは香辛料になっていますので少々辛いかもしれませんよ」
僕はゴルドの説明を聞いてから麺ラー焼きを口に運んだ。
(見た目はうどんだが食感はパリパリとしていて味付けは辛め……。
ああ、お酒のつまみだな。
イメージ的には皿うどんに近いかな?)
「如何ですかな?まだ始めたばかりですので認知度はあまり無いですが、ぼちぼちオーダーが入るようになっている商品ですよ」
「いいんじゃないですかね?
おそらくだけど相性はかなり良いものが出来ると思いますよ。
早速試作して貰いますか?調味料もある事ですし……」
「うーん。そうなんですが今は忙しい時間帯なんで厨房に試作を作らせるのはちょっと厳しいかと思いますから、先に話を終わらせてから厨房にてご一緒に試作をしてみるではいけませんかな?」
「分かりました。
それではのちほどお願いします。
シミリ、他に何かあるかい?」
「えっと、ゴルドさん。
この街で特に外国から来ている品物についてなんですけど、正直言って結構吹っ掛けられてないですか?
特に装飾品は暴利の域に達しているような気もするんです」
「ハハハ、シミリさんはなかなか手厳しいですな。
確かに諸外国から来る品物はどれも割高です。
しかし、何故それらが高いかを考えた事はありますかな?」
「えっと、輸送コストがかかるからですか?」
「勿論それもありますが、それだけではありませんよ。シミリさんも商人ならば“適正価格”の意味は分かりますよね?
物には全てコストがかかっています。
食べ物にも着る物にもそして装飾品にも……。
気にされている装飾品は我が国は後進国で加工技術が未熟な為に良い物が出来ないので外国の装飾品を欲しがる者が多い。
ですので彼らは航海のリスクを背負った上で売りに来るのです。
シミリさんはそれでも高すぎると思いますか?」
「ごめんなさい、浅慮でしたね。
でも、やっぱり悔しいですね、カモにされてる感じがして……。
何かこちらからも付加価値のついた高級品を売り付けてやりたいですよね」
シミリはゴルドの言葉に納得はしながらも愛国発言を繰り返しては妙案はないかを考え込んでいた。
「ハハハ。シミリさんは若いなぁ。
いいよ。若い頃はそのくらい野心を持って商売に突き進めれば運が良ければ一山当てることもあるだろう。
その運が隣にいるんだから私としては非常に羨ましいんだがね」
ゴルドは笑いながらエールを煽った。
まさか私に食べさせて感想が欲しかっただけとは言わせませんよ」
ゴルドはニッコリと笑うと僕達にぐいぐいと言葉で圧力をかけてきた。
「えーと、実はまだ量産できる形になってないんです。
なにせ今日先程ゴルドさんに逢う前に試作を作ったばかりですから……」
「・・・・・・」
「ほう。それはタイミングが良かったのか悪かったのか分かりませんが、我が商会に卸す意思はあると取っても良いのですよね?」
「まあ、僕達が売り込みに店を回るよりも効率も信用も良いですからね。
とりあえず、この店舗から発信してみますか?
そのくらいならば今ある素材で何とかなると思いますからね」
「それは良いですね。
しかし、モージル焼きに使っても旨いのだけれどそれだと単価が大したことないから儲からないですね。
何か別の料理を考えなくてはいけませんね」
僕はその言葉にお好み焼きのトッピング方式がふっと浮かび提案してみる事にした。
「そうですね。
普通のモージル焼きだけだと屋台で銅貨一枚程度で買えますけど、あれは小麦粉にキャルベとモアのバラ肉を加えて焼いただけの料理なので原価もかなり安いですよね?
だからそれらに付加価値を着けてワンランク上のグレートモージル焼き……って名前は後から考えるとして、とにかく屋台ではなくこういった食事処で提供するような素材を使ってみてはどうですか?」
「ふむ。まあ、小麦粉とキャルベは必須として肉のランクを上げるのと他に卵を入れるとか麺を一緒に焼くとかですかな?」
「そうそう。そんな感じで色々試作してみると良いかもしれ……って麺があるんだ?
僕は今まで見たことなかったけど……」
「おや、麺をご存知でしたか。
情報が早いですね。
実は最近の事だが料理錬金をしているグループが持ち込んできたんですよ。
ベースは小麦粉らしいんだが、食ってみたら意外と旨かったから定期的に仕入れているんだ」
(うどんみたいなものなのか?ちょっと興味があるな)
「それって此処で食べられますか?ちょっと興味があって食べてみたいんですが……」
「いいですよ。すぐに準備させましょう。
おーい、ちょっと来てくれ」
「はい。旦那様お呼びでしょうか?」
「ああ、厨房に麺ラー焼きを注文してきてくれ。今回は普通に作って良いからな」
「分かりました。直ぐに伝えておきます」
待つこと数分……。そこには明らかに前世で見たことのある食べ物が目の前にあった。
(これ、どうみても“焼きうどん”だよな。
“焼きそば”ではないところが惜しいところだな。
しかも名前からすると“焼きラーメン”だし(笑))
「どうかされましたか?」
「いえ、ちょっと想像していた物と違っていたので驚いただけです。
これ、味見しても大丈夫ですか?」
「ええ、その為に注文したのですから是非試してみてください。
味付けは香辛料になっていますので少々辛いかもしれませんよ」
僕はゴルドの説明を聞いてから麺ラー焼きを口に運んだ。
(見た目はうどんだが食感はパリパリとしていて味付けは辛め……。
ああ、お酒のつまみだな。
イメージ的には皿うどんに近いかな?)
「如何ですかな?まだ始めたばかりですので認知度はあまり無いですが、ぼちぼちオーダーが入るようになっている商品ですよ」
「いいんじゃないですかね?
おそらくだけど相性はかなり良いものが出来ると思いますよ。
早速試作して貰いますか?調味料もある事ですし……」
「うーん。そうなんですが今は忙しい時間帯なんで厨房に試作を作らせるのはちょっと厳しいかと思いますから、先に話を終わらせてから厨房にてご一緒に試作をしてみるではいけませんかな?」
「分かりました。
それではのちほどお願いします。
シミリ、他に何かあるかい?」
「えっと、ゴルドさん。
この街で特に外国から来ている品物についてなんですけど、正直言って結構吹っ掛けられてないですか?
特に装飾品は暴利の域に達しているような気もするんです」
「ハハハ、シミリさんはなかなか手厳しいですな。
確かに諸外国から来る品物はどれも割高です。
しかし、何故それらが高いかを考えた事はありますかな?」
「えっと、輸送コストがかかるからですか?」
「勿論それもありますが、それだけではありませんよ。シミリさんも商人ならば“適正価格”の意味は分かりますよね?
物には全てコストがかかっています。
食べ物にも着る物にもそして装飾品にも……。
気にされている装飾品は我が国は後進国で加工技術が未熟な為に良い物が出来ないので外国の装飾品を欲しがる者が多い。
ですので彼らは航海のリスクを背負った上で売りに来るのです。
シミリさんはそれでも高すぎると思いますか?」
「ごめんなさい、浅慮でしたね。
でも、やっぱり悔しいですね、カモにされてる感じがして……。
何かこちらからも付加価値のついた高級品を売り付けてやりたいですよね」
シミリはゴルドの言葉に納得はしながらも愛国発言を繰り返しては妙案はないかを考え込んでいた。
「ハハハ。シミリさんは若いなぁ。
いいよ。若い頃はそのくらい野心を持って商売に突き進めれば運が良ければ一山当てることもあるだろう。
その運が隣にいるんだから私としては非常に羨ましいんだがね」
ゴルドは笑いながらエールを煽った。
32
お気に入りに追加
3,236
あなたにおすすめの小説
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
貴族に転生してユニークスキル【迷宮】を獲得した俺は、次の人生こそ誰よりも幸せになることを目指す
名無し
ファンタジー
両親に愛されなかったことの不満を抱えながら交通事故で亡くなった主人公。気が付いたとき、彼は貴族の長男ルーフ・ベルシュタインとして転生しており、家族から愛されて育っていた。ルーフはこの幸せを手放したくなくて、前世で両親を憎んで自堕落な生き方をしてきたことを悔い改め、この異世界では後悔しないように高みを目指して生きようと誓うのだった。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~
名無し
ファンタジー
突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
転移術士の成り上がり
名無し
ファンタジー
ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。
A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~
名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」
「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」
「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」
「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」
「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」
「くっ……」
問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。
彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。
さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。
「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」
「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」
「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」
拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。
これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる