このステータスプレート壊れてないですか?~壊れ数値の万能スキルで自由気ままな異世界生活~

夢幻の翼

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第44話【調味料の売り方とシミリの妄想】

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 屋台へ行こうとする僕の腕を掴んでシミリが止めて言った。

「待って下さい。オルト君、この調味料は今すぐにどのくらい準備出来ますか?
 お店に提供するならばせめてその店が一日売るくらいの量が無いとかえって迷惑になりますよ。
 もし、この味を気に入った人達がたくさん来た時に「試作品ですからもうありません」となると普通の物が全く売れなくなるかも知れませんよ」

「いや、シミリ。いくらなんでもそれはかなり大袈裟だろう?
 そんな中毒性のある食べ物じゃああるまいし……。
 ってまさかシミリはそこまでの味と判断したのか?」

「はい。はっきりと言ってこの味を知ってしまったら普通の料理が物足りなくなりそうで正直怖いです。
 しかもオルト君はこの調味料を「とりあえず二つ」と言いましたよね?
 「とりあえず」と……。
 その言葉からすると他にも味の違う調味料が複数作れる自信があるととれるのですが……違いますか?」

「まあ、試してないから分からないけれど、香辛料と調味料を合わせて少なくとも【10種類くらいはイメージが固まってるかな。
 ただ、元になる素材が纏まって手に入るかどうかが気になるところかな」

「10種類……。
 オルト君、それだけの調味料が安定して作れれば化粧品とかに手を出さなくても“調薬”と“調味料調合”で十分商売が成り立ちますよ!
 素材にしても領主様に貰ったあのカードでギルドに収集依頼を出せば良いし、売り先だっていくらでも見つかるはずですよ」

 シミリの商売人としての想いが駄々漏れになっていたが僕のチート調合能力をあてにしての商売はシミリの為にならないので敢えて僕は苦言を呈した。

「シミリ、いくらなんでも国全体の調味料を独占的に供給するのは無理があるよ。
 まあ、出来ても『ひとつの街の特産品』程度で十分じゃあないかな?
 そのうちに誰かが鑑定スキルでレシピにたどり着くだろう」

「そっそうですよね。
 調味料で国の食を支配するとかオルト君の趣味じゃあないですよね。
 私ったらあまりの感動に気持ちが暴走してましたわ。
 もっと効率よく稼ぐにはどうすれば良いか真剣に考えますね」

「そうだね。
 で、さっきの調味料はどうしたら良いかな?一応、量はそれなりに出来るけれども。
 それこそあの屋台の隣で商売でもやってみるかい?」

「あはは。
 モージル焼きを買った人達に調味料を売り付ける商売ですか?発想は良いですけどちょっとイメージして見てくださいね」

 シミリはそう言うと一人芝居を始めた。

「あー、そこのモージル焼きを買った方、ちょっとこの調味料を試してみないですか?
 只のモージル焼きが10倍美味しくなる魔法の調味料がなんとひと塗り銅貨一枚ですよ。
 いかがですか?」

「本当に10倍旨くなるのか?嘘だったら金は払わねぇぞ?」

「大丈夫ですよ。自信をもっておすすめしますよ!」

「ぬりぬり……。パクパク……!?」

「おお!これは!旨いぞー!!」

「なんと!?俺のにも塗ってくれ!……。本当に旨いぞー!!」

「モージル焼きは塩で味付けしない方がよりこの調味料の味が引き立ちますよ」

「なに!?そうか!店主モージル焼きの味付け無しをくれ!」

「俺も!俺もだ!」

「ーーーて感じになると思うのですが……って何笑ってるのですか!?」

「いや、シミリの一人芝居が面白くて涙が出て来たよ。
 いや悪かった、シミリは真剣にシミュレーションしてくれたんだよね。
 で、結局どうなるんだい?」

「もう!結局、何も伝わってないじゃないですか!
 バカ売れ大人気ですよ!……っと言っても実際は商売の許可無しに勝手に露天販売しては駄目なんで無理なんですけどね」

「やっぱりそうだよね。
 じゃあこれも後でゴルドさんに相談してみる案件として保留にして置こうか」

「そうですね。ちょっと、いやかなり残念ですけど仕方ないですね。
 じゃあ次は装飾品を見に行っても良いですか?」

「ああ、今日はシミリのエスコートだろ?好きな場所に連れて行ってくれていいよ」

「ありがとうございます」

 調味料談議が一通り落ち着いたので、次に僕達は装飾品のお店を見て回る事にした。
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