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第27話【腕の良い護衛達と街の検問】
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戦いは呆気なく勝負がついた。
人数で勝っていた盗賊達だったが突然のリーダー死亡に対応出来ずに護衛達の剣に斬り伏せられたのだ。
戦いが終わった後、護衛達はいきなり盗賊のリーダーが死亡した原因を確認するため辺りを捜索したが既に戦線離脱していた僕達に会う事もなく首を捻るばかりだった。
「良かったのですか?」
戦線離脱してこっそり先を進む僕にシミリが聞いてきた。
「何が?」
シミリが何を言いたいかは分かっていたがあえて惚けてみた。
「あの商隊を助けたのがオルト君だと言わなくて良かったのですか?という意味ですよ。
上手くいけば謝礼は勿論、商隊との繋がりも出来てカイザックの情報収集にも役にたったのではないかと思うのですけど……」
「うん、確かにシミリの言う通りだ。
大失敗だよ、どうしてもっと早く言ってくれなかったんだい?」
「えー!?オルト君こそ何か考えがあって言わなかったのでは無かったと思ってたのに、ただ気がつかなかっただけなんて!」
シミリは驚いた顔を僕に向けてきた。
そんなシミリを見てほほえましく笑いながら僕は答えた。
「もちろん嘘だよ。
シミリの言う通り考えがあってあえてスルーしたんだ。
あの時に僕が乱入して盗賊達を殲滅したとすると確実にあの護衛冒険者からギルドに報告が行くはずだ。
そこにFランクカードを持った僕が行けば何かしら聴かれる事は予想に難しくないだろう。
今から暫く拠点にしようと考えている街でそんなギルドにマークされる可能性のある事は出来ないと思ったんだよ」
僕の話を聞いたシミリは初めの嘘に何か言いたそうな反応はしたが後半の内容に納得したようでニコニコしながら僕の横で何度も頷いていた。
(やっぱりオルト君は凄いな。
あの場面で盗賊のリーダーを瞬殺した魔法ももちろん凄いけれど、その後の判断力が最高に格好よかったわ。
強くって頭がまわって格好いい。
私を助けてくれた時も大金の金貨を惜しげもなくポンと出してくれた。
今も私を気遣ってくれながら商売の手伝いを申し出てくれた。
ちょっと常識はずれな所もあるけど私の話はちゃんと聞いてくれるから大丈夫。
何があってもついて行くわ)
「ねぇオルト君。
カイザックって港街だったよね。
別の大陸からの珍しい物も沢山出回っているかも知れないから各ギルドに挨拶したら情報収集もかねて二人で買い物に回らないかな?
今はあまり資金が無いからそれで商売は出来ないだろうけど何かのヒントになるかも知れないよ?」
シミリに笑顔で提案されて悪い気がするはずも無く、僕はふたつ返事で了承した。
「本当?ふふふ。
カイザックに着くのが楽しみになっちゃった」
シミリの言動に『ドキリ』とさせられながらも明日にはカイザックの街に到着出来そうでほっとしていた。
商隊が追い付けそうにない場所で夜営をした後、夜明け早々にカイザックに向けて移動を再開した。
「おっ!?門が見えてきたぞ。
凄い人だかりだな。
これは街に入るだけでも相当時間がかかるんじゃないか?」
あまりの人の多さに審査待ちにかかる時間を考えると頭が痛くなってきていた僕にシミリが受付を指差しながら説明をしてくれた。
「確かに街に入る人達は多いですがこの街は商売に特化した街のため、商人の出入りは優遇されているみたいですね。
私達も早く並びましょう」
カイザックの街はエーフリの街より人の列が多く、商人の出入りも多い為か商人専用受付の窓口が複数設置されていた。
僕達は馬車を所有していないので個人行商受付に並んだ。多くの商人は馬車での受付なので積み荷検査で時間がかなりかかるみたいだった。
「カイザックへようこそ。
この受付は個人行商の方を審査する窓口です。
お手数ですが商人ギルド証明書と主に販売する商品の提示をお願いします」
シミリは言われた通りに商人ギルド証明書と僕が作った簡易版の薬2種類をカウンターに置いた。
今は化粧品は提示せずに機会を見て商人ギルドに直接登録する方針に話しあっていたので僕はスルーしていた。
「薬ですか?これはどちらで仕入れた物ですか?」
「はい。これらは彼が作りました。
彼の職業は薬師ですので私の行商のパートナーとして帯同しています。
ただ、個人が作った薬ですのでまだ商人ギルドへの登録が済んでいません。
今回カイザックの街にて新規に登録するつもりでサンプルを持参しています」
僕は受付に薬師に偽装したステータスプレートの職業欄を提示した。
もちろん見せるだけで渡したりはしない。
「分かりました。
通行を許可しますので通行税及び商品持ち込み税をお支払い下さい。
お二人の通行税と商品持ち込み税を合わせて銀貨5枚になります」
(銀貨5枚はやけに高い気がするのだが請求されたなら払うしかないだろう)
「銀貨5枚だな。これで頼む」
僕は鞄から銀貨を取り出してカウンターに置き、係の者に確認を促した。
「確かにお預かりしました。
こちらが通行許可書になります。
あと、こちらを商人ギルドの受付に提示くだされば銀貨2枚が返ってきます。
街に来た商人を商人ギルドに向かわせる為の保険みたいなものですね」
そう言って係の者は商人ギルドのマークが入ったプレートをシミリに渡した。
受付の完了した僕達はようやくカイザックの街に入る事が出来た。
人数で勝っていた盗賊達だったが突然のリーダー死亡に対応出来ずに護衛達の剣に斬り伏せられたのだ。
戦いが終わった後、護衛達はいきなり盗賊のリーダーが死亡した原因を確認するため辺りを捜索したが既に戦線離脱していた僕達に会う事もなく首を捻るばかりだった。
「良かったのですか?」
戦線離脱してこっそり先を進む僕にシミリが聞いてきた。
「何が?」
シミリが何を言いたいかは分かっていたがあえて惚けてみた。
「あの商隊を助けたのがオルト君だと言わなくて良かったのですか?という意味ですよ。
上手くいけば謝礼は勿論、商隊との繋がりも出来てカイザックの情報収集にも役にたったのではないかと思うのですけど……」
「うん、確かにシミリの言う通りだ。
大失敗だよ、どうしてもっと早く言ってくれなかったんだい?」
「えー!?オルト君こそ何か考えがあって言わなかったのでは無かったと思ってたのに、ただ気がつかなかっただけなんて!」
シミリは驚いた顔を僕に向けてきた。
そんなシミリを見てほほえましく笑いながら僕は答えた。
「もちろん嘘だよ。
シミリの言う通り考えがあってあえてスルーしたんだ。
あの時に僕が乱入して盗賊達を殲滅したとすると確実にあの護衛冒険者からギルドに報告が行くはずだ。
そこにFランクカードを持った僕が行けば何かしら聴かれる事は予想に難しくないだろう。
今から暫く拠点にしようと考えている街でそんなギルドにマークされる可能性のある事は出来ないと思ったんだよ」
僕の話を聞いたシミリは初めの嘘に何か言いたそうな反応はしたが後半の内容に納得したようでニコニコしながら僕の横で何度も頷いていた。
(やっぱりオルト君は凄いな。
あの場面で盗賊のリーダーを瞬殺した魔法ももちろん凄いけれど、その後の判断力が最高に格好よかったわ。
強くって頭がまわって格好いい。
私を助けてくれた時も大金の金貨を惜しげもなくポンと出してくれた。
今も私を気遣ってくれながら商売の手伝いを申し出てくれた。
ちょっと常識はずれな所もあるけど私の話はちゃんと聞いてくれるから大丈夫。
何があってもついて行くわ)
「ねぇオルト君。
カイザックって港街だったよね。
別の大陸からの珍しい物も沢山出回っているかも知れないから各ギルドに挨拶したら情報収集もかねて二人で買い物に回らないかな?
今はあまり資金が無いからそれで商売は出来ないだろうけど何かのヒントになるかも知れないよ?」
シミリに笑顔で提案されて悪い気がするはずも無く、僕はふたつ返事で了承した。
「本当?ふふふ。
カイザックに着くのが楽しみになっちゃった」
シミリの言動に『ドキリ』とさせられながらも明日にはカイザックの街に到着出来そうでほっとしていた。
商隊が追い付けそうにない場所で夜営をした後、夜明け早々にカイザックに向けて移動を再開した。
「おっ!?門が見えてきたぞ。
凄い人だかりだな。
これは街に入るだけでも相当時間がかかるんじゃないか?」
あまりの人の多さに審査待ちにかかる時間を考えると頭が痛くなってきていた僕にシミリが受付を指差しながら説明をしてくれた。
「確かに街に入る人達は多いですがこの街は商売に特化した街のため、商人の出入りは優遇されているみたいですね。
私達も早く並びましょう」
カイザックの街はエーフリの街より人の列が多く、商人の出入りも多い為か商人専用受付の窓口が複数設置されていた。
僕達は馬車を所有していないので個人行商受付に並んだ。多くの商人は馬車での受付なので積み荷検査で時間がかなりかかるみたいだった。
「カイザックへようこそ。
この受付は個人行商の方を審査する窓口です。
お手数ですが商人ギルド証明書と主に販売する商品の提示をお願いします」
シミリは言われた通りに商人ギルド証明書と僕が作った簡易版の薬2種類をカウンターに置いた。
今は化粧品は提示せずに機会を見て商人ギルドに直接登録する方針に話しあっていたので僕はスルーしていた。
「薬ですか?これはどちらで仕入れた物ですか?」
「はい。これらは彼が作りました。
彼の職業は薬師ですので私の行商のパートナーとして帯同しています。
ただ、個人が作った薬ですのでまだ商人ギルドへの登録が済んでいません。
今回カイザックの街にて新規に登録するつもりでサンプルを持参しています」
僕は受付に薬師に偽装したステータスプレートの職業欄を提示した。
もちろん見せるだけで渡したりはしない。
「分かりました。
通行を許可しますので通行税及び商品持ち込み税をお支払い下さい。
お二人の通行税と商品持ち込み税を合わせて銀貨5枚になります」
(銀貨5枚はやけに高い気がするのだが請求されたなら払うしかないだろう)
「銀貨5枚だな。これで頼む」
僕は鞄から銀貨を取り出してカウンターに置き、係の者に確認を促した。
「確かにお預かりしました。
こちらが通行許可書になります。
あと、こちらを商人ギルドの受付に提示くだされば銀貨2枚が返ってきます。
街に来た商人を商人ギルドに向かわせる為の保険みたいなものですね」
そう言って係の者は商人ギルドのマークが入ったプレートをシミリに渡した。
受付の完了した僕達はようやくカイザックの街に入る事が出来た。
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