このステータスプレート壊れてないですか?~壊れ数値の万能スキルで自由気ままな異世界生活~

夢幻の翼

文字の大きさ
上 下
25 / 120

第25話【商品の選択とシミリの意見】

しおりを挟む
「ーーーでこれが腹痛に効く“聖籠源せいろんげん”でこっちは頭痛に効く“脳震湯のうしんとう”、外傷にはこれ“驚九おどろないん”だ。
 化粧品は髪用の石鹸や肌を白く見せる粉などシミリにも試して欲しいものが幾つかあるんだ」

 次々と薬の説明をする僕にシミリは口をあんぐり開けて呆然と聞いていた。

 そして僕の説明が一息ついた時に再起動したシミリはおずおずと僕に意見を言い始めた。

「オルト君の今までの行動から今説明された薬が本物なのだろうとは思うのだけれど、はいそうですねと鵜呑みにして病気の人に売り付けるのは正直言って私には無理です。
 自分の目で本当に効果があると確認出来ていない商品を売る事は商人として最低限の譲れない所なんです」

 真剣に僕に商人として譲れない想いをぶつけてくるシミリに僕は当然の事だと同意して次の話をきりだした。

「シミリの言っている事は当然の事だ。
 いくら僕が薬師に特化したステータスにしているとはいえ、いきなり作った薬が〇〇に効きますから買って下さいとは誰も信じないだろうから実際に効く事を証明しないといけないよな」

「オルト君。それだけではありませんよ。
 そもそも私は特定の病に効く薬なんて聞いた事もありません。
 薬は大きく分けて二種類あってひとつが塗るタイプの「傷薬」もうひとつが飲むタイプの「疾病薬」でどちらも基本的に薬草から作られています。
 効き目は使う薬草によりピンからキリまでありますが最高品質の薬でも劇的に良くなるものではありません。
 しかも良い薬になるとそれこそ平民には手の出る値段ではありません。
 貴族相手に商売するには強いコネか相当の信用が無ければ駆け出しの商人が相手にされる事はありません」

「そんなにこの国の薬学レベルは低いのか……。
 それならばあまり無茶な物は売りさばく事は出来ないな。
 シミリが居てくれて助かったよ。
 僕だけだったらまた大騒ぎになってすぐに警備員に連れて行かれるところだったよ」

「わかってくれて嬉しいわ。
 だからオルト君には申し訳ないけれど販売用の薬は一般向けにもっと簡易的なものを作って欲しいのと、ギルドに疾病で困っているお金持ちや貴族を紹介してもらって個別に調薬すれば信用もお金も上向くんじゃないかな?」

「なるほど。指名依頼ってやつだな。
 まあそれもある程度名前が売れないと指名してまで依頼を出そうなんて考えないよな。
 まずは平民層にコツコツと広めてみるかな」

 僕はシミリの意見を取り入れて簡易な薬を作る事にした。

「とりあえずこれでいいかな?」

 僕は新たに作り出した薬をシミリに渡して内容を見てもらった。

「シミリに言われた通り薬は2種類で塗るタイプの傷薬“メンタム”と飲むタイプの疾病薬“万丸まんがん”だ。
 どちらも効果は抑えてるから大したことないがとりあえずこのレベルの薬で試してみよう」

「そうですね。
 ところでひとつ聞いておきたいのだけれども。
 この薬の作り方ってどうしてるの?
 都合よく薬草とかを持っていたとかその辺で採取したとかじゃないわよね?」

「基本的には僕のスキルで作っているのだけれどベースの薬草は鑑定スキルで確認してその辺で採取したものだよ。
 それをスキルで変質させてから魔法の“ヒール”を埋め込んでるからそれなりに回復するはずだよ」

「そっ、そうなんだ。
 凄く画期的な作り方なんですね。
 とても誰にも真似出来そうにないですけど……」

 シミリは半分諦めて顔を引きつらせながら僕の作った薬を背負い鞄に入れていった。

「あと、化粧……は次の時にして早く休むとしようか」

 他の商品についても説明しようと思った僕だったがシミリの呆れた顔が少々怖かったのでまたにすることにして休む事にした。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し
ファンタジー
 突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。

固有スキルが【空欄】の不遇ソーサラー、死後に発覚した最強スキル【転生】で生まれ変わった分だけ強くなる

名無し
ファンタジー
相方を補佐するためにソーサラーになったクアゼル。 冒険者なら誰にでも一つだけあるはずの強力な固有スキルが唯一《空欄》の男だった。 味方に裏切られて死ぬも復活し、最強の固有スキル【転生】を持っていたことを知る。 死ぬたびにダンジョンで亡くなった者として転生し、一つしか持てないはずの固有スキルをどんどん追加しながら、ソーサラーのクアゼルは最強になり、自分を裏切った者達に復讐していく。

外れスキル【転送】が最強だった件

名無し
ファンタジー
三十路になってようやくダンジョン入場試験に合格したケイス。 意気揚々と冒険者登録所に向かうが、そこで貰ったのは【転送】という外れスキル。 失意の中で故郷へ帰ろうとしていた彼のもとに、超有名ギルドのマスターが訪れる。 そこからケイスの人生は目覚ましく変わっていくのだった……。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

処理中です...