上 下
23 / 120

第23話【閑話1 魔道具創造を検証してみたら】

しおりを挟む
 まだ自分の能力を把握しきれていないある日の事だった。

 僕は自分のステータスプレートの内容を確認しながらひとつずつ出来る事と出来ない事を確かめていた。

(魔法については大体理解出来たけど、この魔道具創造アイテムクリエイターってスキルはどうやって使うんだろうか?
 魔道具って言うからには便利な道具を作る能力なんだろうけど、材料が必要なのか?
 頭で考えるだけで出来るのか?さっぱり分からないな)

 今のところは魔法で殆んど対応出来ているので別段何か道具が必要という状況ではないため何を作れば役にたつか思い付かなかった。

 しかし、確認がしたかった僕は魔法では出来なかった“アイテムボックス”に相当する“収納鞄アイテムバッグ”を試してみることにした。

(イメージを明確にして……口を開けたら異空間に繋がって……自分の意思で出し入れ出来る鞄のイメージ)

 イメージを明確にするために目は閉じているが手は大きさや物の出し入れをジェスチャーで表現していると手の周りに魔力素材ー魔素まそが集まり出してだんだんと型を成してきた。

 数分後には手に何かを持っている感触がしたので目を開けてみると頭の中に描いた鞄が手の中に収まっていた。

(マジかー!?これってイメージさえしっかりしていれば何でも作れるんじゃないのか?)

 そう思った僕は大好きだったラノベ小説の“このアイテムすげー欲しい!”と思っていた幾つかの道具を実際に作り上げた。

 出来た道具を見てその道具自体よりもチート能力の凄さに唖然としていた。

(この能力だけでも簡単に世界征服出来るんじゃねぇか?
 まあ、そんな面倒臭いことは絶対にしないけど。
 大体、世界征服して世界の王になって何が楽しいんだよ。
 せっかく能力を持って転生したんだからもっと楽しんで生きることにしよう)

(だけど、一体誰が何の為にこんな能力を僕に授けたんだろう?
 神様が出て来て世界を救って~とかも無いし、王様から魔王を倒して欲しい~とかも無いし。
 まあ、使命がない方が自由に暮らしていけるから大歓迎なんだけど、先ずは生活基盤の構築をしないといけないからどんな仕事でお金を稼ぐか良く考えておこう)

 僕はステータスプレートを眺めながら万能職についてもテストを繰り返してみたところ隠蔽したプレート表示以外でも能力は発動するようだが職業がコロコロ変わるのはこの世界ではあり得ないことなので同じ街内で複数の職業を名乗るのは厳禁だと言えるだろう。

(いくらチート持ちでも世界の常識を知らないとキツイ状況もあるだろうから早いうちに協力者を探さないといけないかも知れないな)

 そんな事を考えながら近くで狩ってきた獲物を調理して旅の食事用に魔法鞄アイテムバッグにしまうと(さて、明日には山を降りるからもう一度必要な道具の確認をしてから寝るか)と鞄の中身を確認した。

 その後、僕は明日から起こる災難にはこれっぽっちも気づかずに心を踊らせながら眠りについた。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

貴族に転生してユニークスキル【迷宮】を獲得した俺は、次の人生こそ誰よりも幸せになることを目指す

名無し
ファンタジー
両親に愛されなかったことの不満を抱えながら交通事故で亡くなった主人公。気が付いたとき、彼は貴族の長男ルーフ・ベルシュタインとして転生しており、家族から愛されて育っていた。ルーフはこの幸せを手放したくなくて、前世で両親を憎んで自堕落な生き方をしてきたことを悔い改め、この異世界では後悔しないように高みを目指して生きようと誓うのだった。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し
ファンタジー
 突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

転移術士の成り上がり

名無し
ファンタジー
 ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。

A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~

名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」 「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」 「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」 「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」 「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」 「くっ……」  問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。  彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。  さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。 「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」 「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」 「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」  拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。  これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。

処理中です...