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第18話【理不尽なギルマスの要求を受け流す】
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「まあ、そう急ぐことはないだろう。
ちょっと君たちには聞きたい事があるから応接室へ来てもらおうか。
ギルドではギルマスの言うことは聞いておいた方がいいと思うぞ?」
リルアールは僕と出口の間に無い胸を張って立ちふさがった。
「ああいけない、その前に誰かグジーを奥の個室に案内しておいてちょうだい、後で個別の面談をするのでそれまでしっかり反省して貰うようにね」
(今のうちに逃げれないかな?)
僕は指示を出しているリルアールの横をそっと抜けようとしたがやはり無駄だった。
「あらあら、せっかちな人なのね。
私が話があると言うのだからおとなしく待ってなさいよ。
まあいいわ、大目にみてあげるから応接室へ来なさい。
紅茶くらいなら出すわよ」
「僕達、急いでるんで遠慮します。
お茶のお誘いはまたの機会にお願いします」
ざわっ!!またもや空気が凍りついた。
「ふーん。いい度胸じゃないの。
ここで私に逆らおうなんて人は久しぶりね。
まあ、初めてギルドに来たばかりだから無知なのは仕方ないけどそんな態度だと命がいくつあっても足りないわよ」
(ギルマスと言えどさっきのゴロツキとたいして変わらず話が通じないと来たか。
だが、このギルドの最高権限者だからなぁ。
面倒だが仕方ない、話だけは聞いてやるか……)
「分かりました仕方ないですね。
それで用件は何ですか?」
「とりあえず応接室に来るようにしてね。
話はそれからよ。
但し、今度逃げようとしたらギルマス権限で指名手配をかける事になるから」
僕達は仕方なくギルマスの部屋に案内された。
部屋には面談用テーブルと書類棚があるくらいで質素な感じの部屋だった。
「案外装飾品の無い部屋だな」
僕の呟きにリルアールは「時々ここで暴れる馬鹿どもがいますからねぇ」とこっちを見ずに答えた。
(おっと、聞こえていたのかエルフのせいか耳がかなり良さそうだ迂闊な事は言わない方が良さそうだな)
「二人ともそこに座ってて。
今、紅茶を入れるので」
リルアールはそう言うと部屋の端にある水場で自らが紅茶を入れて差し出してきた。
「あなたはギルマスですよね?紅茶くらい部下に入れてもらえば良いのではないですか?」
「紅茶なんかにいちいち忙しい部下を使わないわよ。
それに自分で入れた紅茶の方が美味しいですからね。
それより君たちに幾つか質問があるわ」
「何でしょうか?
嘘をつくつもりは無いですがこちらも答えたく無いものは答えませんし、出来ないものは出来ないとはっきり言いますよ」
「そうね。じゃあまず何故スキップ登録をせずにFランクで登録したの?
さっきの動きならば確実にDランク以上での登録になると思うけど」
「それについての理由は二つ。
ひとつ目は要らない義務を課せられたくないから、そしてふたつ目はランクに興味がないからですね」
「ランクに興味がない?
なら何故ギルドに登録したの?
あと、要らない義務とは何の事よ?」
「僕は冒険者の証が欲しかっただけなんですよ。
僕はこれからパートナーのシミリと一緒に行商をする事にしてるのだけど僕には商人の証が無いから商売は出来ない。
だからスポンサーとしてシミリの護衛をしながら行商をするつもりだからランクなんて特に必要としないんだ。
それにランクが上がればギルドに緊急性の高い危険な依頼が入れば高ランクの冒険者には指名依頼が入るだろう?
僕は自分が納得しないと絶対に依頼は受けないと決めているので義務の発生する高ランクにはなる気はないでいいですか?」
横でシミリが固まっているけど今はこのギルマスから何とか逃げないといけないのでもう少し我慢してもらおう。
「変わった人ね。
話は理解したけどだからと言って力を見てしまったからにはFランクのままにしておくと言うのも面白く無いわね。
そうだ!折角だから私と勝負しましょう。
私が勝てばあなたはDランクに、あなたが勝てばAランクにして差し上げますわ」
「結構です。絶対にお断りしますので帰らせて下さい。
大体それ僕に何の得もないですよね?僕はFランクで十分です!」
「我が儘を言わない!さっさとやるわよ!」
「どっちが我が儘ですか!?
無理やりやるなら僕は街で「冒険者登録したらギルドマスターに無理矢理引き留められて一方的に袋叩きにされた!」とふれて回りますよ!」
「なっ!?卑怯よ!」
「どっちがですか!!シミリ!さっさと退散するよ。」
僕達は後ろで喚いているギルマスを尻目にギルドから何とか脱出した。
ちょっと君たちには聞きたい事があるから応接室へ来てもらおうか。
ギルドではギルマスの言うことは聞いておいた方がいいと思うぞ?」
リルアールは僕と出口の間に無い胸を張って立ちふさがった。
「ああいけない、その前に誰かグジーを奥の個室に案内しておいてちょうだい、後で個別の面談をするのでそれまでしっかり反省して貰うようにね」
(今のうちに逃げれないかな?)
僕は指示を出しているリルアールの横をそっと抜けようとしたがやはり無駄だった。
「あらあら、せっかちな人なのね。
私が話があると言うのだからおとなしく待ってなさいよ。
まあいいわ、大目にみてあげるから応接室へ来なさい。
紅茶くらいなら出すわよ」
「僕達、急いでるんで遠慮します。
お茶のお誘いはまたの機会にお願いします」
ざわっ!!またもや空気が凍りついた。
「ふーん。いい度胸じゃないの。
ここで私に逆らおうなんて人は久しぶりね。
まあ、初めてギルドに来たばかりだから無知なのは仕方ないけどそんな態度だと命がいくつあっても足りないわよ」
(ギルマスと言えどさっきのゴロツキとたいして変わらず話が通じないと来たか。
だが、このギルドの最高権限者だからなぁ。
面倒だが仕方ない、話だけは聞いてやるか……)
「分かりました仕方ないですね。
それで用件は何ですか?」
「とりあえず応接室に来るようにしてね。
話はそれからよ。
但し、今度逃げようとしたらギルマス権限で指名手配をかける事になるから」
僕達は仕方なくギルマスの部屋に案内された。
部屋には面談用テーブルと書類棚があるくらいで質素な感じの部屋だった。
「案外装飾品の無い部屋だな」
僕の呟きにリルアールは「時々ここで暴れる馬鹿どもがいますからねぇ」とこっちを見ずに答えた。
(おっと、聞こえていたのかエルフのせいか耳がかなり良さそうだ迂闊な事は言わない方が良さそうだな)
「二人ともそこに座ってて。
今、紅茶を入れるので」
リルアールはそう言うと部屋の端にある水場で自らが紅茶を入れて差し出してきた。
「あなたはギルマスですよね?紅茶くらい部下に入れてもらえば良いのではないですか?」
「紅茶なんかにいちいち忙しい部下を使わないわよ。
それに自分で入れた紅茶の方が美味しいですからね。
それより君たちに幾つか質問があるわ」
「何でしょうか?
嘘をつくつもりは無いですがこちらも答えたく無いものは答えませんし、出来ないものは出来ないとはっきり言いますよ」
「そうね。じゃあまず何故スキップ登録をせずにFランクで登録したの?
さっきの動きならば確実にDランク以上での登録になると思うけど」
「それについての理由は二つ。
ひとつ目は要らない義務を課せられたくないから、そしてふたつ目はランクに興味がないからですね」
「ランクに興味がない?
なら何故ギルドに登録したの?
あと、要らない義務とは何の事よ?」
「僕は冒険者の証が欲しかっただけなんですよ。
僕はこれからパートナーのシミリと一緒に行商をする事にしてるのだけど僕には商人の証が無いから商売は出来ない。
だからスポンサーとしてシミリの護衛をしながら行商をするつもりだからランクなんて特に必要としないんだ。
それにランクが上がればギルドに緊急性の高い危険な依頼が入れば高ランクの冒険者には指名依頼が入るだろう?
僕は自分が納得しないと絶対に依頼は受けないと決めているので義務の発生する高ランクにはなる気はないでいいですか?」
横でシミリが固まっているけど今はこのギルマスから何とか逃げないといけないのでもう少し我慢してもらおう。
「変わった人ね。
話は理解したけどだからと言って力を見てしまったからにはFランクのままにしておくと言うのも面白く無いわね。
そうだ!折角だから私と勝負しましょう。
私が勝てばあなたはDランクに、あなたが勝てばAランクにして差し上げますわ」
「結構です。絶対にお断りしますので帰らせて下さい。
大体それ僕に何の得もないですよね?僕はFランクで十分です!」
「我が儘を言わない!さっさとやるわよ!」
「どっちが我が儘ですか!?
無理やりやるなら僕は街で「冒険者登録したらギルドマスターに無理矢理引き留められて一方的に袋叩きにされた!」とふれて回りますよ!」
「なっ!?卑怯よ!」
「どっちがですか!!シミリ!さっさと退散するよ。」
僕達は後ろで喚いているギルマスを尻目にギルドから何とか脱出した。
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