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第178話【理解を越えたスキル能力】
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「僕のメインスキルは『カード収納』であることは皆さんよくご存知だと思います。
ですが、どこまでカード化出来るかは知らないですよね?」
ガラムは当然とばかりにうなずいて見せる。
「ここで全てを話すのはちょっと軽率かなと思いますがこれを話しておかないと理解が追いつかないでしょうからあえてお話します。
但し他言無用にてお願いします」
僕はその場に居る全員がうなずくのを見て説明をはじめた。
「ノエルはある程度知っているだろうけど僕のカード収納スキルは魔力がある限りいくらでもカード化出来ます。
そしてその大きさはスキルレベルに依存します。
例えばレベル5程度で両手を広げたくらいのものがカード化出来るようになるのですが僕のスキルレベルは先日またひとつ上がっており現在はカード化出来る大きさの制限が無くなりました。
もちろん魔力がなければカード化は出来ませんのでどんな大きなものでも可能とはいきませんが大抵のものならばカード化することが出来るでしょう」
「なんだって?」
到底理解のできていないメンバーたちは頭に疑問符につけたまま僕の次の言葉を待っている。
「ですのであの時、皆さんを助けるにはいくつかの選択肢があったのですがそのひとつに自分が触れている物を意識してカード化するといったやり方がありました。
今回はそれを使って馬車ごとカード化させてもらったのです。
もちろん、それにはリスクもありカード化した後に僕に何かが起こって死んでしまったらカード化された皆さんも二度と元に戻すことは出来なかった可能性もあるのも間違いありません」
僕はそう言って皆に頭を下げる。
「だが結果的に最善と思って行動したことなんだろ?」
「あの瞬間はそれが最善と思っていたことは間違いないです」
「ならば良いんじゃないか?
過程はどうあれ結果的にはだれも怪我のひとつもしていないし、馬車も無事だしそれで今回の件は終わりで良いのではないか?
まあ、とんでもない秘密を背負わされたのは正直勘弁して欲しかったがな」
ガラムが護衛メンバーを代表してそう結論づけたので他のメンバーも同意の意思をしめした。
「しかし、驚きましたな。
これほどの能力を持たれていればうちの旦那様はおろかどこの王族から声がかかってもおかしくないですな。
どなたかに仕えるつもりはないのですかな?」
さすがのトトルも少々諦めた表情でそう聞いてくる。
「悪いけど権力には興味が無いんだ。
お金はあるにこしたことはないけど使い切れない大金は必要ないしね。
難しいかもしれないけれど出来るだけ関わり合いにならないようにしていこうと思ってるよ。
今の僕にはノエルが居るだけで十分に幸せだからね」
「はいはい、ノロケは他所でやってください。
それよりも今の揺れは普通じゃなかったわよね。
王都に行けば何かしらの情報が手に入るでしょうから急いで出発しましょう」
ローズの言葉に皆が馬車に乗り込むとトトルは急ぎ馬車を走らせ始めた。
「なあ、このところ頻繁におきる揺れは地神様からのメッセージじゃないかとの噂が出ているようだが何か思い当たることはないだろうか」
走り出した馬車の中でガラムが僕たちにそう聞いてくる。
「地神様ってこちらでは神様なんですよね?」
「そうだが、なんだ? ミナトの居た地方では別の考え方があるのか?」
「僕の居たところでは揺れは地震と言って地が振動するという意味で呼んでいたのです。
地面が揺れるメカニズムにはいろいろなものがあって僕も詳しくないからうまく説明出来ないけれど、別に神様が揺らしている訳ではないと言われてました」
「あれが神様の仕業ではないと言うのか?」
「まあ、僕たちの生きている世界で人にはどうやっても無理なことは神様の範囲であるとも言えるので地震も地神様のされることと言われてもあながち間違いでもないのかもしれませんね」
「結局どっちなんだよ!?」
「どちらでも良いのではないでしょうか。
信じているものがあればそれがその人の真実だと思いますし否定せずに受け入れるのも大切だと思っています」
「そんなものなのか?
まあここでそれを言い合っても仕方ないか……」
ガラムも他の者たちも驚きすぎて考えるのを諦めたようでそれについての話は終わり、疲れからか索敵担当以外は仮眠をとっていた。
「――もうすぐアランガスタ王都の防壁が見えてきますぞ」
急ぐ馬車を操りながらトトルが後ろに乗る僕たちにそう告げたのはそれから数刻後のことだった。
「おい!
王都の門のあたり、なにか変じゃないか!?」
防壁が近づくにつれてガラムたち護衛のメンバーがそう言い始める。
「確かにいつもと違って王都から出る人の波が多くみられるようですね。
いつもならば入る人波の方が多いのに、何かあったのでしょうか?」
「とにかく行って問い合わせてみるしかないですのでこのまま門へ向います。
荷物は出さなくてもいいですが通行証だけは出しておいてください」
「わかりました」
トトルの言葉に僕は商会の通行証をカードから戻して使える準備をしてトトルに手渡した。
ですが、どこまでカード化出来るかは知らないですよね?」
ガラムは当然とばかりにうなずいて見せる。
「ここで全てを話すのはちょっと軽率かなと思いますがこれを話しておかないと理解が追いつかないでしょうからあえてお話します。
但し他言無用にてお願いします」
僕はその場に居る全員がうなずくのを見て説明をはじめた。
「ノエルはある程度知っているだろうけど僕のカード収納スキルは魔力がある限りいくらでもカード化出来ます。
そしてその大きさはスキルレベルに依存します。
例えばレベル5程度で両手を広げたくらいのものがカード化出来るようになるのですが僕のスキルレベルは先日またひとつ上がっており現在はカード化出来る大きさの制限が無くなりました。
もちろん魔力がなければカード化は出来ませんのでどんな大きなものでも可能とはいきませんが大抵のものならばカード化することが出来るでしょう」
「なんだって?」
到底理解のできていないメンバーたちは頭に疑問符につけたまま僕の次の言葉を待っている。
「ですのであの時、皆さんを助けるにはいくつかの選択肢があったのですがそのひとつに自分が触れている物を意識してカード化するといったやり方がありました。
今回はそれを使って馬車ごとカード化させてもらったのです。
もちろん、それにはリスクもありカード化した後に僕に何かが起こって死んでしまったらカード化された皆さんも二度と元に戻すことは出来なかった可能性もあるのも間違いありません」
僕はそう言って皆に頭を下げる。
「だが結果的に最善と思って行動したことなんだろ?」
「あの瞬間はそれが最善と思っていたことは間違いないです」
「ならば良いんじゃないか?
過程はどうあれ結果的にはだれも怪我のひとつもしていないし、馬車も無事だしそれで今回の件は終わりで良いのではないか?
まあ、とんでもない秘密を背負わされたのは正直勘弁して欲しかったがな」
ガラムが護衛メンバーを代表してそう結論づけたので他のメンバーも同意の意思をしめした。
「しかし、驚きましたな。
これほどの能力を持たれていればうちの旦那様はおろかどこの王族から声がかかってもおかしくないですな。
どなたかに仕えるつもりはないのですかな?」
さすがのトトルも少々諦めた表情でそう聞いてくる。
「悪いけど権力には興味が無いんだ。
お金はあるにこしたことはないけど使い切れない大金は必要ないしね。
難しいかもしれないけれど出来るだけ関わり合いにならないようにしていこうと思ってるよ。
今の僕にはノエルが居るだけで十分に幸せだからね」
「はいはい、ノロケは他所でやってください。
それよりも今の揺れは普通じゃなかったわよね。
王都に行けば何かしらの情報が手に入るでしょうから急いで出発しましょう」
ローズの言葉に皆が馬車に乗り込むとトトルは急ぎ馬車を走らせ始めた。
「なあ、このところ頻繁におきる揺れは地神様からのメッセージじゃないかとの噂が出ているようだが何か思い当たることはないだろうか」
走り出した馬車の中でガラムが僕たちにそう聞いてくる。
「地神様ってこちらでは神様なんですよね?」
「そうだが、なんだ? ミナトの居た地方では別の考え方があるのか?」
「僕の居たところでは揺れは地震と言って地が振動するという意味で呼んでいたのです。
地面が揺れるメカニズムにはいろいろなものがあって僕も詳しくないからうまく説明出来ないけれど、別に神様が揺らしている訳ではないと言われてました」
「あれが神様の仕業ではないと言うのか?」
「まあ、僕たちの生きている世界で人にはどうやっても無理なことは神様の範囲であるとも言えるので地震も地神様のされることと言われてもあながち間違いでもないのかもしれませんね」
「結局どっちなんだよ!?」
「どちらでも良いのではないでしょうか。
信じているものがあればそれがその人の真実だと思いますし否定せずに受け入れるのも大切だと思っています」
「そんなものなのか?
まあここでそれを言い合っても仕方ないか……」
ガラムも他の者たちも驚きすぎて考えるのを諦めたようでそれについての話は終わり、疲れからか索敵担当以外は仮眠をとっていた。
「――もうすぐアランガスタ王都の防壁が見えてきますぞ」
急ぐ馬車を操りながらトトルが後ろに乗る僕たちにそう告げたのはそれから数刻後のことだった。
「おい!
王都の門のあたり、なにか変じゃないか!?」
防壁が近づくにつれてガラムたち護衛のメンバーがそう言い始める。
「確かにいつもと違って王都から出る人の波が多くみられるようですね。
いつもならば入る人波の方が多いのに、何かあったのでしょうか?」
「とにかく行って問い合わせてみるしかないですのでこのまま門へ向います。
荷物は出さなくてもいいですが通行証だけは出しておいてください」
「わかりました」
トトルの言葉に僕は商会の通行証をカードから戻して使える準備をしてトトルに手渡した。
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