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第177話【地神の予兆】
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「では、出発します。
私どもの役目はアランガスタ王都までおふたりをお連れすることですので少々強引なスケジュールで進んでおります。
おそらくですが途中の町を素通りして約3日ほどになると予想されます」
トトルは馬車を軽快に走らせながら僕たちにそう伝えてくれた。
「ありがとうございます。
急がせて申し訳ないです」
僕がトトルにそう言った時、馬車の馬が急に止まった。
「おい、どうした――ってなんだこれは!?」
馬車が停止し地震による感覚を覚える僕たちは驚きの声をあげる。
「地が揺れている……地神様が震えておられる。悪い事が起こらなければいいが」
揺れは十秒ほどでおさまり辺りはいつもどおりの道が続いていた。
「急いだ方がいいですね」
トトルはそう言って馬車を走らせはじめた。
* * *
道中はありえないほど静かで盗賊はおろか野生の獣さえも遭遇しない状態で今日の野営場所にたどり着いていた。
「今日はここまでにします。
この先に進むと暫く水場から道が離れますので水を補給される方はここでお願いします。
ミナト殿は汲んだ桶をカード化しておいてくれると助かります」
トトルの指示で各自が必要な事の準備に入る。
「――水はこのくらいの量で良いですか?」
僕は水を汲んだ桶をカード化したものを馬の世話をしているトトルに見せて確認する。
「ありがとうございます。
それだけあれば大丈夫だと思います」
「では夕食の方も出しておきますので一段落ついたら食べるようにしてくださいね」
僕の言葉にうなずいたトトルを見て僕はガラムたち護衛の食事も取り出して開放していった。
「なんだか俺たち何もしてないような気がするな」
出された食事をしながらギリーがそ言うとガラムも「そうだな」と苦笑いをしながら言ったので僕は「そんなことはありませんよ。夜の見張りや道中の索敵なんかもしてもらってますから順調に進めてるんですよ」と言った。
「まあ、食事関係は仕方ないことだと思うけれど、今後の護衛の旅が数倍辛く感じそうなのが怖いわよね」
ローズがパンを口に入れながらそう言うとザビリアも同意をしていた。
* * *
次の日も大きなトラブルは無く、既に何度目かになるやり取りをして王都まであと少しとなり最後の休憩を取っていた時にそれは起きた。
――ドシン!
突然大きな音が聞こえてきたと思うと立っていられないほどの地揺れが起こる。
「きゃあ!」
「これはデカいぞ!」
「危ないぞ! 馬車から離れろ!」
僕は咄嗟にのノエルの手を掴み荷車から飛び降りようとしたが激しい揺れに思うように体が動かない。
(これはマズイ)
そう直感をした僕はノエルを掴んだ反対の手を荷車にあててスキルを唱える。
「カード収納」
次の瞬間、目の前にあった幌が無くなり道の上には僕だけが投げ出された状態となる。
「痛ってぇ!」
大きく尻もちをついた僕だったが周りに倒れてくるものは無くその場に身をかがめて揺れがおさまるのを待った。
時間にして1分もあっただろうか、体感的には凄く長い時間に思えたがやがて揺れはおさまり僕は安堵の息を吐いた。
「もう大丈夫かな?」
僕は周りの様子を確認しながら一枚のカードを取り出した。
(これ、普通に戻しても大丈夫なのか?)
荷車の中から馬車ごとカード化したので僕だけが無くなった荷車の高さから落ちて尻もちをついたのだがこのまま戻して大丈夫なのかと一抹の不安を抱きながらもスキルを使ってみた。
「開放」
カード化を解くと僕が道に立ったまま馬車が目の前に現れていた。
「きゃあ!?」
「あれ?」
「揺れてない?」
「――皆さん無事ですか!?」
僕はそんな疑問を考えていたがトトルの声で我に返る。
「ノエル!」
僕はすぐにそう叫びながら荷車のカーテンを開けて乗り込み彼女の姿を見つけると思わず抱きしめた。
「良かった! 無事だった。
怪我は無い?」
彼女の両頬に手をあてて彼女の目を見ながらそう問いかけるとノエルの目から涙が溢れてきた。
「大丈夫だよ。
大きく揺れたと思ったら次に気がついた時にはもう揺れはおさまっていたけれどミナトが居なくて……。
何かあったんじゃないかと心配したんだから!」
泣きじゃくる彼女の頭を撫でながら僕も安堵感に包まれる。
「――今のはミナトがやったのか?」
抱き合う僕たちの後ろからガラムの声が聞こえる。
「今の揺れは違いますよ。
いくらなんでも人に出来るものじゃありませんから」
ガラムの言葉に僕は思わずそう反応していた。
「いや、それは分かっている。
いくらなんでもあの揺れは地神様のされた事。
俺が言っているのはその後の事だ、荷車の中で大きな揺れに遭い飛び出す体制さえ取れなかったはずなのに気がつけば何事もなく揺れはおさまっていた。
そして、あのとき一緒に乗っていたはずのミナトが外から荷車に飛び乗ってきた。
これはどういうことなんだ?」
ガラムの言葉に僕は苦笑いを見せながら「分かりました。説明をします」と言ってノエルと離れてから皆と向き合い状況の説明をしていった。
私どもの役目はアランガスタ王都までおふたりをお連れすることですので少々強引なスケジュールで進んでおります。
おそらくですが途中の町を素通りして約3日ほどになると予想されます」
トトルは馬車を軽快に走らせながら僕たちにそう伝えてくれた。
「ありがとうございます。
急がせて申し訳ないです」
僕がトトルにそう言った時、馬車の馬が急に止まった。
「おい、どうした――ってなんだこれは!?」
馬車が停止し地震による感覚を覚える僕たちは驚きの声をあげる。
「地が揺れている……地神様が震えておられる。悪い事が起こらなければいいが」
揺れは十秒ほどでおさまり辺りはいつもどおりの道が続いていた。
「急いだ方がいいですね」
トトルはそう言って馬車を走らせはじめた。
* * *
道中はありえないほど静かで盗賊はおろか野生の獣さえも遭遇しない状態で今日の野営場所にたどり着いていた。
「今日はここまでにします。
この先に進むと暫く水場から道が離れますので水を補給される方はここでお願いします。
ミナト殿は汲んだ桶をカード化しておいてくれると助かります」
トトルの指示で各自が必要な事の準備に入る。
「――水はこのくらいの量で良いですか?」
僕は水を汲んだ桶をカード化したものを馬の世話をしているトトルに見せて確認する。
「ありがとうございます。
それだけあれば大丈夫だと思います」
「では夕食の方も出しておきますので一段落ついたら食べるようにしてくださいね」
僕の言葉にうなずいたトトルを見て僕はガラムたち護衛の食事も取り出して開放していった。
「なんだか俺たち何もしてないような気がするな」
出された食事をしながらギリーがそ言うとガラムも「そうだな」と苦笑いをしながら言ったので僕は「そんなことはありませんよ。夜の見張りや道中の索敵なんかもしてもらってますから順調に進めてるんですよ」と言った。
「まあ、食事関係は仕方ないことだと思うけれど、今後の護衛の旅が数倍辛く感じそうなのが怖いわよね」
ローズがパンを口に入れながらそう言うとザビリアも同意をしていた。
* * *
次の日も大きなトラブルは無く、既に何度目かになるやり取りをして王都まであと少しとなり最後の休憩を取っていた時にそれは起きた。
――ドシン!
突然大きな音が聞こえてきたと思うと立っていられないほどの地揺れが起こる。
「きゃあ!」
「これはデカいぞ!」
「危ないぞ! 馬車から離れろ!」
僕は咄嗟にのノエルの手を掴み荷車から飛び降りようとしたが激しい揺れに思うように体が動かない。
(これはマズイ)
そう直感をした僕はノエルを掴んだ反対の手を荷車にあててスキルを唱える。
「カード収納」
次の瞬間、目の前にあった幌が無くなり道の上には僕だけが投げ出された状態となる。
「痛ってぇ!」
大きく尻もちをついた僕だったが周りに倒れてくるものは無くその場に身をかがめて揺れがおさまるのを待った。
時間にして1分もあっただろうか、体感的には凄く長い時間に思えたがやがて揺れはおさまり僕は安堵の息を吐いた。
「もう大丈夫かな?」
僕は周りの様子を確認しながら一枚のカードを取り出した。
(これ、普通に戻しても大丈夫なのか?)
荷車の中から馬車ごとカード化したので僕だけが無くなった荷車の高さから落ちて尻もちをついたのだがこのまま戻して大丈夫なのかと一抹の不安を抱きながらもスキルを使ってみた。
「開放」
カード化を解くと僕が道に立ったまま馬車が目の前に現れていた。
「きゃあ!?」
「あれ?」
「揺れてない?」
「――皆さん無事ですか!?」
僕はそんな疑問を考えていたがトトルの声で我に返る。
「ノエル!」
僕はすぐにそう叫びながら荷車のカーテンを開けて乗り込み彼女の姿を見つけると思わず抱きしめた。
「良かった! 無事だった。
怪我は無い?」
彼女の両頬に手をあてて彼女の目を見ながらそう問いかけるとノエルの目から涙が溢れてきた。
「大丈夫だよ。
大きく揺れたと思ったら次に気がついた時にはもう揺れはおさまっていたけれどミナトが居なくて……。
何かあったんじゃないかと心配したんだから!」
泣きじゃくる彼女の頭を撫でながら僕も安堵感に包まれる。
「――今のはミナトがやったのか?」
抱き合う僕たちの後ろからガラムの声が聞こえる。
「今の揺れは違いますよ。
いくらなんでも人に出来るものじゃありませんから」
ガラムの言葉に僕は思わずそう反応していた。
「いや、それは分かっている。
いくらなんでもあの揺れは地神様のされた事。
俺が言っているのはその後の事だ、荷車の中で大きな揺れに遭い飛び出す体制さえ取れなかったはずなのに気がつけば何事もなく揺れはおさまっていた。
そして、あのとき一緒に乗っていたはずのミナトが外から荷車に飛び乗ってきた。
これはどういうことなんだ?」
ガラムの言葉に僕は苦笑いを見せながら「分かりました。説明をします」と言ってノエルと離れてから皆と向き合い状況の説明をしていった。
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